研究概要は、理系学生がどのように研究をおこなってきたかをアピールできる貴重な資料です。
成果はもちろん、どのように取り組んできたかの研究過程を上手にまとめれば、強くアピールができるでしょう。
一方で研究概要の出来が良くないと、せっかくのアピールが逆効果になってしまうリスクもあります。
上手に自身をアピールするためにも、研究概要をわかりやすく、簡潔にまとめる必要があるのはいうまでもないでしょう。
今回は研究概要を執筆する際の3大NGと改善に向けたポイントを解説します。
研究概要の書き方に不安を感じている方はぜひ参考にしてみてください。
企業が研究概要を確認する目的
企業が就活で研究概要をチェックする目的には、主に2つの理由があります。
- ・業務に必要な知識や経験があるかチェック
- ・ポータブルスキルの確認
業務に必要な知識や経験のチェック
理系学生の場合、大学で研究した内容がそのまま業務に使えるケースがあります。
企業としても、できるだけ即戦力となる人材を求めているので、業務に必要な知識や経験を有しているかはチェックの対象です。
研究概要はまさに、業務に必要な知識や経験を有しているかの判断材料に利用されます。
一方で中途採用と異なり、新卒採用はポテンシャルをみて、採用をおこなっている側面もあります。
研究概要から取り組み方や困難をどう乗り越えているかが読み取れれば、多少の知識・経験不足はハンデになりません。
研究概要に、応募する企業で必要な知識や経験が記載されているかも重要なポイントですが、取り組み方や研究過程の記載もしっかりとしましょう。
ポータブルスキルの確認
研究概要のチェックには、業務に必要な知識や経験を有しているかの他にポータブルスキルの有無もチェックしています。
特に企業側がチェックしているスキルは、論理的思考力と問題解決能力です。
前者の論理的思考力は、研究概要の書き方からチェックされます。
自身の研究について、わかりやすく簡潔にまとまっている文章の場合、高く評価されます。
反対に自身の研究について、ダラダラと羅列された文章では良い評価は得られません。
結論から記載され、読み手に負担のない文章であるかや論理的に筋が通っている文章であるか否かが重要なポイントです。
後者の問題解決能力は、研究概要の中身からチェックされます。
研究を進めるために、どのように問題を解決したのか、どのようなアプローチを取ったのか
が評価の対象となります。
研究と同じように、会社での業務も一筋縄ではいきません。
どのように問題を解決するのか、どの点を問題と捉えアプローチをするのかが重要なポイントです。
企業としては日々発生する問題に、的確にアプローチができる人材を求めています。
研究概要の3大NG
研究概要から企業はどのような人材であるかをチェックしています。
研究概要は自己PRや志望理由と同じくらい重要な書類・アピール方法です。
重要な資料である研究概要も書き方や表現方法が悪ければ、マイナスの評価となってしまいます。
せっかくの内容を無駄にしないためにも、以下3つの書き方・表現方法は避けていただければと思います。
- ・専門用語が多すぎる
- ・要点がわからない文章
- ・自身の考察がない
専門用語が多すぎる
専門用語が多すぎる研究概要は、基本的に良い書き方とはされていません。
なぜなら、研究概要を読むのは専門的な知識を持った方とは限らないからです。
研究概要に目を通すのは、多くの場合人事・採用担当者です。
もちろん中には専門的な知識を持った人事・採用担当者もいるでしょう。
しかし、一般的な人事・採用担当者は、専門用語が並べられた研究概要をスラスラと読める方は多くありません。
研究概要は誰が読んでもわかりやすいように、なるべく専門用語は使わないようにしましょう。
どうしても専門用語が必要な場合には、分かりやすい例を交えながら、専門用語を記載してみてください。
要点がわからない文章
要点のわからない文章、結論が伝わりにくい文章も良い書き方ではありません。
ビジネスライティングの基本は、結論ファーストです。
結論から記載された文章でなければ、ダラダラと記載された研究概要という印象を持たれてしまいます。
研究概要を読む人事・採用担当者は、何十人・何百人分の研究概要を読みます。
ダラダラと書かれた文章では、読み手の意欲や理解力を奪うことにもつながりかねなません。
研究概要はあくまで読んでもらうための書類です。
読んでもらって、初めてアピールができる書類なので、結論から先に書き出して読みやすい文章を目指しましょう。
自身の考察がない
研究概要を簡潔に書こうとすると、大学時代におこなっていた研究と研究結果のみが記載された研究概要になってしまいます。
読みやすい研究概要にはなっていますが、自身の考察がない研究概要も良い研究概要ではありません。
考察とは研究している間にどのように考え、何を問題と捉えたかなどを指します。
研究概要の目的はあくまで自己PRです。
研究を通じて、どのようなことを学んだのか、何に苦労して解決したのかを企業側は気にしています。
研究結果も大事ですが、研究結果に至るまでの過程の部分もしっかりと研究概要には記載しましょう。
研究結果と研究の過程が記載されてこそ、良い研究概要となります。
より良い研究概要にするための4つポイント
良くない研究概要の書き方を紹介してきましたが、本章では反対により良い研究概要にするためのポイントを4つ紹介します。
- ・図やグラフを用いる
- ・面接を想定する
- ・文末の表現を統一する
- ・完成したら確認してもらう
図やグラフを用いてわかりやすくする
60文字を超えると人は読解しにくくなるといわれているように、人は想像以上に文章を読むのが苦手な生き物です。
上手に研究概要を伝える手段として、図やグラフなどでより直感的な認識ができるようにするとよいでしょう。
図やグラフを用いつつ、解説として文章をプラスすると読みやすい研究概要になります。
研究概要を一生懸命に書こうとするあまり、文章がビッシリと書かれた研究概要になりがちです。
確かに熱量は伝わるのですが、どうしても読みにくい文章になってしまいます。
わかりやすい研究概要となっているかも評価の対象に含まれるので、図やグラフを用いて理解しやすい資料にしましょう。
面接を想定する
書類選考後の面接は、基本的に提出された書類に基づいておこなわれます。
研究概要は基本的に面接で話すことを想定して、作成しましょう。
面接では研究概要に対して、シンプルな質問や掘り下げた質問が入ります。
例えば、「課題に直面した時に人に頼ったか」「挫折したときにどのように対応したか」などです。
どのような質問がきても回答できるように、研究概要を作る段階からある程度想定はしておきましょう。
文末の表現は統一する
文章の基本的なテクニックになりますが、文章内での文末表現は統一しましょう。
「ですます」で始まっていたら、最後まで「ですます」で統一します。
例えば、以下のような文章はどう感じるでしょうか。
・今日は快晴です。今日僕は旅に出るのである。
文末表現が統一されていないだけで、ほとんどの方が違和感を覚える文章になってしまいます。
文末の表現は文章内で統一して記載しましょう。
完成したらレビューを入れる
研究概要が完成したら、第三者からのレビューを入れるとより完成度が高まるでしょう。
自分では良い、わかりやすいと思った出来栄えでも、第三者が同じように捉えるとは限りません。
第三者から良かった点、悪かった点を指摘してもらい、さらに改善に努めましょう。
研究に詳しい方や研究には詳しくない文系の方など、様々な方にレビューしてもらうとより完成度の高い研究概要に近づきます。
まとめ
研究概要は、自身が大学でどのように研究してきたかをアピールする書類です。
エントリーシートと同じように、研究概要の出来栄えが選考のカギを握っています。
今回紹介した研究概要のNGな書き方を避け、伝わりやすい研究概要を執筆していただければと思います。