こんにちは。理系就活情報局です。

理系研究職は他の職種と比較し、年収が低いのか気になる方も多いのではないでしょうか?

理系研究職は他の職種と比較しても高い給与水準であり、勤務先によっては高待遇で就職できるケースもあります。

今回は、理系研究職の年収について、他職種の年収比較や高給与を獲得する方法も解説します。

研究職を目指し、高い給与を獲得した理系学生はぜひ参考にしてください。

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理系研究職とは

理系研究職とは

理系研究職の種類

理系研究職は研究内容によって、主に以下2種類に分かれます。

基礎研究者:人類がまだ知らない原理・法則の解明を目指す。大学や研究機関で行われるケースが多い。

応用研究者:基礎研究の成果をもとに、社会の役に立つ形へと実用化を目指す研究。企業の研究開発部門で取り組まれるケースが多い。

理系研究職の年収は低い?

理系研究職の年収は低い?

理系研究職の年収は、研究分野・職務内容・経験年数・勤務先の種類(公的機関・民間企業など)によって大きく異なります。

しかし、研究者は専門性・高度なスキルが求められるため、一般的には高い年収が支払われる傾向にあります。

職位によっては年収1000万も視野に

研究職の平均年収は、年齢とともに徐々に上昇します。

職位によっては年収1000万も視野に入り、年代別の収入モデルとしては以下のとおりです。

・24歳は月給22万円で年収412万円

・28歳は月給24万円で年収480万円

・35歳は月給26万円で年収680万円

キャリアアップのための配属変更も可能で、自身のスキルを活かしながら収入を向上させる道も開かれています。

ランキングに見る他職種の年収

マイナビエージェント「職種別 総合年収ランキング」によれば、職種ごとの平均年収は以下の通りです。

順位職種平均年収
1位運用(アナリスト・ディーラー)623万円
2位システムコンサルタント610万円
3位MR598万円
4位管理職・マネージャー(営業系)580万円
5位プロジェクトマネージャー・プロジェクトリーダー569万円
6位臨床開発モニター(CRA)557万円
7位製品開発・研究開発542万円
8位パッケージ導入コンサルタント(ERP/CRM/SCM等)532万円
9位財務・会計531万円
10位管理職・マネージャー(営業系)528万円
出典:職種別 総合年収ランキング|マイナビエージェント

研究職は、数ある職種の中でも全体の7位につけており、高い給与水準です。

また、国税庁の調査によれば日本人の平均年収は461万円であり、国民の平均年収よりも高い給与水準となっていることもわかります。

参考:平均給与|国税庁

初任給と比較

令和5年の人事院による調査では、職種ごとに初任給を比較しており、以下の結果となっています。

職種学歴平均月額初任給
新卒事務員大学院博士課程修了259,245円
大学院修士課程修了233,806円
大学卒211,094円
新卒研究員大学院博士課程修了272,500円 
大学院修士課程修了243,822円
大学卒219,146円
出典: 令和5年職種別民間給与実態調査の結果|人事院

新卒の事務員と比較し、研究員の方が大学卒〜博士課程終了までいずれも初任給が高い結果となっています。

海外で働く研究職の年収

海外で研究職として働く場合、年収にはより大きな開きが生まれます

海外の報告によれば、アメリカにおける研究者の平均年収は以下の通りです。

・学部卒:約400万円

・修士卒:約400万円〜800万円

・博士卒:約800万円〜1200万円

参考:Career Earnings by College Major|The Hamilton Project 

特に博士卒の場合は、初年度から上記の平均年収をもらえるケースが多く、日本の研究者よりも高い給与をもらっています。

しかし、海外では物価に違いがあるため留意が必要です。

海外の研究機関や企業での実績が、国内でのキャリアにどう影響するかも考慮しながら、キャリアプランを立てると良いでしょう。

理系研究職が得られる給料以外の収入

理系研究職は基本給・ボーナスといった一般的な給料以外にも、様々な収入の機会があります。

例えば、講演活動が給料以外の収入源として挙げられます。

研究者は、研究の成果・専門知識を広めるセミナーの講師として招待されるケースが多く、セミナーに登壇すれば講演料を支払われることが一般的です。

給与以外の収入源は、理系研究職の人々がキャリアを通じて培ってきた知識・技術を活かして得られるものです。

しかし、これらは本来の研究活動と異なるため、バランスを考えながら取り組んだ方が良いでしょう。

研究職はやめておけと言われるのはなぜ? 

