理系学生のなかには、
・周りで文系就職する人がいなくて不安
・理系が文系就職するのは難しいんじゃないか
と悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
私も実際にそのように悩み、文系就職を経験しました。
そこで今回は理系の文系就職について、私の実際の経験も交えて解説します。
具体的には、
・理系の文系就職事情
・理系が文系就職するメリット・デメリット
・理系が文系就職する際のポイント
・理系と相性のいい職種
このような順番でご紹介します。
理系の文系就職は決して難しくはありません。むしろ、ポイントを押さえれば文系よりも有利に就活を進められますので、ぜひ参考にしてみてください。

理系就活生の文系就職はニーズが高まっている
文系職種では、理系学生のニーズが年々高まっています。これは、あらゆる業種でIT化が進み業務が複雑化したために、多くの仕事で論理的思考力や数値処理能力が必要になったからです。
また、専門性があることも理系学生のニーズ上昇の一因となっています。技術者として仕事をするわけではないですが、その中でも技術にある程度の理解があることでスムーズに仕事をこなすことができるからです。
例えば商社では、製塩工場の開発において現地工場を作る場面や生産効率の向上を考える場面で、技術理解があることが大きなアドバンテージとなります。
実際に理系出身者が営業や企画、マーケティングの職種に就くケースも増えており、中には半数以上が理系出身者なんて企業もあります。
私が就活していた際も、商社などの文系職種で理系限定セミナーを開催している企業があるくらいでした。
このように、文系職種では「考える力」や専門性に長けた理系学生のニーズが高まっているのが現状です。
理系就活生が文系就職するメリット・デメリット

理系学生が文系就職するメリット・デメリットをそれぞれ2つずつ紹介します。
文系就職を検討する際の参考にしてください。
理系学生が文系就職する2つのメリット
理系学生が文系就職することには、企業側だけでなく学生側にもメリットがあります。
1.文系学生との差別化を図れる
2.専門性を活かせる
順番に見ていきましょう。
1.文系学生との差別化を図れる
1つ目は、文系学生と簡単に差別化できることです。文系職種は文系志望者が圧倒的に多いので、理系というだけで珍しく、印象に残りやすくなります。
採用担当者も同じ人間ですから、「理系」というステータスで多かれ少なかれ先入観を抱きます。
・論理的思考力がある
・数値処理能力がある
・PDCAサイクルを回せる
このような印象を理系学生は与えやすいといえるでしょう。
どれも社会で必要な要素ばかりです。文系と差別化できるのは、就活において大きなアドバンテージとなります。
2.専門性を活かせる
もう一つのメリットは、専門性を仕事に活かせることです。
自分の専門にあった職種に就けば、サービスや商品に対する理解が深まりやすくなり、仕事を有利に進めることができます。
予備知識がなく理解に時間のかかる文系よりも企業に重宝されることでしょう。
「専門性を活かすなら理系就職しかない」と思っている方がいるかもしれませんが、
・メーカーの営業職や企画職
・ITコンサルタント
などの文系職種でも理系の専門性を存分に活かすことができますよ。
専門性があるということは、就活においても、仕事をする上でも大きなアドバンテージとなります。
理系学生が文系就職する2つのデメリット
理系学生が文系就職しても不利になることは基本的にありません。
ただし、2つほど注意しなければならない点があります。
1.就活と研究の両立が難しい
2.文系学生との情報格差
順番に見ていきましょう。
1.就活と研究の両立が難しい
1つ目は、就活と研究の両立が難しいことです。
理系は就活時期に卒業研究を並行して行っていることがほとんどで、就活に時間を割くのが難しいケースが多々あります。
加えて、文系就職は理系就職に比べて時間がかかります。一般的に理系職種は選考ステップが1~2選考なのに比べ、文系職種は4~5選考まで設けられているケースが多くあるためです。
そのため、理系学生は準備不足に陥りがちです。
一方で、文系学生はインターンシップなどで日常的に企業での自己鍛錬を行っていたり、職種理解のために専用の勉強をしていたりと就職準備に注力しています。
こういった取り組みの差から、考える力や専門性が強みの理系でも、応募職種に応じた職種理解と求められるマインドや姿勢の理解が足りずに能力はあるのに落選してしまうといったことがあります。
そうならないために、
・就活コミュニティを活用する
・合同説明会や合同選考会を活用する
など、効率的に就活を進める工夫が必要です。
私の場合はコミュニティの利用はもちろんのこと、教授に相談をして就活を優先させていただきました。教授が対応してくれそうなら、こういった相談をしてみるのも有効でしょう。
2.文系学生との情報格差
2つ目は、文系学生に比べて情報が入って来づらいことです。
理系学生のなかで文系就職するというのは少数派。そのため、周りに同じ状況の仲間が少なく、情報が入って来づらいです。
私が就活する際も、周りはほとんどが進学か理系就職で、情報がほとんど入ってこない状況でした。
就活は情報戦です。
・どんな企業があるのか
・企業の強みは何か
・筆記試験や面接試験の内容
など、情報をどれだけ知っているかが準備の質や内定確率のアップに繋がります。
そのため、
・同じ境遇の仲間を作る
・OB訪問を活用する
など、自分から情報を取りに行く工夫が必要です。
私は特に、OB訪問を利用して内定した先輩方から情報を集めていました。文系職種は縦のコネクションも重要なので、非常にオススメのやり方です。
理系就活生が文系就職するときの4つのポイント

