こんにちは。理系就活情報局です。

理系学生にとって、大学院進学は身近な将来の選択肢です。

「もう少し研究をしたいという気持ちで修士課程に進んだけれど、今は博士課程も検討している」
「これまでやってきた研究を、今後も続けていきたい」

今回は、大学院の博士課程に進む道を検討している理系学生に向けて、「博士課程に進みたい!概要と博士号を取得するメリット」を解説します!

就職か進学かで悩んでいる理系学生の方は、ぜひ参考にしてみてください!

博士課程の概要

博士課程の概要

学部で4年間学ぶと、大学院に進学できます。
大学院には、修士課程と博士課程の2つがあります。

日本の博士課程は、以下の2パターンが主流です。

・博士前期課程2年+博士後期課程3年の区分制
・2年間の修士課程修了後、3年間の博士後期課程がある区分制

博士課程まで進むと、学部卒業後5年間にわたって研究に専念できます。

博士課程を修了して博士号を取得するには、大学院の博士課程で単位を取得し、博士論文の審査に合格しなければなりません。

また、大学院に在籍しなくても「論文博士」という博士号を取得する方法もあります。
企業の研究所などで行った研究を博士論文にまとめて審査に合格すると、博士課程を修了した人と同等の学力を認められます。

(参考:中央教育審議会大学院部会「博士課程3年制について」

理系が博士号を取得するメリット

理系が博士号を取得するメリット

理系学生が博士号を取得するメリットは以下3つです。

・学部卒後5年間研究に専念できる
・研究職としてキャリアを積む道が開ける
・深い専門性を身に着けられる

学部卒後5年間研究に専念できる

理系が博士号を取得するメリット1つめは、修士課程・博士課程を通して5年間研究に専念できることです。

学部3年で研究室に配属されて研究を始めて、その魅力を感じた人も多いでしょう。
最初は大学院まで進学するつもりはなかったのに、「もっと研究したい」と進学意欲が湧いてくるのはめずらしいことではありません。

また、就職してしまうと、研究職に就かない限り研究を続けることは難しくなってしまいます。

特に、理系は文系よりも大学院進学率が高いため、周囲に大学院まで進む人が多く、身近なところにキャリアモデルがいることも影響しています。

研究職としてキャリアを積む道が開ける

理系が博士号を取得するメリット2つめは、研究職としてキャリアを積む道が開けることです。

研究をライフワークにしたいと思っている理系学生や、研究職を志す理系学生は、大学や研究機関で研究者としてのキャリアを積むことになります。

研究者をめざすには、博士課程への進学・修了が必須です。
博士論文が高く評価されるなど、在学中に実績を上げられれば、研究者としての可能性は着実に広がっていきます。

深い専門性を身に着けられる

理系が博士号を取得するメリット3つめは、深い専門性を身に着けられることです。

研究によって得た専門性は、アカデミアの世界でも広く活用できるでしょう。。
深い専門性とともに培った論理的思考力や粘り強く1つの物事に取り組むことをはじめとするスキルは、必ずあなたの助けとなってくれます。