研究職はやめておけと言われるのはなぜ? 

他業種への転職が難しい

研究職は、他業種への転職が難しいと言われることがあります。

特定の分野に特化したスキルや知識は、異業種では活かしにくい場合が多いです。

また、研究職は企業ごとに求められる技術や手法が異なるため、転職の選択肢が限られることもあります。そのため、研究職としてのキャリアを積む際は、将来の選択肢を広げるために汎用的なスキルを身につけることが大切です。

専門性が極めて高い仕事だから

研究職は専門性が高い分野であるため、やめておけと言われることがあります。

特に、大企業の研究職には学生時代から優れた成果を出してきた人が多く、レベルの高さに圧倒されることもあります。

そのため、どんなに優秀な人でも周囲と比較してしまい、「自分にはついていけない」と感じることがあります。

結果として、プレッシャーを感じて短期間で離職してしまうケースも少なくありません。

研究が打ち切られる可能性がある

研究職は、会社の事業のために研究を行います。中にはプロジェクトが途中で打ち切られる可能性があるため、「やめておけ」と言われることがあります。

企業の経営方針や市場の変化によって、研究の継続が困難になる場合があるからです。

特に、成果がすぐに出にくい基礎研究では長年取り組んできたテーマが突然中止されることもあります。

理系研究職の年収を比較する際のポイント

理系研究職の年収を比較する際のポイント

理系研究職の年収を比較する際のポイントは、以下の通りです。

・基本給および能力給
・賞与・ボーナス
・各種手当

基本給および能力給

研究職の基本給や能力給は本人のスキルや経験、年齢によって異なります

例えば、大卒の初任給はおおよそ月給25万円前後ですが研究で実績を上げた場合、能力給が加算される可能性があります。

また、勤続年数を重ねて研究職としてのキャリアを積めば、基本給や固定給は徐々に上昇していく傾向です。研究成果や専門性の向上が評価されると、さらなる昇給の機会も期待できるでしょう。

賞与・ボーナス

研究職の賞与は、一般的な会社員と同様に年2回支給されることが一般的です。

1回あたりの金額は40万~50万円程度ですが、企業の業績や規模によって変動する可能性があります。

また、基本給と同様に、年齢や勤続年数が上がるにつれてボーナスの金額も増加する傾向があります。研究成果や業績が評価されれば、賞与の額がさらに上がる場合もあるでしょう。

各種手当

企業によっては、基本給や賞与に加えて各種手当が支給される場合もあります。

例えば、住宅手当、交通費、時間外手当、出張手当などが企業でよく支給される手当です。

特に福利厚生が充実している企業では、上記の手当が支給されると生活費の負担を軽減でき、安心して働けます。

勤務先の制度を事前に確認し、総合的な待遇面を考慮しましょう。

理系研究職の年収を決める要素

理系研究職の年収を決める要素

理系研究職の年収を決める要素として、主に以下の4つが挙げられます。

・職位
・専門分野
・最終学歴
・研究実績

職位

理系研究職の年収は、職位が大きく関係します。

研究職における職位とは、大学・研究機関でのポジション・役職を指します。たとえば、大学では講師・助教・准教授・教授などが一般的な職位です。

職位は経験年数・研究実績によって昇進していき、上位の職位になるほど年収は高くなる傾向です。

企業では、研究開発部門のリーダー・マネージャーとしての役職が年収に直接的な影響を持つことが多いです。

専門分野

専門分野も理系研究職の年収に大きく影響します。

例えば、AI・バイオテクノロジーなど現在の技術トレンド・産業需要に直結する分野では、企業の大きな業績向上が見込め、高い年収が期待できるでしょう。

どのような技術に需要があるかを把握しておくと、高待遇で研究職として働ける可能性が有ます。

最終学歴

最終学歴も、理系研究職の年収を決める重要な要素です。

特に博士号を持つ研究者は高度な専門知識・研究能力が認められるため、一般的には高い給与が用意される傾向にあります。

しかし、学歴だけで年収が決まるわけではなく、実務経験・研究実績も重要です。

研究実績

研究実績は、研究職の年収を大きく左右する要素となります。

論文の発表数・特許の取得数など、研究実績は研究者の価値を示すバロメーターです。

特に社会的・産業的なインパクトを持つ研究成果がある研究者は、高い評価・報酬を得られる可能性があります。

語学力

理系研究職の年収を決める重要な要素の一つに語学力があります。

特に英語は、最新の研究論文の読解や海外の研究者とのコミュニケーションに不可欠です。グローバル企業や外資系企業では語学力が評価され、年収にも大きく影響します。  

また、英語論文の執筆や国際学会での発表ができると研究職としての市場価値が高まり、昇進や転職の際に有利になります。そのため、語学力を磨くことは高収入を得るための重要なポイントです。

