人生における分かれ道は様々ありますが、理系の大学生には学部生の間に大きな選択を迫られる機会があります。
学部生のまま卒業か、大学院への進学かです。
各々の選択肢にメリット・デメリットがあるため、多くの方がどちらを選択するべきか迷うでしょう。
今回は就活にポイントを絞り、学部卒と院卒の違いを解説します。
学部生の方で就活をするのか、大学院への進学かを悩んでいる方はぜひ本記事を参考にしていただければと思います。
▼あなたに合った企業の情報が届く▼
TECH OFFERで優良オファーを受け取る
理系就活における学部卒と院卒の違い
本章では理系就活における学部卒と院卒の違いを解説します。
違いを理解すれば、どちらを選択した方がよいかの判断がしやすくなるでしょう。
基本的な就活の流れは同じ
学部卒と院卒で就活の流れに違いはありません。
企業へエントリーをおこない、書類選考や適性検査を受けた後に面接という流れは、学部卒であろうと院卒であろうと同じです。
また学校推薦や教授推薦を受ける場合でも、学部卒と院卒で違いはありません。
どのような応募形式であれ、学部卒と院卒で就活の流れに違いはないと考えてよいでしょう。
エントリーできる企業の選択肢が異なる
就活の流れに違いはありませんが、エントリーできる企業の選択肢が異なります。
例えば、研究職を募集している企業では院卒が応募条件となっているケースがあります。
理由としてはいたってシンプルで、院卒が必要な専門性を有しているからです。
研究職のような高い専門性を必要としている職種の場合、院卒が条件という企業も少なくありません。
学部卒と院卒ではエントリーできる企業の選択肢に違いが生まれてきます。
評価のポイントが異なる
学部卒と院卒では企業が評価するポイントは変わってきます。
学部卒の場合、企業が評価するポイントはポテンシャルです。
専門性も評価しないわけではありませんが、入社後に成長できるか否かのポテンシャルを重要視しています。
一方で院卒の場合、企業が評価するポイントは大学院で身につけた専門性です。
大学院で身につけた専門性を評価しており、できるだけ即戦力となるような人材を企業は欲しています。
ポテンシャルも評価の対象にはなっている一方で、あくまで企業としては専門性に評価の重きを置いています。
学部卒で就活・就職するメリット
学部卒で就活・就職する場合における最大のメリットは時間です。
院卒よりも早く就活・就職するため、年齢や経験で有利な状況を生み出せます。
本章では学部卒で就活・就職するメリットを解説します。
院卒より2年も早く実務経験が積める
学部卒の場合は院卒よりも、2年早く社会で経験を積める機会に恵まれます。
「習うより慣れよ」という言葉があるとおり、実際のビジネスの場で経験を積んだ方がより早く成長できる可能性があります。
将来的にやりたいことが明確になっており、早くから実戦で経験を積みたい方にとっては学部卒で就職した方がよい方向に転ぶでしょう。
若さやポテンシャルを評価してもらえる
学部卒の場合、専門的な知識やスキルより、若さやポテンシャルが評価の対象となります。
学部で取り組んだ内容と自身のポテンシャルを上手にアピールできれば、希望する企業に入社することも十分に可能です。
院進学の学費がかからない
大学院への進学は想像以上にお金がかかります。
学部卒と院卒ではかかる学費が100万以上違っており、特に私立大学の場合にはさらに費用がかかります。
院進学でかかる学費の目安は以下のとおりです。
・国公立大学の場合:修士で約138万円
:博士で約298万円
・私立大学の場合 :修士で約197万円
:博士で約401万円
院進学により大きな専門性が手に入る一方で、かなりの金額がかかってしまうのは事実です。
学部卒で就活・就職するデメリット
メリットがあれば、当然ながらデメリットもあります。
学部卒で就活・就職するデメリットは院卒と比較した際の専門性の不足です。
学部卒で就活・就職を目指す場合には、デメリットをいかにして補うかが重要になります。
高い専門性やスキルが求められるケースでは不利
院卒の大学院生と比較した場合、学部生は専門的な知識や経験で勝ることは難しいでしょう。
研究職のように、高い専門性が求められるポジションでの競争は学部生にとって不利になります。
不利だけであれば、挽回できる可能性はありますが、職種への応募資格が院卒のケースもあるため、同じ土俵にも立てないことは少なからず存在します。
目指すポジションによっては学部卒が不利になるケースがあるのは事実といえるでしょう。
学校推薦を受けづらい
学校推薦は学校に割り振られた企業からの採用枠に対して、生徒を推薦する応募方法です。
学校推薦を受ける学生は学内での選抜を通過してから、企業とのやり取りをおこないます。
学校推薦の枠には学部生も大学院生も関係ないため、同じ土俵で学校推薦の選抜を争います。
学校推薦の枠を決める条件はさまざまありますが、理系学生に求められる知識や経験などの専門性をいかに有しているかも一つの条件です。
