就職活動は大学3年生の4月から本格的に始まります。自己分析や志望業界や企業の決定、インターン、志望動機の作成、テスト対策など、いずれも準備が必要なものばかりです。就活の成否を決めるのは、3年生の間の準備にあるといっても過言ではありません。

一方、理系学生にとって3年生は、4年生から配属される研究室を選ぶ準備を始める重要な時期でもあります。就活と学生生活両方のスケジュールをしっかり把握し、計画的に進めておかなければ、何もしないうちに1年間が過ぎてしまいます。

本記事では、3年生の就活準備について、いつから何を始めるかを説明します。まずは就活の全貌を理解するところから始めましょう。

大学3年生が就活準備を始めるタイミング

大学3年生が就活準備を始めるタイミング

大学3年生になったら、早めに準備を始めるのがベストです。就活を始めるに当たって、就活の全貌を把握することから始めましょう。

最初に押さえておきたい就活スケジュール

3年生の末、3月にはエントリーが始まります。それまでにやっておかなければならないことは次の3つです。

  • ・インターンシップ
  • ・エントリーシート対策
  • ・テスト対策

上記を踏まえ、次のような計画表を作成しました。この表を例に、自分に使いやすく書き込みやすい計画表を作成してください。

各時期にすべきことを次の項で詳しく説明します。

大学3年生 4-5月期にやっておきたい3つの準備

大学3年生 4-5月期にやっておきたい3つの準備

準備として次のことを始めます。

  1. 1、計画を立てる
  2. 2、自己分析を開始する
  3. 3、インターンシップの情報収集を行う

1.計画を立てる

最初に計画を立てます。「計画を立てる」とは、自分が進む道筋を描くことです。就活の計画を立てることで、「何を」「いつごろまでに」しなければならないかを「自分ごと」として体感することが重要です。

就活は実際に動いてみて、初めてわかることもたくさんあります。そのため、この時点では、おおまかなスケジュールと実行可能な計画を作成し、修正と振り返り・評価を盛り込みながら充実させてください。

2.自己分析を開始する

志望業界・企業を決めるにも、これから先、エントリーシート作成や面接準備を始めるうえでも、自己分析ができていないと、自分に合ったキャリア形成はできません。

自己分析というと、「過去の自分」を振り返ることから始めることが多いですが、焦点を作らず振り返りを始めると収集がつかなくなる傾向があります。そのため、自己分析は次の5つの柱を焦点にして考えましょう。

  1. 1、自分は何をしたいのか(キャリア形成)
  2. 2、自分に何ができるのか(能力・専門性)
  3. 3、学業・研究・ゼミなど
  4. 4、サークル・アルバイト
  5. 5、経験・体験・実践したこと

5種類の色違いの付箋を用意し、キャリア形成であれば水色、能力・専門性であれば黄色…と色分けをします。思いつきでいいので、浮かんだことを付箋に1つずつ、できるだけたくさん書き出します。その付箋をコピー用紙などに貼り、内容に即してグルーピングします。グルーピングによって、自分自身の傾向や進もうとするベクトルなどが見えてくるはずです。

準備段階ではまとめることは意識せず、自分の頭の中をすべて外に出し、視覚化し、自分自身の傾向や潜在意識、志向性や可能性を見つけましょう。

3.インターンシップの情報収集を行う

志望業界や企業がまだ決まらなくても、自分の専攻に関連する企業や、興味・関心のある分野の企業などインターンシップを行っている企業の情報を収集してください。事業分類や組織は企業によって異なります。1つひとつを理解するのではなく、企業の各組織とそれぞれの役割の基本を理解しておきましょう。

大学3年生 6月からインターンシップの準備を

大学3年生 6月からインターンシップの準備を

大学が夏休みとなる7月〜8月に、多くの企業でサマーインターンシップが開催されます。多くの企業では参加するための選考が課せられており、エントリーの準備が必要です。6月第1週に応募を締め切る企業も多いので、エントリーシートの準備は前倒しで始めるようにしましょう。

