こんにちは。理系就活情報局です。
皆さんは、企業側から後付け推薦を求められたことはあるでしょうか?
就活を進めると、周囲の経験談から聞く機会も増えてくる後付け推薦。いざ当事者になると、どう対処して良いか分からないものです。企業側が後付け推薦を求める理由などを理解したうえで、適切な対処を覚えておきましょう。
今回は「企業から後付け推薦を求められた際の対処から、後付け推薦以外のオワハラ例」まで解説します。
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後付け推薦とは
後付け推薦はオワハラ?
後付け推薦とは、企業が内々定を控えたタイミングで、就活生に大学や教授からの推薦状を求める指示を出すことです。
通常であれば、選考開始時に出す推薦状を後付けで出すことから、「後付け推薦」と呼ばれています。
本来、推薦状とは優秀な学生であるというお墨付きを企業側に伝えるものですが、「後付け推薦」の場合は、「内々定の直前で推薦状を出させることで、内々定を辞退しづらくさせる」という側面があります。
後付け推薦で、企業はほかの企業に奪われることなく学生を囲い込もうとしています。
「後付け推薦は、オワハラだ」という意見を聞いたことがある方もいるでしょう。
オワハラとは、企業が内々定や内定を出した学生に対して、就職活動を終えるように迫る「就活終われハラスメント」の略称です。
企業が人材確保を優先するあまり、就活生に職業選択の自由を妨げる行動を取るのは、オワハラです。
後付け推薦には、暗に「内定が欲しいのなら、推薦状を当社に出してください」「最終面接に進みたいのならば、推薦状を出してください」というメッセージが込められているため、本当に推薦状を提出するかは慎重に判断しましょう。
後付け推薦の辞退はできる?
内々定後に推薦状を提出した後でも、内定辞退は可能です。
一方で、辞退することで推薦状を発行してくれた大学や指導教官に迷惑がかかる恐れもあります。
提出先が第一志望であれば問題ありませんが、志望企業がほかにある場合は一旦提出を待ち、時間を設けて辞退を決断することが良策だと言えます。その結果、推薦状提出後に内定を辞退したい場合は、次の章を参考に対処しましょう。
推薦状を出さないと明言している大学も
中には、推薦状を出さないと明言している大学もあります。
立教大学キャリアセンターは、X(Twitter)で、
※企業のみなさまへ「やめてください」
選考時や内々定後、学生に #推薦状 提出を求める企業様がありますが、本学では推薦状は発行しておりません(一部理系推薦除く)。
「内々定辞退の抑止力」として推薦状を求めている場合には別の方法をご検討ください。学生・教員の大きな負担となっています。
と投稿しています。
この投稿は1,300以上のリポスト、140件以上の引用、2,400件以上のいいねという大きな反響を受けています。
引用でも同意を示す投稿や、「実際に困った」という経験者の声も寄せられており、現代の就活で後付け推薦が大きな問題だとわかります。
文部科学省もオワハラを問題視している
文部科学省も現状を問題視しており、「オワハラ防止に関する取組状況等について」という資料を作成して、オワハラの周知に取り組んでいます。
この資料の中で、文部科学省はオワハラの具体例として以下を挙げています。
・面接担当者の目の前で、他社に就職活動の辞退を電話させたり、メールを送るよう強要された。
・内定を受諾する書類の提出を求められ、すぐに提出しないと内々定を取り消すと言われた。
・内々定後に学生の意志に反して学校からの推薦書を正式な内定日より前に求められた。
・内々定後、懇親会や研修会などが頻繁に開催され、必ず出席するよう求められた。
内定と引き換えに自分の将来を狭められたと感じた時は、すぐに返事をせず「これってオワハラでは?」と立ち止まってみましょう。
引用:文部科学省「オワハラ防止に関する取組状況等について」
企業が後付け推薦を求める理由
優秀な学生を確実に確保したい
企業側が後付け推薦を求める理由は、優秀な学生を確実に確保したいからです。
近年、就活は早期内定化が進んでいます。
同業他社よりも先に優秀な学生を確保するために、インターンや選考日程を早める企業も少なくありません。
優秀な学生は複数の企業から内定をもらうことが予想されるため、後付け推薦で学生を確保しようと考える企業がいます。
内定に法的な拘束力がない
企業側が後付け推薦を求める理由は、内定に法的な拘束力がないからです。
企業側は内々定・内定を出しても、入社を強制できません。
企業は、優秀な人材の辞退を防ぐ目的で、後付け推薦を求める傾向にあります。大学と就活生、企業との約束の意味で学校推薦を活用しているということです。
企業は優秀な人材を確保するため、数ヶ月〜長ければ数年単位で採用の準備を行なっています。その上で選考を重ねて内々定をだしますのですが、就活生の辞退が多いことが採用活動における課題のひとつであり、採用コストにも影響を及ぼす問題となっているのです。
この課題への対処として、大学との繋がりを活用し入社の確約を取り付けることを目的に、後付け推薦を求める企業が増えています。特に中小・地場の企業であれば、内定辞退の際の損失影響も見過ごせないでしょう。
就活生は現状を理解し、そのうえで毅然とした対処の方法を覚えておく必要があるでしょう。
就活生の志望度に不安がある
就活生側の進路が曖昧であることが、後付け推薦に繋がる原因となっている場合もあります。
極端に例えるならば、面接時に「併願している企業はありますか?」という質問に「5社あります。」と回答するのと「御社1社志望で進めています」と回答するのとでは大きく
企業の対応は異なるはず。前者の回答であれば、後付け推薦を求められる確率が必然的に高くなります。
本当に第一志望に近い企業であれば、はっきりと入社を希望している旨を伝えることが大切です。
後付け推薦を求められるのは、就活生の入社が確定しない不安定な状況が根本の原因となっています。就活生側も、後付け推薦を求められることがないよう意思表示をして、未然に防ぎたいところです。
後付け推薦の何が問題?何がずるい?
