研究者として将来像を考えた場合、民間や公的機関の研究者などさまざまな選択肢が思い浮かぶでしょう。

身近な存在である大学教員も、現在の知識・経験をダイレクトに生かせるため、選択肢に入れている方は少なくありません。

一方で将来設計を考えた場合には、そうした強みを存分に活かせるという理由だけで職種を決めるのは難しい部分があります。

現実的な話として、雇用の安定性・年収の多寡などを考慮して決める必要があるためです。

大学教員の平均年収は、教授で約1,082万円、准教授で約876万円、講師・助教で約712万円です。ただし、同じ大学教員でも、職位・年代・勤務先の組織の規模・任期の有無によって年収は大きく変わります。

本記事では、大学教員の職位別の年収に加えて、准教授・講師・助教の年代別の年収、公的統計に平均年収が載らない助手や非常勤講師の扱い、任期・雇用形態の違い、国公私立や大学規模による違いまで解説します。大学教員を目指すべきか迷っている理系学生の方は、将来設計の参考にしてください。

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大学教員の平均年収

大学教員の平均年収

どのような仕事をするのかも重要ですが、生活があるため、年収は働くうえで切っても切れない要素です。大学教員の年収は、教授・准教授・講師・助教・助手といった職位によって大きく異なります。本章では、職位ごとの平均年収を整理し、あわせて大学院進学にかかる費用や将来設計を考える際のポイントも紹介します。

結論から言うと、令和7年賃金構造基本統計調査の第1表では、大学教授が約1,082万円、大学准教授が約876万円、大学講師・助教が約712万円です。一方で、助手と非常勤講師はこの調査に職種の区分がなく、平均年収が公表されていません。まずは職位ごとの数値を1枚の表で確認しましょう。

【大学教員の職位別年収表】

職位平均年齢勤続年数月額給与年間賞与推計年収労働者数
大学教授(高専含む)57.5歳16.0年667.8千円2,812.8千円約1,082.6万円69,370人
大学准教授(高専含む)49.3歳11.2年555.9千円2,093.5千円約876.4万円41,450人
大学講師・助教(高専含む)41.6歳7.0年488.9千円1,255.0千円約712.2万円58,690人
助手公的な平均年収は公表されていない(職種区分なし)
非常勤講師(兼務者)本調査の対象外

参考:令和7年賃金構造基本統計調査

※本章では各ポストの平均年収を、令和7年賃金構造基本統計調査のデータを基に紹介します。各ポストの「きまって支給する現金給与額」×12 + 「年間賞与その他特別給与額」で一般的な「額面年収(総支給額)」の概算を算出しました。

教授:平均年収 約1,082万円

大学教員で最も地位の高い教授の平均年収は、約1,082万円となっています。

国税庁の令和6年分民間給与実態統計調査によると、令和6年の日本人給与所得者の平均年収は、478万円です。大学教授の1,082万円という年収は一般的な給与所得者の平均を大きく上回ります。

反面、研究・学生の指導・大学運営など仕事が多岐にわたるため、大学教授は多忙なポストです。

ただし、教授の年収は年代や勤務先の大学によって幅があります。年代別の推移や大学ごとの水準は、大学教授の年収の記事で詳しく解説しています。

准教授:平均年収 約876万円

教授に次ぐポストである准教授の平均年収は、約876万円になります。

准教授の平均年収でも一般的な平均年収を上回りますが、さらに良い条件で働きたいと考える場合には、教授のポストを目指すとよいでしょう。

准教授の年収の内訳やなり方は、准教授の年収の記事で詳しく解説しています。

講師・助教:平均年収 約712万円

講師や助教は、教授を目指すキャリアの過程にあり、平均年収は約712万円です。一般的な会社員の平均(478万円)と比べると、十分に高い水準と言えます。

しかし、講師や助教は、年齢によって実際の年収に幅があります。令和7年賃金構造基本統計調査の第5表で大学講師・助教を年齢階級別に見ると、25〜29歳が約505.8万円、30〜34歳が約636.5万円、40〜44歳が約748.2万円、45〜49歳が約794.7万円です。