研究者としてのキャリアだけでなく、アカデミア以外の場所でも通用する広い視野とスキルを生かせば、もっと広いフィールドで活躍する道もひらけます。

理系が博士号を取得するデメリット

理系が博士号を取得するデメリット

理系学生が博士号を取得するデメリットは以下3つです。

・博士課程に進むには経済的な負担がかかる
・長期間ポスドクを続ける可能性もある
・社会に出る年齢の高さがネックになることも

博士課程に進むには経済的な負担がかかる

理系が博士号を取得するデメリットの1つめは、経済的な負担の大きさです。

国立の大学院であったとしても、20〜30万円程度の入学金に、年間50万円程度の授業料が発生します。それだけでなく、学会に所属すれば会費が発生します。

(参考:東京大学「入学料・授業料」

奨学金や授業料の免除制度の利用も一つの手段ですが、返済が必要な奨学金には注意が必要です。博士課程修了後、必ずしも順調に研究職に就けるという保証はありません。

奨学金は返還期限猶予や減額返還制度を申請し利用できますが、「いずれ返還しなければならない」ことを理解した上で利用することをおすすめします。

(参考:日本学生支援機構「返還を待ってもらう(返還期限猶予)」

長期間ポスドクを続ける可能性もある

理系が博士号を取得するデメリットの2つめは、修了後に長期間ポスドクを続ける可能性があることです。

大学や研究機関での博士号取得者の就職枠は、それほど多くないのが現状です。

「自分には研究しかできない」と可能性を狭めてしまうと、自分で自分を苦しめてしまうことになりかねません。

研究者としてのキャリアをスタートしたいなら、博士課程修了後にしばらくポスドクを続けるかもしれないと想定して決断することが大切です。

社会に出る年齢の高さがネックになることも

理系が博士号を取得するデメリットの3つめは、年齢です。

大学卒業後に博士課程まで進むと、修了時には27歳以上の年齢になっています。

一方で、博士以前に大学を卒業した同世代の社会人は、順調にキャリアを積み重ねているケースもあるでしょう。
社会人としてのキャリアを持っていない博士課程修了者がいきなり研究とは無縁の企業で働こうとすると、つまずいてしまうことがあります。

とはいえ、昔ほど新卒カードの影響力が強くない現在では、第二新卒やブランクありの就職活動、中途入社の求人も珍しくありません。

職業によっては人材育成のために年齢制限を設けている求人もありますが、30歳前後であれば、社会でのキャリアをスタートできる可能性は十二分にあります。

博士課程のその後のキャリア

博士課程のその後のキャリア

これまで、「理系が博士課程に進むということ」から「理系が博士号を取得するデメリット」まで解説してきました。

最後に、気になる「博士課程のその後のキャリア」について解説します。

大学や研究機関の研究職

博士課程修了後の進路としては、大学や研究機関の研究職がスタンダードな選択肢です。

アカデミアでキャリアを積みたいのなら、ポスドクの採用に応募することになります。

ポスドクの求人は、国立研究開発法人科学技術振興機構が運営する研究人材のキャリア支援ポータルサイト「JREC-IN Portal」や学会のHPなどに掲載されています。

民間企業に就職する道も

近年、Yahoo!Japanやメルカリのように、社員の博士号取得を支援する取り組みを行う会社も増えました。

こうした取り組みからは、社会が高度な専門知識を持つ人材を登用することに意味を見出していることが分かります。

(参考:Yahoo!Japan「夢を諦めず、働きながら博士号取得を目指す――ヤフーの社会人ドクター進学支援制度とは」
(参考:メルカリ「メルカリ、社員の博士課程進学を支援する制度「mercari R4D PhD Support Program」を開始

博士号を持つ研究者のキャリアの選択肢として、民間企業への就職という道もあります。
博士号取得者には、専門的知識だけでなく、研究を通して培われた論理的思考力やプレゼン能力といったスキルが身についています。

大学でのポストやアカデミアでのキャリアも魅力的ですが、博士号取得者の能力を発揮できるフィールドは大学の外にもきちんと存在しています。
理系の場合は、企業の研究者としてのポジションも見据えられるでしょう。

博士号取得者が民間企業への就職を目指す場合は、理系に特化した求人サイトや企業からオファーが届く逆求人型サービスを利用すると、自分の能力を活かせる道が見つかりやすくなります。

関連記事:【理系就活】理系院卒(修士、博士)の強みを活かす!理系大学院生が自己PRで使える7つのポイント

正規雇用の道は狭いが不可能ではない

博士課程修了後、アカデミアのポストに就けず長年非常勤の研究員であるポスドクを続けざるをえない「ポスドク問題」は、深刻な問題です。

博士課程修了者数に対して大学や研究機関のポストが少ないという現実の厳しさはありながらも、研究者として身を立てるのは決して不可能な道ではありません。

博士課程修了後の公的なキャリア支援として、「卓越研究員事業」や若手研究者の育成・支援をめざす「科学技術イノベーション創出に向けた大学フェローシップ創設事業」なども行われています。

アカデミアでキャリアを積んでいきたい方は、公的な支援や大学のサポートをうまく活用してみましょう。

これだけは知っておきたいポイント(まとめ)

この記事では、「博士課程に進みたい!概要と博士号を取得するメリットを解説」について解説してきました。

重要なポイントをおさらいします。

・理系が博士課程に進むということ
 ①博士課程の概要

・理系が博士号を取得するメリット
 ①学部卒後5年間研究に専念できる
 ②研究職としてキャリアを積む道が開ける
 ③深い専門性を身に着けられる

・理系が博士号を取得するデメリット
 ①博士課程に進むには経済的な負担がかかる
 ②長期間ポスドクを続ける可能性もある
 ③社会に出る年齢の高さがネックになることも

・博士課程のその後のキャリア
 ①大学や研究機関の研究職
 ②民間企業に就職する道も
 ③正規雇用の道は狭いが不可能ではない