面接で他社の選考状況を聞かれたら、事実を簡潔に伝えましょう。選考中の社数や業界、選考段階に加え、共通する就活の軸も説明します。
具体的な企業名は、必ずしも答える必要はありません。また、第一志望でないにもかかわらず「第一志望です」と言い切るのは避けるべきです。
本記事では、企業が他社の選考状況を聞く理由や回答する際の7つのコツを解説します。選考中の企業がない場合や内定を得ている場合など、状況別の回答例も紹介するため、面接前の回答準備に役立ててください。
企業が他社の選考状況を聞くのはなぜ?

志望度の高さを知るため
企業が新卒採用において、できるだけ避けたいのが内定辞退です。
企業としては志望度の低い学生=内定辞退が発生しそうな学生はできるだけ、次のステップへ進んで欲しくないのが本音になります。
他社との選考状況を学生へ聞くことで、自社への志望度の高さをチェックしています。
内定辞退を避けたい理由はさまざまですが、代表的な理由がコストの未回収です。
新卒採用には面接官の時間的コストや就活サイトの利用料、会場費用などさまざまなコストがかかっており、決して安くはありません。
内定辞退が発生すると、これまでかけてきたコストが回収できなくなります。
就活の軸を確認するため
面接した理系就活生の就きたい職種が明確な場合にも、他社の選考状況を聞くことがあります。
理由としては、「どれだけその職種に就きたいと思っているのか」を知りたいと考えているからです。
例えば、面接でSEになりたいと学生が語っていたとしましょう。
他にどのような企業を受けているのか聞いた際に、IT系以外が回答されたとします。
企業側としては、本当に学生がSEになりたいのか疑問に思うでしょう。
希望の職種に就きたいのかなど、就活の方向性を確認するためにも企業は学生に他社との選考状況を聞きます。
他社からの評価やスケジュールを確認するため
選考過程において、自社の下す評価が正しいのかは、どの企業も気になる部分です。
選考を合格・不合格にしようとしている学生が、他社ではどのように評価されるのかは気になる部分でしょう。
面接時に他社との選考状況を聞くのは、他社からの評価を確認する側面もあります。
選考を合格させようとしている学生が、他社の選考も進んでいれば、選考の判断が間違っていないと確信できる要素の1つになります。
「学生に対して、自社以外がどのような評価を下しているか」は、どの企業も気になるポイントです。
その学生を採用したい度合いによっては、他社の選考スケジュールを把握することで、対応を考える場合もあります。
面接で「他社の選考状況」を聞かれた際の7つの回答のコツ

面接で「他社の選考状況」を聞かれて回答する際は、次の7点を意識しましょう。
- ・嘘はつかずに正直に答える
- ・回答に一貫性を持たせる
- ・応募先への志望度を具体的に伝える
- ・不採用になった企業には触れない
- ・具体的な企業名は伝えない
- ・差別化できるポイントを探しておく
- ・内定が出ている場合は保留期間を伝える
嘘はつかずに正直に答える
現在進んでいる企業の選考状況については、正直に答えましょう。
企業が他社の選考状況を聞くのは、学生がどのように評価されているかを知りたがっているからです。
「自分を大きく見せたい・良く見せたい」という気持ちから、他社との選考状況を偽ると、誤った評価につながる可能性もあります。
入社後のミスマッチを避けるためにも、事実と異なる説明は控えましょう。
回答に一貫性を持たせる
具体的に企業名を答える際には、一貫性を考慮することが大切です。
業界や職種が異なる企業の名前を挙げた場合、伝え方によっては「手当たり次第に受けているのではないか」と思われてしまう可能性があります。
すべてを答える必要はありませんので、同業他社に絞って回答するか、複数の業種を目指している理由を明確に述べましょう。
応募先への志望度を具体的に伝える
企業は他社の選考状況を通じて、応募者の志望度を確認することがあります。応募先が第一志望であれば、その旨と理由を具体的に伝えましょう。
一方、まだ複数社を比較している場合は、事実と異なる「第一志望です」と言い切る必要はありません。「第一志望群の一社です」と正直に伝えたうえで、仕事内容・配属・研究環境など、特に魅力を感じている点を説明すると納得感が高まります。
不採用になった企業には触れない
不採用になった企業は、現在の選考状況を答える際に自分から挙げる必要はありません。面接官が知りたいのは、基本的に現在進んでいる選考の状況だからです。
ただし、過去の選考結果を直接聞かれた場合は、事実を簡潔に答えたうえで振り返りや改善した点を添えましょう。選考結果を隠すのではなく、質問された範囲に正直に答えることが大切です。