理系学生はポイントさえしっかり抑えれば、文系よりも有利に就活を進めることができます。
1.理系学生の強みをアピールする
2.「理系なのになぜ文系就職するのか」を明確にしておく
3.研究内容などはわかりやすく噛み砕いて説明する
4.効率よく就活を進める工夫をする
順番に見ていきましょう。
1.理系学生の強みをアピールする
文系就職だからといって、文系と同じ土俵で戦う必要はありません。文系的なアプローチではなく、理系ならではの強みをアピールして差別化を図りましょう。
具体的には、
・論理的思考力がある
・数値処理能力がある
・専門性がある
などが挙げられます。
研究など自身の経験と絡めてアピールできれば、採用側もしっかりと評価してくれます。
私も熱意や人柄、コミュニケーション能力といった文系的なアプローチではなく、理系的な素養をアピールすることで内定を勝ち取ることができました。
2.「理系なのになぜ文系就職するのか」を明確にしておく
理系学生は文系就職の際に「なぜ文系就職するのか」とよく質問されます。
これは「理系がだめだったから文系就職するのではないか」といった後ろ向きな気持ちを確認する意味合いも含まれています。
自身が前向きな気持ちで選考に臨んでいることを示すためにも、「なぜ文系就職するのか」を明確にしておきましょう。
「なぜ文系就職するのか」は志望動機とほとんど同じなので、自己分析・企業分析をしっかり進めることが重要です。
また、職種への理解を深め、自身が実際に働く姿を想像できるようにしましょう。
3.研究内容などはわかりやすく噛み砕いて説明する
理系の学生は研究内容を聞かれる場合がほとんどです。
しかし、これは研究内容に興味があって聞いているのではなく、「難しい内容でも知らない相手が理解できるように伝えられるか」ここを試すために聞いています。
そのため、専門用語や横文字だらけの自分が知るままを伝えるのではなく、簡単に噛み砕いて説明するようにしましょう。
加えて、研究課程で応募する職種に活用できそうな能力があればPRしましょう。
例えば、コンサルタントの業務ではデータ解析や数理モデルの作成、シミュレーション能力などが重要視されており、実際にこういった能力に長けた人材を多く採用しています。
また、その他のコミュニケーションの場面でも専門用語や横文字には注意が必要です。理系学生はそういった傾向が強いように感じます。
私もグループディスカッションの場面で横文字を使ったばっかりに、議論を中断させてしまうといったことが実際にありました。
自分だけでなく周りにも迷惑をかけてしまうことになるので、注意しましょう。
4.効率よく就活を進める工夫をする
理系が文系就職するデメリットでもお話しましたが、理系が文系就職するとなると圧倒的に時間が足りません。そのため、効率よく就活を進める工夫が必要になります。
具体的には、
・就活コミュニティを活用して情報を集める
・合同説明会、合同選考会など短時間で業界、企業研究が進められるイベントを活用する
・先輩内定者やOBに話を聞く
私は、就活コミュニティやOB訪問の活用はもちろん、理系限定のセミナーを利用して企業理解を深めました。
大企業になるとセミナーの倍率が高くて参加できないなんてこともあるので、参考にしていただければと思います。
準備不足によって面接の際に論理だてた回答ができないと、せっかくの「考える力」も評価してもらえません。効率よく就活を進められよう努力しましょう。
理系就活生と相性のいい文系職種3選

理系学生は文系職種に有利だと説明してきましたが、文系職種ならなんでもいいのかというとそうではありません。
そこで理系学生と相性のいい文系業界や職種を3つほど紹介します。
・メーカー
・金融業界
・コンサルタント
順番に見ていきましょう。
メーカー
メーカーや商社、IT企業などは理系学生が営業や企画職などで活躍している業界です。
いずれも専門知識を活かして、文系出身者にはできないより深い取引とコミュニケーションが評価されています。
製品やサービスに対する理解が深いので、ただ売るのではなく、顧客に合わせてオリジナルの商品やサービスを提供できます。
また、技術営業職については、技術を理解したうえで顧客の課題や悩みに対する技術提案やアドバイスができるのも理系として評価されている要因です。
金融業界
金融業界も理系学生が活躍できる業界です。銀行をはじめ多くの企業では、顧客情報などの膨大な量のデータを扱います。
そしてそれらをもとに新しい施策や商品を考えていくわけですが、そこには数値処理能力が求められます。そのためデータ分析や統計学に長けた理系学生が評価されるのです。
また、業界のIT化が進んでいることも理系が活躍できる要因の1つでしょう。
コンサルタント
コンサルタントも理系学生が活躍できる職種です。顧客の課題を解決するのがコンサルタントの仕事ですが、課題の整理・分析から問題点を洗い出し、解決策を提示するという仕事のプロセスが理系が経験してきた研究のプロセスと似ていることから、仕事にマッチしやすいです。
経営の知識がなくとも、課題に対する解決策を考える力さえあれば成果をあげることができるでしょう。
また、コンサルタントは合理的な成果主義の風土が強く、成果に一直線に進むことができる理系にとっては最適な環境です。
これだけは知っておきたいポイント(まとめ)
今回は、理系の文系就職事情についてご紹介しました。
①理系学生のニーズが高まっているので、文系就職は難しくない。
②研究と就活の両立が難しいので、コミュニティを利用するなど効率のよい就活が必要。
③考える力や専門性、理系の能力をアピールすると、文系よりも有利に就活を進められる。
以上のことを踏まえて、理系だから理系就職と視野を狭めずに、文系就職も検討してもらえればと思います。
ぜひ参考にしてみてください!
ライター・スガワラ
理学系からIT系メディアに就職。就活では、金融や商社、IT系メガベンチャーなど様々な文系職種を経験。実際の経験をもとに、わかりやすい記事を提供します。