理系学生から例年人気の高い「研究職」。
学生時代の専攻分野をそのまま企業で研究職の業務に活かす方も多くいます。

しかし、研究職に関して具体的にどのような業務を行うのか詳しく知らない方も多いのではないでしょうか?

研究職にも種類があり、それぞれで業務内容も異なってくるため、実際の業務内容と自分のイメージをすり合わせておくことが重要です。

今回は研究職に関して、開発職との違いや種類、魅力についても詳しく解説します。
研究職を目指しており、業務内容などを詳しく知りたい方はぜひ参考にしてください。

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研究職とは?

研究職は文字通り企業や大学、研究機関などで研究に携わる職種のことです。

研究以外には試験や鑑定を行う場合もあり、主に企業の研究所や大学の研究室などが職場となります。
一口に研究職といっても、企業の研究職や大学に所属する研究職などさまざまな種類があり、それぞれ業務内容も異なるのが特徴。
後述する「基礎研究」や「応用研究」の間でも、研究内容に大きく違いがあります。

本章では具体的な研究職を2つ取り上げて、仕事内容や向いている方の特徴を紹介します。

具体的な研究職①:化学系研究開発職

化学系研究開発職とは、日常生活で使用される化学製品の研究・開発をする職種です。

具体的にはプラスチックやゴム、繊維、化粧品、医療品などが研究の対象です。

化学系研究開発職の仕事は日常生活と密接しており、研究に対するやりがいを感じる機会の多い職種といえます。

化学系研究開発職に向いている方は、地道に取り組める方と細部まで追求できる方です。

研究開発職は一見すると花形の職種にみえますが、実際には地味な作業の繰り返しです。インプットのデータを僅かに変えて実験するなど、細部にこだわり研究をおこないます。地味な作業を丁寧に繰り返した結果が研究成果につながるため、コツコツ取り組める方が向いています。

具体的な研究職②:IT研究開発職

IT研究開発職とは、IT分野の技術を開発する職種です。

製品ではなく、製品を支える技術を研究・開発して新しい発想や可能性につなげる職種になります。

IT研究開発職の対象は、5Gを超える高速通信技術やAI開発、自動運転技術など幅広い分野が対象です。

IT研究開発職に向いている方は、先端技術への好奇心と粘り強さを持つ方です。

新しい技術への興味・関心が新たな可能性につながるため、最新技術を追求するメンタリティは重要になります。

また最新技術の開発は必ずしも順調に進むわけではないため、地道に取り組める粘り強さも必要な素養です。

研究職の種類

研究職には「基礎研究」と「応用研究」の2種類があり、以下がそれぞれの研究内容です。

・基礎研究:新規物質や原理を発見する研究
・応用研究:基礎研究で得られた知識を活用し実用化する研究

以下の項目で詳しくみていきましょう。

基礎研究

基礎研究とは、新しい物質や原理を発見すべく仮説や理論を形成して行う研究のことです。

企業では、5〜10年後など将来的に流行るであろう先進的技術をいち早く見つけ、新たなビジネスを生み出す目的で基礎研究がおこなわれます。
研究開始時は、研究成果の活かし方や用途を特に指定せず研究がおこなわれ、大学やその他の研究機関で実施されるケースも多い研究です。

具体的には以下のような研究が挙げられます。

アルコールが脳に与える影響を解明する研究
ストレスが脳に与える影響を明らかにする研究
糖尿病の発生因子を特定する研究

基礎研究を通じて得られた研究成果は、応用研究で活用されます。

応用研究

応用研究は、基礎研究によって得られた知識を活用し、目的を定めて実用化ができるか確かめる研究のことです。
また、すでに実用化されている技術を活用し新たな付加価値を模索する研究も応用研究でおこなわれます。

応用研究では基礎研究で得られた成果の活用や既存製品のアップグレードを中心とし、実際に商品やサービスを世に送り出すことが目的です。
市場のニーズに合う商品やサービスが何かを考えながら研究を行います。

研究職と開発職との違い

研究職と開発職の違いとして以下の違いがあります。

・研究職:0から1を生み出す
・開発職:1を10にできるよう付加価値を生み出す

上記のように、研究職は新しい概念や手法を生み出すのに対し、開発職はすでにある概念に付加価値を加えて商品化を目指します。
例えば、研究職が「肌を潤す新成分」を発見したら、その成分を取り入れた商品を開発するのが開発職です。
商品にもさまざまな形があり、上記では化粧品として売り出す方法や医薬品として商品化する方法もあります。

研究職のやりがいや魅力とは?

