就職活動をはじめた理系学生の皆さんにとって、エントリーシート(ES)は最初の関門ではないでしょうか。
「研究、ガクチカ(学生時代に力を入れたこと)、サークル活動etc…どうやって書けば伝わるの?」
「エントリーシートで選考落ちしてしまう。何が悪いんだろう?」
「研究ばっかりでエントリーシートに書くことが無い!」
エントリーシート作成の悩みや疑問には、「3つの観点」によるアプローチが有効です。この記事ではエントリーシートの「3つの観点」を軸に、採用担当者に響くエントリーシートの書き方について解説します。
エントリーシート(ES)の基本

エントリーシートを書きはじめる前に、「エントリーシートとは何か?」をしっかり理解しましょう。エントリーシートの役割や採用担当者がチェックするポイントなど、基本的な部分について解説します。
履歴書とエントリーシートの違い
履歴書とエントリーシートは、どちらも自分の情報を企業に伝えるための書類ですが、性質は大きく異なります。
履歴書は自分の「経歴」を伝える証明書の役割を持っています。一方エントリーシートは「能力」をPRするための、プレゼン資料や広告の役割を果たします。
履歴書は過去の経験を事実に基づいて書く書類ですが、エントリーシートはPRしたいポイントを伝えるための、表現の工夫が必要です。
エントリーシートを書く際には、「過去→現在→未来」への繋がりを意識しましょう。過去の経験によって成長した現在の姿から、将来何が出来るかの未来までのストーリーを繋げることで、PRポイントがしっかり伝わるエントリーシートになります。
エントリーシートを作成するためには、事前の自己分析が必須です。自己分析(自己分析の記事リンク参照)については別記事(自己分析の記事リンク参照)で詳しく解説していますので、是非参考にしてみてください。
エントリーには2種類ある
エントリーには、「プレエントリー」と「本エントリー」の二種類があります。
プレエントリーは、就活情報サイトを通じて志望する企業に「興味がある」ことを意思表明するためのエントリーです。
大学名、所属、名前や連絡先などが必要項目です。プレエントリーによって、会社説明会や詳細な採用情報を受け取ることができます。
プレエントリーは資料請求のような位置づけです。なるべく多くの企業に申し込み選択肢を広げましょう。
一方本エントリーは「採用試験を受ける」ための本登録です。プレエントリーした候補の中から本命をいくつかに絞って応募します。
企業指定の書類選考フォーマットにあわせて必要事項を記入し、履歴書やエントリーシートを提出する必要があります。
エントリーシートの役割
エントリーシートには、大きく分けて3つの役割があります。「選考の足きり・スクリーニング」、「応募者の能力の把握」、「面接の事前資料」です。それぞれ解説していきます。
まず、選考の足切りやスクリーニングの役割です。
人気企業の場合、応募者が数万人にのぼることも珍しくありません。
直接面接できる人数には限りがあるため、足切りとして書類選考を行います。書類選考で重要なのがエントリーシートです。
書類選考に落ちた際、不採用の連絡をくれない企業も存在します。就職活動の待ち時間は機会損失につながるため、一社の連絡を待たずに複数の企業へのエントリーを並行して行いましょう。
ちなみにTECH OFFERでは企業から直接声がかかるため、足切りの心配はありません。
二つめは、応募者の能力を把握する役割です。
応募者の適性や技術、マインドを把握し、希望職種や配属先と照らし合わせて、応募者と企業のマッチング度を確認します。
主にみられるポイントとしては、文章力、論理的思考力、志望度、コンピテンシーなどが挙げられます。
三つめは面接の事前資料としての役割です。
面接時の質疑応答の材料として、エントリーシートが活用されます。
採用担当者は、記載内容について確認したい点を掘り下げるため、面接前には提出済みのエントリーシートを確認するようにしましょう。
理系のエントリーシート(ES)に盛り込むべき3つの観点

理系学生向けエントリーシートの書き方について解説します。エントリーシートに盛り込むべき3つの観点を理解し、通過率の高いエントリーシートを目指しましょう。
3つの観点・自己分析の「心・技・体」とは?