企業側の都合優先で学生側にメリットがない
Labobaseによるアンケート結果では、就活生の78.2%が後付け推薦を知っていました。
中には、後付け推薦によってデメリットを被ったという声も挙がっています。
・他にもみたい企業があったが、その企業の選考が終わる前に内定先から後付け推薦を求められ断りきれず内定先に就職していた。
こうした事例からもわかるように、後付け推薦は企業側の「学生を確保したい」という都合が優先で、学生側にとってはメリットがないと言えるでしょう。
引用:「後付け推薦」に戸惑う理系生たちーーアンケートから見る理系就活|LabBase
就活の選択肢が狭まる
後付け推薦を求められた場合、一番挙がるのは、「内定をもらった複数の企業を比較したいのに、現時点で自分の将来を決めなければならない」という悩みです。
後付け推薦を求められたのが第一志望の企業であれば、納得して推薦状を出すのも一つの道です。ですが、ほかに志望企業がある場合は、「いまここで決めてもいいんだろうか」と悩むことになるでしょう。
自分が働きたい企業の選択肢が狭まってしまうのは、就活生にとって大きな損失です。
内定を担保に辞退しづらくなる
後付け推薦には法的な拘束力はありませんが、内定をもらった場合、「推薦状を出してしまったから断りにくい」と感じる理系就活生も多いでしょう。
「将来と引き換えに、企業から入社を強要されている」ことが、後付け推薦を「ずるい」と感じる理由であり、問題点となっています。
断ると大学や後輩に迷惑がかかるという心理的なハードル
推薦状を提出した後に辞退したい場合、気がかりなのは「大学や指導教授に申し訳ない上に、今後自分の大学からその企業に就職できる後輩がいなくなってしまうのでは……」ということです。
企業は大学に対して推薦枠を確保している場合もあり、推薦状を提出した後に辞退すると採用枠を減らされる可能性があります。
信頼を損ねれば、企業側が今後は推薦を受けないなどの処置をとる場合もあり、大学側が損失を被ることになります。
そうした心理的なハードルが、後付け推薦が理系就活生の負担の一因です。
後付け推薦でも合格率は100%にはならない
後からの推薦状を提出することで内定もしくは内々定を得られると思われがちですが、後付け推薦には「将来の選択肢が狭まる」「推薦状を出した後の内定辞退は迷惑がかかるのでは」といった心理的負担が大きいにもかかわらず、合格率は100%にはなりません。
企業の中には、より優秀な学生を採用するために、推薦状を提出した学生を落とすこともあります。
推薦状はあくまで大学からの書状であり、内定確約の書類ではないことを留意しておきましょう。
後付け推薦を求められた時の対処法
キャリアセンターに相談する
後付け推薦を求められたら、まずは大学に相談してみましょう。
具体的な相談場所としては、大学のキャリアセンターやゼミの教授などがおすすめです。
他の学生で同様のケースがあるか把握できたり、大学側の見解を参考にしたりできるため、就活における専門知識をもつ人への相談が良いでしょう。
後付け推薦に対する対処方針や考え方は、各大学によって異なります。
「推薦状を出したなら入社すべき」という大学もあれば、「推薦状提出後も辞退して問題ない」と考える大学もあります。
大学側のアドバイスは絶対ではないことを念頭において、最終的には自分でよく考えたうえで、対処方法を決定することが大切です。
企業への返信期限を延長する
企業への返答期限を延長することも、後付け推薦への有効な対処法です。
後付け推薦の打診があった場合は、「他にも気になる業界の企業があり、その選考結果を待ちたい」など、企業側が納得する理由を伝え返答期限の延長を打診してみてください。
企業側としても、就活生が複数企業を受けていることは承知しています。率直な思いを伝えれば、企業も柔軟に対応してくれるでしょう。
また、返答期限の延長を打診する場合は、具体的な延長期限を確認しておくことが大切です。他企業の選考結果待ちであれば、その選考結果が判明する日を目安に期限を設定すると良いでしょう。
志望度が低ければ辞退する
もし後付け推薦を求められた企業の志望度が低ければ、推薦状提出前に辞退するのも選択肢の1つです。
第一志望の企業が他にあり、その企業の選考に影響が出てしまう懸念があれば、はっきりと辞退するのもお互いのためだと言えます。
ただし、後付け推薦を求める段階では、企業も採用枠を確保していることを理解しておく必要があります。採用担当者へはこれまでの選考機会を貰ったことの御礼を伝え、丁寧に辞退を伝えることが大切です。
迷っている場合は該当企業のことを今一度調べ、辞退するのが適切かを慎重に考えたうえで決断すると良いでしょう。
公共機関に相談する
後付け推薦に悩んだら、公共機関に相談する手段もあります。