インターンシップに合わせて「働く自分」をイメージしよう

インターンシップの最大の目的は、「働く自分」を具体的にイメージすることにあります。企業のWebサイトをしっかり読み込んで、理念やビジョン、事業内容などを把握してからインターンに参加すれば、理念やビジョン、事業内容を、生きた形で体験できるのです。

この体験を通じて、仕事との相性や、やりがいが明確になります。「ここで働く自分」「この仕事をしている自分」が具体的にイメージできれば、入社後のミスマッチを防げるでしょう。

また、有名企業のインターンシップ選考試験は多くの就活生が応募するため、「狭き門」です。インターンシップ選考試験で失敗しても、エントリーシートや面接の応答をチェックし、改善することで、採用を勝ち取る就活生は多くいます。早いうちの失敗が、後に生きてくるのです。

志望業界・志望企業分析を開始しよう

インターンシップのエントリーシート作成や、インターンシップへの参加を通じて、自分にマッチする業界や企業が、より明確化されます。インターンシップとあわせて、志望業界や志望企業を調べ、分析を開始しましょう。

大学3年生 9月頃には始めたいエントリーシート・テスト・面接対策

大学3年生 9月頃には始めたいエントリーシート・テスト・面接対策

準備がものを言うエントリーシートやSPI、筆記試験、面接の対策は、早めに始め、少しずつ継続して行いたいものです。大学も後期に入ると研究室決めや、引退前のサークル活動で学生生活も忙しくなるでしょう。忙しい中でも、「毎日1時間」「週に2日、3時間」など時間を決めて、エントリーシートに書く自己PRや志望動機、テスト対策、模擬面接などを始めてください。

自己PRは自己分析がカギ  

自己PRでは、自己分析を通じて発見した自分の強みを考えます。ただし、この「強み」は、企業の求める強みと一致している必要があります。

企業の側が求める学生の強みを考える時に参考になるのが、その企業独自の企業理念と並んで経済産業省が提唱した社会人基礎力の3つの要素と12の能力要素です。社会人基礎力は「多様な人々と仕事をしていくうえで必要な基礎的な力」として、次にあげる能力要素を求めていると考えて良いでしょう。

  • ・前に踏み出す力

「主体性」「働きかけ力」「実行力」

  • ・考え抜く力

「課題発見力」「計画力」「創造力」

  • ・チームで働く力

「発信力」「傾聴力」「柔軟性」「情況把握力」「規律性」「ストレスコントロール力」

それぞれのカテゴリーから自分の強みと接点のあるものを選んで、具体例をあげながら説明できるようにしておきましょう。

志望動機作成も準備が必要

志望動機を作成する場合、自分目線(自分が成長できるから)ではなく、企業目線(この学生を入社させたら役に立つだろう)で作成することが重要です。

自己分析を通して発見した自分の強みは、この企業でどのように活かせるかという観点で推敲を重ねてください。

テスト対策は何をすべきかの調査から

企業が採用選考で実施している筆記試験にはさまざまな種類があります。代表的なものに「SPI3」がありますが、その中でも「言語」「非言語」の基礎能力の他に、「構造的は握力」や「英語力」の試験を応募者に受けさせる企業もあります。

まずは情報収集し、必要な科目の勉強を始めましょう。

キャリアセンターで模擬面接の準備を

面接がどのようなものかは早めに体験しておくことで、見通しを持って準備を進めることができます。まずはキャリアセンターを積極的に活用しましょう。面接をどうしよう…とあれこれ考える前に、キャリアセンターで模擬面接を一度、体験してみてください。自分に何が足りないか、何を準備したらよいか、課題を早めに設定できます。

