皆さんは、履歴書の書き方やマナーについてどの程度知っていますか。
理系新卒の就活に必要な履歴書は、アルバイトへの応募で書く履歴書とは異なり、様々なマナーや注意点が存在します。
この記事では、これから就職活動を始める人や、就職活動を始めて間もない人へ向けて、採用担当者の印象に残る履歴書のノウハウについて解説します。
履歴書を書く前に知っておこう

履歴書の作成を始める前に、まずは履歴書の基本情報について理解しておきましょう。
履歴書とエントリーシート(ES)の違い
履歴書とエントリーシートは、どちらも書類選考に必要なものですが、それぞれが異なる性質を持っています。
大まかな違いは以下の通りです。
履歴書 | エントリーシート(ES) | |
用途 | 選考・人事管理に使用 | 選考全般に使用 |
書式 | ある程度決まったフォーマットがある | 企業によってさまざま |
内容 | 自分の基本情報を書く | 自己PRの要素が強い |
上記から分かる通り、履歴書は「過去から現在まで」の事実を端的に記す公的書類です。
一方エントリーシートは、現在持っている経歴やスキルを活かして将来どのように活躍できるか、つまり「未来」に関する期待値についても書くことが可能です。
履歴書に書いた基本情報を、エントリーシートで裏付けして自己PRに繋げるのが、書類選考における基本と覚えておきましょう。
参考:理系エントリーシート(ES)の書き方保存版!必要な3つの観点について解説
履歴書には種類がある
先ほど触れたように、履歴書にはある程度決まったフォーマットがあります。JIS規格や大学指定書式、特定の記入欄が広い履歴書など、意外に種類は豊富です。
どのフォーマットを使用しても構いませんが、基本的には大学指定の履歴書や、自己PP欄が広い新卒用の履歴書をおすすめします。
なお、JIS規格の履歴書は、社会人の転職向けです。学歴・職歴欄が広く自己PR欄が狭いため、理系新卒の就活には向きません。
手書き・パソコンどっちで書く?
履歴書を手書きで書くか、パソコンで書くかについては、就活生の間で毎年議論される話題です。以前は手書きが良いとされていましたが、最近ではどちらでも構わないと考える人事担当者が増えています。
ただし、志望する業界や企業によっては注意が必要です。
歴史の長い老舗企業や古い慣習を重んじる社風の企業では、未だに手書きが好まれる傾向にあります。一方、IT業界や外資系企業であれば、パソコンで作成しても問題ありません。
なお、書道経験者など字のきれいさに自信がある人は、手書きの履歴書で良い印象を与えるのが効果的といえます。字が汚い、書きたい情報が多いなどの理由があれば、パソコンでの履歴書作成をおすすめします。
履歴書作成のルールと注意事項

実際に履歴書を書くためのルールや注意点について、項目ごとに解説していきます。
履歴書作成の基本ルール
履歴書作成には、主に以下のような基本ルールが存在します。
年月・日付記載のルール
年月・日付を記載する際は、和暦か西暦のどちらかに統一しましょう。
履歴書の日付は面接日当日、郵送の場合は投函日を記載します。
住所は省略せずに書く
履歴書は公式な書類ですから、住所の番地は省略せず「丁目、番、号」で記載します。アパートやマンションの場合、建物名までしっかり書きましょう。
例:東京都○○区○○町○丁目○番○号 ○○レジデンス203号室
メールアドレスは分かりやすいものを
メールアドレスは、自分の名前や苗字など、分かりやすい文字列を使用してください。
「kseihgs1953gsnb@~」のようなランダムな文字列のメールアドレスは、手入力する際に打ち間違いの原因となるため避けたほうが無難です。
履歴書を手書きする場合の注意事項
手書きの履歴書の基本は「ていねいに書くこと」です。書き損じが無いよう慎重に書きましょう。知っておくべきポイントは以下の通りです。
鉛筆やシャープペンシルは不可
履歴書はペンで書きます。鉛筆やシャープペンシルは使えません。消せるボールペンも、摩擦や経年劣化でインクが消える可能性があるためNGです。
使用するペンは、インクがにじまないボールペン、サインペンなどをおすすめします。
印鑑は最初に押す
印鑑は履歴書を書き始める前に押しましょう。折角書いた履歴書を、押印ミスで台無しにする事態を避けられます。なお、押印欄のない履歴書には押印不要です。
写真の裏には名前を記入
万が一写真がはがれてしまった場合に備え、写真の裏側には「大学名と名前」を記入しておきます。
修正液は使用しない
公的文書としての信用度がさがるため、履歴書に修正液は使用できません。一般的な公的文書では、訂正に「二重取り消し線と訂正印」を使用しますが、履歴書の場合は見栄えが悪くなるためNGです。書き損じた場合、面倒でも書き直しましょう。
履歴書をパソコンで作成する場合の注意事項
手書き同様、パソコンで履歴書を作成する際にもいくつか注意すべきポイントがあります。項目別に解説します。
履歴書のテンプレートを使用する
履歴書は自作のフォーマットではなく、既存の履歴書フォーマットに近いテンプレートを利用しましょう。
印刷サイズについては、特に指定がなければA4サイズ2枚(見開きでA3サイズ1枚に相当)で問題ありません。
文字サイズ・フォントを統一する
日本語と半角英数字でそれぞれで、統一したフォントを使用します。「MS明朝」や「MSゴシック」など、ビジネス文書でよく使われるフォントを使用しましょう。
文字のサイズは、氏名や住所、学歴などを大きめのサイズで指定し、その他の記入欄は少し小さめのサイズで統一します。
データ送信の場合はファイル形式やサイズに注意
完成した履歴書をデータとして送信する際は、ファイル形式やサイズに注意しましょう。Wordなどの編集可能な形式ではなく、pdf形式で送ります。
メールに添付するファイルのサイズは通常2MB程度、やむを得ない場合でも3MBを超えないようにするのが、一般的なビジネスマナーです。
受かる履歴書の書き方とコツ

