企業研究は志望理由を見つけるための作業として、自己分析に並ぶほど重要な作業です。

企業研究というと志望する企業だけに注目しがちですが、視野を広げると見えてこなかった部分までみることができます。

例えば、志望する企業する業界に目を向けると、志望する企業の業界におけるポジションがみえます。

業界におけるポジションは企業の将来性を測り得る重要な要素です。

業界のトップランナーなのか、それともこれから打って出ようとしている企業なのかで、企業の戦略は変わります。

企業の戦略次第で今後採用する人材は大きく変わるため、採用面にも大きな影響を与えます。

志望する企業の業界におけるポジションを知ることは、企業研究において必要不可欠です。

今回は業界におけるポジショニングを調べるポイントを解説します。

企業研究や業界研究で不安を覚えている方はぜひ参考にしてみてください。

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なぜ業界におけるポジションを知る必要があるのか

まずは業界におけるポジションを知っておいた方がよい理由を紹介します。

主に3つの理由から、業界におけるポジションを知っておいた方がよいでしょう。

  • ・志望する企業の方向性がわかる
  • ・業界の動向や関連性が理解できる
  • ・志望する企業の強み・弱みがわかる

志望する企業の方向性がわかる

業界における立ち位置がわかれば、様々なものがみえてきます。

例えば、採用や人材育成の方向性です。

仮に志望する企業が新進気鋭、飛ぶ鳥を落とす勢いで発展している企業としましょう。

一般的には発展中の企業では、人材を多く募集しているため、採用は同業の企業よりも通りやすいと推測ができます。

憧れの業界で働きたい方には、新進気鋭の企業がまさにピッタリの企業です。

また発展中の企業では人材をじっくり育てるより、早めに現場に投入される可能性の方が高いでしょう。

若いうちからスキルや経験をどんどん積みたい方には、勢いに乗っている企業の方がうってつけといえます。

業界の動向や関連性が理解できる

業界におけるポジションがわかれば、業界の動向や関連性を理解することにもつながります。

例えば、志望する企業が業界で3番目に位置している企業としましょう。

志望する企業のポジションを調べる過程で、自然と上位・下位の企業がどこなのかが、わかるはずです。

どこの企業が業界のトップを走り、名前を知っている企業の調子を把握するだけでも、業界の動向を知ることにつながります。

また他の企業の売上や利益率を調べる過程で、業界として伸びているのか、不調なのかも把握できます。

他にも志望する企業が複数あると、様々な業界を調べるケースが出てくるでしょう。

調査の過程で、業界同士の関連性もみえてくるケースもあります。

志望する企業の周辺を調べるだけでも、業界の動向や関連性の理解につながります。

志望する企業の強み・弱みがわかる

志望する企業の業界におけるポジションを調べることで、客観的な強みと弱みが把握できるケースがあります。

例えば、志望する企業は製造スピードを強みと思っていても、業界内で比較するとそれほど大きな強みでない場合もあります。

一方で利益率を比較すると、業界内でもトップクラスということがわかりました。

実はコストを抑えた製造技術こそが、大きな強みになっているというケースもあります。

強みと弱みには、自身が自覚しているものもあれば、客観的なものもあります。

前者はやや客観性に欠ける一方で、後者は客観性の高い確かな強みと弱みです。

志望する企業の強みと弱みの把握は、業界内での比較をおこなうとより確実な分析になります。

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業界におけるポジショニングを調べるための3つポイント

業界におけるポジショニングを調べるポイントは以下の3つとなります。

  • ・市場規模
  • ・売上ベスト5
  • ・利益率

ポイント①市場規模

まずは気になった企業が所属する業界の市場規模を、世界と国内で調べてみましょう。

例えば「東京エレクトロン株式会社」が気になったとすれば、所属している業界「半導体製造装置」を調べます。

すると世界の市場規模は約13兆円、国内の市場規模は約1兆円とわかります。

市場規模を調べただけでも、以下のことが把握可能です。

  • ・世界と国内での市場規模の違い
  • ・国内の市場規模が世界に与える影響

また市場規模を過去にさかのぼり調べると、市場規模の拡大・縮小がわかります。

今後の市場規模に対する、理解がより深まるでしょう。

ポイント②売上ベスト5

次に気になった企業が所属する業界の売上ベスト5を調べましょう。

売上ベスト5を調べることで、業界のトップシェアを取っている企業がわかります。

