こんにちは。理系就活情報局です。
理系学生の間で高い人気を誇る「研究職」は、最先端の知識や技術を追求し、社会に新たな価値を生み出すやりがいのある仕事です。大学や大学院で学んだ専門分野を活かして活躍する人が多い一方で、「研究職の具体的な業務内容や働き方がよくわからない」という声も少なくありません。
研究職にはさまざまな種類があり、企業・大学・公的機関など就職先によって仕事内容やキャリアパスも大きく異なります。
本記事では、研究職の概要や開発職との違い、仕事内容、年収、やりがい・魅力、向いている人の特徴までを分かりやすく解説します。
「自分に研究職は合っている?」「どんな将来性があるの?」と悩んでいる方も、ぜひ参考にしてください。
研究職とは?
研究職は、企業・大学・公的機関などで新しい知識や技術を生み出す専門家です。研究職は医薬品やIT、エネルギー、インフラや環境分野など私たちの生活や社会に欠かせないイノベーションの土台を築いています。目に見える商品やサービスの「原点」となる発見・発明も多く、最先端の科学や技術が社会で活かされる出発点となる仕事です。
一言で研究職といっても、役割や働く場所はさまざまです。例えば、研究は新しい物質や原理を明らかにする「基礎研究」と応用して実際の製品や技術へと発展させる「応用研究」に大別されます。
研究職の種類
基礎研究
基礎研究は新しい物質や原理を明らかにする研究で、科学や技術の根本を追究する仕事です。
新しい物質や生命現象のメカニズムを明らかにするなど、用途や実用化にとらわれず「なぜ?」「どうして?」を解き明かします。例えば、病気の原因遺伝子を突き止めたり、新しいエネルギー変換の原理を見つけたりするのも基礎研究の功績です。
基礎研究で得られた知見が、数年から数十年後に画期的な医薬品やテクノロジーの開発につながるケースも多く、長期的に社会の発展を支えています。
応用研究
応用研究は、基礎研究で得た知識をもとに実際の製品やサービス開発へとつなげていく仕事です。
例えば、新しく発見した材料を、自動車や電子機器、医療機器などの製品に応用して進化させるなど市場や社会のニーズに応じて研究成果を具体的な形にしていきます。
応用研究があることで、より便利で安全な暮らしや新しい産業が生まれ、人々の生活を豊かにしてくれます。
研究職の主な就職先は3種類ある
研究職は、多様なフィールドで社会の発展や新しい価値の創出に貢献しています。なかでも、「大学・大学院」「公的研究機関」「民間企業」のいずれかで活躍するケースが一般的です。
大学・大学院
研究職の就職先1つ目は大学・大学院で、基礎研究を中心に新しい知識の創出や教育にも携わります。教員などアカデミックなキャリアアップを目指す方が多いのも特徴です。
公的な研究機関
研究職の就職先2つ目は、公的な研究機関です。国や自治体が運営する研究施設で基礎・応用研究の両方に携わり、理化学研究所や産業技術総合研究所などが代表例です。
民間企業の研究開発部門
民間企業の研究開発部門では、製品やサービスの開発を目指した応用研究を中心に行われています。技術革新や社会課題の解決を担う現場で、多くの理系人材が活躍しています。
研究職が携わる製品開発の魅力
製品開発の現場では、研究職が新しい価値や社会課題の解決につながる原石を見つけ出し、開発チームと連携して実際の製品へと磨き上げていきます。以下では、研究職の役割と社会を変えるモノづくりの魅力について紹介します。
研究職が製品開発で果たす役割
製品開発における研究職は、単に新しい知識や技術を生み出すだけではありません。
市場や社会が抱える課題やニーズを深く分析し、応えられる革新的な技術の種を発見して形にしていく重要な役割を担っています。
例えば、以下のように私たちの生活を豊かにする技術革新が研究職の発見から始まります。
・「より副作用の少ない薬」「新しい治療法」といった医療の進歩
・「高速かつ安全な通信技術」「省エネ性能に優れた半導体」などIT分野の進化
段階で得られた成果は、開発部門やデザイナーと協力しながら社会に役立つ実用的な製品へと昇華されていきます。
社会にインパクトを与えるモノづくりのやりがい
研究職の最大の魅力は、自分のアイデアや発見が実際に形となり、多くの人の暮らしや社会の発展につながることです。
新しい素材を使ったスマートフォンが世界中で使われるなど、自分の仕事の成果を身近で実感できるのが大きなやりがいです。