書類選考でのPRはエントリーシートがメインですが、履歴書の書き方や記載内容によっても、人事担当者への好印象を与えることが可能です。書き方や作成のコツについてそれぞれ見ていきましょう。
学歴の書き方
新卒就活では、学歴は中学卒業から書き始めるのが一般的です。学校名は省略せず、正式名称を記載しましょう。
職歴は「なし」と書きます。アルバイトは職歴に入らないことを覚えておきましょう。
具体的な書き方の例は以下のとおりです。
年 | 月 | 学歴・職歴 |
学歴 | ||
平成○年 | 3月 | 東京都立○○中学校 卒業 |
平成○年 | 4月 | 東京都立○○高等学校 入学 |
平成○年 | 3月 | 東京都立○○高等学校 卒業 |
平成○年 | 4月 | ○○国立大学 工学部 電気電子工学科 入学 |
平成○年 | 3月 | ○○国立大学 工学部 電気電子工学科 卒業 |
平成○年 | 4月 | ○○大学大学院 工学部 電気システム工学専攻 入学 |
令和○年 | 3月 | ○○大学大学院 工学部 電気システム工学専攻 卒業見込み |
職歴 | ||
なし | ||
以上 | ||
休学や留学、編入などの経験がある人も、上記の欄に記載します。記載項目が多く行数が足りない場合は、高校の卒業年月から書き始めても問題ありません。
資格の書き方
資格を書く際も、学校名と同様省略せず、正式名称を記載しましょう。
例えば、自動車の運転免許の正式名称は「普通自動車第一種運転免許」です。
年 | 月 | 免許・資格 |
令和○年 | 6月 | 普通自動車第一種運転免許(AT限定)取得 |
TOEICなどの英語試験や語学関係の資格についても、同じ欄に記載します。
年 | 月 | 免許・資格 |
令和○年 | 10月 | TOEIC Listening & Reading Test 720点 取得 |
なお、履歴書のフォーマットによっては、個別にTOEICの成績記入欄が設けられている場合もあります。
卒業研究や論文発表の書き方
卒業研究や論文テーマについては、研究タイトルと2~3行の概要を記載します。参加した学会や、得られた評価などがあれば、併せて記載しておきましょう。
詳しい研究内容の説明は、エントリーシートで行います。
研究テーマが複数ある場合は、最も最近の研究、もしくは志望企業の業界・業種に関係しそうなものを選んで書きます。
書ききれなかった研究は「他何件」と記載し、エントリーシートで説明しておきましょう。
自己PRや志望動機は企業ごとに内容を変える
履歴書を作成する際は、「一履歴書、一企業」を意識しましょう。同じ内容の履歴書を複数社に送った場合、「その企業で働きたい」という熱意が伝わらない可能性が高いです。
採用担当者に響く履歴書を作成するには、自己PRや志望動機について、受ける企業ごとに併せて以下のような内容を書く必要があります。
・自分の強みは何か
・大学在籍中にどのような経験を培ったか
・入社後、自分の強みや培った経験をどのように活かすか
・その企業を志望する動機や、同業他社との違いは何か
なお、スペースの都合上、履歴書に書ける自己PRは1つから2つです。事前の企業研究や自己分析を行ったうえで、応募する企業や募集職種に合致するエピソードを選びしょう。
企業研究や自己分析の方法について知りたい人は、下記の記事もあわせて読んでおくことをおすすめします。
参考:自己流で大丈夫?理系学生向け企業研究のやり方について解説します!
参考:理系就活における自己分析方法「ライフライン分析」他4選を徹底解説!
これだけは知っておきたいポイント

履歴書の書き方やマナーについて解説しました。今回のポイントは以下の3点です。
・履歴書は自分の基本情報を書く公的書類。記載内容は省略せず正確に!
・手書き・パソコン作成どちらでもOK!ただし提出先の企業や業界は要確認
・「一履歴書、一企業」が基本!自己PRや志望動機は受ける企業ごとに考える
この記事が理系学生の皆さんにとってお役に立てば幸いです。