日本を支えている業界は数多くありますが、重工業業界は代表的な業界といえます。
鉄道や火力発電所、プラントなどを製造しており、まさに日本の屋台骨ともいえる業界です。
一方で、重工業業界が手掛ける仕事はスケールが大きく製品も多種多様なため、私たちが知っているのは一部になります。
重工業業界を目指す場合には、各企業がどのような規模で、どのような仕事を手掛けているのか知っておいた方がよいでしょう。
今回は重工業業界の大手企業を中心に、各種データの比較と各企業の特徴を解説します。
重工業業界を志望している理系就活生は、ぜひ本記事を参考にしてください。
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インフラを支える重工業を知るために業界研究は必要
重工業業界が製造している製品といえば、鉄道や航空機などが思いつきやすいです。
一方で、重工業業界では、他にもさまざまな物を製造して、国や企業を支えています。
本章では国や企業を支える重工業の魅力、人材面からみた重工業業界を解説します。
重工業業界はインフラを支える責任の大きさが魅力の業界
各業界には各々で魅力がありますが、重工業業界の魅力は国や企業を支えるスケールの大きさです。
国や企業を支える製品を製造している以上、責任の重さは重大ですが、誇れる仕事がしたい方には理想的な業界といえます。
鉄道や航空機、火力発電所以外に重工業業界が手掛けている製品は以下のとおりです。
- ・船舶
- ・防衛設備(戦闘機・戦車・ミサイル)
- ・太陽光発電所や風力発電所
- ・介護/医療用ロボット
重工業業界の人が定着している業界
責任の重い業界と聞くと、人材が定着しにくいと想像する方もいるでしょう。
各社が発表しているデータを平均すると、平均勤続年数は16. 9年です。
政府が発表している平均勤続年数が12. 7年であることを鑑みると、重工業業界は人が定着している業界といえます。
企業名 | 平均勤続年数 |
三菱重工業株式会社 | 19.0年 |
川崎重工業株式会社 | 15.3年 |
株式会社IHI | 16.6年 |
重工業業界の業種は主に4種類
さまざまな製品を手がける重工業業界は、主に以下の4業種に分類が可能です。
- ・航空:航空部品の製造と販売
- ・防衛装備:戦闘機や潜水艦、兵器などの製造と販売
- ・鉄道:鉄道車両の製造と販売
- ・ロボット:産業用ロボットの製造と販売
各々の分野を得意とする企業があるため、志望する業種があれば各企業をチェックしましょう。
たとえば、鉄道分野は三菱重工業が得意としています。よって、三菱重工業を中心に業界・企業研究を進めると効率的な就活ができます。
重工業業界の市場規模は堅調・低迷気味
重工業業界は複数の業種に分かれており、業種によって、市場規模の調子は異なります。
全般的には堅調もしくは、やや低迷気味といえる状態です。
たとえば、重工業業界の企業が手掛けるプラントの受注高は、2019年から2022年はほぼ横ばいの傾向です。
また、同じく重工業業界の企業が手掛ける鉄道車両の生産量は、数年で増加と減少を繰り返しています。
参考:経済産業省 長期データ
参考:統計表・グラフ表示
重工業業界での代表的な職種
重工業業界では、多種多様な製品の製造に対応するために、さまざまな職種の方が働いています。
すべてを取り上げられませんが、重工業業界で代表的な職種は以下のとおりです。
- ・研究開発
- ・設計/製造
- ・生産管理
- ・資材調達
- ・品質保証
- ・営業
重工業業界・メーカーの将来性は事業拡大がカギ
国内の市場規模は堅調かやや横ばいの傾向にあり、少子高齢化が進む国内では需要の増加は期待しにくい状況です。
重工業業界やメーカーの将来性は、海外展開などの事業拡大がカギといえます。
たとえば、国土交通省が調査したデータによると、以下のデータが想定されています。
- ・車両分野の世界全体の市場規模は、年間約9.7兆円
- ・日本の市場規模の約67倍
- ・車両分野を含めた鉄道産業全体の市場規模は、年間約30.3兆円
今後、重工業業界が成長していくためには国内市場を含めて海外での需要をいかに取り込んでいくかが重要です。
重工業で知っておくべき大手5社と特徴
業界研究は本来、業界の市場規模や将来性を調べるものであり、個々の企業については後々調べることが一般的です。
一方で、重工業業界の場合は各々の分野で大手企業が力を発揮しているため、大手企業を調査することが業界研究に直結します。