また、製品開発では専門分野の知識だけでなく、開発・設計・マーケティングなど異分野の仲間と協働する経験も得られます。多様な視点を取り入れながら新たな価値を生み出すチームでのモノづくりは、研究職ならではのやりがいです。
研究職と開発職との違い
ともに製品開発に携わる職業として開発職があり、研究職との違いを端的に表すと以下のとおりです。
・研究職:新しい知識や技術そのものを生み出す仕事
・開発職:生まれた知見をもとに製品やサービスとして形にする仕事
研究職・開発職の業務内容やキャリアパスには、大きな違いがあります。
研究職と開発職は業務範囲が違う
研究職は0から1を生み出す仕事で、世の中にまだ存在しない原理や材料、技術、仕組みを見つけ出すことが主なミッションです。例えば、新しい医薬品成分の発見や革新的な素材の開発、AIなど基礎技術の進化などが代表的な研究職の仕事です。研究の成果は、数年から数十年後に社会を変えるイノベーションの種になります。
例えば、研究職の仕事の例として次のようなものがあります。
・医薬化学分野:新薬候補物質の探索、基礎的な生体反応の解明
・IT分野:新しいAIアルゴリズムやネットワーク技術の開発
・材料分野:高性能材料やナノテクノロジーの基礎研究
一方で、開発職は1を10にする仕事で、研究で生まれた新しい知見や技術を実用化し、商品・サービスとして世の中に送り出す役割を担います。例えば、研究職が発見した新素材を使って量産可能な製品を設計したり、新たなアルゴリズムを実装してアプリやサービスを開発したりします。
代表的な開発職の仕事の例としては、次のようなものがあります。
・医薬化学分野:発見された物質を使った製剤設計や生産技術の確立
・IT分野:新技術を活用したシステム・アプリの実装、サービス開発
・材料分野:新素材を実用化するための加工法や量産プロセスの構築
研究職と開発職のキャリアパスや働き方の違い
研究職のキャリアパスは、大学院卒から大学や研究機関、企業の基礎研究部門に就職し、専門分野を深く掘り下げて成果を積み重ねるキャリアが主流です。学会発表や論文執筆が重視され、研究テーマの独創性や社会へのインパクトが評価軸となります。近年では、アカデミアと企業を行き来する「クロスアポイントメント型」の働き方も増えています。
一方、開発職は企業の開発部門や製造現場に所属し、研究で生まれた技術や知見を製品化・サービス化する現場で活躍するのが一般的です。チームワークや納期管理、他部門(営業・マーケティング・製造)との連携も重要で、実用化や売れる商品を生み出す視点が求められます。
また、開発職として経験を積んだ後に研究企画やプロジェクトマネージャー、商品戦略などにキャリアアップする例も多いです。
具体的な研究職の仕事内容
具体的な研究職①:化学系研究開発職
化学系研究開発職とは、日常生活で使用される化学製品の研究・開発をする職種です。
具体的にはプラスチックやゴム、繊維、化粧品、医療品などが研究の対象です。
化学系研究開発職の仕事は日常生活と密接しており、研究に対するやりがいを感じる機会の多い職種といえます。
化学系研究開発職に向いている方は、地道に取り組める方と細部まで追求できる方です。
研究開発職は一見すると花形の職種にみえますが、実際には地味な作業の繰り返しです。
インプットのデータを僅かに変えて実験するなど、細部にこだわり研究をおこないます。
地味な作業を丁寧に繰り返した結果が研究成果につながるため、コツコツ取り組める方が向いています。
具体的な研究職②:IT研究開発職
IT研究開発職とは、IT分野の技術を開発する職種です。
製品ではなく、製品を支える技術を研究・開発して新しい発想や可能性につなげる職種になります。
IT研究開発職の対象は、5Gを超える高速通信技術やAI開発、自動運転技術など幅広い分野が対象です。
IT研究開発職に向いている方は、先端技術への好奇心と粘り強さを持つ方です。
新しい技術への興味・関心が新たな可能性につながるため、最新技術を追求するメンタリティは重要になります。
また最新技術の開発は必ずしも順調に進むわけではないため、地道に取り組める粘り強さも必要な素養です。
研究職は稼げない?気になる年収事情
研究職というと研究費を獲得する厳しさを伝える報道も多く、「あまり稼げないのではないか」と想像する人も多いかもしれません。以下では、研究職の年収事情について、統計を元に探ります。
研究職の平均年収