先ほどと同じように「東京エレクトロン株式会社」が所属している業界「半導体製造装置」を調べると、以下の結果がわかります。

・1位:アプライドマテリアルズ(アメリカ) 売上約3兆円

・2位:ASML(オランダ) 売上約2.5兆円

・3位:東京エレクトロン株式会社(日本) 売上約1.9兆円

・4位:ラムリサーチ(アメリカ) 売上約1.9兆円

・5位:KLAコーポレーション(アメリカ) 売上約0.9兆円

「東京エレクトロン株式会社」は世界で3位のシェア、日本ではトップのシェアを取っているのがわかります。

売上のランキングは、市場規模と同様に過去にさかのぼって調べると、業界の推移がよくわかります。

例えば半導体製造装置の業界は、20年前までは日本企業が数多く売上の上位に食い込んでいました。

しかし、現在ではご覧のように、外国の企業ばかりがランクインをしています。

市場規模の変遷と同じように、今後の業界がどのようになりそうかの予測に役立ちます。

ポイント③利益率

最後のポイントとしては、気になった企業の利益率を業界の平均や同業他社と比較しましょう。

先ほどと同じように「東京エレクトロン株式会社」と、同業他社を調べると以下の結果がわかります。

・東京エレクトロン株式会社 利益率約22% (部門別売上高1兆9,438億円/部門別利益4,370億円)

・同業他社 株式会社アドバンテスト 利益率約27%

製造業における営業利益率の平均が約3%なので、「東京エレクトロン株式会社」は非常に高水準の利益率とわかります。

また同業他社である「株式会社アドバンテスト」の営業利益率と比較しても、遜色のない数値です。

業界や同業他社と数値を比較することで、気になった企業を別角度から理解ができます。

また利益率の差は何が要因となっているのかなど、さらに踏み込んだ分析をすればより深い分析になります。

引用:経済産業省企業活動基本調査

引用:株式会社アドバンテスト 業績予想

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業界におけるポジショニングを調べるためのツール

業界におけるポジショニングを調べるために、色々と情報を漁っていては時間がかかりすぎます。

業界におけるポジショニングを調べるためには、以下5つのツールがおすすめです。

  • ・会社四季報 業界地図
  • ・日経業界地図
  • ・就職四季報
  • ・各団体のHP
  • ・ニュース/SNS

会社四季報 業界地図

「会社四季報 業界地図」はビジネス書や経済書を専門とする東洋経済新報社が発行している業界研究用の一冊です。

各業界の市場規模やシェア率などを網羅しており、また「メタバース」「ESG」など最新の業界情報も掲載しています。

就活生であれば、持っていても損はない一冊になります。

引用:会社四季報 業界地図

日経業界地図

「日経業界地図」は経済紙大手の日本経済新聞が発行する業界研究用の一冊です。

本書の特徴は177の業界と4,400の企業をカバーする圧倒的なデータ量です。

より深く業界を調べたいのであれば、役立つ一冊になります。

引用:日経業界地図

就職四季報

企業をさらに細かく調べたいのであれば、「就職四季報」がピッタリの一冊です。

過去数年の売上や営業利益などの業績データを網羅しています。

他にも就活生であれば誰もが気になる、採用数や採用実績校も掲載されています。

引用:就職四季報

各団体のHP

各業界団体の中には外部に向けて、業界情報を発表している団体もあります。

例えば、日本鉄鋼連盟では現在の情勢や将来性を、データに基づいて解説しています。

気になる企業が所属している業界団体のホームページもぜひチェックしておきましょう。

ニュース・SNS

業界の情報はニュースやSNSが取り上げるケースがあります。

ニュースは信頼度の高い情報源となるので、積極的にニュース情報を収集しておくことがおすすめです。

SNSはニュースをより情報が入ってきやすいのが大きな特徴です。

一方で情報の発信元によっては、情報の信頼度が大きく変わるので注意しましょう。

まとめ

企業研究は自己分析に並び、就活における重要な作業です。

気になる企業だけにフォーカスしていては、もう一歩踏み込んだ分析とはなりません。

より深い志望理由を考えるには、気になる企業の業界におけるポジションを知っておいた方がよいでしょう。

業界でのポジションは、現在の状況や将来の方向性を知る大きなカギとなります。

今回紹介した業界でのポジションを調べる方法を活かして、企業分析に役立てていただければと思います。

本記事のポイントは、会員限定動画で閲覧可能です。

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