大手人気企業の理系研究職の年収

大手人気企業の理系研究職の年収

大手人気企業の理系研究職の年収について紹介します。

理系研究職の年収は、OpenWorkを参照しています。

第一三共株式会社

第一三共株式会社は医療用医薬品事業を中核とし、ジェネリック医薬品、ワクチン、OTC医薬品の4事業を展開する製薬会社です。

OpenWorkによれば、研究職16人の平均年収は901万円です。

参考:OpenWork「第一三共株式会社

サントリーホールディングス

サントリーホールディングス株式会社は1899年に創業し、酒類、清涼飲料、健康食品など多岐にわたる事業を展開しています。

OpenWorkによれば、研究開発職5人の平均年収は800万円です。

参考:OpenWork「サントリーホールディングス

資生堂

資生堂は化粧品、業務用化粧品、石鹸、トイレタリー商品、医薬品、ヘルスケア商品などの製造販売および輸出入を行う企業です。 

OpenWorkによれば、研究職11人の平均年収は694万円、研究開発職8人の平均年収は773万円です。

参考:OpenWork「資生堂

花王

花王株式会社は、「ハイジーン&リビングケア」「ヘルス&ビューティケア」「ライフケア」「化粧品」の4つの事業分野で生活者向けのコンシューマープロダクツ事業を展開しています。