研究職の年収は、分野や所属先によって幅がありますが、全体的に日本の平均年収よりも高い傾向があります。
国税庁「令和5年分民間給与実態統計調査結果」によると、学術研究、専門・技術サービス業、教育、学習支援業の平均年収は551万円です。給与所得者の平均年収は460万円のため、研究職は平均よりも高収入が見込まれる職種と言えます。
また、厚生労働省の「職業情報提供サイト(job tag)」によると、情報工学研究者、土木・建築工学研究者、バイオテクノロジー研究者、薬学研究者などの平均年収は約750万円となっています。
研究職は分野別・年代別で見ても、経験や専門性が高まるほど収入アップが期待できるのも特徴です。以下は情報工学研究者の年収グラフですが、ピーク時には1,000万円を超えており、研究職は収入面でも魅力のある職種です。
(出典:職業情報提供サイト Job Tag「情報工学研究者」)
派遣研究職や非正規雇用のケース
研究職には派遣社員や契約社員として働く道もあり、研究職専門の派遣サービス(例:WDB)では時給1,700〜2,000円前後が一般的です。
一般的なアルバイトや他の派遣職種と比べれば高めですが、正社員と比べると収入や賞与・昇給面での安定性は劣ります。
派遣や非正規雇用は「未経験からチャレンジしやすい」「ワークライフバランスを重視した働き方がしやすい」などのメリットがあります。しかし、長期的な収入やキャリア形成を考える場合は正社員と差がある点に注意が必要です。
研究職に向いている人・向いていない人の特徴
研究職には独特のやりがいや魅力がありますが、求められる資質や適性も明確です。以下では、研究職に向いている人と向いていない人の特徴を紹介します。自分の性格や価値観と照らし合わせて、進路選びの参考にしてください。
研究職に向いている人の特徴
研究職として着実に成果を出し、ステップアップを続けている人には、次のような特徴があります。
研究職に向いている人の特徴 | 概要 |
粘り強く取り組める人 | 研究職は結果がすぐに出ない場面も多く、何度も失敗と挑戦を繰り返す。困難に直面しても諦めず、粘り強く探求し続けられる人は研究の現場で力を発揮できる。 |
失敗から学び、成長につなげられる人 | 研究開発は試行錯誤の連続。失敗を単なる挫折ではなく「新たな知見」として前向きに受け止め、改善や工夫を重ねていける人は研究職に適している。 |
コミュニケーション力がある人 | 研究職は一人で黙々と取り組むイメージが強いが、実際にはチームや他分野の専門家と協力しながら研究を進める場面が多くある。 |
研究職に向いていない人の特徴
逆に、研究職に向いていない人には、次のような特徴があります。
研究職に向いていない人の特徴 | 概要 |
地道な作業や試行錯誤が苦手な人 | すぐに結果を求めたり、細かい実験や検証を繰り返すことを苦痛に感じたりする人は研究職の業務にストレスを感じやすい |
失敗を過度に恐れる人・切り替えが苦手な人 | 研究には予期せぬ失敗や思い通りにいかない場面がつきもの。失敗をネガティブに受け止めやすい人や、気持ちの切り替えが苦手な人は長く続けるのが難しい。 |
一人で考え込む傾向が強い人・協調が苦手な人 | チームでの協力や情報共有が重視される現場では自分の意見に固執し、他者と連携を取るのが苦手な人は成果が出にくい |
研究職は勝ち組?やりがいや魅力とは
製品開発など新しい価値を創造できる
研究職のやりがいは、製品開発など新しい価値を創造できる点にあります。
研究によって新しい価値を生み出すには数年単位の時間がかかることも珍しくなく、根気強さが求められるでしょう。
自らの研究で新しい製品を生み出し、人々の生活の豊かさに貢献できた時の喜びは何事にも変え難いものです。
このように新しい価値を生み出し、社会生活の豊かさに貢献できる点が研究職のやりがいや魅力と言えます。
研究者としてのスキルを磨ける
研究者としてのスキルを磨ける点も研究職の魅力です。
研究職に限った話ではありませんが、自分のできる範囲内のことばかりでは大きな成長や達成感を望めません。
一方、現状よりも高いレベルの業務をこなせれば、成長や達成感も大きく得られるでしょう。
研究職は新しい概念や価値を生み出す高いレベルの研究を求められ、研究を続けていけばその分野での高いスキルを自然と高められます。
企業によっては社内外での研修も充実しており、研究者として自分を高める機会も多く得られるでしょう。