エントリーシートの作成には、「心・技・体」の観点を用いた自己分析が有効です。
自分自身の能力を「心(心理性)」「技(技悟性)」「体(体感性)」に当てはめて分析を行います。
心(心理性)は自分自身が根本となる価値観や意志、理念です。具体的には以下のような項目が当てはまります。
・好きな格言や尊敬する人物
・大切にしている考え方やモットー
・仕事、プライベートを含めた将来の理想像
体(体感性)は、自分の性格に起因する基礎的な能力や特性を表します。
・マルチタスクは苦手。仕事はコツコツと正確にこなすのが好き
・人と関わるのが好きで、コミュニケーションに長けている
・考えながら行動できる。トライ&エラーを繰り返しながら成長する性格
技(技悟性)は、自分の出身学科や専門分野などを背景とした後天的に身についたスキルを表します。
・特定の分野における研究実績や知識
・各種資格やTOEICのスコアなど
・使用できるプログラミング言語
・CAD、CAM、CAEなどの使用可能ソフト
・ビッグデータ分析やデータマイニングなどの分析経験
エントリーシートを作成する前に自分の能力を客観的に分析し、PRしたいポイントを上記の「心・技・体」に割り振ってみましょう。
次の項からは、エントリーシートの質問がそれぞれ「心・技・体」のどれに対応するか、項目別に解説していきます。
「心・技・体」の考え方を利用した自己分析方法の詳細は、別記事(自己分析の記事リンク参照)にて詳細に解説していますので、そちらも是非ご参照ください。
志望動機
志望動機は、3つの観点のうち「心(心理性)」と「体(体感性)」が対応する項目です。企業へ応募するための、必然性と意志を表現する必要があります。
志望動機を書く上で重要なポイントは、企業の「何(What)」に興味を持ったかではなく、「なぜ(Why)」興味を持ったかです。
・「何(What)」にフォーカスした志望動機例
業界シェア1位の実績と技術力に興味を持ちました。創業30年の安定感と五期連続で最高益達成の成長性に魅力を感じています。
上記の志望動機は、相手を誉めることに重点を置いています。採用担当者の目線で考えた場合、企業があなたを採用するメリットについて言及されておらず、自己PRになっていません。
・「なぜ(Why)」にフォーカスした志望動機
御社の「社員の意見交換に重きをおく文化」に興味を持ちました。
私はディスカッションやディぺ―ドなどグループコミュニケーションを得意としており、自分の意見を客観的に分かりやすく伝えること、相手の意見を取り入れて最適な答えを導き出すことを得意としています。
上記の例では、企業側が特長として掲げた文化に対して、自分の能力を重ねてPRしています。体験談や実績を交えると、さらに説得力のある志望動機となります。
研究内容
研究内容は「技(技悟性)」をPRするポイントです。自分の専門分野が業界や採用職種と一致する場合は、研究内容や実績について具体的にPRしましょう。
自分の専門分野が企業と一致しない場合は、研究の過程や取り組み方を主体としたPRが有効です。
仮定と検証を繰り返して得られた論理的思考能力、何度も失敗しても取り組み続ける忍耐力など、ストーリーを交えて表現します。
文体は、ついつい「である」というような論文調になってしまいがちですが、エントリーシートでは一貫して、「ですます調」で読みやすく整えましょう。
ガクチカ
ガクチカ(学生時代に力をいれたこと)については、「技(技悟性)」「体(体感性、ここでは人間性も含む)」をPRポイントとして考えます。
ガクチカは、部活動やサークルで得た成果や成績よりも、得られた経験や努力を社会でどう生かすかをPRしましょう。
1.ラグビー部のレギュラーメンバーとして県大会3位になった
2.ラグビー部では補欠だったが、有名校のトレーニングを取り入れたメニューを作成し、チームの県大会出場に貢献した
1の例は、身体的能力やスポーツセンス以外に読み取れるPRがありません。
一方2の例は分析やマネジメントなど入社後に役立つ可能性がある経験といえます。ガクチカによって得られた経験を、社会人としてどう活かせるかが重要です。
なお、ガクチカが思いつかない場合は、研究をガクチカとしても問題ありません。
この場合は、研究内容の事実紹介ではなく、研究をすすめる過程で得た経験について言及しましょう。
また、定性的なことだけではなく、数字などを用いて表現できるものにはエピソードに具体性を持たせるために数字を盛り込みましょう。
短所・失敗経験
短所や失敗経験など、エントリーシート中の「負の素養」に関する質問への対策です。負の素養に関して回答する場合は、「体(体感性)」を元に回答しましょう。
短所を聞かれた場合は、以下のような長所の裏返しを記入します。
・落ち着きがない→多動力、行動力
・頑固である→反対意見に負けない意志力
・心配性→慎重で計画性がある
失敗体験は、逆境をどう乗り越えたかについて言及しましょう。業務で困ったとき、解決に向けてどのような思考・行動をするかが採用担当者の知りたいポイントです。
・周囲に相談する
・まず自分で調べる
・原因究明して改める
失敗経験をスタート、最終的自分がPRしたい「体(体感性)」をゴールとしてストーリーに沿ったPRを心がけましょう。
入社後にチャレンジしたいこと
入社後にチャレンジしたいことは、学生のジョブマッチング度を図るための質問です。「心(心理性)」、「体(体感性)」を元に考えます。
将来の自分を現実的に見据える客観性と、今後の成長意欲が伝えるべきポイントです。
入社後のイメージが実際の業務とかけ離れてしまう可能性があるため、企業研究はしっかりと行う必要があります。
企業研究については別記事(自己分析の記事リンク参照)で解説しています。
エントリーシート(ES)の書き方のコツ