研究職のやりがいや魅力は以下の3点にあると言えるでしょう。

・製品開発など新しい価値を創造できる
・研究者としてのスキルを磨ける
・社会課題の解決に貢献できる

研究職は成果を求められるプレッシャーもありますが、達成できた時の喜びは非常に大きいです。

製品開発など新しい価値を創造できる

研究職のやりがいは、製品開発など新しい価値を創造できる点にあります。

研究によって新しい価値を生み出すには数年単位の時間がかかることも珍しくなく、根気強さが求められるでしょう。
自らの研究で新しい製品を生み出し、人々の生活の豊かさに貢献できた時の喜びは何事にも変え難いものです。

このように新しい価値を生み出し、社会生活の豊かさに貢献できる点が研究職のやりがいや魅力と言えます。

研究者としてのスキルを磨ける

研究者としてのスキルを磨ける点も研究職の魅力です。

研究職に限った話ではありませんが、自分のできる範囲内のことばかりでは大きな成長や達成感を望めません。
一方現状よりも高いレベルの業務をこなせれば、成長や達成感も大きく得られるでしょう。
研究職は新しい概念や価値を生み出す高いレベルの研究を求められ、研究を続けていけばその分野での高いスキルを自然と高められます。

企業によっては社内外での研修も充実しており、研究者として自分を高める機会も多く得られるでしょう。

社会課題の解決に貢献できる

企業の研究職は社会課題の解決に貢献できる機会も多くあります。

企業が行う業務はビジネスとして収益をあげるものもあれば、国や行政機関と協力して環境問題などの社会課題解決を目的とした業務もあります。
こうした業務に研究職として関われば、自分の生み出した技術が社会課題の解決につながる可能性もあるでしょう。

社会課題の解決に貢献することで、その功績から研究者として多くの賞賛を得られる可能性もあります。

こうした社会課題をクリアすることで達成感や対価を得られるのも、研究職の魅力です。

研究職がつらいとされる理由

研究職を目指してさまざまな情報を集めていると、研究職がつらいとの口コミを目にした方もいるでしょう。

得意もしくは好きな研究を仕事にできることが、なぜつらいのか想像がつきにくい部分ではあります。

研究職がつらいといわれる大きな理由は、成果主義にあります。

企業での研究は利益につながることが当たり前で、成果を出せなければ厳しい立場に追い込まれることも珍しくありません。

研究職から外される、他部門・他部署へ異動になることもあります。

また成果は一度限りではなく、継続して出すことを求められるため、常にプレッシャーがかかった状態で生活を送ることになります。

精神的な重圧が続くため、研究職がつらいと感じる方が増えるのも頷ける状況です。

研究職に向いている人の特徴

本人の好き嫌いとは別に物事には向き不向きがあり、向いている仕事なのかを見極めることは重要です。

仮に研究職に向いていない方が職に就いてしまうと、当人も会社も不幸な結果となるのは明白です。

以下の特徴を持つ方は研究職に向いているため、研究職を目指すとよいでしょう。

・粘り強く取り組める方
・失敗から学び成長につなげられる方
・周囲と協力関係を構築できるコミュニケーション力を持つ方

特に失敗から学び、成長につなげる力は研究職では重要な素養です。

研究は成功ばかりでなく、失敗が続くケースも珍しくないため、失敗から学ぶ能力は重要になります。

研究職の就職事情や選考対策

研究職の厳しさを知りつつも、研究が好きな方は研究職を志すでしょう。

本章では研究職の就職事情や選考対策を解説します。

求人数や条件から難易度は高い

理系学生の多くが研究職の道を目指しますが、研究職に就くのは決して簡単ではありません。

以下の2点が、研究職への道を厳しいものにしています。

求人数限られた企業・研究からしか求人が出ない求人数自体が非常に少ない同時に毎年、募集が出るとは限らない
採用条件大学院卒が前提となっているケースがほとんどであり、英語力も必須特定分野の論文や学会発表の実績が必要