学部生と大学院生を比較した場合、理系学生に求められるスキルや知識、経験を有しているかはいうまでもなく、大学院生です。
学校推薦では大学院生が有利なケースが多くなります。
院卒で就活・就職するメリット
学部卒より数年遅く就活・就職する大学院生ですが、院卒のメリットは何といっても高い専門性です。
本章では院卒で就活・就職するメリットを解説します。
高い専門性を生かした仕事につける
大学院ではより高度な研究に取り組むため、身につく専門性も相応のものとなり、就職先も高い専門性を生かせる仕事に就けます。
研究機関や大手企業の研究職は院卒を条件としている企業としているのは、大学院で身につけた高い専門性が必要になるためです。
学部卒と比べて初任給・生涯賃金が高い
学部卒より2年以上働きに出るのが遅い院卒ですが、生涯賃金は院卒の方が高い傾向にあります。
2014年に内閣府経済社会総合研究所が発表したデータでは、院卒の生涯年収と学部卒の生涯年収、両者の差は以下のとおりです。
・院卒の男性:3億4,009万円
・学部卒の男性:2億9,163 万円
両者を比較すると、院卒の方が約4,900万円近く生涯年収は高いことがわかります。
また初任給も院卒の方が高いという調査結果が出ています。
厚生労働省が発表している令和4年賃金構造基本統計調査によると、学部卒の初任給と院卒の初任給、両者の差は以下のとおりです。
・学部卒の初任給228,500円
・院卒の初任給267,900円
両者を比較すると、院卒の方が4万円ほど高いことがわかります。
新卒学生にも高い初任給を出す企業が増えているため、今後はさらに学部卒と院卒の格差は広がる可能性があります。
参考:大学院卒の賃金プレミアム
不況時でも就職しやすい
2000年代以降において大学生の就職が難しかった時代といえば、2008年に発生したリーマンショックによる不況の時代になります。
2012年の学部生の就職率は63.9%となっており、2022年のデータである74%と比較すると10%も低く、就活が厳しかったのかがわかります。
一方で修士課程を修了した院卒学生の場合は、いつの時代でも70%代をキープしており、非常に安定的です。
就職が厳しい不況の時代にあっても、院卒は安定して就職できる点がデータから浮かび上がっています。
院卒で就活・就職するデメリット
院卒で就活・就職しようとする場合、身につけている高い専門性がかえってデメリットになるケースもあります。
どのような点がデメリットなのかを把握できれば、対処可能となるため、ぜひ参考にしてみてください。
就活と研究で多忙
大学院生の場合、高い専門性を身につける過程は非常に忙しくなります。
日々研究に追われて結果が出なければ、休日も研究漬けの日々となるのも珍しくありません。
研究に忙しい日々の中で就活も並行して進めるのは、いかに大変かは容易に想像できるはずです。
院卒で就職を目指す場合には、研究との並走で非常に忙しくなります。
専門性の高さから企業の選択肢が限定的になる
高い専門性を身につけると、専門性を生かせる業界・企業しか受けないという方も珍しくありません。
長い期間をかけて身につけたスキルや知識を生かした仕事に就きたいと考えるのは、人として自然な心理といえるでしょう。
一方で専門性を生かそうとするあまり業界・企業の選択肢が限定的となり、就活が上手くいかずに就職できないケースも散見されます。
業界や企業の選択肢を限定していると、自然とエントリーする企業が少なくなりがちです。
エントリーする企業が少ない場合、企業研究に集中できるメリットがある一方で落ちた場合のリカバリーが上手くできないリスクがあります。
選択肢を狭めてしまうと、他の業界・企業のことを調べていないために、どこを受けてよいかわからないためです。
エントリーする業界・企業を狭めたために、大学院生の就活が上手くいかないケースは決して珍しくありません。
専門性を生かせる企業は少し視野を広げると実は数多く存在しているため、まずは広い視野で業界・企業を探してみることをおすすめします。
就職先・職種を選ばないと大学院卒の専門性が使えない
自身の専門と関係性のある業界・企業に就職したとしても、身につけた専門性を業務に生かせるとは限りません。
自身の専門性と関係のある職種・ポジションで就職・働かないと、業務で専門性を生かす機会は多くないでしょう。
採用面接時では、希望する部署やポジションを問われるケースは少なくありません。
希望する部署やポジションがないと企業側に認識されてしてしまうと、入社後に専門とは離れた部署やポジションに配置されるケースもあります。
就活を学部卒でおこなう際のポイント
学部卒の場合、院卒と比べると専門性の部分でどうしても劣ってしまう点は否めません。
一方で専門性に対する強いこだわりを持たない就活スタイルも可能なため、就活での動きやすさは、学部生にあります。
本章では就活を学部卒でおこなう際のポイントを解説します。