なお、この調査では講師と助教が「大学講師・助教」として合算で集計されています。そのため、講師だけ・助教だけの平均年収は公表されていません

また、仕事内容にも違いがあります。学校教育法第92条では、助教は「学生を教授し、その研究を指導し、又は研究に従事する」職と定められています。補助的な業務を担う職として規定されているのは助教ではなく助手であり、講師は「教授又は准教授に準ずる職務に従事する」職とされています。

助教の具体的な仕事内容やキャリアの進み方は、大学助教の仕事とキャリアパスの記事で解説しています。

このように、講師と助教はステップアップの途上であり、実力や経験が年収に反映されやすいポストです。

若手から中堅へと成長する段階のため年収の幅は広いですが、努力次第で着実に上を目指せる夢のあるポジションと言えます。

大学助手の平均年収は公的統計では公表されていない

結論から言うと、大学助手の平均年収は、公的な統計では公表されていません。令和7年賃金構造基本統計調査の職種区分には「大学教授」「大学准教授」「大学講師・助教」はありますが、「大学助手」という区分が設けられていないためです。

同じ調査には「その他の教員」という区分もあります。ただしこれは小学校・中学校・高等学校以外のさまざまな教員が混ざった区分であり、助手の年収の代わりとして読むことはできません。

なお、学校教員統計調査では職名別の給料月額(本俸)の平均が公表されています。ただしこれは賞与や諸手当を含まない月額であり、年収ではありません。賞与や手当を含めた助手の年収の公的な平均値は見当たらない、というのが現状です。

一次情報から言えるのは、次の2点です。

  • 学校教育法第92条では、助手は「所属する組織における教育研究の円滑な実施に必要な業務に従事する」職と定められている(学生を教授し、その研究を指導する職務は規定されていない)
  • 令和7年度学校基本調査によると、大学の本務教員のうち助手は6,078人(国立613人・公立401人・私立5,064人)で、8割以上が私立大学に所属している

参考:e-Gov法令検索 学校教育法令和7年度学校基本調査 第25表(職名別 教員数)

非常勤講師の年収は平均値に含まれない

本記事で紹介している平均年収は、いずれも常勤(本務)で働く大学教員の数値です。非常勤講師のように、他の勤務先を本務とする教員はこの平均に含まれていません

令和7年度学校基本調査によると、大学の本務教員は192,823人、兼務者は200,362人です。本務教員に対する兼務者の比率は全体で1.04倍、国立0.63倍、公立1.13倍、私立1.26倍で、私立大学ほど非常勤に支えられている構造が見えます。

なお、非常勤講師の平均年収やコマ単価については、本記事で参照した公的統計では確認できませんでした。そのため、推定値は掲載していません。

参考:令和7年度学校基本調査 第25表(職名別 教員数)

大学教員の年代別の年収【准教授・講師・助教】

職位別の平均年収は、その職位の平均年齢を含んだ数字です。そのため、年代で区切ると見え方が変わります。ここでは、准教授と講師・助教の年代別の年収を、令和7年賃金構造基本統計調査の第5表から確認します。

なお、教授の年代別の推移は、大学教授の年代別の年収の記事で詳しく解説しています。

講師・助教の年収は30歳前後で約636万円

大学講師・助教の推計年収は、30〜34歳で約636.5万円、35〜39歳で約704.8万円です。年収700万円台に届くのは35歳前後で、その後は50〜54歳の約806.2万円がピークになります。

年齢階級推計年収労働者数
19歳以下データなし
20〜24歳約284.5万円110人
25〜29歳約505.8万円3,480人
30〜34歳約636.5万円10,160人
35〜39歳約704.8万円14,480人
40〜44歳約748.2万円12,150人
45〜49歳約794.7万円8,700人
50〜54歳約806.2万円(ピーク)4,330人
55〜59歳約756.7万円3,220人
60〜64歳約694.4万円1,680人
65〜69歳約643.3万円360人
70歳〜約433.5万円30人