エントリーシートを書くコツは、「簡潔に書くこと」です。限られた文字数の中に伝えたい内容をなるべく詰め込むためには、冗長表現や長文は避け、一文一意を意識して書くように心掛けます。
一定の文字数内で簡潔な文章を書くためには、「PREP法」が有効です。PREPはそれぞれ以下の英単語に由来します。
・Point(結論)
最も伝えたい結論を最初に伝える
・Reason(理由)
結論に至った背景や理由について説明する
・Example(具体例)
経験や例によって理由にエピソードを紹介して具体性を持たせる
・Point(結論)
全体を総括してもう一度結論を伝える
PREP法を活用して、具体的に例文を作ってみましょう。自分自身の強みについて書く場合は、以下のような構成になります。
・Point(結論)
「私はサブリーダーのスキルがあると自負しています。」
・Reason(理由)
「大学のテニスサークルでは、2年生から副キャプテンを務めました。」
・Example(具体例)
「年上の先輩を差しおいてのポジションでしたが、メンバーとの対話や関係性を重視する姿勢が評価され、リーダーやチームメンバーにささえていただくことができました。サブリーダーとして、40人規模のサークル運営に2年間携わりました。」
・Point(結論)
以上の経験によって、リーダーを補佐しチームを円滑に運営していくスキルが身についたと実感しております。学生時代の経験を活かし、少しでもチームのお役に立てるよう活躍できればと考えています。
PREP法は、必要最低限の短い文章で論理的な文章を書くためのコツです。エントリーシート作成に適した方法ですから、是非活用してみてください。
これだけは知っておきたいポイント(まとめ)

理系エントリーシートの書き方について解説しました。この記事のポイントは以下の3点です。
・エントリーシートは自分を売り込むためのプレゼン資料
・エントリーシートは3つの観念「心・技・体」で書く
・エントリーシートは簡潔に!PREP法で分かりやすい文章を
この記事が理系学生の皆さんにとってお役に立てば幸いです。