具体的な企業名は伝えない
他社の選考状況について尋ねられた場合、具体的な企業名は言わなくても問題ありません。
回答する際は、「◎◎業界で3社と選考中です」と、業界と企業の数を端的に述べましょう。
頻度は高くありませんが、企業によっては、他社名を詳しく尋ねられることもあります。
回答する際は、競合企業であっても隠す必要はありませんので、正直に答えましょう。
差別化できるポイントを探しておく
他社の選考状況を答える際は、面接中の企業と他社との違いを説明できるようにしておきましょう。「社風に魅力を感じた」だけでは、他社にも当てはまる回答になりやすいためです。
理系学生の場合は、仕事内容だけでなく、次のような項目を確認すると企業ごとの違いを具体的に説明できます。
- ・研究テーマの決まり方
- ・研究設備や開発環境
- ・配属職種や勤務地の決まり方
- ・大学院での専攻と業務の関係
- ・若手が担当できる業務範囲
- ・技術者のキャリアパス
「若手が研究テーマの企画段階から関われる」「専攻を活かせる配属先がある」など、企業研究で確認した事実と自分の就活の軸を結び付けましょう。
内定が出ている場合は保留期間を伝える
他社ですでに内定をもらっている場合、内定を隠す必要はなく、保留期間もあわせて伝えます。
企業側が選考スケジュールを調整する可能性もあるため、内定の情報と保留期間の正確な情報を伝えることが大切です。
内定を隠す必要はない一方で、内定が出た企業よりも志望度が高いことや熱意をしっかりと伝えることは重要です。採用担当者の印象も良くなり、入社意欲があることをアピールできます。
面接で「他社の選考状況」を聞かれた時の回答例

面接で「他社の選考状況」を聞かれた際は、以下の状況に応じて適切に回答しましょう。
| 現在の状況 | 回答のポイント | 主に伝える内容 |
| 他社の選考がない | 応募先を選んだ理由を示す | 就活の軸、企業研究で感じた魅力 |
| 複数社で選考中 | 選考状況と一貫性を示す | 業界、社数、選考段階、共通する軸 |
| 他社から内定を得ている | 内定を隠さず期限も伝える | 内定の有無、回答期限、応募先への志望度 |
| 業界や職種が異なる | 共通する就活の軸を示す | 各社に応募した共通の理由 |
| 他社で不採用になった | 聞かれた場合のみ簡潔に答える | 事実、振り返り、改善した内容 |
他社の選考がない場合
他社の選考がない状態で「他社の選考状況」を聞かれた場合、シンプルに第一志望であることを伝えます。
「他の企業を受けていないことを、企業側に不安視されるのでは?」と考えてしまう方もいるかもしれません。
ですが、企業研究を十分にしたうえで応募している点を伝えれば、マイナスな印象は与えません。
反対に、面接を受けている企業に注力していることを伝えれば、志望度の高さが伝わります。
回答例は以下のとおりです。
「現在、選考が進んでいるのは御社のみです。私は、研究活動で培った粘り強さや仮説検証を繰り返す力を活かせる環境を軸に企業を選んでいます。
御社については、〇〇という事業領域と、△△職で専門性を活かせる点に魅力を感じており、現在は御社の選考に集中しています。」
複数企業で選考中の場合
複数の企業で選考が進んでいる場合「他社の選考状況」を聞かれた場合、以下の2点に注意しながら複数の企業で選考中であることを伝えます。
- ・面接中の企業に対する志望度の高さを表現すること
- ・応募している企業に一貫性を持たせること
「他の企業を受けていると、悪い印象を持たれないか」と不安に思う方もいますが、
複数の企業を受けることは企業側も織り込み済みです。
現在の状況を正直に伝えつつ、志望度が高いことと応募中の企業に一貫性があることを伝えます。
回答例は以下のとおりであり、具体的な企業名を伝える必要はありません。
「現在は化学・素材業界の3社で選考が進んでおり、1社は二次面接です。いずれも、大学院で学んだ有機合成の知識を活かし、研究開発に携われることを軸に選んでいます。
その中でも御社には、〇〇という研究領域と、△△の開発体制に特に魅力を感じており、志望度の高い企業として選考に臨んでいます。」
他社から内定をもらっている場合
他社から内定をもらっている状態で「他社の選考状況」を聞かれた場合、内定を得ていることを隠す必要はなく、状況を正直に伝えます。
すでに内定を獲得している事実はプラスに働く一方で、企業が恐れている「内定・選考辞退」の可能性を払拭する必要があります。
現在の状況を正直に伝えつつ、面接中の企業が第一志望であることを伝えましょう。
回答例は以下のとおりです。
