理系学生から例年人気の高い「研究職」。
学生時代の専攻分野をそのまま企業で研究職の業務に活かす方も多くいます。

しかし、研究職に関して具体的にどのような業務を行うのか詳しく知らない方も多いのではないでしょうか?

研究職にも種類があり、それぞれで業務内容も異なってくるため、実際の業務内容と自分のイメージをすり合わせておくことが重要です。

今回は研究職に関して、開発職との違いや種類、魅力についても詳しく解説します。
研究職を目指しており、業務内容などを詳しく知りたい方はぜひ参考にしてください。

研究職とは?

研究職は文字通り企業や大学、研究機関などで研究に携わる職種のことです。

研究以外には試験や鑑定を行う場合もあり、主に企業の研究所や大学の研究室などが職場となります。
一口に研究職といっても、企業の研究職や大学に所属する研究職などさまざまな種類があり、それぞれ業務内容も異なるのが特徴。
後述する「基礎研究」や「応用研究」の間でも、研究内容に大きく違いがあります。

研究職の種類

研究職には「基礎研究」と「応用研究」の2種類があり、以下がそれぞれの研究内容です。

基礎研究:新規物質や原理を発見する研究
応用研究:基礎研究で得られた知識を活用し実用化する研究

以下の項目で詳しくみていきましょう。

基礎研究

基礎研究とは、新しい物質や原理を発見すべく仮説や理論を形成して行う研究のことです。

企業では、5〜10年後など将来的に流行るであろう先進的技術をいち早く見つけ、新たなビジネスを生み出す目的で基礎研究がおこなわれます。
研究開始時は、研究成果の活かし方や用途を特に指定せず研究がおこなわれ、大学やその他の研究機関で実施されるケースも多い研究です。

具体的には以下のような研究が挙げられます。

アルコールが脳に与える影響を解明する研究
ストレスが脳に与える影響を明らかにする研究
糖尿病の発生因子を特定する研究

基礎研究を通じて得られた研究成果は、応用研究で活用されます。

応用研究

応用研究は、基礎研究によって得られた知識を活用し、目的を定めて実用化ができるか確かめる研究のことです。
また、すでに実用化されている技術を活用し新たな付加価値を模索する研究も応用研究でおこなわれます。

応用研究では基礎研究で得られた成果の活用や既存製品のアップグレードを中心とし、実際に商品やサービスを世に送り出すことが目的です。
市場のニーズに合う商品やサービスが何かを考えながら研究を行います。

開発職との違い

研究職と開発職の違いとして以下の違いがあります。

研究職:0から1を生み出す
開発職:1を10にできるよう付加価値を生み出す

上記のように、研究職は新しい概念や手法を生み出すのに対し、開発職はすでにある概念に付加価値を加えて商品化を目指します。
例えば、研究職が「肌を潤す新成分」を発見したら、その成分を取り入れた商品を開発するのが開発職です。
商品にもさまざまな形があり、上記では化粧品として売り出す方法や医薬品として商品化する方法もあります。

研究職のやりがいや魅力とは?

研究職のやりがいや魅力は以下の3点にあると言えるでしょう。

・製品開発など新しい価値を創造できる
・研究者としてのスキルを磨ける
・社会課題の解決に貢献できる

研究職は成果を求められるプレッシャーもありますが、達成できた時の喜びは非常に大きいです。

製品開発など新しい価値を創造できる

研究職のやりがいは、製品開発など新しい価値を創造できる点にあります。

研究によって新しい価値を生み出すには数年単位の時間がかかることも珍しくなく、根気強さが求められるでしょう。
自らの研究で新しい製品を生み出し、人々の生活の豊かさに貢献できた時の喜びは何事にも変え難いものです。

このように新しい価値を生み出し、社会生活の豊かさに貢献できる点が研究職のやりがいや魅力と言えます。

研究者としてのスキルを磨ける

研究者としてのスキルを磨ける点も研究職の魅力です。

研究職に限った話ではありませんが、自分のできる範囲内のことばかりでは大きな成長や達成感を望めません。
一方現状よりも高いレベルの業務をこなせれば、成長や達成感も大きく得られるでしょう。
研究職は新しい概念や価値を生み出す高いレベルの研究を求められ、研究を続けていけばその分野での高いスキルを自然と高められます。

企業によっては社内外での研修も充実しており、研究者として自分を高める機会も多く得られるでしょう。

社会課題の解決に貢献できる

企業の研究職は社会課題の解決に貢献できる機会も多くあります。

企業が行う業務はビジネスとして収益をあげるものもあれば、国や行政機関と協力して環境問題などの社会課題解決を目的とした業務もあります。
こうした業務に研究職として関われば、自分の生み出した技術が社会課題の解決につながる可能性もあるでしょう。

社会課題の解決に貢献することで、その功績から研究者として多くの賞賛を得られる可能性もあります。

こうした社会課題をクリアすることで達成感や対価を得られるのも、研究職の魅力です。

研究職のキャリアパス・進路

ここでは研究職の主なキャリアパス・進路として以下の5つを紹介します。

・研究職のエキスパート
・マネジメント職
・転職
・大学などのアカデミア
・起業

研究職としてのキャリアも考慮に入れ、人生設計の参考にしましょう。

研究職のエキスパート

就職した企業で研究者としての知識やノウハウを蓄積し、研究職のエキスパートとなる道があります。

自分が携わる領域の専門的な知識やノウハウを得られるため、長く研究職として研究を続ければその分野では変えのきかない存在となれるでしょう。

自分が携わる領域に魅力を感じている方は、エキスパートになる道を選ぶのがおすすめです。

マネジメント職

研究部門を管理するマネジメント職につく選択肢もあります。

チーム内の研究員が円滑に業務を行えるよう、環境を作り上げていくことやプロジェクトの管理能力が求められる職種です。
マネジメント職では、自らの研究業務よりも予算管理や経営企画など部門全体の管理業務が増えていきます。

会社経営にも関わるため、重要なポジションと言えるでしょう。

転職

自身のスキルを活かして他企業の研究部門や研究機関に転職する道もあります。

研究者としてのスキルを他企業の研究部門で活かすケースもあれば、全く別の職種に転職する場合もあるでしょう。
医療系メーカーでは、研究者としての経験を活かし大学や病院との交渉を行う職種につくケースもあります。

研究者で培った専門的な知見を活かし、コンサルティングファームに転職するケースも見受けられます。

大学などのアカデミア

企業の研究職から大学の教授などアカデミアに進むのも選択肢の1つと言えるでしょう。

基本的に大学教授になるには博士号の取得が必須ですが、特別に高い研究実績があれば博士号を取得しなくても教授になれるパターンもあります。

また、企業の研究職と大学の教職を併任するケースもあり、多彩なキャリアがのぞめるのが特徴です。

起業

研究職の専門的なスキルを活かして、起業する道もあります。

研究職で学んだ専門的な知見を活かした商品やサービスを自分で立ち上げられれば、他の企業が真似しにくい独自性があるため、他企業との競争でも優位に立てるでしょう。

これだけは知っておきたいポイント(まとめ)

研究職には所属する企業や研究機関によって業務内容も大きく異なります。

長い期間の積み重ねが求められる職種ですが、研究成果で人々の豊かな暮らしや社会課題の解決に貢献できるなどやりがいも大きい職種です。

研究職を目指す際は、応募する企業でどのような業務を行っているか事前にホームページなどでチェックしておきましょう。
研究職向けのインターンに参加するのもおすすめです。