こんにちは、理系就活情報局です。
研究概要をまとめておくことで、面接時に自身の研究成果をスムーズに伝えられるなど大きなメリットがあります。
しかし、いざ研究概要を作成しようとしても、どのように作成すべきかわからない方も多いのではないでしょうか?
今回は、研究概要で押さえるべきコツを例文を紹介しながら解説していきます。
研究概要とは
まず、学生がなぜ研究概要を企業側に説明していかなければいけないかという研究概要の目的と、伝えていく時の形式を紹介していきましょう。
目的と形式
研究概要を書いていく第一の目的として、専門分野と同時に仕事で必要なスキルをアピールしていくことが挙げられます。
研究概要と言っても、研究だけでなく自分の力をアピールしていくことから、自己PRとしても役割を果たしてくれます。
また、職種や企業の業界分野によっても変わってきますが、仕事で必要な知識をしっかり持っているかも見られるため、企業が求めているものを把握しておくことも重要です。
研究概要で含むべきものとして、特定の職種に求められる専門スキル、プレゼン力などのどの職種でも生かすことができるポータブルスキル、そして学生の持つ価値観や素直さなどの資質という3つをバランスよく含んでいくことが重要になってきます。
特に、自分の研究分野と職種の分野にあまり接点がない場合は、研究を通して身についた思考力や判断力、そして研究を始めた動機からプロセスまで全体的なアピールをすることが必要で、上記の3つのポイントをバランスよく抑えていくことがとても重要です。
理系学生に求められる研究概要
特に、理系学生においては、専門知識や用語などが多いため、企業で働き出した際におけるコミュニケーション能力が求められてきます。
例えば、企業において営業や現場の人と関わる際に、相手が理系的な専門分野を全て把握しているわけではありません。
なので、その際に様々な部署における人との意思疎通をうまく図るためにコミュニケーション能力が求められてくるのです。
研究概要の基本構成
次に、研究概要を書いていく上での基本構成を紹介していきます。
研究概要
研究概要においては、「テーマが一目でわかるようにする」ことを意識しましょう。
文字数に余裕がある際には、研究目的などを肉付けすると良いでしょう。
研究背景
研究背景においては、世の中と自分の研究がどう関連しているのかを伝えることを抑えましょう。
人事採用などは、必ずしも理系の人が担当するわけではないため、文系の人でも、イメージを持ちやすいように世の中と研究の接点を説明して、研究がどのような利益を世の中にもたらすかをわかりやすく伝えます。
課題と解決策
課題と解決策では、研究分野と企業の行っていることに接点が多くある場合は、研究内容を細かく書くことがおすすめです。
一方で、あまり接点がない場合は、再現性などの研究で得たスキルを細かく説明することで課題と解決策をうまく書けるでしょう。
研究成果
全ての学生が、研究概要を提出する際に全て完了していることはあまり少なく、研究取り組み中の学生が多いでしょう。
なので、提出時に研究に取り組み中の学生は、取り組んでいる現状、そしてこれからの研究の方向性を書いていきます。
研究から学んだことと志望企業・職種での活かし方
最後に、志望企業で自分の研究から得た知識やスキルをどう活かしていくかということに紐付けをしていくことで研究概要に一貫性を生み出すことができます。
研究概要作成のコツ
次に、研究概要作成の際におけるコツを紹介していきます。
文字数対策を行う
研究概要は様々な文字指定があるため、文字数対策として、 200,400,1000字と文字数別で作成することで、文字数対策へのコツとして挙げられます。
文字数調整は基本構成を入れた上での肉付け
文字数調整は基本構成を入れた上で肉付け
また、文字数の調整は、課題や解決策の部分にキーポイントを入れた上で付け足していくことで要点を抑えつつ、文字を調整できます。
研究概要を差別化するポイント
人事担当は何千枚もの研究概要に目を通していくため、他の学生との差別化をするさいのポイントを紹介していきます。
新規性と目的
1つ目の差別化として、自分の研究が従来の研究と何が違うのか、そして研究が修了した際に、どのような改善につながるのかなどを組み込むことが挙げられます。
新規性に加えて、目的や身近にある製品やサービスにどのように繋がっていくかを同時に組み込むことで個性を取り入れた研究概要を書くことも独自性として良いでしょう。
研究後の未来予測
研究後の未来予測においては、研究が世の中にどのような利益をもたらすのか、という未来への予測を取り入れましょう。
近年では、SDGsに関連する取り組みに力をいれる企業が多いことから、SDGsに関連する未来予測なども取り入れるといいとされています。
研究概要の例文
上記のコツなどを踏まえた上で、ここでは、2つの研究概要の例文を紹介していきます。
化学系の場合
研究概要・研究背景
私は 新規抵抗体の作製に向けて セラミック基板浄上へガラスコーティングを作製するテーマを行っていました。
課題と解決策
研究活動で最も苦労したことは 基板とガラスの反応によって気泡が発生し、成膜状態が悪いという問題があった事です。
気泡抑制のために様々な検討を行ないましたが、期待する結果は得られずに苦戦していました。 そこで従来の作製プロセスについて見直しを行い、研究室のほかのメンバーが利用していた表面処理を基板に試したところ、
研究成果
今までにない良質な試料の作成に成功でき、現在では特許出願に向けて動いています。
研究から学んだことと志望企業・職種での活かし方
この経験を通じて、研究のヒントは至るところに存在し、物事を多面的に考えることの重要性を強く感じました。 また、これまでは深く携わらなかった他の研究についても積極的に意見交換することを意識し始めました。その結果幅広い知識だけでなく、課題発見から解決までの「考える」研究プロセスの能力を鍛えられました。
機電系の場合
研究概要
スイッチトリラクタンスモータ(通称SRM)は磁石を全くしない使用しないモータで、 環境にも優しいですが、 振動・騒音が大きいといったデメリットがあり、主にこのデメリットを改善できないかと研究を行っています。
研究背景
学部時代はSRMの振動・騒音について制御やパワーエレクトロニクスの分野を用い
てどれほど抑えることができるかというのを解析ソフトを用いてシュミレーションべースで行ってきました。 大学院では、制御系の分野でなく材料の違いといった機械的な分野に広げて研究を行っています。
課題と解決策
モータで用いられる金属は外部から 磁界がかかると磁気スピンの磁化方向 が揃い、それが磁歪という金属の伸びを生じます。
この金属の伸び縮みによって振動・騒音が生じているのですが、この磁歪は現実では電磁力と力を分けることが難しく実際に 磁歪によってそれほどの騒音が発生したのか述べられた文献が存在しません。
取り組み状況
そこで本研究では、磁歪の値が異なる2つの材料を用いたモータを作成し、どのような騒音の違いが見られるのか、またコストを抑えつつ効率をどれほど向上させること が可能かということを考え、現在も取り組み中です。
研究から学んだことと志望企業・職種での活かし方
研究・開発をする上で同じ方向から物を見るのではなく、他方面からみることで新たな発見が あることが多いと考えており、私の探求心はこのような場面でほかの人には考えつかないアイディアを出せると考えております
このように、専門用語はあえて使わず、使わなければいけない場合は、説明文を加えて人事担当も含めすべての人に伝わりやすい研究概要にまとめることが大切です。
まとめ
今回は、研究概要の書き方についてまとめて解説していきました。研究概要は研究で得た専門知識だけでなく、そこから得た知見や仕事に生かせる作業的なスキルもアピールすることが大事になってきます。企業が理系よりだからと言って人事も理系出身であるとは限らないため、誰が読んでもわかりやすいような研究概要を書いていくことを心がけていきましょう。