20代のうちは500万円前後ですが、30代に入ると600万円台へ、40代後半には800万円近くまで上がります。平均で見ると、講師・助教の年収が1,000万円台に届く年齢階級はありません

参考:厚生労働省 令和7年賃金構造基本統計調査 第5表(職種(小分類)、年齢階級別)

准教授の年収は50代前半の約922万円がピーク

大学准教授の推計年収は、30〜34歳で約693.6万円、35〜39歳で約813.9万円と上がり、50〜54歳の約922.0万円がピークです。講師・助教と同じく50代前半で頭打ちになる点が共通しています。

年齢階級推計年収労働者数
24歳以下データなし
25〜29歳約622.5万円(参考値)10人
30〜34歳約693.6万円770人
35〜39歳約813.9万円4,180人
40〜44歳約854.8万円7,420人
45〜49歳約905.0万円11,560人
50〜54歳約922.0万円(ピーク)8,190人
55〜59歳約891.4万円4,630人
60〜64歳約860.0万円3,730人
65〜69歳約741.0万円850人
70歳〜約604.6万円120人

なお、25〜29歳は労働者数が10人と極端に少ない区分です。参考値として掲載していますが、この年代の准教授の年収として一般化できる数値ではありません。准教授の人数が増えるのは35歳以降であり、准教授への昇任は30代後半以降が中心と読み取れます。

参考:厚生労働省 令和7年賃金構造基本統計調査 第5表(職種(小分類)、年齢階級別)

国公私立・大学規模で大学教員の年収はどう変わる?

大学教員の年収傾向について

大学教員の年収は、職位だけでなく、勤務先の組織の規模によっても変わります。国公私立の違いについては、公表されている統計の性質から慎重に見る必要があります。

大学教員の平均年収が全職種の平均を上回る背景には、博士号など高度な専門性が前提となる職であることがあります。教授職に絞ってさらに詳しい背景を知りたい方は、大学教授の年収が高い理由の記事を参考にしてください。

国立・公立・私立で大学教員の年収はどう違う?

結論から言うと、国立・公立・私立を横並びで比較できる公的な平均年収は存在しません。賃金構造基本統計調査には設置形態の区分がなく、設置形態別の年収を直接比べる方法がないためです。

ただし、大学教員全体の平均給料月額(本俸)で見ると、3つの設置形態にほとんど差はありません。学校教員統計調査(令和7年度中間報告)の第33表によると、大学教員の平均給料月額は次のとおりです。

設置者平均給料月額本務教員数
大学 計472,700円190,359人
国立471,900円65,531人
公立474,200円13,287人
私立473,000円111,541人

この給料月額は、令和7年9月分の給料(本俸)の額です。諸手当および調整額は含まれず、賞与も含まれないため、12倍しても年収にはなりません。そのうえで見ると3設置形態の差は最大2,300円にとどまり、本俸の月額に関するかぎり「私立が高い」とは言えない水準です。

参考:学校教員統計調査 令和7年度(中間報告) 第33表(給料月額別 本務教員数)

次に、給与の公表のされ方が設置形態で異なる点も押さえておきましょう。国立大学法人は独立行政法人通則法に基づき、職位別の平均年間給与を毎年度公表する義務があり、文部科学省が全法人分をまとめて公表しています。一方で、私立大学を運営する学校法人には同じ公表義務がありません。

国立大学の教員の給与だけが大学ごとに調べられるのは、この制度の違いによるものです。「私立が高い」という情報が一次情報で確かめにくいのも、同じ理由によります。

参考:文部科学省 所管独立行政法人・国立大学法人等の役員の報酬等及び職員の給与の水準(令和6年度)

さらに、設置形態によって職位の構成比が違う点にも注意が必要です。令和7年度学校基本調査で、学長・副学長を含む本務教員の合計を分母に構成比を出すと、以下のようになります。