大学3年生になったら就活自主トレを開始しよう

大学3年生になったら就活自主トレを開始しよう

日常生活のすき間時間に始められる就活自主トレを始めましょう。特に「勉強」「準備」と意識することなく、思い立ったらいつでもスタートできます。自分のものにするまで時間がかかるので、3年生の間にある程度、進めておくことをおすすめします。

コミュニケーションのためのインプットを 

個人面接やグループディスカッションでは、その場で自分の意見を作ることが求められます。その意見に対する意見や反論を受け、そこからさらに意見を作っていかなければなりません。

その場で意見を作るためには、ボキャブラリーを増やし、時事問題についても普段から関心を寄せ、自分の意見を持っておくことが大切です。新聞や時事問題を扱った新書を読むなどインプットを行いましょう。

日常で敬語に慣れる

就活ではインターンシップや面接など、敬語を使う場面が多くなっていきます。知識として「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」の区別は知っていても、実際の場では太刀打ちできません。敬語は場数を踏むのが一番です。大学の教授や職員、バイト先や店に行った時、近所の人と会った時など、機会をとらえて普段から敬語を意識して使いましょう。

NVC(ノンバーバルコミュニケーション)能力を鍛える

NVC(ノンバーバルコミュニケーション)とは、動作や身振り、視線や表情など、言葉以外のコミュニケーションのことです。面接では、部屋に一歩入った段階からNVCが始まっています。自分の意図していないところで、面接官にマイナスの印象を抱かせないようにしなければなりません。

まずは自分がどう見えるかを知ることが第一歩です。保護者や親しい友人に、自分の印象や話し方、動作から受ける印象を聞き、何か気になることはないか、改善した方が良い点はないかを聞きます。「何を考えているかわからない」「話す時に目を見ない」「早口で時々聞き取れない」など、指摘された点を改善しましょう。

大学3年生の就活準備の注意点

大学3年生の就活準備の注意点

就活準備を進める上で注意したい2つのポイントを説明します。

計画は期間を決めて振り返り修正する

就活は、自分が実際に進めていくにつれて、次にしなくてはならないことが具体的に、明確になっていきます。そのたびに計画を修正し、より自分の実情に合ったものに変更していきましょう。

また、「準備期間終了後」「インターンシップ後」などのイベント単位や月末、2か月ごとなど、期間を決めて振り返り、自分の行動を評価し、改善策を検討し、改善策を次の計画に盛り込みましょう。

こうしてP(Plan)D(Do)C(Check)A(Action)サイクルを回しながら、粘り強く完遂しましょう。

大学生活を充実させる

理系学生にとって大学3年生は、自分の所属する研究室を選び、研究テーマを考える時期です。また、サークル活動をしている人は、3年生はサークルの中心となり、企画や運営を担う時期でもあります。

学業やサークル活動を充実させることで、企業の面接で「学生時代に何に取り組んできたか?」という問いに対する回答内容を作れるのです。

企業は、自社の一員となるための努力は評価しても、他社への就職活動は評価しません。「就活に全力で取り組んだこと」はアピールできないでしょう。就活で良い成果を得るためにも、大学生活を充実させることを忘れないでください。

大学3年生の就活準備が後に生きる

忙しい理系学生にとって、大学3年は学業やサークルで多忙を極める時期です。充実した学生生活を送るために、アルバイトも必要でしょう。しかし、忙しい日々の中でも、4月になった段階で計画表を作成し、以降は毎日、何かしら就活に関係のあることを続けてください。

「自分は何の仕事ができるのだろう」と、これまで身につけた知識やスキルの棚卸をするのでも構いません。気になる企業のWebサイトを見て、「どのような学生を求めているのだろう」と考えるのでも、Tech Offerなどの就活ノウハウの記事を読むのでも構いません。かならず毎日、小さな1歩を積み重ねることが重要です。

こうした助走がインターンシップを経て、秋以降に大きく生きてきます。3年生の皆さんの就活が実り多いものになるよう、応援しています。