「現在、同業の1社から内定をいただいており、回答期限は〇月〇日です。
御社は、〇〇の研究環境と△△の業務に魅力を感じている志望度の高い企業です。選考結果を踏まえ、期限までに誠実に判断したいと考えています。」
選考中企業に一貫性がない場合
選考中の企業に一貫性がない状態で「他社の選考状況」を聞かれた場合、就活の軸に沿って応募していることをアピールします。
異なる業界や職種に応募しても、就活の軸に一貫性があれば問題になりませんが、手当たり次第な印象を与えないようにしましょう。
業界や職種という軸ではなく、応募した企業をなぜ選んだのかを説明できるようにします。
回答例は以下のとおりです。
現在は機械メーカーとIT企業の選考を受けています。業界は異なりますが、いずれも「技術を用いて生活上の課題を解決する仕事」という軸で選んでいます。
御社については、〇〇の技術を用いて△△の課題解決に取り組んでいる点に魅力を感じています。」
他社の選考で落ちてしまった場合
他社の選考で落ちた状態で「他社の選考状況」を聞かれた場合、基本的に落ちた企業には触れずに、現在の状況だけを伝えるようにしましょう。
企業側が知りたいのは「進行中の選考状況」であり、落ちた企業は影響しないため、触れる必要はありません。
紹介してきた回答例を参考に、現在の状況を伝えるようにしましょう。
一方で、他社の選考で落ちたことを逆手に取ることにより、プラスの印象を与える方法もあります。
選考に落ちた結果から「何を学び、どう切り替えたか」という前向きな姿勢を示すことで、ポジティブな人柄との印象を与えられます。
他社の選考に落ちたことを逆手に取る回答例は、以下のとおりです。
「過去に数社の選考を受け、ご縁に至らなかった企業もあります。
その経験を振り返り、志望動機が抽象的だった点を改善し、企業ごとの事業や仕事内容と自分の経験との接点を具体的に説明できるよう準備しました。
現在は〇〇という就活の軸を重視しており、御社の△△に特に魅力を感じています。」
「他社の選考状況」を聞かれた後に想定される質問と回答例

「他社の選考状況」を聞かれた後に想定される質問は、以下のとおりです。
- ・第一志望はどこですか?
- ・どのような軸で応募企業を選定していますか?
- ・具体的な企業名を教えていただけますか?
- ・内定を出したら入社いただけますか?
本章では想定される質問への回答のポイントと回答例を紹介します。
理系就活でよくある質問と回答方法について知りたい方は、以下のを参考にしてください。
第一志望はどこですか?
質問の意図は「入社への熱意を確かめる」ことであり、シンプルに第一志望な点と理由を伝えましょう。
第一志望の根拠を併せて伝えることにより、熱意に信憑性が生まれます。
複数の企業で選考中の方や内定を保持している方に、質問されるケースが多いため、該当の状況に当てはまる方は準備が必要です。
回答例は以下のとおりです。
【第一志望が決まっている場合】
「第一志望は御社です。大学院で取り組んだ〇〇の知識を活かせることに加え、若手のうちから△△に関われる点に魅力を感じています。」
【複数社を比較している場合】
「現時点では複数社を比較していますが、御社は第一志望群の一社です。特に〇〇の研究環境と△△の業務に魅力を感じており、選考を通じて理解をさらに深めたいと考えています。」
どのような軸で応募企業を選定していますか?
質問の意図は「企業選びの基準を確かめる」ことであり、自身の価値観や将来のキャリア像に基づいて、企業選びをしていることを説明します。
面接中の企業が、最も就活の軸に合致している点を説明できると、より良い印象を与えられます。
応募中・選考中の企業に一貫性が見られない場合やミスマッチを懸念した際に、よくされる質問です。
回答例は以下のとおりです。
「私は、大学で培ったスキルや知識を活かせること、成長できる環境を軸に企業選びをしています。
御社の事業内容や社風は、私が据えた就活の軸に最も合致しており、理想的な環境であると考えております。」
具体的な企業名を教えていただけますか?
質問の意図は「企業選びの基準を確かめる」「単純な興味」などさまざまですが、基本的には企業名を答える必要はありません。
具体的な企業名を出すと、差別化のポイントを具体的に答える必要性が出てくるため、さらに深掘りされるリスクがあります。
回答例に示すとおり、業界や規模感をぼかしつつ、企業選びにブレがないことを回答しましょう。
回答例は以下のとおりです。
「御社と同様のIT業界の企業を受けております。
大学で培ったスキルや知識を活かせること、成長できる環境を軸に企業選びをしています。」
内定を出したら入社いただけますか?
