忙しい理系学生が、就活と学業を両立させるには、就活スケジュールや正しい対策方法を理解する必要があります。「課題や研究に追われ、就活の時間が取れない」と焦る必要はありません。就活と学業を両立させるには、授業に合わせて課題や研究をこなすだけではなく、就活に対しても自分なりにスケジュールを立てていかなくてはいけません。
この記事では、理系学生が何が大変なのかを具体的に示し、就活と学業のバランスがなぜ重要なのかや、対策法について詳しくご紹介します。
ほんの少し気持ちの持ち方を変えるだけで、就活への取り組みが大きく変わることもあるので、両立できずに悩んでいる方はぜひ参考にしてください。
理系の就活と学業の両立、何が大変?
「理系は「就職に有利」と聞いて理系に進んだのに、就活が大変」と感じる理系学生は多くいます。就活が大変と感じる原因は、主に以下の3つにまとめられます。
- ・時間がとれない
- ・進学する人が多いため相談しにくい
- ・専門を絞りがちになる
時間がとれない
理系学生は必修科目が多く、課題もかなりの科目で課せられます。就活にも影響するGPAで良い成績を残すためには、毎日の勉強も欠かせません。3年生になってから研究室に所属すると、拘束時間もますます増えてしまいます。理系学生はそのように厳しい状況で、就活に充てる時間をねん出しなければなりません。
進学する人が多いため相談しにくい
いくら「理系は就活に有利」だからといって、1人ひとりの就活が決して楽に進むわけではありません。確かに、電子工学科とエレクトロニクスメーカーのように、専攻と就職先が結びつきやすい場合もあります。しかし、基礎研究をはじめ、専攻と直結しない学部も多くあります。その場合は自分の進路をゼロから決めなければなりません。
理系では修士課程に進む学生が多いため、学部から就活を始める学生は孤立しがちです。積極的に自分から動かなければ、情報も入ってきにくくなります。
志望企業を絞りがちになる
理系学生は、専攻と一致する業界や企業に志望先を絞りがちになる傾向が見られます。確かに専攻と一致する志望先は、自分の専門性や強みを活かせるでしょう。一方、企業が求める専門知識は、修士課程以上のものかもしれません。
企業が理系の学部生に期待するのは、後述する理系の基礎能力です。そうした理系の強みは、「文系職」ともいわれる営業などでも十分アピールできます。
志望企業を検討する場合には、あまり早い段階から志望企業・業界を絞り込んでしまわず、視野を広く持って検討しましょう。
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就活と学業の両立を目指すべき理由
日本の企業は一般的に、大学で学んだことよりも、入社後のOJT(On the Job Training=職場で行われる従業員の職場教育のこと)を重視する傾向があります。そのため、採用でそこまで重視されない学業よりも、就活を重視すべきという考え方をする学生が多数派でしょう。しかし、理系学生はできるだけ就活と学業の両立を目指すべきです。その理由は以下3点にまとめることができます。
- ・理系の強みを鍛えられる
- ・「ガクチカ」として研究内容をアピールできる
- ・学校推薦を利用できる
理系の強みを鍛えられる
企業が理系学生に期待する能力の代表的なものは、以下のようなものです。
- ・論理的思考力:入り組んだ状況を整理し、筋道立てて考える思考力
- ・課題設定力:理想的な状態になるのを妨げている要因を見つけ出し、課題として設定する能力
- ・仮説検証能力:仮説を立て、その仮説が正しいかどうか、データなどと照らし合わせながら検証する能力
- ・情報分析力:必要な情報を収集し、そこから全体的な傾向を見極めたり、今後の動きを予測するなど、次の行動に役立てる能力
学部生は、修士や博士のように完成された研究はできません。しかし、学部生としての研究プロセスで、上記の能力をしっかりと身につけましょう。その経験は、就活でも大きな強みとなります。
「ガクチカ」として研究内容をアピールできる
企業が「学生時代に力を入れたこと」を聞くのは、その学生が「自社で何ができるか」「どのような形で自社に貢献してくれるか」を知りたいからです。
