理系学生が就活を行うと、よく出る疑問点として、学部卒と院卒での就職にどのような違いがあるのかという点が挙げられます。
特に大学院への進学を考えている人は、就活で院卒だと不利になるという噂もあるため、大学院への進学に抵抗を感じている方もいるのではないでしょうか?
そこで今回は理系院卒と学部卒の就職の違いについて、理系院卒が就職に失敗しやすい原因も含めて解説していきます。
現在、大学院進学をしようか迷っている理系学部生の方はぜひ参考にしてみてください。
理系院卒と学部卒には就職に違いがあるのか?
ここでは実際に理系院卒と学部卒に就職に関してどのような違いがあるのかを解説していきます。
まず、就職先については理系院卒と学部卒で大きな違いはありません。
理系院卒と学部卒でも同様に、就活サイトや合同説明会などを通して企業へのエントリーを行い、エントリーシートの提出や面接などの選考を受けます。
学部卒はポテンシャル採用がメインとなる
学部卒の方を採用する場合、多くの企業では将来的に活躍できる可能性があるかどうかのポテンシャルをみて採用します。
そのため、学生が入社後に学生のスキルや基礎力を伸ばすことを前提として採用を行っています。
よって、学部卒の場合、エントリーシートや面接で自身のポテンシャルをいかにアピールするかが重要です。
面接の場でポテンシャルをアピールするためには、志望動機や入社後のキャリアを工夫する必要があります。
例えば、会社でできることと自分のやりたいことがマッチしていることや、自分のやりたいことは志望企業が最も適していることに言及することで、より説得力のあるアピールができます。
学部卒では、上記のように自身の成長性などのポテンシャルをアピールしていくことが重要です。
院卒では専門的なスキルが求められる
院卒の場合は、ポテンシャルのみならず、専門的なスキルが求められます。
院卒では学部卒よりも2年間多く専攻について学んでいるため、専門的な知識やスキルが求められます。
そのため、院卒の就活では面接時に在学中の研究に関しての成果をアピールできる具体的なエピソードを準備しておくことが重要です。
そして、在学中の研究に関して面接の限られた時間で伝えられるようにすることも重要となります。
相手にわかりやすく伝えるためにも、アピールしたいことを最初に伝えたり、わかりやすい言葉で伝えるように工夫しましょう。
理系学部卒で就職するメリットとは?
ここでは、理系学部卒で就職するメリットについて解説していきます。
具体的には、以下の点が挙げられます。
- 早くから実務経験を詰める
- 募集企業が豊富である
- 大学院の学費がかからない
早くから実務経験を詰める
理系学部卒で就職することで、院卒よりも早くから実務経験を積むことができます。
早くから実務経験を積むことで以下のメリットがあります。
- 同世代よりも実務能力で優位にたてる
- 給料をすぐにもらうことができる
実務上で早期から成果を出すことができれば、上のポジションにも早く辿り着ける可能性があります。
さらには、院卒と比べると給料を早めにもらえるため、金銭面においても優位となるでしょう。
募集企業が豊富である
募集企業が豊富であることも理系学部卒の大きなメリットです。
大学院に進めば専門性が高くなる一方で、学生を募集する企業の数は限られてきます。
例えば、大学院で専門的に半導体の研究を行っていた学生は、その分野では貴重な人材となりますが、それ以外の点においては社会経験が大学卒と比べて短い学生とみなされる可能性もあります。
学部卒の場合は、企業側から見てもより若くポテンシャルを秘めているため、さまざまな仕事の経験を積ませることが可能です。
こうした観点からも、学部卒の方が募集企業が多くなる傾向があります。
大学院の学費がかからない
学部卒で就職すれば、大学院への進学に伴う学費がかかりません。
通常、大学院に進学する場合、2年間の学費は150万〜300万ほどかかってくるため、経済的な負担も非常に大きくなります。
奨学金などを借りて学費に当てる場合も、その後の返済などが社会人になってから重くのしかかってくるため、大学院に特別強いこだわりがなければ、学部卒で就職する道も選択肢としてありでしょう。
理系院卒で就職するメリットとは?