本章では、重工業業界の中で知っておくべき大手5社の特徴を解説します。
三菱重工業株式会社
三菱重工業株式会社は、1884年に創業された歴史ある企業であり、業界の最大手です。
公共性の高いインフラ事業から工業用機器の製造など、幅広い製品の製造をおこなっている点が特徴です。
三菱重工業株式会社の主な事業内容は、以下のとおりです。
- ・エナジー:火力発電所システム、原子力発電システム、風力発電システム
- ・プラント/インフラ:製鉄機械、商船
- ・物流/冷熱/ドライブシステム:物流機器、冷熱製品、エンジン
- ・航空/防衛/宇宙:民間航空機、防衛航空機、艦艇
川崎重工株式会社
川崎重工業株式会社は、創業100年以上の歴史を持ち、古くから日本の重工業業界をリードしてきた企業です。
二輪車やガソリンエンジンなど車両関係に強いほか、航空機や宇宙関連機器の製造で売上収益を伸ばしています。
川崎重工業株式会社の主な事業内容は、以下のとおりです。
- ・航空宇宙システム:航空機、航空機用エンジン、宇宙関連機器
- ・車両:鉄道車両、除雪機器
- ・エネルギーソリューション・マリン:エネルギー関連機器、水素関連設備など
- ・精密機器/ロボット:油圧機器、産業用ロボット
- ・パワースポーツ&エンジン:二輪車、オフロード四輪車、PWC、汎用ガソリンエンジン
株式会社IHI
株式会社IHIは、石川島造船所として創業した歴史を持つ会社です。
明石海峡大橋を完成させた会社として有名ですが、さまざまな事業を手がけて売上収益を伸ばしています。
株式会社IHIの主な事業内容は、以下のとおりです。
- ・資源・エネルギー・環境:原動機、カーボンソリューション、原子力機器
- ・社会基盤:棟梁、水門、交通システム、シールドシステム
- ・産業システム・汎用機器:車両過給機、パーキング、回転機械、産業システム
- ・航空・宇宙・防衛:航空エンジン、ロケットシステム、防衛機システム
株式会社三井E&S
株式会社三井E&Sは三井造船株式会社が2018年に変更した社名であり、船舶や海運事業、他にさまざまな事業を手がけています。
特に、船舶の事業ではディーゼルエンジンが国内トップシェアを誇っており、元の社名である造船会社ならではの強みを持っています。
株式会社三井E&Sの主な事業内容は、以下のとおりです。
- ・成長事業推進:産業機械、先進機械
- ・舶用推進システム:舶用エンジン、二元燃料エンジン用燃料供給装置
- ・物流システム:コンテナクレーン、産業用クレーン
- ・周辺サービス:ガス関連エンジニアリング事業、陸上発電プラントの建設
- ・海洋開発:浮体式海洋石油・ガス生産貯蔵積出設備
住友重機械工業株式会社
住友重機械工業株式会社は、1969年に住友機械と浦賀重工業が合併して生まれた企業です。
社名のとおり、精密機械・建設機械・産業機械の事業を手がけており、他にも船舶やプラント開発など幅広い事業をおこなっています。
住友重機械工業株式会社の主な事業内容は、以下のとおりです。
- ・メカトロニクス:減・変速機、モーター、インバーター、レーザー加工システム
- ・インダストリアルマシナリー:プラスチック加工機械、半導体製造装置
- ・ロジスティックス&コンストラクション:油圧ショベル、道路機械
- ・エネルギー&ライフライン:ボイラー、大気汚染防止装置、水処理装置
重工業界・メーカー大手5社のデータ比較:売上・利益・研究開発費
本章では、先ほどピックアップした大手5社の売上・利益・研究開発費のデータを取り上げて比較します。
各データをみると、最大手である三菱重工業の強さが際立つ状態になっています。
企業名 | 売上 | 利益 | 研究開発費 |
三菱重工業株式会社 | 4兆6,571億円 | 2,825億円 | 1,783億円 |
川崎重工業株式会社 | 1兆8,492億円 | 462億円 | 533億円 |
株式会社IHI | 1兆3,225億円 | -701億円 | 393億円 |
株式会社三井E&S | 3,018億円 | 207億円 | 393億円 |
住友重機械工業株式会社 | 1兆815億円 | 702億円 | 248億円 |
※IFERに基づいた連結財務諸表
※事業利益を表示
※IFERに基づいた連結財務諸表
※事業利益を表示
※IFERに基づいた連結財務諸表
※営業利益を表示
※IFERに基づいた連結財務諸表