理系学生の中には、ボランティアやサークル、バイトの経験が少なく、「ガクチカ」としてアピールできるような、ビジネスに直接役立ちそうな経験がないことに悩む人もいます。
しかし、理系学生がガクチカとして研究を挙げても、まったく問題ありません。
- ・研究への取り組み方
- ・思うような結果が出ない時にどうしたか
- ・成果を分析し次の研究に反映させた経験
これらは学生が今後企業の一員として、仕事にどのように取り組んでいくかの姿を浮かび上がらせます。
学校推薦を利用できる
理系学生の就活は、「自由応募」と「推薦応募」の2種類があります。
自由応募とは、学生が自分の意志で企業を選び、就活し、選考を受ける方法です。一般的な「就活」は、この自由応募を指します。
推薦応募とは、大学や専攻、研究科や研究室などの推薦を得た上で選考を受ける方法です。企業は大学や研究室などに求人を出します。企業から寄せられた求人を見て、志望する学生は、教授や研究室に希望を伝え、内部選考を受けます。内部選考を通過した学生は、大学の推薦状を添えて、企業に応募します。
学校推薦による応募は自由応募と比較すると一般的に合格率は高くなります。反面、推薦といっても100%合格が保証されているわけではありません。書類審査だけを免除する企業など、同じ推薦といっても企業によってさまざまです。
また、推薦で得た内定は基本的に辞退ができないことは理解しておきましょう。
学校推薦のスケジュールは大学によって異なるため、推薦を希望する人は、大学のキャリアセンターや教授を通してスケジュールを確認しておきます。また、専攻や研究室・大学によって推薦枠に差があります。修士進学率の高い大学には学部生向けの推薦依頼が少ないところもあるので、推薦を希望する学生は早めに情報を収集しておく必要があります。
参考:理系就活の学校推薦とは?内容からスケジュール、おすすめの人まで徹底解説
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就活と学業を両立させる3つの対策法
就活と学業を両立させるためには、就職活動全体の流れを押さえること、協力者・支援者を得ること、就活サイトをうまく味方につけることの3点が重要です。これを元に以下の3点の対策法をまとめました。
- 1.就活ロードマップを作ろう
- 2.大学を活用しよう
- 3.オファー型就活サイトを活用しよう]
1. 就活ロードマップを作ろう
ロードマップは、目標を達成するための道筋を記したものです。スケジュールが「予定」や「日程」を記入して管理するものであるのに対し、就活ロードマップは、就活の全体像を明確化するために作成します。就活における自分の目標を言語化して「ゴール」を設定し、途中の小さな目標地点を「マイルストーン」として定めます。その上で、それぞれの地点でのスケジュールを作成しましょう。
大学や専攻、志望先によってスケジュールなどは大きく変わりますが、ここではロードマップ作成の大まかな流れを説明します。
①就活の目標を定める
ここで気をつけたいのは、就活の目標を内定にしてしまうことです。もちろん内定を取ることは、重要な目標ではありますが、内定は同時に社会人としての入口でもあります。内定をゴールに据えてしまうと、目先の内定にとらわれてしまって、実際に働き始めてから「こんなはずではなかった」ということになりかねません。
大学を卒業してから、どのように働いていくのか。卒業後のキャリアプランをどのように形成していくのか。そのためにどのような企業で働きたいのか。長期的なスパンで就活を考え、自分なりの目標を立てましょう。
②全体の流れを作成する
全体を以下の5期に分けます。
- ・準備期…3年生
- ・活動前期…3年生3月~4年生7月
- ・活動後期…4年生8~9月
- ・確定期…4年生10月
- ・卒業まで…4年生3月まで
③各期の内容を記入する
各期にやるべきことや注力すること、この時期に達成することを記入していきます。
〈例〉準備期の場合
【研究】 | ・〇〇の研究を進める ・研究のプロセスで自分の武器となりそうな要素を探す |
