こんにちは。理系就活情報局です。
価値観が多様化している昨今、何に重きをおいて働くかは人それぞれです。
例えば、働きやすさ重視や憧れの職業で満足など、労働に対する価値観はまさに三者三様です。
一方でお金の問題は生活と切っても切れない関係にあるため、年収を気にしている方も少なくありません。
学部卒と院卒では金額がどのくらい違うのか、文系と金額の違いなど気になるポイントは多いでしょう。
そこで、今回は理系新卒の年収に着目します
データで見る理系の年収事情
理系と文系の年収差は?
大学卒業以上の学歴を持つ就業者1600人を対象に行われた「理系学部出身者と文系学部出身者の平均年収の比較調査」によると、文系出身者の平均年収は583万円・理系出身者の平均年収は681万円です。
この数字を40年間の勤続年数に基づいて生涯年収に換算してみると、文系出身者は2億3320万円・理系出身者は2億7240万円となります。
平均年収ではおおよそ100万円程度・生涯年収では約4000万円程度、理系出身者が文系出身者を上回っていることが分かります。
あくまで目安となりますが、一般的には理系出身者の方が収入面で優位な傾向があると言えるでしょう。
参考:京都大学「理系学部出身者と文系学部出身者の平均年収の比較調査の結果について」
大卒の平均年収データ
厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」によれば、20代の大卒者の平均年収は男性が311万円〜373万円・女性が300万円〜338万円です。
20代前半では男女間の差は数万円ですが、20代後半になると差は約35万円に広がります。男性の方が総合職に就く割合が高いことや、妊娠・出産によるブランクから生じていると考えられます。
参考:厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」
大学院卒(修士・博士)1年目の初任給と年収
厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査 結果の概況-新規学卒者」によると、院卒で新卒入社した場合の給与は267,900円となっています。
12ヶ月分を掛け算すると、院卒の新卒入社の年収は平均3,214,800円となります。
ボーナスやその他の手当が支給される企業もあるため、計算した金額以上になる可能性もあるでしょう。
大卒(学部卒)1年目の初任給と年収
厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査 結果の概況-新規学卒者」によると、学部卒で新卒入社した場合の給与は228,500円となっています。
12ヶ月分を掛け算すると、学部卒の新卒入社の年収は平均2,742,000円となります。
大学院卒(修士・博士)1年目の年収と比較すると、934,300円の差があることがわかります。
収入面では院卒に軍配が上がる
厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査 結果の概況-学歴別」によると、大学院を修了した人の給料は平均で464,200円・学部卒の給料は平均で362,800円となっています。
12ヶ月分を掛け算すると、院卒の年収は平均5,570,400円・学部卒の年収は4,353,600円となります。
院卒のほうが社会に出るのは遅くなりますが、年収においては学部卒と約120万円の差をつけており、収入面では院卒に軍配が上がります。
院卒と学部卒の違いとは?