設置形態教授准教授講師助教助手
国立32.8%26.7%8.9%29.7%1.0%
公立34.1%27.7%13.4%20.1%2.7%
私立39.9%20.2%13.9%20.1%4.4%
全体37.1%22.9%12.2%23.3%3.2%

私立は教授の割合が39.9%と高く、国立は助教の割合が29.7%と高いことがわかります。つまり、設置形態ごとに平均年収を比べようとすると、この職位構成の違いが混ざってしまいます。設置形態の差に見えるものが、実際には職位構成の差である可能性を踏まえて読む必要があります。

参考:令和7年度学校基本調査 第25表(職名別 教員数)

大学の規模による年収差は職位が上がるほど大きくなる

勤務先の規模による年収差は、職位が上がるほど大きくなります令和7年賃金構造基本統計調査の第1表では勤務先の常用労働者数の規模ごとに賃金が集計されており、3つの職位を並べると、最大と最小の差は教授が約325.4万円、准教授が約242.0万円、講師・助教が約194.0万円でした。

職位計(10人以上)1,000人以上100〜999人10〜99人最大差
大学教授約1,082.6万円約1,144.8万円約981.7万円約819.4万円約325.4万円
大学准教授約876.4万円約925.4万円約800.4万円約683.5万円約242.0万円
大学講師・助教約712.2万円約744.5万円約625.6万円約550.6万円約194.0万円

以上のことから、法人規模の大きな大学では給与水準も高くなる傾向があります。

ここでいう「規模」は学生数ではなく、勤務先の大学法人に所属する常用労働者数による区分です。そのため、教員だけでなく事務職員や附属病院職員などを含めた組織全体の規模を表しています。

なお、ここでいう企業規模は大学の設置形態や偏差値とは別の指標です。

参考:令和7年賃金構造基本統計調査|厚生労働省

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大学教員の職位・任期・雇用形態の違い

職位によって年収が違う理由は、専門性の高さだけではありません。法律で定められた職務の内容も、実際の人数も、雇用の安定性も職位ごとに異なります。ここでは、年収の背景にある職位ごとの違いを、条文と統計から確認します。

学校教育法が定める職位ごとの職務の違い

大学の職位は、学校教育法第92条で職務の内容が定められています。教授・准教授・講師・助教・助手の違いは、次のとおりです。

職位学校教育法第92条が定める内容
教授専攻分野について、教育上、研究上または実務上の「特に優れた」知識・能力・実績を有する者が就き、学生を教授し、その研究を指導し、又は研究に従事する
准教授専攻分野について、教育上、研究上または実務上の「優れた」知識・能力・実績を有する者が就き、職務の内容は教授と同様に規定されている
講師教授又は准教授に準ずる職務に従事する
助教専攻分野について、教育上、研究上または実務上の知識および能力を有する者が就き、学生を教授し、その研究を指導し、又は研究に従事する
助手所属する組織における教育研究の円滑な実施に必要な業務に従事する

助教と助手は名称が似ていますが、条文上の職務はまったく違います。助教は自分で学生を教授し研究を指導する職であるのに対し、助手は教育研究を円滑に進めるための業務を担う職として規定されています。なお、かつての「助教授」は2007年の学校教育法改正で「准教授」に改称された職であり、現在の助教とは別の職位です。

また、同条第1項では学長・教授・准教授・助教・助手を置かなければならないと定められている一方、講師は第2項の「置くことができる」職とされています。そのため、講師を置くかどうかは大学ごとの判断に委ねられています。

参考:e-Gov法令検索 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)

教授は本務教員の37.1%【職位別の教員数】

令和7年度学校基本調査によると、大学の本務教員は192,823人で、そのうち教授は71,496人です。学長790人と副学長1,737人を含む本務教員の合計を分母にすると、教授は37.1%にあたります。

職名本務教員数構成比
教授71,496人37.1%
准教授44,212人22.9%
講師23,607人12.2%
助教44,903人23.3%
助手6,078人3.2%