OpenWorkによれば、研究職55人の平均年収は683万円、研究開発職39人の平均年収は737万円です。

参考:OpenWork「花王

中外製薬

中外製薬株式会社は革新的な医薬品の研究、開発、製造、販売および輸出入を行う製薬企業です。

OpenWorkによれば、研究職20人の平均年収は815万円です。

参考:OpenWork「中外製薬

職位別の研究職平均年収

職位別の研究職平均年収

企業の研究職では、昇進するにつれて収入が変動します。各職位ごとの年収について詳しく見ていきましょう。

研究員

研究員は、企業における一般的な平社員の立場です。新卒入社後は、まず研究員からスタートします。

研究員は研究職の中では比較的位が低く、年収は300万〜400万円程度が一般的です。

収入を上げるためには成果を積み重ね、昇進を目指すことが必要です。

主任研究員

主任研究員は、研究職の中で一定の成果を上げたベテランが就任する職位です。

一般企業の係長レベルに相当し、企業によっては管理職扱いとなる場合もあります。

主任研究員の年収は400万〜500万円程度で、勤続5〜10年の中堅社員が昇進することが一般的です。

この段階になると研究チームのまとめ役を任されることが多くなり、研究だけでなくチーム運営のスキルも求められるようになります。

課長

30代から40代になると、研究職の中でも課長に昇進する人が増えてきます。

課長は研究の第一線から離れ、研究の進捗管理や部下のマネジメントを担う役割へと移行するケースが多いです。  

課長の年収は500万〜600万円程度で、会社の上層部に認められると大規模な研究開発プロジェクトを任されることもあります

優秀な人材であれば、競合他社からスカウトを受ける可能性もあるでしょう。

部長

部長の年収は700万円以上、場合によっては1,000万円を超えることもあります。

仕事面では裁量権が大きくなり、複数のプロジェクトを統括する立場です。

また、学会への出席や他の研究機関との連携の機会が増え、社外との関わりも重要になります。

マネジメント能力が高く評価されれば、追加の能力給が支給されることも期待できます。

理系研究職の年収は働き方でも変わる

理系研究職の年収は働き方でも変わる

正社員の場合

研究職の正社員の年収は、平均500万円程度とされています。

民間企業では各種手当や退職金が支給されることが、正社員の大きなメリットです。

しかし、大企業の研究職は優秀な人材が多く、管理職に昇進できるのは限られた人のみです。

キャリアアップには、常に努力を重ねることが求められます。また、業務の繁忙期には残業が増えることもあり、高度な専門知識が必要とされる場面も多くあります。

正社員として働く以上、責任の重さを実感する機会も少なくないでしょう。

アルバイト・期間雇用の場合

研究職には、派遣やアルバイトとして働く選択肢もあります。

派遣の場合で時給は1,700円程度、アルバイトでは1,000円前後が一般的で年収にすると200万〜300万円台となり、若手の正社員と同程度かやや低めの傾向です。

派遣やアルバイトのメリットは比較的採用のハードルが低く、経験が浅い人でも研究に携われる点です。

また、勤務時間の調整がしやすく、ワークライフバランスを取りやすい魅力もあります。

しかし、賞与や手当の支給がないことが多く正社員に比べて収入が不安定な点はデメリットです。

好きな研究をしながら高給与を獲得する方法

好きな研究をしながら高給与を獲得する方法

研究職で好きな研究をしながら高給与を獲得する方法として、以下の2つが挙げられます。

・待遇の良い企業に就職する
・海外で研究職として働く

待遇の良い企業に就職する

待遇の良い企業に就職すれば、高い給与を得られる可能性があります。

研究職の年収は、勤務先の企業・機関によって大きく異なります。

大手の製薬会社・IT企業など研究開発に多額の投資をしている企業は、研究者に高い給与を提供することが多いです。

ただし、大企業での研究は会社の方針・市場の需要に基づくテーマが多いため、完全に自分の興味・専門分野に沿った研究ができるわけではありません。

そのため、待遇の良い企業の中でも「自分の興味がある分野に取り組んでいるか」を見極める必要があります。

海外で研究職として働く

海外で研究職として働くことで、高い給与を獲得できる可能性もあります。

世界中の研究機関・大学・企業は、優秀な研究者を求めています。

アメリカ・ヨーロッパの先進国では研究者に対して高い給与とともに、研究のための十分な資金を用意しており、先進的な研究環境が提供されることが多いです。

多国籍な研究チームでの共同研究も、海外での研究職の魅力となっています。

海外で研究職を目指す際は、働く国で使われる言語の習得・コミュニケーション能力が求められます。

また、自分の研究テーマ・成果を的確にアピールするプレゼンテーション能力も必要です。これらのスキルを身につけることで、好きな研究を追求しながらも、高い給与と共に充実した研究生活を送れるでしょう。

理系研究職になる方法

理系研究職になる方法

学部卒で研究職として就職する

理系研究職に就く方法の1つとして、学部卒で研究職として就職する道があります。

修士・博士と比べ求人数は限られますが、一部のメーカーや企業では学部卒の研究職採用を行っています。

学部卒での就職を目指す場合、卒業研究の内容や実験・分析スキルをアピールすることが重要です。

また、インターンシップや企業研究を活用して実務経験を積めば、企業とのマッチングの可能性を高められます。

修士/博士卒として研究職に就職する

理系研究職に就く方法として修士または博士課程を修了し、研究職として就職する道があります。

多くの企業は研究職の採用条件として修士以上の学位を求めるため、より専門性を高めることが重要です。

企業の研究職を目指す場合は研究内容を活かせる分野の企業選びを早期から行い、学会発表や論文執筆などを通じて実績を積みましょう。

逆求人サイトに登録する

理系研究職を目指す方法の一つに、逆求人サイトへの登録があります。

逆求人サイトでは企業が登録者の研究内容やスキルを見てスカウトを送るため、自分の専門性に合った企業と効率的に出会えます。

特に、研究職の採用では専門分野の適合性が重視されるため、研究テーマやスキルを詳しく記載することが重要です。

企業とのマッチングを通じて、自分に合ったキャリアの選択肢を広げられます。

逆求人サイトの中でも理系就活生におすすめなのは、理系に特化した「TECH OFFER」です。

逆求人サイトを活用して自分の強みや価値観を発信しながら、研究職を求めている企業と出会いましょう!

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まとめ

理系研究職は、新たな発見・技術革新を目指す魅力的なキャリアです。

大学や大学院での学びが基盤となり、研究分野における実務経験・論文発表などがキャリア形成のカギとなります。

年収は勤務先・専門分野によって異なるものの、講演活動などで高収入を目指す方法もあります。

「自分が興味のある分野に取り組めるか」就職先の情報を確認し、高待遇で研究活動ができる企業に就職しましょう。