求められる選考基準が異なる
院卒と学部卒の違いの1つ目は、求められる選考基準が異なることです。
企業は学部卒を採用する際、将来性を重視しています。
学部卒は通常20代前半で就職活動を行うため、企業はじっくりと成長させるための研修を重視しています。
教育の成長の可能性や、企業に貢献できる人材となる見込みがあるかどうかが重要なポイントです。
一方、大学院卒の場合は学部卒と比べて2〜5年遅れて社会に出ます。
その分、院卒は学部卒より高い専門性が求められます。企業は、院卒学生が即戦力として活躍できる人材かどうかを見ています。
実務経験を積むか専門性を高めるか
院卒と学部卒の違いの2つ目は、実務経験を積むか専門性を高めるかです。
学部卒には、院卒よりも2年早く実務経験を積むことができるメリットがあります。
年収は大学院卒の方が高いかもしれませんが、早期に就職すれば仕事のスキルを磨きながら年収アップを目指せます。
一方で、院卒は進学したことで専門性を深めています。
大学院では、学部の4年間では習得しづらい専門性やスキルを習得できます。
一部の企業では研究職・開発職・文系の法務などの特定の部署において、高い専門性を持った学生を採用したいと考えています。そのため、大学院を卒業した方が就職の有利になる場合もあります。
キャリアの選択肢が異なる
院卒と学部卒の違いの3つ目は、キャリアの選択肢が異なることです。
院卒の場合は研究を活かして専門職として働くことが一般的です。しかし、学部卒の場合は様々な部署を経験したり、管理職へ進んだりする道があります。
同じ会社でも異なるキャリアを歩むため、院卒と学部卒ではキャリアビジョンも異なります。
エントリー時には、先輩社員の声をまとめた紹介を確認したり、OB・OG訪問で入社後のキャリアについて調べるておくと良いでしょう。
給与以外の待遇はほぼ変わらない
院卒と学部卒の違いは、給与以外の待遇ではほとんど変わらないと言って良いでしょう。
同じ会社で同じ雇用形態で雇われている場合、福利厚生や労働環境に差が付くことはありません。
差が付くとすれば部署異動やキャリアステップに関わる面ですが、企業によって異なるためエントリー時に確認しておきましょう。
高収入を求めて大学院に進学するのはあり?
大学院進学には学費がかかる
学部卒と院卒の生涯年収の差は、約4,000万もあります。
生涯年収を考えると、大学院進学を検討したいと思う理系就活生の方も多いでしょう。
大学院に進学する場合、もちろん学費がかかります。国立大学の場合、入学料は約28.2万円、年間の授業料は約53.6万円で、2年間で約135万円です。
文部科学省「私立大学等の令和3年度入学者に係る学生納付金等調査結果」によれば、私立の大学院の入学料は20.3万円、年間の授業料が77.6万円、施設設備費が7.6万円で、2年間で約190万円がかかります。
私立の場合は学科によって授業料が異なります。詳細な金額は、各大学のHPを見て確認してみましょう。
目先の出費はかかりますが、私立の大学院であっても学費は190万円です。
決して安い金額ではありませんが、生涯年収4,000万の差を考慮すると、大学院に進学するのは有りと言えます。
研究と就活を両立させることが重要
理系の大学院生は、学部生と比べて就活に費やせる時間が少なく、就活を始める時期が遅れたり、インターンシップやイベントに参加する機会が少なかったりする可能性があります。
これから大学院に進学する方は、入学前に志望動機や自己PRを準備しましょう。
まだ就活準備に取りかかれていない大学院生の方は、日頃の研究や講義に取り組みながら、就活に充てる時間を増やしていってください。
就活スケジュールに注意が必要
博士課程に進まない場合、大学院の期間は2年です。
大学院に進学する場合は、1年目から就職活動をスタートしなければなりません。
研究内容も深くなる上に、就職活動も進めなくてはいけないため、大学院生のスケジュールはかなりハードになります。
大学院に進学する方は、引率の就活スケジュールを把握して、学部の内からコツコツ準備を進めておくことをおすすめします。
年収の高い企業に就職する方法
高い専門性を身につける
院卒の方が年収が高くなる理由はいたってシンプルで、専門性が高いためです。
院卒の場合、学部卒と比べて最低でも2年間は専門的な知識を身につけていきます。
院卒の場合は、研究の内容も深まり、実績も学部卒と大きく異なります。