【就活】 | ・自分の強みや能力など、自分の棚卸をする ・OB訪問 ・インターンシップ開始 |
④各期のマイルストーンを設定する
マイルストーンとは、各期で達成できる小さな目標です。達成できたかどうかを明確に評価できる目標を定めることで、予定通り就活が進んでいるか、予定を修正した方が良いかを判断できます。
⑤スケジュールを記入する
各期のやるべきことに合わせて、スケジュールが確定次第記入していきます。それに伴い、「エントリーシート作成」「志望動機作成」など、ToDoリストも記入しましょう。
ロードマップを作成することで、自分が就活全体のどの位置にいるか、どこまで達成し、何ができていないかを、いつも見える化できます。
参考:【理系就活完全スケジュール】いつから始める?研究と両立するために
2.大学を活用しよう
就活が始まったら、大学が邪魔に感じる時もあるかもしれません。しかし、大学には就活生に協力・支援してくれる人がそろっています。
具体的には、キャリアセンターの職員、研究室の指導教官、友人です。
キャリアセンターを活用する
大学のキャリアセンターは、学生の就活をサポートするスペシャリストです。キャリアセンターでは就活に役立つイベントが定期的に開催されます。また、自分と同じ専攻の卒業生の就職先や就活データもストックされています。自分の就活の方向性を見つける参考になるでしょう
個別面談やイベントなどを通して、キャリアセンターの職員と良い関係性を構築できれば、就活のプラスになります。
参考:【大学の支援を活用しよう!】就職に強い大学ランキング上位の私立大学から見る理系の就活
研究室の指導教官とも相談できる関係性を
研究室は院進が当たり前で、指導教官に就活の話がしにくいかもしれません。しかし、就活が本格化すると、研究室に行けない日も増えます。そうなってから連絡するのではなく、早い段階から就職することを伝えましょう。
就活に協力的な教官ばかりではありません。しかし、協力的ではない教官であるほど、自分が参加できない時期、研究スケジュールに穴を空ける可能性のある時期などを共有しておかないと、後で困ったことになります。なるべく相談できる関係性を構築できるようにしましょう。
就活中の友人と情報共有を
就活中のクラスメイトは、院進者の多い研究室では少数派同士、悩みや不安を共有できる貴重な友人です。思わぬ情報が入ってくる可能性もあります。日常的な会話の延長がブレーンストーミングにつながったり、就活の方向性の見直しなどの効果を生むことも。友人とのコミュニケーションは大切にしましょう。
3.オファー型就活サイトを活用しよう
就活生にとって就職情報サイトは、情報収集のツールとして欠かせないものになっています。
こうした就活サイトには、自分で業界や企業名を検索し、エントリーシートを志望する企業に提出するナビ型の就活サイトとは別に、オファー型のサイトもあります。
オファー型の就活サイトでは、あらかじめプロフィールやスキルを登録しておくと、マッチする企業からオファーが送られてきます。就活時間に制約のある理系就活生にとって、幅広い企業からオファーが得られるのは大きなメリットです。
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就活と学業は両立できる!バランス重視で進めよう
理系学生の多くは3年になると研究室に配属され、研究に多くの時間を割くようになります。就活と学業の両立に悩む人も多いでしょう。また、大学院に進学する人も多く、環境によっては周囲に相談できる人がいないという事態に陥ることもあります。
本記事では、忙しい中、就活と学業を両立させたい理系就活生に向けて、両立のための3つの対策を紹介しました。それは、就活全体の流れを押さえること、協力者・支援者を得ること、就活サイトをうまく味方につけることです。
就活全体の流れは、ロードマップを作成することで、見える化できます。本記事では、就活ロードマップの作成や大学の活用、オファー型の就活サイトの3つの活用を対策法として紹介しました。
就活と学業の両立にはバランスが求められます。つねに長期的な視点を意識し、全体を見渡しながら進めてください。