社会課題の解決に貢献できる
企業の研究職は社会課題の解決に貢献できる機会も多くあります。
企業が行う業務はビジネスとして収益をあげるものもあれば、国や行政機関と協力して環境問題などの社会課題解決を目的とした業務もあります。
こうした業務に研究職として関われば、自分の生み出した技術が社会課題の解決につながる可能性もあるでしょう。
社会課題の解決に貢献することで、その功績から研究者として多くの賞賛を得られる可能性もあります。
こうした社会課題をクリアすることで達成感や対価を得られるのも、研究職の魅力です。
女性も男性も活躍できる仕事
研究職は、性別に関係なく活躍できる職業です。
研究職は専門知識や技術が求められる分野であり、成果やスキルが評価されるため、女性も男性も平等にキャリアを築くことが可能です。
特に近年では、理系分野での女性の進出も進み、大学や企業、公的機関などで多くの女性研究者が活躍しています。
大手企業を中心に育児や家庭との両立を支援する制度が整備されている職場も増え、働きやすい環境が広がっています。
男女問わず、研究職は実力次第で成長できる魅力的な仕事と言えるでしょう。
研究職はやめとけ・つらいと言われる理由
成果を求められるプレッシャー
研究職を目指してさまざまな情報を集めていると、研究職はやめとけ・つらいという口コミを目にした方もいるでしょう。
得意もしくは好きな研究を仕事にできることが、なぜつらいのか想像がつきにくい部分ではあります。
研究職がつらいといわれる大きな理由は、成果主義にあります。
企業での研究は利益につながることが当たり前で、成果を出せなければ厳しい立場に追い込まれることも珍しくありません。
研究職から外される、他部門・他部署へ異動になることもあります。
また成果は一度限りではなく、継続して出すことを求められるため、常にプレッシャーがかかった状態で生活を送ることになります。
精神的な重圧が続くため、研究職がつらいと感じる方が増えるのも頷ける状況です。
他の職種への転職が難しい
研究職はやめとけ・つらいと言われる理由の一つに、他職種への転職の難しさがあります。
研究職で培ったスキルや経験は専門性が高く、他の職種では活かしにくいことが多いためです。
特定分野に特化した研究だと汎用性が低く、転職の選択肢が限られることもあります。
しかし、研究職同士の転職であれば市場価値は高く、一見難しく思えても専門知識を求める企業は多く存在します。スキルと経験を活かせる職場を探せば、転職の可能性は十分にあるでしょう。
残業が多い
研究職が敬遠される理由の一つに、残業の多さがあります。
研究業務は時間がかかることが多く、長時間労働になりやすい傾向があります。
しかし、研究が好きな人にとっては、残業を苦に感じない場合も少なくありません。
また、企業や職場によっては労働環境が整備され、残業がほぼ発生しないケースもあります。
就職先を慎重に選ぶことで、研究に集中しつつワークライフバランスを保つ働き方も可能です。
研究職への就職は難易度が高め
求人数が多くない
研究職の募集枠はもともと少なく、競争率が高い傾向があります。
特に、自分が大学で専攻した分野に限定して求人を探すと、さらに選択肢が狭まり、就職活動が難しくなることもあります。
そのため、研究職をめざす理系就活生は、幅広い求人情報をチェックし、早い段階から積極的に情報収集を行うことが大切です。
また、研究機関や企業とのコネクションを活用することで、より多くの就職の可能性を広げることができます。
研究職への道は狭き門ですが、準備と努力次第でチャンスをつかむことができるでしょう。
求められる採用要件のハードルが高い
研究職は、求められる採用要件のハードルが高い職種です。
エントリー時点で高い学術水準が求められ、特に大手企業では厳しい応募資格が設定されています。
例えば、専門分野の修士・博士課程修了者という前提に加えて、TOEIC700点以上の英語力や、学会や論文発表の実績が応募条件となる企業もあります。
また、研究職の募集枠自体が限られているため、多くの優秀な候補者と競争することになります。
単に学歴や資格を満たすだけでなく、自身の研究成果や専門性をいかに効果的にアピールできるかが、採用の鍵となります。
しっかりとした準備と戦略的な応募が必要な職種といえるでしょう。
研究職になるための選考対策
研究職への就職方法