企業の選択肢を狭めない
院卒の学生が持つ高度な専門性ではないにしろ、学部卒の学生も専門としている分野の専門性は備わっています。
就活も自然と専門に沿った業界や企業を目指しがちですが、企業の選択肢は狭めない方がよいでしょう。
専門外にみえる業界でも、自身の専門性を発揮できるケースは少なくないからです。
まずは広い視野を持って就活をスタートさせて、さまざまな業界企業の選択肢をみるスタイルを取るとよいでしょう。
業界や企業の選択肢を絞ると、就活の効率化が実現できるため、研究が多忙になりがちな理系学生には効果的な就活方法になります。
一方で広い視野を持って就活を進めることは、就活の効率性は落ちますが、自身の専門性が発揮できる企業に出会える可能性が増えるため、おすすめです。
就活を早めに進める
学部生の場合、動きやすさを生かして就活を早めに始めるとよいでしょう。
就活は企業へエントリーする前の段階から、多くの作業があります。
自己分析や企業分析、適性検査対策、インターシップなどやることは目白押しです。
先手必勝という言葉のとおり、先んじて就活を進めるためにも、早めに動くとよいでしょう。
オファーサイトを活用する
学部生の持つ専門性とポテンシャルの高さに注目している企業は少なくありません。
貴重な時間を割いて就活をするのであれば、学部生に興味を持っている企業と話をする機会はあった方がよいでしょう。
学部生と学部生をターゲットにしている企業を結ぶサービスはさまざまありますが、なかでもおすすめなのがオファーサイトです。
オファーサイトは学生が登録したプロフィールや経歴を、企業側が確認して、オファーを送るサービスです。
学部生の持つ専門性とポテンシャルの高さに注目している企業もオファーサイトを通じて、学部生へコンタクトを取っています。
学生から企業へという一般的な就活とは少し毛色が異なり、昨今注目を集めています。
数あるオファーサイトの中でも、理系の学部生におすすめなのが『TECH OFFER』です。
『TECH OFFER』は理系学生向けに特化したサービスであり、多くの理系学部生に使われているサービスになります。
利用している企業も大手企業をはじめ、ベンチャー企業やスタートアップ企業などさまざまなタイプの企業が利用しています。
『TECH OFFER』の会員登録は最短3分で登録が可能です。
ぜひこの機会に登録をして、学部生に興味を持つ企業と話をしてみませんか。
▼あなたに合った企業の情報が届く▼
TECH OFFERで優良オファーを受け取る
学部卒か院卒かを選択する3つのポイント
学部卒と院卒には各々メリット・デメリットがあり、どちらを選べばよいのか迷う方もいるでしょう。
本章では学部卒か院卒化を選択する3つのポイントを解説します。
将来の方向性が大きく変わる選択のため、本章の内容を参考に熟考していただければと思います。
追求したい研究があるのか
取り組んでいる研究をさらに追及したい場合には、大学院に進学するとよいでしょう。
修士課程では最短で2年間研究がおこなえ、博士課程まで進めば、さらに長い期間をかけて研究に没頭できます。
長い時間をかけて取り組みたいテーマがあるのであれば、大学院へ進学して研究をすることをおすすめします。
一方で追求したい研究テーマがない場合には、学部卒がよいでしょう。
追求したいテーマがない場合、大学院での研究で結果が出しづらいうえに、大学院進学の決して安くない学費がのしかかります。
さまざまなプレッシャーがかかることが予想され、苦しい展開となることは火を見るよりも明らかです。
追求したい研究テーマの有無で、進路を見極めるのも一つの方法です。
実現したいビジネスがあるのか
在学中に実現したいビジネスが思い浮かんでいる、やりたい仕事があるなどの場合には、学部卒での就職を検討しましょう。
学部卒で社会に出れば、早く社会で経験を積むことができるため、実現したいビジネスに近づきます。
昨今ではビジネスのスピードが増しているため、大学院に進んだ2年間でアイデアが陳腐化するリスクもゼロではありません。
他にも、やりたい仕事がある程度の社会経験を必要としている場合には、学部卒で働いた方がより早く実現します。
達成したいビジネスの目標がある場合には、大学院に進学するより学部卒で就職する方がよいでしょう。
大学院進学の金銭面は準備可能か
研究や将来の目標も重要ですが、大学院に進学した場合の金銭面も判断材料にすべきポイントです。
大学院への進学・在学には100~200万円と決して安くない金額がかかります。
大金をかけてでも獲得するべき専門性・将来性なのかは、熟考すべきポイントといえるでしょう。
昨今では奨学金制度が充実しているため、大学院への進学・在学がしやすい環境が整いつつあります。
一方で奨学金も制度によっては、将来的に返済を迫られます。
奨学金制度を利用する場合には、将来的な収入・負担を計算して判断する必要があります。
院卒での就活・就職で年齢で不利になるケースはある?