構成比の分母は、学長・副学長を含む本務教員の合計192,823人です。教授が最も多い一方で、助教も44,903人とほぼ同数であり、助手は6,078人と全体の3.2%にとどまります。助手は、学校教育法が定める5つの職位のなかで最も人数が少ないポストです。

参考:令和7年度学校基本調査 第25表(職名別 教員数)

助教は64.6%が任期あり・教授は17.2%

職位が上がるほど、任期のある雇用の割合は下がります。文部科学省の資料によると、2019年度(令和元年)時点で助教の64.6%に任期があり、教授は17.2%でした。

職位人数(時点)平均年齢任期あり任期なし
ポストドクター15,589人(平成30年)37.5歳100%0%
助教41,110人(令和元年)39.1歳64.6%35.4%
准教授44,103人(令和元年)48.3歳25.7%74.3%
教授70,621人(令和元年)58.2歳17.2%82.8%

任期の長さは「5年以上6年未満」が28.9%、「1年」が21.7%と幅があります(18の研究大学・令和元年度・計14,456人)。契約できる最長の期間は「10年以上」が最も多く、5年以上が8割を占めます。

助教の年収が教授や准教授より低いのは、平均年齢が若いことに加えて、任期付きのポストが多いという雇用の構造も背景にあると考えられます。年収の額だけでなく、任期の有無まで含めて職位を比べることが大切です。

参考:文部科学省 科学技術・学術審議会 人材委員会 研究者・教員等の流動性・安定性に関するワーキング・グループ(第1回)資料2

大学教員の任期は法律で「10年」の特例がある

大学教員の任期には、専用の法律があります。大学の教員等の任期に関する法律では、教授・准教授・助教・講師・助手が「教員」として定められており、任期を定められる場合の1つとして、助教の職が名指しで挙げられています

さらに、任期付きの労働契約を結んだ教員には、無期雇用への転換を申し込めるようになる年数が、労働契約法の5年ではなく10年に読み替えられる特例があります。

ただし、適用される範囲には注意が必要です。任期を定められる場合を列挙した規定はもともと公立大学の教員の任用に関する条文で、国立大学法人・公立大学法人・学校法人(私立)には、これを引用する別の条文を通じて適用されます。10年の特例の対象も、これらの法人と労働契約を結んだ教員であり、公立大学で地方公務員として勤務する教員に直接かかるものではありません。

参考:e-Gov法令検索 大学の教員等の任期に関する法律(平成九年法律第八十二号)