研究職に就く方法としては、以下2つの方法があります。
・推薦応募:大学や教授から推薦を受けて、研究職へ応募する方法。選考の通過率は高いとされているが辞退はできないため、注意が必要。
・一般応募:求人サイトや研究所のホームページから募集を探して応募する方法。求人の数が少なく、応募数も多いため、選考の通過率は低い。
求人数や条件に適う専門性を磨く
研究職を目指すには、求人数の少なさを理解し、採用条件に適う専門性を磨くことが不可欠です。
研究職は募集枠が限られ、特に大手企業や公的機関では、高度な専門知識やスキルが求められます。
そのため、学生時代から専門分野の知識を深め、研究実績を積み重ねることが重要です。
特に、自身の研究テーマを明確にし、実践的なスキルを身につけることで、企業や研究機関の求める人材に近づくことができます。また、最新技術や業界の動向を常にチェックし、必要な資格やスキルを習得することで、競争の激しい研究職の就職市場で有利に働くでしょう。
自己分析・企業研究を深掘りする
研究職は求人が少ないうえに、多くの志望者が集まるため、非常に狭き道となっています。
選考を突破する可能性を上げるためには、より深掘りした志望動機が必要です。
より一歩踏み込んだ志望動機を作り出すために、自己分析や企業分析を徹底的におこないましょう。
具体的には以下の点に対して、以下の分析を繰り返して深掘りします。
・企業のどこに魅力を感じたのか
・入社後に何がしたいのか、またなぜしたいのか
自己分析と企業分析の深掘りは難しく、答えが出ないケースも珍しくありません。
答えが出ない場合には時間をおくと、すんなりと答えが出るケースがあるため、時間をかけて取り組みましょう。
研究職のインターンシップには必ず参加する
インターンシップといってもさまざまなタイプがありますが、志望する企業のインターンシップが開催される場合には必ず参加しましょう。
インターンシップに参加した方がよい理由は、以下の2つになります。
・実際の業務に近い体験ができることから、仕事のイメージや職場の雰囲気が掴める
・実務型インターンシップでは選考に大きな影響を与える
インターンシップに参加すると企業への理解が深まるため、より納得感のある志望動機が作りやすくなります。
企業の合う・合わないもインターンシップに参加すれば明確になる可能性があるため、有効的な機会です。
研究職の志望動機で盛り込むべき要素
これまでの研究内容
研究職の志望動機で盛り込むべき要素の1つ目は、これまでの研究内容です。
自分の研究が企業の研究内容とどのように共通するのかを示すことで、即戦力としての魅力を伝えられます。
志望動機には、研究テーマや得られた成果、どのようなスキルを身につけたかを明確に記載し、入社後にどのように活かせるのかをアピールしましょう。
採用担当者が専門外である可能性もあるため、分かりやすく説明することが大切です。
また、自分の研究内容が伝わるかどうか、家族や異なる専門分野の友人に説明し、フィードバックをもらうのも効果的です。
分かりやすい表現を工夫しながら、自分の強みを最大限に伝えられる志望動機を作成しましょう。
企業の取り組みに対する興味・関心
研究職の志望動機で盛り込むべき要素の2つ目は、企業の取り組みに対する興味・関心です。
企業がどのような研究を行っているのかを事前に調べ、それに対してどのように関心を持ったのかを伝えることで、採用担当者に熱意が伝わります。
企業のホームページを確認するだけでなく、インターンや説明会、職場見学に参加し、事業内容や研究方針についての情報を集めると、より具体的な志望動機を作成しやすくなります。
また、企業の研究内容と自身の研究分野に共通点がある場合、それを結びつけて志望理由を説明すると、より説得力が増すでしょう。
入社後に携わりたい分野・業務
研究職の志望動機で盛り込むべき要素の3つ目は、入社後に携わりたい分野・業務です。
志望動機で具体的な目標を示すことで、採用担当者に入社後の活躍イメージを持たせることができ、印象に残りやすくなります。
例えば、「○○分野の研究に携わり、新技術の開発に貢献したい」「○○の分野で成果を出したい」など、自分の言葉で将来のビジョンを伝えると、研究に対する熱意が伝わります。
また、目標が大きくても、自分の成長とともに挑戦していく姿勢を示すことが重要です。
企業に入社した後も研究に打ち込み、長期的に貢献する意欲があることを伝えましょう。