文部科学省は、「オワハラ防止に関する取組状況等について」で、就職活動やインターン中のハラスメントは都道府県労働局雇用環境・均等部(課)に相談するよう促しています。
就活生には馴染みが無く、相談のハードルが高いように思われますが、雇用に関する専門的な知見をもとにした、適切な対処方法のアドバイスが期待できるでしょう。
各都道府県の労働局の一覧は、こちらから確認できます。
キャリアセンターの人と一緒に相談することも可能ですので、悩んだらまずは相談してみてください。
後付け推薦で推薦状を出しても内定取り消しはできる
心理的なハードルはあるものの辞退は可能
後付け推薦で推薦状を出しても、内定取り消しは可能です。
意に添わないながらも推薦状を出してしまったときは、内定辞退の道があることを忘れないでください。
大学や後輩に迷惑がかかるからといって、あなたが我慢すれば済むとは思わないでください。入社後に後悔しないためにも、まずは周囲に相談しましょう。
大学側も後付け推薦を問題視する傾向がある
紹介した立教大学以外にも、後付け推薦を問題視する大学は増えています。
筑波大学 システム情報工学研究群や信州大学のように、公式HPで推薦状の発行を行わないと明言している大学も少なくありません。
文部科学省も、就職問題懇談会で企業側へオワハラを慎むよう周知するほか、大学によるオワハラの周知を働きかけています。
大学側もオワハラについては聞き知っていたり、相談を受けたりしていますので、一人で抱え込まないようにしてください。
後付け推薦以外のオワハラと対処法
「オワハラ」には、後付け推薦以外にもさまざまな種類があります。
大前提として、オワハラをする企業に問題があり、される理系就活生に問題はありません。
現状ではオワハラに対する明確な規制がないため、まずは就活におけるオワハラにはどんなものがあるのかを把握しておきましょう。
他社の辞退を迫る
最もよくあるオワハラは、他社選考の辞退を強いることです。
口頭で辞退するよう言われることもあれば、「選考中の他社に今すぐ連絡をして、辞退すると伝えなければ内定は出せない」と脅迫される場合もあります。
内定を条件に他の選考の辞退を求める行為は、立派なハラスメントです。
穏便な対処法としては、一旦は内定を承諾し、後で辞退する方法があります。
もしその場で電話を求められた場合は、電話をかけるふりをするのも良いでしょう。
脅迫的な要求をする企業の場合、入社後も理不尽な要求を突きつけられる可能性があります。穏便な対処を取る必要もないと判断した場合は、その場で断るのもおすすめです。
スケジュールの拘束
オワハラには、内定者懇親会や内定者研修など、様々なイベントに強制的参加させることでスケジュールを拘束し、他社の選考を受けさせないものもあります。
中には、泊まり込みの研修を行い、不参加の場合は内定を取り消しにすると匂わせる企業もあります。
穏便な対処法は、他社の選考に行くという理由を隠し、体調不良やゼミの発表会、過程の事情など、企業が反対しづらい理由を挙げて欠席することです。
選考の場で、現在選考が進んでいる他社名や具体的な面接日程を伏せるのも、有効な手段です。
万一脅迫的な要求を突きつけられた場合は、内定を辞退することをおすすめします。
内定承諾書へのサインを強制
内定承諾書にサインさせることで、入社の強制力を持たせようとするオワハラもあります。
中には、「この書類にサインしたら、内定辞退は認められない」と言われるかもしれません。提示された書類に、「入社を約束します」「内定を辞退することはありません」といった文言が書かれている場合もあります。
怖くてサインしてしまった場合も、安心してください。
内定承諾書には、法的な拘束力はありません。サインをしてからも辞退は可能です。
その場を乗り切るためにサインをするのも手ですが、書面を使って脅迫してくるような企業は、社員の扱いが良いとは考えにくいものです。その場で辞退することも検討してみましょう。
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残念ながら、現在後付け推薦などのオワハラには、いまだ明確な規制がされていない状況です。
ハラスメントを受ける側が頭を悩まされるのはつらいところですが、オワハラを受けて就活を見直す場合、理系就活生は「TECH OFFER」へ登録するのもおすすめです。
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まとめ
後付け推薦に悩まされる就活生は多く、文部科学省や大学も問題視しているほど大きな問題になっています。
もしあなたが後付け推薦を迫られたときは、「その企業を信頼できるのか」「推薦状を出しても内定が確約されるわけではない」「ほかの企業と比較検討しなくてもいいのか」、慎重に検討しましょう。
その際には、大学のキャリアセンターや公的機関を頼るようにしてください!