質問の意図は「内定辞退の可能性」「入社への熱意を確かめる」などであり、第一志望であれば、入社する旨をシンプルに伝えます。
一方で選考中の結果も踏まえて判断したい場合は、安易な回答を避けて、現在の状況をありのまま説明します。
説明の際には、志望度が高いことを伝えることも忘れないようにしましょう。
内定辞退の可能性を感じさせると、基本的に評価は下がります。
回答例は以下のとおりです。
「はい、御社から内定をいただけましたら、喜んで入社いたします。」
「他社の選考結果も確認したうえで最終判断をしたいと考えていますが、御社は志望度の高い企業です。」
面接前に整理したい「他社の選考状況」の回答準備シート

他社の選考状況について質問された際に回答がぶれないよう、面接前に自分の状況を整理しておきましょう。
次の項目を事前に書き出しておくと、企業名や第一志望について深掘りされた場合にも、落ち着いて答えやすくなります。
| 確認項目 | 整理する内容 |
| 選考中の業界・企業数 | どの業界で何社の選考が進んでいるか |
| 各社の選考段階 | 書類選考、一次面接、最終面接など |
| 内定の有無と回答期限 | 内定を得ている企業と回答期限の日付 |
| 就活の軸 | 各社に応募した共通の理由 |
| 応募先独自の魅力 | 他社ではなく面接中の企業に魅力を感じる点 |
| 企業名の開示方針 | 企業名を聞かれた場合に答えるか |
| 現在の志望度 | 第一志望、第一志望群、比較中のいずれか |
なお、すべての回答を暗記する必要はありません。「現在の状況」「就活の軸」「応募先に感じている魅力」の3点を、一貫して説明できる状態を目指しましょう。
「他社の選考状況」に関するよくある質問

選考中の企業数が少ないと評価は下がりますか?
選考中の企業数が少ない場合でも、評価が下がることは基本的にありません。
選考中の企業が少ないことを質問された場合は、選考中の企業を優先している旨を伝え、計画的に就活を進めていることをアピールします。
嘘でも「第一志望」と伝えたほうが良いですか?
本当に「第一志望」でない場合は、「第一志望群・第一志望のグループ」であると回答しましょう。
確かに「第一志望」と伝えた方が企業側の評価が高くなります。
ですが、面接ではさまざまなことを深掘りされるため、真に「第一志望」でないことが露見するリスクは少なくありません。
嘘で信頼を損ねるよりも、「第一志望群・第一志望のグループ」と答えた方が誠実な印象を与えられます。
同業他社を受けているとマイナスになりますか?
同業他社を受けていても、基本的に評価がマイナスになることはありません。
面接では同業他社ではなく、自社を志望する理由を問われるため、回答できるように準備は必要です。
何社まで答えるのが良いですか?
選考中の企業数を偽る必要はありません。まずは「現在〇社で選考中です」と事実を簡潔に伝えましょう。
詳細を求められた場合は、応募先と共通点のある2〜3社を中心に、業界・職種・選考段階を説明すると伝わりやすくなります。
10社以上の選考が同時に進んでいる場合も、「研究開発職を中心に受けている」など、各社に共通する就活の軸を補足することが大切です。
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面接は選考のカギを握るため、学生同士の模擬面接やAIとの壁打ちなどで、対策をしているでしょう。
面接対策において場数を踏むことは重要ですが、第三者からフィードバックを受ける方法もあります。
元人事担当者やキャリアコンサルタントなど、プロの視点を持つ方に指導してもらうことには、以下のメリットがあります。
- ・自分では気づけない癖の指摘など客観的なフィードバックが得られる
- ・実践形式で受け答えを確認できる
- ・企業の求める人物像にマッチするような回答に改善してもらえる
プロの指導を受ける機会はさまざまありますが、理系学生であれば『TECH OFFER』の面接対策セミナーがおすすめです。
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理系学生としてアピールすべき部分、反対に苦手とされる質問への対応など、面接対策を広くサポートしており、実戦での対応力アップが期待できます。
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まとめ
今回は他社の選考状況を面接で聞かれる理由と答え方を解説しました。
今回解説した内容をまとめると以下のとおりです。
- ・他社の選考状況を聞くのは、就活の一貫性と志望度の高さを知るため
- ・他社の選考状況を回答する際は、入社への熱意があることも伝える
- ・選考状況や内定の獲得状況で回答の仕方が変わる
面接では答えづらい質問がいくつかあり、他社の選考状況も答えにくい質問の一つです。
難しい質問ですが、ぜひ本記事を参考に他社の選考状況を伝えつつ、良い印象を与えられる回答をしていただければと思います。