志望動機の締めくくりとして、入社後のビジョンを明確に述べることで、より説得力のあるアピールができます。
研究職の志望動機の例文
私が貴社を志望する理由は、ITの力で生活を豊かにする目標が叶えられるためです。私は大学で半導体の研究をしており、より発展した端末・より高速な通信を実現させたいと考えております。私が半導体の研究に打ち込むきっかけとなったのは家族の存在です。私には離れて暮らす家族がおり、両親は私をいつも心配しています。ITの力でより身近に家族を感じるような仕組みはできないのかと考えたのがきっかけで、半導体の研究に乗り出すようになりました。もちろんスマートフォンのビデオ通話があるおかげで、少しは心配を軽減できていますが、私の中では十分とはいえません。よりリアリティのある触れ合いを実現できる可能性はないかと探している際に、御社で研究中のシステムに出会い、衝撃を受けました。御社で研究中のシステムが完成すれば、まるで目の前で話をしているような感覚を実現できるようになります。御社に入社後は私の研究成果を生かして、よりシステムを安定させ、ITの力で生活を豊かにする目標を実現したいと考えております。 |
研究職の採用で有利になる資格
修士
研究職の採用で有利になる資格の一つが「修士号」です。
理系学生の多くは、研究職を志望するかどうかに関わらず修士課程を修了しており、実際、多くの研究職の求人では「修士以上」を応募条件としています。
修士課程では、専門分野の知識を深めるだけでなく、研究手法の習得や論文執筆の経験を積むことができ、研究職としての基礎力を養うことが可能です。
また、修士課程での研究経験は、企業が求める即戦力としてのスキルにもつながります。
研究職を目指すなら、学部卒よりも修士課程を修了することで選択肢が広がり、採用の際にも有利に働くでしょう。
博士
研究職の採用で有利になる資格の一つが「博士号」です。
修士課程修了後に就職する学生が多い中、博士課程に進学することで、より高度な研究能力を身につけることができます。
博士課程では、研究計画の立案、進捗管理、原著論文の執筆などを主体的に行うため、独立した研究遂行能力が求められます。
この経験は、企業や研究機関で即戦力となるスキルとなり、研究職の採用で大きな強みとなります。特に、高度な専門知識や研究実績を重視する企業では、博士号を持つ人材が優遇されるケースも少なくありません。
研究職を目指すなら、博士号の取得はキャリアの選択肢を広げる強力な武器となるでしょう。
医師
研究職の採用で有利になる資格の一つが「医師免許」です。
医師免許を持っていると、研究職に就けなかった場合でも臨床医として安定した収入を得られるため、キャリアの選択肢が広がるというメリットがあります。
ただし、研究職として採用されるためには、医師免許だけでなく研究実績が重要視されます。特に、医学系の研究職では博士号を取得している方がより需要が高く、有利に働く傾向があります。
また、医師免許があれば全ての研究分野で優遇されるわけではありませんが、医療・製薬関連の研究では大きな強みとなります。医師としての臨床経験と研究スキルを兼ね備えることで、専門性の高い研究職への道が広がるでしょう。
薬剤師
研究職の採用で有利になる資格の一つが「薬剤師」です。
特に、化学系や医薬品関連の研究職では、薬剤師の資格が専門知識や実務経験の証明となり、就職の際に有利に働きます。
また、薬剤師資格を持っていることで、研究職に就職できなかった場合や適性を感じなかった場合でも、薬局や病院、製薬企業の別職種へのキャリア転換が可能です。
薬剤師資格は、研究職への挑戦とともに安定したキャリアの選択肢を確保できる点も大きなメリットです。
研究職のキャリアパス・進路
研究職のエキスパート
就職した企業で研究者としての知識やノウハウを蓄積し、研究職のエキスパートとなる道があります。
自分が携わる領域の専門的な知識やノウハウを得られるため、長く研究職として研究を続ければその分野では変えのきかない存在となれるでしょう。
自分が携わる領域に魅力を感じている方は、エキスパートになる道を選ぶのがおすすめです。
マネジメント職
研究部門を管理するマネジメント職につく選択肢もあります。
チーム内の研究員が円滑に業務を行えるよう、環境を作り上げていくことやプロジェクトの管理能力が求められる職種です。
マネジメント職では、自らの研究業務よりも予算管理や経営企画など部門全体の管理業務が増えていきます。
