キャリアカウンセリングの現場から
理系学生のための就活アドバイスシリーズ

多くの理系学生の就活支援を通して感じていることは、わかっているのに行動できないということです。

キャリアカウンセリングを通して不思議に思うのが、難解な数学で扱う証明プロセスや自然科学で扱う現象の解明には向き合っているのに自分の感情とは向き合っていない。

自分の知識や技術だけでは乗り越えられないことがこれから先起こる可能性があります。就職活動は良い機会と考え自分自身と向き合ってみましょう。

1 本題にはいる前に

これから挙げる事例はキャリアカウンセリングにおいて、相談の多い内容です。あくまでも例にすぎません。読んで恐れる必要はありません。

どのようなことが起こる可能性があるのかを知ることはとても大切なことです。先輩たちの事例を知り本番に備えましょう。ビジネスで言うところの「リスクヘッジ」です。

[本タイトルの目標]

□興味があることに没頭するのと同じように就活に没頭するにはどうしたら良いのかを考える。

□一歩踏み出すのに必要なことは何かについて考える。

2 <キャリアカウンセリング>事例 行動を起こせない

私が対応しているキャリアカウンセリングにおいて最も多い相談は、『やらないといけないことはわかっている。だけど前に進めない』という行動を起こせないという不安に関するものです。

相談課程の中で共通的に感じていることが2つあります。

1.「難しい=今の私には無理」と決めつけている。

2.悩んでいることがダメなことと思い込んでいる。

2-1 「難しい=今の私には無理」と決めつけている

突然ですが、肩の力を抜いてリラックスしてください。大きく息を吸って。フゥっと勢いよく息を吐いてください。

【WORK 1】(エントリーシートや面接に使えるエピソードになるかもしれないよ♪)

今までの人生の中でどんな時、難しいと感じましたか?

できる限り具体的に思い出してみましょう。幼い頃のことでもいいです。

いかがでしょうか。どのようなことを思い出しましたか。

体験したことのないことをやろうとした時、情報不足ということもあって難しいと勝手に決めつけていた時、過去の経験や他人からの情報で尻込みをしてしまっている時、目先のメリットだけを考えて面倒と思っている時・・・。きっと色々ありますよね。

ここからがポイントです。

そう思いながらもやってみたらどうでしたか。

案外楽しかった、苦労はしたけど良い経験になった、友達が増えた、視野が広がった、勉強になった、得意分野になった、失敗したけど気づいたことがあった・・・。

やってみると予想を反して得るものがたくさんあった経験はありませんか。そして、やってみたら意外とできたと感じた経験をお持ちの方もいるかもしれませんね。

それでは、「難しい」と感じ、やらなかった経験はありませんか。

やらなくて良かったと思うこともあれば、やればよかったと後悔することもあったかもしれませんね。

そして、ここからが是非あなたに考えてほしいことです。

「やった後悔」と「やらなかった後悔」、あなたの人生においてどちらが良いと思いますか。

では、就職活動はどうしますか。

大学生にとっては、まだ経験したことのない「未知の世界」です。分からないことに挑むのです。難しいと感じてしまうのも納得のいくところです。

それでは、このままにしておきますか? 「やだー」って心で叫んだ方もいるかもしれません。

就職活動は自分のための活動です。未だ見ぬ自分の未来を自分の心と行動で切り拓いていくのが就職活動。そして、失敗を恐れていては何もはじまりません。

「失敗」は行動を起こした人だけが得られる「勲章」です。行動を起こした人しか失敗はできません。失敗はダメな経験ではなく、失敗は学びの経験です。

失敗は色々なことを気づかせてくれます。あなたはわかっていますよね。なぜなら、科学や技術の進歩と同じだから。自分の実験や研究もそのようにして少しずつ進んでいるのではないでしょうか。