修士課程で大学院を修了した場合、年齢は最低でも24歳となり、博士課程まで進むとさらに年齢が上がります。
年齢が上がると多くの方は、年齢により就活・就職が不利にならないかが気になる方も多いでしょう。
結論からいうと、年齢で不利になる可能性はゼロではありません。
民間企業の場合、24歳前後であれば新卒として採用しますが、26歳を超えると即戦力性が求められる年齢となり、未経験では就職が難しくなります。
公務員の場合はもう少し基準が緩和されており、35歳までを年齢制限としているケースが多くあります。
新卒採用を重視する日本社会では年齢は一つの基準となっていますが、少子高齢化が進んでいるため、状況が変わる可能性もゼロではありません。
年齢による制限が厳しいと人材が確保できないリスクが大きくなるため、将来的には年齢による制限がもう少し緩和される可能性もあるといえるでしょう。
院卒と学部卒の違いでよくある質問
大学の先輩や友人から大学院の情報は掴めるため、大学院での研究や生活をイメージできる方は多くいます。
一方で大学・大学院から先のキャリアは、学部卒と院卒の違いがどのような影響を及ぼすのかイメージが掴みづらいでしょう。
本章では院卒と学部卒の違いでよくある質問を解説します。
理系の学部卒は意味がない?
学部生活を通して身につける高い論理的思考力や粘り強さは、社会に出てから大きな武器となるため、学部卒にも十分に意味があります。
確かに高度な専門性が身につく理系の院卒と比べると、学部卒は専門性で劣る点は否めません。
専門性だけを切り取ると、学部卒では足りないため、学部卒では意味がないという意見が散見されます。
一方で学部での研究や授業を通して身につく論理的思考力や粘り強さは、ビジネスにも大いに役立つため、学部卒でも社会で活躍が可能です。
学部卒と院卒では同じ会社でも待遇が異なる?
学部卒であろうと、院卒であろうと入社後の待遇に違いはありません。
同じように福利厚生や会社の制度を利用できます。
一方で進むキャリアは身につけている経験や知識によりけりな部分があるため、キャリアに関しては学部卒と院卒では違うと考えてよいでしょう。
同じ大卒のため学部卒と院卒の初任給は同じ?
同じ大卒のため、学部卒と院卒の初任給は同じなのではと考える方もいるかもしれませんが、初任給は院卒の方が高くなります。
厚生労働省が発表したデータによると、学部卒の初任給が228,500円に対して、院卒の初任給は267,900円と約30,000円分、院卒の方が高くなっています。
院卒の方が初任給が高い理由は、院卒の方が持つ高いスキルや知識に見合うように給料を設定しているためです。
ほとんどの企業で学部卒と院卒では、院卒の方が初任給が高くなっています。
まとめ
理系学生にとって学部卒か、院卒かは大きな分かれ道となります。
どちらにも明確なメリットがある一方で、デメリットも確かにあるからです。
今回本記事では学部卒・院卒で就活をするメリット・デメリットの他に、学部生が就活をするポイントを解説しました。
学部卒か大学院への進学に迷われている方、学部卒を決めた方はぜひ本記事を参考にしていただければと思います。
▼あなたに合った企業の情報が届く▼
TECH OFFERで優良オファーを受け取る