こんにちは。理系就活情報局です。
化学系の学問を専攻している学部生・院生の中には資格取得について考えている人もいるのではないでしょうか。
早期から考えている学生は1回生の頃から計画を立てて資格取得に励んでいます。
「就活に向けて、どんな資格を取ればいいのかわからない」
「化学系ならではの資格があればぜひ取得しておきたい」
「化学系の資格取得に興味がある」と考えている理系就活生に向けて、今回は一般的な資格から化学系の専門資格まで解説します!
資格取得について悩んでいる理系就活生の方はぜひ参考にしてください。
就活に資格取得は必要?

就活に資格取得が必須というわけではありません。
資格がなければ就けない専門職は別ですが、新卒就活において資格がないことで不利な扱いを受けることはありませんが、取得しておくメリットはあります。
1つめは、資格を取得していることで、客観的にその分野の能力を証明できます。
2つめは、学業だけでなく資格取得の勉強など幅広いことに関心を持ち、努力したことが証明されるため、社会人になった後も業務以外の活動で努力できると判断されることです。
内定先の規定で特定の資格を取得していることが昇進の条件になっていたり、手当支給があることもあります。
専攻に関係なく持っておきたい資格

大学の選考に関係なく取得しておきたい資格についてです。
可能であれば、早めに取得しておくことをおすすめします。
これらの資格は文系・理系問わず取得を目指す学生が多く、割安な価格で大学が資格講座を開講することも多いので、日程などを確認することが大切です。
英語力を証明するTOEIC
TOEIC(国際コミュニケーション英語能力テスト)は、ビジネス上で英語コミュニケーションがどれだけスムーズに取れるかを測るもので、合否ではなくスコアで算出します。
最高点は990点となっています。
英語で仕事をしたいと思っている場合は、700点がスコアの目安です。
最近では企業でも昇進の条件に一定のスコアを課すことも珍しくありません。
また、学業でも海外の論文を読む機会が増えるため、高い英語力を身につけておくことは研究においてもプラスです。
TOEICのスコアに有効期限はありませんので、何年前のスコアでも履歴書に記載できます。ただし、一般的にはTOEICの公式認定証の再発行期限となっている2年以内のスコアを記載することが目安となっているので、就活開始前にいいスコアが取れるようにするのがベストです。
ビジネスソフトを使えることを証明するMOS
MOS(Microsoft Office Specialist)は、マイクロソフトが認定するMicrosoft Officeに関する国際資格となっています。
頭文字をとってMOSと表記されることが多いです。
企業ではマイクロソフトのビジネスソフトであるWord、Excel、PowerPointを使う機会が多く、これらをスムーズに使える証明として取得する学生もたくさんいます。
注意点は、ソフトのバージョンと種類ごとに試験を行うため古いバージョンで合格していると履歴書に描きにくい場合があります。
大学で希望者向けに開講されている対策講座のバージョンを参考にするのが一番です。
参考:MOS公式サイト
特許を扱う知的財産管理技能者検定3級・2級
知的財産管理技能検定は、IoT、人工知能(AI)、ビッグデータといった技術革新が進む現代の技術やコンテンツなどの知的財産をマネジメントするための国家資格です。
知的財産で真っ先に思い浮かぶのは特許ですが、他にもコンテンツ・ブランド・デザインも含まれます。
3級は初級の技能者を対象としているのに対し、2級は中級の技能者を想定した試験となっています。
特許や法務部門でなくても、知的財産に関する一定の知識が業務で役立つ場面もあるため、取得しておくと良いでしょう。
研究や開発といった部門で、特許をはじめとする知的財産と関わる可能性を考えて取っておくことをおすすめします。
化学系の基本的な資格