任期付きのポストの代表例が特任教授です。どのような立場で、通常の教授と何が違うのかは次の記事で解説しています。

大学教員になるには

大学教員になるには

自身の専門性を極めたいと考える方にとって、大学教員は理想的な職種です。本章では大学教員になりたい方に向けて、大学教員になる方法を解説します。

博士号取得後に研究員として働き始める

大学教員である助手・助教のポストを目指すには、博士号を取得後に研究員として研究を続ける必要があります。

研究の実績を認めてもらう必要があるため、教授や准教授に指導を仰ぎつつ、成果を出すようにしましょう。

博士課程で得られる専門性やその後の進路は、博士課程に進むメリットの記事で詳しく紹介しています。

公募へ応募する

当人の研究実績や意欲などは大学教員に欠かせませんが、前提としてポストが空いていなければ就けません。

ポストに空きがない場合には、他大学の公募に応募しましょう。

各大学ではポストに空きが出た場合、公募を行うケースがあります。

公募の競争率は高くなりますが、まずはアンテナを広く張り、公募がないかを常に確認しましょう。

客員教授として大学からのオファーを受ける

大学教員のポストは上がれば上がるほど、“イス”の数は減っていきます。

そのため、大学教授のポストがなかなか空かないケースも少なくありません。

大学教授を目指す場合、自身でポストに応募する方法もありますが、大学からオファーを受けて教授になる場合もあります。

大学では優れた研究実績・専門分野のスペシャリストに対して、客員教授という形でオファーをするケースがあります。

客員教授は期限付きのケースがほとんどですが、大学教授の経験を積むことが可能です。

一方で、客員教授は優れた研究実績が前提のため、教授を目指す過程と同じように研究成果を追求する必要があります。

客員教授と教授・特任教授の違いは、客員教授になるにはの記事で解説しています。

大学教員の仕事内容

大学教員の仕事内容

大学教員の仕事は、講義を行うだけではありません。学生への教育や専門分野の研究、大学組織の運営を同時に担う点が特徴です。

特に理系分野では、授業や学生指導に加えて、実験・論文執筆・学会発表・研究費申請なども日常的な業務に含まれます。それぞれの具体的な業務内容について、詳しく見ていきましょう。

①学生への講義や指導

大学教員のメインとなる業務の一つが、学生に対する教育活動です。自身の専門知識を活かして、質の高い講義やゼミナールを行います。

日々の講義に加えて、試験作成・採点・レポート評価・ゼミ運営なども大学教員の重要な仕事です。理系の場合は卒業研究や修士・博士論文の指導に加え、実験計画の立て方やデータの読み取り方、論文としてまとめる力まで指導する場面もあります。進路や就職に関する相談に乗り、学生の人生をサポートすることも教員の重要な役割です。

②専門分野における研究

大学教員は教育者であると同時に、自身の専門領域を追究する「研究者」でもあります。この研究活動こそが、大学教員の中心的な業務です。

論文の執筆や学会での発表を通じて、新しい知見を世界に発信します。日々の実験や文献調査、フィールドワークなど、その地道な取り組みが社会の発展に貢献するのです。

また、研究を続けるには、科研費や企業との共同研究費などの外部資金を獲得する力も求められます。研究テーマの意義、社会への応用可能性、実現性を申請書で示す必要があるため、研究力だけでなく、研究の価値をわかりやすく伝える力も重要です。

③大学運営への参加

意外と知られていませんが、大学という組織を円滑に動かすための「学内業務」も教員の義務です。

具体的には、学部や全学の基本方針を決める教授会への出席が挙げられます。さらに、入試問題の作成や当日の試験監督、オープンキャンパスの企画運営も欠かせません。その他、学内のハラスメント対策や国際交流など、さまざまな委員会活動に所属して大学の管理・運営を支えています。

大学教員は学生を育てる「教育」、真理を探求する「研究」、組織を支える「大学運営」の3つをバランスよくこなしています。

大学教員の働き方・キャリアパス

大学教員の働き方・キャリアパス

大学教員の働き方やキャリアパスは、一般企業の研究職とは大きく異なります。研究テーマの自由度が高い一方で、任期付きポストや公募競争、論文実績の積み上げなど大学教員ならではの厳しさもあります。企業研究職と迷っている理系学生は年収だけでなく、研究の自由度・雇用の安定性・キャリア形成の違いを比較することが大切です。

ここでは、大学教員の働き方やワークライフバランス、教授になるまでのキャリアパスを解説します。年収だけでなく、任期付きポストや研究実績の積み上げ方も確認しておきましょう。

ワークライフバランスについて

大学教員の多くは「裁量労働制」で働いており、時間の使い方の自由度が非常に高いのが特徴です。

講義や会議の時間さえ守れば、いつ研究室に来て、いつ帰るかは個人の裁量に委ねられます。そのため、平日の昼間に用事を済ませたり、子供の送迎に合わせたりといった柔軟な調整が可能です。

一方で、研究や論文執筆には終わりがありません。土日や夜間に自宅で仕事をするケースも多く、オンとオフの境界線が曖昧になりがちです。自己管理能力が強く求められる働き方と言えます。

キャリアパスについて

一般的なキャリアパスは、大学院修了後にポスドクや任期付き助教として研究実績を積み、助教・講師・准教授・教授へと進む流れです。ただし、全員が順調に昇進できるわけではなく、公募のタイミング、論文数、研究テーマの需要、外部資金の獲得実績などが影響します。