求人数や採用条件の厳しさから、研究職に就く難易度は非常に高いです。

研究職の年収事情

高い知識と豊富な経験が求められる研究職がどれくらいの年収となるかは、理系学生であれば気になるところでしょう。

厚生労働省が発表した令和5年のデータによると、研究職の年収は約740万円となっています。

一般的な平均年収が400万円前後とされていることを考えると、高額な年収です。

参考:厚生労働省 令和5年賃金構造基本統計調査

選考対策:研究職のインターンシップには必ず参加する

インターンシップといってもさまざまなタイプがありますが、志望する企業のインターンシップが開催される場合には必ず参加しましょう。

インターンシップに参加した方がよい理由は、以下の2つになります。

  • ・実際の業務に近い体験ができることから、仕事のイメージや職場の雰囲気が掴める
  • ・実務型インターンシップでは選考に大きな影響を与える

インターンシップに参加すると企業への理解が深まるため、より納得感のある志望動機が作りやすくなります。

企業の合う・合わないもインターンシップに参加すれば明確になる可能性があるため、有効的な機会です。

選考対策:自己分析・企業研究を深掘りする

研究職は求人が少ないうえに、多くの志望者が集まるため、非常に狭き道となっています。

選考を突破する可能性を上げるためには、より深掘りした志望動機が必要です。

より一歩踏み込んだ志望動機を作り出すために、自己分析や企業分析を徹底的におこないましょう。

具体的には以下の点に対して、以下の分析を繰り返して深掘りします。

・企業のどこに魅力を感じたのか
・入社後に何がしたいのか、またなぜしたいのか

自己分析と企業分析の深掘りは難しく、答えが出ないケースも珍しくありません。

答えが出ない場合には時間をおくと、すんなりと答えが出るケースがあるため、時間をかけて取り組みましょう。

研究職の志望動機の例文

私が貴社を志望する理由は、ITの力で生活を豊かにする目標が叶えられるためです。

私は大学で半導体の研究をしており、より発展した端末・より高速な通信を実現させたいと考えております。

私が半導体の研究に打ち込むきっかけとなったのは家族の存在です。

私には離れて暮らす家族がおり、両親は私をいつも心配しています。

ITの力でより身近に家族を感じるような仕組みはできないのかと考えたのがきっかけで、半導体の研究に乗り出すようになりました。

もちろんスマートフォンのビデオ通話があるおかげで、少しは心配を軽減できていますが、私の中では十分とはいえません。

よりリアリティのある触れ合いを実現できる可能性はないかと探している際に、御社で研究中のシステムに出会い、衝撃を受けました。

御社で研究中のシステムが完成すれば、まるで目の前で話をしているような感覚を実現できるようになります。

御社に入社後は私の研究成果を生かして、よりシステムを安定させ、ITの力で生活を豊かにする目標を実現したいと考えております。

研究職の志望動機で盛り込むべき要素

志望動機は基本的には書式が自由であるため、何を志望動機に盛り込めばよいのか分からない方も多いでしょう。

研究職を志望する場合には、以下の要素を盛り込みましょう。

・おこなってきた研究内容:現在の研究・今までの研究内容を伝える
・企業に興味を示した理由:自身の研究と絡めて興味を示した理由を伝える
・入社後の展望:現在の研究を生かした将来像を伝える

おこなってきた研究内容を、企業に興味を示した理由と入社後のキャリア像に絡めるかが志望動機のカギとなります。

志望動機をいきなり作る前に、自身の研究の“棚卸し”をおこない、研究の目的や具体的に何をしているかを改めて確認しましょう。

研究職のキャリアパス・進路

ここでは研究職の主なキャリアパス・進路として以下の5つを紹介します。

・研究職のエキスパート
・マネジメント職
・転職
・大学などのアカデミア
・起業

研究職としてのキャリアも考慮に入れ、人生設計の参考にしましょう。

研究職のエキスパート

就職した企業で研究者としての知識やノウハウを蓄積し、研究職のエキスパートとなる道があります。

自分が携わる領域の専門的な知識やノウハウを得られるため、長く研究職として研究を続ければその分野では変えのきかない存在となれるでしょう。

自分が携わる領域に魅力を感じている方は、エキスパートになる道を選ぶのがおすすめです。

マネジメント職

研究部門を管理するマネジメント職につく選択肢もあります。

チーム内の研究員が円滑に業務を行えるよう、環境を作り上げていくことやプロジェクトの管理能力が求められる職種です。
マネジメント職では、自らの研究業務よりも予算管理や経営企画など部門全体の管理業務が増えていきます。

会社経営にも関わるため、重要なポジションと言えるでしょう。

転職

自身のスキルを活かして他企業の研究部門や研究機関に転職する道もあります。

研究者としてのスキルを他企業の研究部門で活かすケースもあれば、全く別の職種に転職する場合もあるでしょう。
医療系メーカーでは、研究者としての経験を活かし大学や病院との交渉を行う職種につくケースもあります。

研究者で培った専門的な知見を活かし、コンサルティングファームに転職するケースも見受けられます。

大学などのアカデミア

企業の研究職から大学の教授などアカデミアに進むのも選択肢の1つと言えるでしょう。

基本的に大学教授になるには博士号の取得が必須ですが、特別に高い研究実績があれば博士号を取得しなくても教授になれるパターンもあります。

また、企業の研究職と大学の教職を併任するケースもあり、多彩なキャリアがのぞめるのが特徴です。

起業

研究職の専門的なスキルを活かして、起業する道もあります。

研究職で学んだ専門的な知見を活かした商品やサービスを自分で立ち上げられれば、他の企業が真似しにくい独自性があるため、他企業との競争でも優位に立てるでしょう。

研究職への就職方法

研究職の就職事情やキャリアパスをおさらいしましたが、最後は研究職に就く方法を確認します。

研究職に就く方法としては、以下2つの方法があります。

推薦応募大学や教授から推薦を受けて、研究職へ応募する方法。選考の通過率は高いとされているが辞退はできないため、注意が必要。
一般応募求人サイトや研究所のホームページから募集を探して応募する方法。求人の数が少なく、応募数も多いため、選考の通過率は低い。

これだけは知っておきたいポイント(まとめ)

研究職には所属する企業や研究機関によって業務内容も大きく異なります。

長い期間の積み重ねが求められる職種ですが、研究成果で人々の豊かな暮らしや社会課題の解決に貢献できるなどやりがいも大きい職種です。

研究職を目指す際は、応募する企業でどのような業務を行っているか事前にホームページなどでチェックしておきましょう。
研究職向けのインターンに参加するのもおすすめです。

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