※経常利益を表示
※経常利益を表示
重工業業界・メーカー大手5社の年収ランキング
就職先を決める要素はさまざまありますが、年収も重要な要素の一つです。
本章では重工業業界の大手5社の年収ランキングを紹介します。
売上や利益と同様に、三菱重工業の数値が他社を大きく突き放すデータとなっています。
企業名 | 平均年間給与 |
三菱重工業株式会社 | 9,655,449円 |
株式会社IHI | 8,364,344円 |
川崎重工業株式会社 | 8,096,361円 |
住友重機械工業株式会社 | 7,958,000円 |
株式会社三井E&S | 6,971,000円 |
※平均年間給与がベースのため、手当やボーナスをプラスすると変更の可能性があります。
重工業業界の業界研究の方法・仕方
企業同士の関連性や業界の最新情報、働く人の口コミなど、業界について調べることは数多くあります。
本章では、改めて重工業業界の業界研究の方法を解説します。
重工業業界・業種の特徴や市場規模、職種などの調べる
まずは重工業業界の市場規模や業種、職種などを調べて理解を深めます。
重工業業界は一般的に馴染みの薄い業界のため、基本的な知識の収集からはじめましょう。
各業種の企業が手掛けている仕事を知ると、重工業業界が国のインフラや企業活動を大きく支えていることがわかります。
業種内の企業を深掘りして調べる
ひと通り調べた中から気になる業種があれば、業種内の企業を深掘りして調べましょう。
重工業業界の場合は1つの業種を手がける企業が数社しかない場合があり、企業研究をした方が業種への理解が早くなる可能性があります。
企業理念・歴史・IRデータ・成長性・社風などを調べましょう。
重工業業界が求める人材の特徴
業界研究は自身に合う業界を見つけるためにもおこないますが、志望動機を作る際にも役立ちます。
本章では、企業に刺さる志望動機に必要な重工業業界が求める人材の特徴を解説します。
高い専門性とスキルを兼ね備える
重工業業界での業務は、業務用機械やプラント、モーターなどの製造で高い技術力と知識が必要です。
採用する学生にも相応の専門性とスキルを求めるため、高いレベルの専門性とスキルを有している必要があります。
重工業業界の中には、大学院での研究経験を必須としている企業もあります。
チャレンジ精神がある
重工業業界では新しい製品開発や海外拠点での新規事業など、ときにスケールの大きな仕事があります。
新しい製品を作りたい、海外で活躍したいなどのチャレンジ精神が重工業業界の企業が求める資質です。
新しい挑戦にモチベーションが上がる方は、向いている業界です。
ものづくりに必要な協調性がある
重工業業界で作るような大きな製品は一人では作れず、多くの人の協力が必要です。
現場で働く方には多くの人と協力して、製品を作り上げる協調性が求められます。
特に、重工業業界では海外での仕事もあるため、文化や言語が異なる方とも協調することが求められます。
重工業を志望するならスカウトサービスを利用しよう
重工業業界を志望する場合、就活ナビサイトからの応募をするのが一般的な方法ですが、スカウトサービスの活用も検討しましょう。
スカウトサービスとは、学生の登録した情報を基に企業が学生へ説明会や選考会のスカウトを送るサービスです。
昨今では就活ナビサイトで学生を募集せずに、スカウトサービスだけをする企業もあります。
数あるスカウトサービスの中で、理系就活生におすすめなのが理系学生に特化したサービスである『TECH OFFER』です。
『TECH OFFER』は理系学生の採用を狙う企業が利用しており、重工業業界の企業も利用しています。
重工業業界の企業からのスカウトもあるため、この機会に『TECH OFFER』に登録してみてはいかがでしょうか。
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まとめ
今回は重工業業界の大手企業を中心に、各種データの比較と各企業の特徴を解説しました。
今回解説した内容をまとめると以下のとおりです。
- ・重工業業界は国を支えるスケールの大きさが魅力
- ・重工業業界を調べるうえでは大手5社は押さえておく
- ・重工業業界では高い専門性とスキルを持つ学生を求めている
スケールの大きさや条件面の良さから、重工業業界は学生に人気があります。
重工業業界に興味のある方は、ぜひ本記事を参考に業界研究を進めていただければと思います。