ここからは、化学系ならではの資格が多く登場します。
学業の合間に長期休暇などを利用して取るとスムーズです。
実験計画やデータ取り扱いを学ぶQC検定
QC(QualityControl)検定は別名、品質管理検定といいます。
一般財団法人日本規格協会と一般財団法人日本科学技術連盟が主催していて、一般社団法人日本品質管理学会が認定する品質管理に関する問題が出題される検定です。
1~4級の4段階あり、受験資格も特にないうえにどの級からでも受験できます。
他の資格試験の場合は、低級から受験するという制約があるものも多い中、QC検定は学歴や実務経験も必要ありません。
品質管理と聞くと難しそうだと思うかもしれません。
しかし、学業においても研究室に入って本格的な実験に携われば結果を出すために安定した環境や試料の管理を求められるでしょう。
基本的な考え方は学業とも通じるものがあります。
社会人になり、研究・開発職に就いた場合は大学研究室以上の綿密な計画・管理を求められることになるので、早めに取得しておくと役立ちます。
1〜2回生で4〜3級を取得し、さらに4回生までに2級以上を計画的に目指す学生もいます。
ぜひ、研究室に入る前までに初級レベルは取得しておくことをおすすめします。
4回生で受験資格が得られる危険物取扱者(甲種)
危険物取扱者は、消防法に基づいて指定されている危険物を取り扱ったり、その取扱いに立ち会うために必要な国家資格です。
消防法やその関連法令で「火災の危険性が高い物質」をまとめて「危険物」に指定しています。
甲種と乙種(第1類~第6種まであり)・丙種に分かれており、甲種は乙種全てを網羅可能です。乙種は、第1類~第6類のうち免状を交付された類の危険物のみ、取扱いと立会いができます。
丙種はさらに限定的で、引火性液体のみ取扱い・立会いが可能です。
乙種の分類は次の通りです。
・乙種第1類…酸化性固体(塩素酸カリウム、過マンガン酸カリウム、次亜塩素酸ナトリウムなど)
・乙種第2類…可燃性固体(硫黄、赤リン、マグネシウムなど)
・乙種第3類…然発火性物質及び禁水性物質(ナトリウム、リチウム、黄リンなど)
・乙種第4類…引火性液体(ガソリン、灯油、軽油、エタノールなど)
・乙種第5類…自己反応性物質(ニトログリセリン、トリニトロトルエン、アジ化ナトリウムなど)
・乙種第6類…酸化性液体(過酸化水素、硝酸など)
危険物取扱者で代表的なものはガソリンスタンドです。
一見無人に見えるセルフスタンドでも、常に甲種か乙種第4類の危険物取扱者の有資格者がモニターで遠隔監視しています。
受験資格は「大学等において化学に関する学科等を修めて卒業した者」「大学等において化学に関する授業科目を15単位以上修得した者」などがあり、主に化学系学生の場合はこのどちらかを満たせば受験できます。
化学に関する授業科目については、ホームページに一覧が載っていますので、参考にしてください。
試験は、一般財団法人消防試験研究センターの中央試験センター(東京)だけでなく、各道府県支部で実施しており、希望する都道府県で受験できます。
試験日程については、各支部によって違いますので事前に調べておくことをおすすめします。
余裕があればチャレンジしたい化学系資格たち

ここからは、より高度で難易度が高いチャレンジ資格です。
取得していれば知識の深さを客観的に証明でき、志望業界によっては有利に働きます。
難易度が高い公害防止管理者(水質・大気)
公害防止管理者は、国家資格で13種類に分類されています。
その中でも化学系の学生が取得しておきたいのが水質・大気に関する種類です。
戦後に大規模公害が起こったことの反省と対策のために設けられた資格で、水質や大気以外に騒音・特定粉じんなどの種類があります。
一定規模以上の工場には管理者の設置が義務付けられており、該当する業界では昇進のための条件とする企業も多く存在します。
難易度がとても高く、合格率は30%未満です。
大規模な工場やプラントを持つ企業を志望する場合、持っておくとアピールできます。
持っていたら保安責任者にもなれる高圧ガス製造保安責任者(甲種)
高圧ガス製造保安責任者は国家資格です。
石油化学コンビナートなど、高圧ガスの製造事業所で製造に係る保安の統括的な業務を行うのに必要とされています。
受験料が高額で、難易度も高いため志望企業がこうしたプラントや製造施設を持っている場合に目指すことをおすすめします。
高圧ガスの種類や製造施設の規模についての制限は設けられていませんので保安技術管理者、保安主任者及び保安係員に選任され、全ての製造施設に関する保安に携われることもあり、施設の責任者クラスに相当するとも言えます。
参考:高圧ガス保安協会
大規模工場で必要とされるエネルギー管理士
エネルギー管理士は比較的新しい国家資格で、大規模工場で必要とされる資格です。
一定の実務経験を積んで取得する方法と、エネルギー管理士試験という国家試験に合格することで資格取得を目指す方法があります。
学生の場合は受験資格がなく、誰でも挑戦できるエネルギー管理士試験の合格を目指すことになります。
科目が4科目あり、全ての科目が6割以上の正答率でなければ合格できません。
難易度が高いことを考えると、挑戦できる余裕があるか、大規模工場を持つ企業を志望する場合に取得を考えることをおすすめします。
機械の故障や劣化を測定する機械保全技能士3級
機械保全技能士は国家資格です。
3級は受験資格がなく、2級以上は実務経験年数によって受験資格が得られるため、学生が受験できるのは3級だけになります。
現在、製造業などでは工場に多くの機械が導入されています。
これらの機械が正常に稼働するよう、故障・劣化を予防する設備保全の役割を担うのが機械保全技能士です。
主に電気回路、異常診断などに関する知識が必要とされる現場で力を発揮できます。
3級に関してはしっかり勉強すれば3級の合格率は71%(2019年度)となっており、挑戦資格の中でも比較的狙いやすいです。
これだけは知っておきたいポイント(まとめ)
・化学系に限らず、どんな業界にも通用する資格
1.語学資格は文系学生も多く挑戦しているため、早くからTOEICでいいスコアを狙いたい
2.ビジネスソフトが使える証明となるMOSや知的財産の知識を身につけられる知的財産管理技能者検定3級・2級も基本資格として取得
・化学系ならではの基本資格は受験資格が得られるタイミングと学業との両立を考えて戦略的に取得を目指す
・難易度が高い化学系資格は、目指す業界や職種によって挑戦
資格取得は、学業とうまく両立して就活開始前には取得を終えておくことが前提となります。
就活と学業、資格取得を両立することは至難の業です。
興味のある業界や企業に関わらず、取得できそうなものから挑戦することをおすすめします。