会社経営にも関わるため、重要なポジションと言えるでしょう。
転職
自身のスキルを活かして他企業の研究部門や研究機関に転職する道もあります。
研究者としてのスキルを他企業の研究部門で活かすケースもあれば、全く別の職種に転職する場合もあるでしょう。
医療系メーカーでは、研究者としての経験を活かし大学や病院との交渉を行う職種につくケースもあります。
研究者で培った専門的な知見を活かし、コンサルティングファームに転職するケースも見受けられます。
大学などのアカデミア
企業の研究職から大学の教授などアカデミアに進むのも選択肢の1つと言えるでしょう。
基本的に大学教授になるには博士号の取得が必須ですが、特別に高い研究実績があれば博士号を取得しなくても教授になれるパターンもあります。
また、企業の研究職と大学の教職を併任するケースもあり、多彩なキャリアがのぞめるのが特徴です。
起業
研究職の専門的なスキルを活かして、起業する道もあります。
研究職で学んだ専門的な知見を活かした商品やサービスを自分で立ち上げられれば、他の企業が真似しにくい独自性があるため、他企業との競争でも優位に立てるでしょう。
FAQ:よくある質問と回答

Q1.研究職と開発職の違いは何ですか?また、研究職から開発職に移る(開発職から研究職に移る)ことはできますか?
A.研究職は新しい原理や技術、理論など未知の領域を切り拓くことが主な役割です。自分の専門分野を深く掘り下げ、仮説を立てて検証し、学術的・技術的なブレイクスルーを目指します。
一方、開発職は研究で生まれた成果をもとに、実際に製品やサービスとして社会に送り出す役割です。市場ニーズや使いやすさ、コスト管理など、より「実用化」「現場」に近い視点での工夫が求められます。
両者はしばしば連携してプロジェクトを進めるため、「研究職→開発職」または「開発職→研究職」とキャリアチェンジする例も珍しくありません。特に、企業の研究開発職では研究・開発を横断する人材が求められ、実際の現場では両者の垣根が低くなっている場合も多いです。ただし、研究職から開発職へ移る際は実用化や商品設計の知識が必要となります。逆に、開発職から研究職へ移る場合は論文執筆や理論研究の深堀りなど新たなスキルを求められます。
Q.研究職になるためには大学院への進学が必須ですか?また、何か一つ持っておいた方がいいスキル(資格)を挙げるとしたら何ですか?
A.企業や分野によりますが、多くの場合は修士号(大学院卒)が研究職への応募条件となるケースが一般的です。特に、基礎研究や最先端技術を扱う職場、大学・公的機関では博士号が求められる場合もあります。ただし、応用研究や開発寄りの研究職、民間企業の一部分野では学士(大学卒)で挑戦できるケースもあります。
研究職を目指すうえで持っておきたいスキルは、論理的思考力と情報収集・分析力です。加えて、統計解析(RやPythonなどのプログラミング含む)や英語力はどの分野でも大きな武器となります。
資格でいえば技術士やTOEICでの高スコアなどが評価されやすいです。しかし、資格以上に自分の研究を分かりやすく説明できる力やプレゼンテーション能力が重視される傾向です。
Q.研究職には将来性がありますか?将来的にAIに取って代わられることはありませんか?
A.研究職は今後も社会に必要とされ続ける職種です。特に、AI・バイオ・医薬・新素材・環境・エネルギーなど成長分野では新しい発見や技術開発が求められており、活躍の場は広がっています。
AI技術の進歩によってデータ分析やシミュレーションの効率化、自動化が進むことは確かです。しかし、未知の現象を発見する発想力や仮説を立てて新たな課題を切り拓く人間ならではの創造性は、AIだけでは代替できません。むしろ、AIを研究のパートナーとして活用しながら、より高度な研究テーマに挑戦することが今後は重要になっていきます。
まとめ
研究職は、所属する企業や研究機関によって業務内容も大きく異なります。
長い期間の積み重ねが求められる職種ですが、研究成果で人々の豊かな暮らしや社会課題の解決に貢献できるなどやりがいも大きい職種です。
研究職を目指す際は、応募する企業でどのような業務を行っているか事前にホームページなどでチェックして、複数の就活サイトを活用しながら就活を進めましょう。
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