ここでは、理系院卒で就職するメリットについて解説していきます。
具体的には以下の点が挙げられるでしょう。
- 大手企業に受かりやすい
- 学校推薦の枠をとりやすい
- 初任給が学部卒に比べて高め
- 景気に左右されにくい
大手企業に受かりやすい
理系院卒で就職することで、大手企業に受かりやすいメリットがあります。
大手企業の研究職などの採用では、院卒を応募条件としていることも少なくありません。
大手企業は自社の分野において専門的な知識を有する即戦力を求めている傾向があるため、大手企業への就職を考えている場合は、大学院への進学も選択肢となるでしょう。
また、大学院卒では研究の成果などわかりやすい実績もアピールしやすくなり、面接での説得力も上がります。
学校推薦の枠をとりやすい
学校推薦の枠をとりやすいという点も、大学院卒の大きなメリットです。
大学では提携先の企業に推薦枠を設けている場合があります。
この推薦枠で応募してきた学生は、学校の推薦を受けている点で信頼性が高いと言えるため、通常の応募と比較して合格率も高い傾向にあります。
大学院卒であれば、学部卒よりも専門的な知識やスキルを有しているため、大学側も企業の推薦枠をあげやすくなります。
初任給が学部卒に比べて高め
初任給が学部卒に比べて高めというメリットもあります。
厚生労働省が発表している「令和2年賃金構造基本統計調査」によると、大学卒の月収が226,000円であるのに対し、大学院卒では255,000円の月収となっています。
学部卒では大学院卒よりも2年間早く給料をもらえるため、一時的には経済的に優位となります。
しかし、昇給を同じペースで考えれば生涯賃金は大学院卒の方が多くなります。
そのため、長期的に多くの給料を手にしたい場合は、大学院進学を検討してみても良いでしょう。
景気に左右されにくい
景気に左右されにくいというメリットも大学院卒の就職にはあります。
大学院卒であれば、非常に高い専門性を有しているため、経済の状況が悪い不況下でも採用されやすいと言えます。
通常不況下では、企業が人材に投資する余力がなくなりますが、即戦力となる大学院卒では人材の成長に投資する時間や金銭を削減することができるため、不況下でも採用したい人材として求められやすくなります。
理系院卒の就活が失敗しやすい要因
就職においてメリットの大きい大学院卒ですが、そんな中でも就活に失敗しやすい大学院卒が多く存在します。
ここでは、理系院卒が就活に失敗しやすい要因について解説していきます。
具体的には以下の点が挙げられるでしょう。
- 就活の開始時期が遅い
- 研究との両立が難しい
就活の開始時期が遅い
理系院卒が就活に失敗しやすい要因として、就活の開始時期が遅いと言う点が挙げられます。
特に、大学院での研究を優先している場合だと、必然的に就活の開始時期も遅くなってしまいます。
就活の開始時期が遅くなれば、選考の準備として役立つインターンに参加できなかったり、もしくは早期に選考を開始している企業に応募できなくなることもあります。
理系院卒で就活を成功させたい場合、就活早期から開始される説明会やインターンに参加し、選考参加への機会を増やすためにも、早めに就活を始めることが重要です。
研究との両立が難しい
研究との両立が難しいと言うのも大学院卒が就活に失敗しやすい要因です。
理系大学院生は、修士1年時から研究のために毎日大学院へ通う必要が出てきます。
そのため、就活を行う場合、研究と同時進行で就活を進める必要があるのです。
就活にはエントリーシートの準備や面接対策を含めて多くの作業が求められます。
研究自体でも成果を求められるため、研究と就活を両立させられるかどうかが、理系院卒の就活成功の鍵となります。
理系院卒の就活を成功させるポイント
ここでは、理系院卒の就活を成功させるポイントについて解説していきます。
具体的には以下の点が挙げられるでしょう。
- 自己PRの精度を高める
- 即戦力となれることをアピール
自己PRの精度を高める
大学院卒で就活を成功させるためには、自己PRの精度を高めることが重要です。
大学院卒では、学部卒と比べて専攻していた分野に関する専門性の高い知識やスキルを有しています。
こうした専門性を企業に伝えるためにも、自分の研究成果をわかりやすく伝えられるようにすることが大切です。
そのため、自己PRの精度を高めて企業に自身のスキルや知識をアピールできるようにしておきましょう。
即戦力となれることをアピール
大学院卒で就活を成功させるためには、選考で即戦力となれることをアピールすることが重要です。
学部卒よりも2年遅く入社することとなるため、実務経験では学部卒の方が勝ることとなります。
その点、大学院卒ではそうした学部卒で入社した社員と比べてもすぐに活躍できるような即戦力であることが企業からも求められる傾向があります。
自身の専門的なスキルや知識を通して、企業で成果を挙げられることをアピールしましょう。
これだけは知っておきたいポイント(まとめ)
理系院卒と学部卒では、就活自体に差はないものの、採用時に欲しい人材としてみられているポイントが大きく異なっています。
こうした差を理解しつつ、それぞれで有効な対策を打っていくことが重要です。
特に理系院卒では専門的な知識やスキルを有していることが大きなアドバンテージとなります。
理系院卒の自身の強みをしっかりと把握し、必要な対策を施して就活を成功させましょう。