学部卒の場合、研究室に配属されるのは4年生の1年間だけです。
一方で院卒の場合にはプラスで2年間も研究をおこなう期間があります。
院卒の人材は専門的な知識と研究経験・実績があるため、企業にとっては高い専門性を身につけた人材とみなされます。
高い専門性は給与・年収に直結するため、院卒の方が年収が高くなるという仕組みです。
早期から就活の準備を進める
年収の高い企業は、大手人気企業や専門性の高さが問われる企業です。
自ずと、年収の高い企業に入社するのは狭き道となります。
年収の高い企業に入社するためには、ほかの理系就活生よりも早い段階から就活を始めましょう。
企業からすれば、「あなたと同じくらいの大学を出た、同じくらいの専門性を持つ理系就活生」はたくさんいます。
同じレベルの理系就活生の中から頭一つ抜きん出るためには、準備を念入りにすることが大切です。
まずは就活スケジュールを始めて、目標のためにいつから行動しはじめればいいのか確認してみましょう。
逆求人型サイトを活用する
年収の高い企業に入社するためには、逆求人型サイトを活用するのもおすすめです。
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初任給で企業を選ぶ際の注意点
初任給の高さは競争率の高さ
初任給で企業を選ぶ際に注意すべきこと1つ目は、初任給の高さは競争率の高さであることです。
初任給が高いのは、企業が新卒者に対して、その給料に見合う専門性や能力を期待しているからです。高い給与に見合う人材になれるよう、努力しましょう。
高い初任給を支給する企業は、理系就活生の志望率も高くなります。
レベルの高い理系就活生と競うことを覚悟して、就活準備を念入りに行いましょう。
みなし残業代や固定残業代に注意
初任給で企業を選ぶ際に注意すべきこと2つ目は、みなし残業代や固定残業代に注意することです。
初任給が基本給であれば問題ありませんが、このような記載がない場合、諸手当が含まれている場合があります。
諸手当には、残業代や住宅手当、通勤手当などが含まれています。
特に、一定時間の残業手当が給与額に含まれている「みなし残業代」「固定残業代」には注意が必要です。
一見して額面が高くとも、手当も含めた合計の手取りでは低くなってしまうこともあります。募集要項をよく確認してみましょう。
固定残業代は、計上されている時間を超えた残業については、別途残業代として受け取れます。一方、みなし残業代を採用している場合、深夜割増や休日割増の賃金、週に40時間を超える残業を行った場合の割増賃金も支払われません。
給与が高くても、自分にあったスタイルで働けるのかはわかりません。
ワークライフバランスや体力、年齢を重ねた時のことを考えて、総合的に判断しましょう。
初任給が高い分求められるものが大きい
初任給で企業を選ぶ際に注意すべきこと3つ目は、初任給が高い分求められるものが大きいことです。
理系の場合、文系よりも初任給が高い傾向にありますが、給与に見合うスキルを求められることを忘れてはなりません。
特に、IT業界やコンサルティング業界、ベンチャー企業は初任給が高い傾向にあります。
優れた実力を持つ学生を確保する企業は、裏を返せば実力主義と言えます。
実力が認められれば、20代のうちに昇進して高収入を得ることも可能です。
収入を重視する方は、実務で役立つスキルを磨きましょう。
初任給を優先しすぎるとギャップが生まれる
初任給で企業を選ぶ際に注意すべきこと4つ目は、初任給を優先しすぎるとギャップが生まれることです。
給与の高さは就職先を選ぶ上で重視したいポイントですが、あまりに初任給ばかりを優先すると、思わぬ落とし穴にはまる可能性があります。
志望企業を選ぶ時は給与だけでなく、残業時間などの待遇・社風・昇給などの項目もしっかりチェックしましょう。
入社後にギャップを感じて3ヶ月も経たないうちに辞めてしまっては、もったいないです。
給与を含めて、総合的に「自分に合っていて、入社後も腰を据えて働けそう」と思う企業にエントリーすることをおすすめします。
関連記事:理系学生の企業選びの軸を知ろう!軸に合わせた採用活動を解説
まとめ
理系就活生は、高収入が目指せます。
就職先を検討する上で、給与は大きな判断基準の一つです。
ただし、給与ばかり見ていると、社風や残業時間など、思わぬところでギャップを感じてしまう可能性もあります。
入社後に後悔しないためにも、企業研究を念入りに行って、自分に合う企業を見つけましょう!