多くの場合、まずは任期付きの助教として採用され、数年ごとに成果を評価されます。昇進するためには、教えた実績だけでなく、執筆した論文の数や研究の成果が何より重要です。

近年では、企業や官公庁で研究開発・技術開発・専門業務の実績を積んだ後、大学教員を目指す「実務家教員」という選択肢もあります。理系学生の場合、最初から大学教員だけに絞るのではなく、企業研究職や公的研究機関で経験を積み、その後に教育・研究の道へ進むキャリアも考えられます。

参考:研究者のライフステージについて|中央教育審議会

キャリアの起点となるポスドクについては、次の記事で仕事内容や進路を解説しています。

大学教員の年収に関するよくある質問

ここでは、大学教員の年収について検索されることの多い質問に、公的統計をもとに回答します。

大学教員の30歳の年収はいくらですか?

令和7年賃金構造基本統計調査によると、30〜34歳の推計年収は大学講師・助教が約636.5万円、大学准教授が約693.6万円です。30歳前後の大学教員は助教や講師であることが多いため、目安は約636万円と考えるとよいでしょう。

大学教員で年収700万円になるのは何歳ごろですか?

職位によって到達する年齢が違います。大学講師・助教は35〜39歳で約704.8万円となり、この年代で700万円台に届きます。大学准教授は30〜34歳で約693.6万円、35〜39歳で約813.9万円のため、30代半ばには700万円を超える計算です。同じ年齢でも、どの職位に就いているかで年収が変わります。

大学教員の年収は低いですか?

金額だけを見れば低くはありません。教授・准教授・講師・助教のいずれの平均年収も、国税庁の令和6年分民間給与実態統計調査による給与所得者の平均478万円を上回っています。

ただし、助教は2019年度時点で64.6%に任期があり、雇用の安定性という点では職位による差が大きい状況です。年収の額と雇用の安定性は分けて見ることをおすすめします。

大学教員と大学職員では年収に違いがありますか?

賃金構造基本統計調査には「大学職員」という職種の区分がないため、本記事で参照した公的統計では大学職員の平均年収を確認できませんでした。大学教員は学校教育法第92条で職務が定められた職であり、大学の運営や事務を担う職員とは別の職です。比較する場合は、参照できる統計の範囲が異なる点を踏まえて判断しましょう。

まとめ

本記事では、大学教員の年収や仕事内容、働き方、キャリアパスについて解説しました。また、大学教員になるための方法や求められる条件についても紹介しています。

今回の内容をまとめると、以下のとおりです。

  • ・大学教授の平均年収は約1,082万円、准教授は約876万円、講師・助教は約712万円
  • ・大学助手の平均年収は公的統計では公表されていない
  • ・職位が上がるほど任期のある雇用の割合が下がる(助教64.6%→教授17.2%・2019年度時点)
  • ・大学の規模による年収差は職位が上がるほど大きい(教授 約325万円 ⇔ 講師・助教 約194万円)

大学教員を含む研究の道全体をどう捉えるかは、アカデミアという進路を整理した記事も参考にしてください。

大学教員は、教育と研究の両方に携わりながら、自分の専門分野を深められる職業です。一方で、任期付きポストからキャリアを始めるケースも多く、論文実績・研究費獲得・公募への応募など長期的な準備が欠かせません。大学教員を目指す場合は、企業研究職や公的研究機関と比較しながら、自分に合った研究キャリアを考えましょう。

なお、大学教員や研究職を目指している方は早い段階から研究活動や進学先、就職先について情報収集を進めることが大切です。

TECH OFFERでは、研究内容や専門分野を登録することで、自分の強みを求める企業からスカウトを受け取れます。大学教員を目指す場合でも、企業の研究職・開発職・技術職を知っておくことで、研究経験を活かせる進路の選択肢が広がります。大学に残る道だけでなく、企業で専門性を活かす道も比較できれば、自分に合ったキャリアを判断しやすくなるでしょう。

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