実験や研究以外にも失敗をしながらもできるようになった経験お持ちではないですか。

自転車の補助車輪を外す時や、逆上がり、水泳、九九の暗記、楽器の演奏、ゲームもやりながら腕を上げているのではないでしょうか。

何かしらきっかけがあって、没頭してやり続けたらできるようになって、さらに継続したらもっと上達して、さらにやったら人よりできるようになっていた。

そのような経験はありませんか? 失敗しながらも試行錯誤しながら自分のものにしていった経験。素晴らしい経験ですよね。

私たちはそうやって少しずつ成長しながら今に至っているとは思いませんか。そしてこれからも変わらないのでしょうね。

 思い込みや決めつけは行動を抑制してしまう可能性があるとは思いませんか。どうしてなのでしょうか。

人は何かを始めようとする場面においてやらない理由を探してしまいがちだとは思いませんか。私もその一人です。

私は人生において大切なもののひとつである今の仕事をなぜ続けているのか。それは、人が一歩踏み出す時の輝きに魅せられたから。

目の前の方が自ら描いた自分になりたいと思うのならば、それに必要な行動を「やってみようよ」と幾度となく伝えてきました。

その私がやらない理由を探し、やらないという決断を何もせず出すのは恥ずかしいと考えています。だから私は何事も前向きに検討します。

あとで後悔して苦しむ経験をしてきた自分を知っているから。自らが描くなりたい自分というのは、ある意味自分との約束。

その約束を守るために、行動を積み重ねる。それって自分を大切にすることにつながっていると私は考えています。あなたはどう思いますか。

そして、私は常に前向きに行動できるよう色々なことに目標を添えています。

仕事の成果目標に関しては定性的目標と定量的目標を期限付きで設けていますが、それ以外はゆるく目標を添えています。

あまり固めると重荷になって行動を起こし難くなってしまうからです。それでも目標をつけるのは、後悔したくないからです。

私にとっては、このような方向でやっていきたいという羅針盤的役割としての目標です。

あなたにもあるかもしれません。後悔していること。そのような経験を持っている方が就職活動という難しく感じている活動を目の前にしています。

そのような現状に立たされてしまい、私には無理と勝手に決めつけているのかもしれません。それでも人は前に進むというか、時間は刻みを止めません。

事実は変わらないけれど、その後悔の体験を学びの経験にし、意味を変えながら自分の力に変えていくのです。そのような学生に出会えることを採用担当者は願っています。

これは余談です。

私は学生対応の傍ら企業向けのコンサルティングも行っています。日々多くのビジネスマンの方々と接しています。成果を上げている方にはいくつかの共通点が見受けられます。

そのひとつをご紹介します。やるかどうかはまだ決めてない。けど、とりあえず調べてみるとか、とりあえず誰かの話を聞いてみるといったように何かしらの行動をすぐに起こします。

それらの行動により、他の方より多くの知識や経験を積み重ね、状況に応じた適格な判断を可能にしています。成果を出しやすい環境を自ら作っていっているという印象を受けます。

2-2 悩んでいることがダメなことと思い込んでいる

悩むことは悪いことではありません。人生に対しどうしたらいいのかと思うこと。

言い換えれば、どうしたら今よりも幸せになれるのか、楽しくなれるのかという前向きな思いの表れ。そのような自分の気持ちは大切にしたほうがいいですよね。

今までどのように過ごしてこられましたか? そして、それを踏まえた上でこの先どのように過ごしていきたいですか? 

就職活動は特別な活動ではないのです。私たちが生きていくための基盤を作りつつ、どうせ働くなら楽しいなとかやってよかったと思えるようなお仕事のほうがストレスも少なくモチベーションが維持しやすいと思いませんか。

色々な選択の仕方があります。今までどのようなことに興味をもったか。どんな時やる気がでたか。どんなことが苦手か。

それを踏まえてそこから派生する業界職種につなげていくこともできる。また、もっと視野を広げて新たな興味を見つけて飛び込むのもあり。あなたはどうしたいですか?

行動を起こすきっかけやペースも人それぞれ。とりあえずできそうなところから手をつけてもいいです。

あなたはどうしたいですか? あってもなくてもいいです。

あってもその気持ちを少しの間保留しておくのもOK。就職活動を進めながら考えが変わってしまうのもOK。

決めるのも行動するのも自分です。当然悩んでもいい。自問自答で頭がこんがらがってしまったら紙に書く。

図解してみる。矢印ひっぱったりして心を整理してみてください。人に話してみることも効果的です。

頭で考えているのは言葉というよりはイメージです。書く、話すことにより言語化してみる。気づけなかったことに気づけるかもしれません。

焦らなくて大丈夫。今できることをひとつずつ積み重ねてみませんか。

時々、夢が遠のくとか、目標が見えなくなったと言う学生がいます。今一度自分の向いている方向を確認してみてください。

夢や目標に背を向けていませんか? 自分のとっている行動は夢や目標から遠のく行動ではないですか? うまくいかないと悩んでいる時は確認してみてください。きっと何か気づくことがあります。

そして、前に進んでいなかったことを良い経験と考えてください。人は体験を通して成長するものです。

気づいたら軌道修正をすればいいのです。必要なまわり道。だから人生はおもしろい。あなたもそうやって成長してきたと思うのですが、いかがでしょうか。

3 振り返り

□就職活動に必要だと思った心構えはどのようなものですか? それは、どうしてですか。

□就職活動に必要だと思った能力はどのようなものですか? それは、どうしてですか。

□今日からやってみようと思ったことはありますか?

□就職活動とはどのようなものだと感じましたか?

□何か他に気づいたことがあれば書き残しておきましょう。

4 まとめ

振り返りはいかがでしたでしょうか。今この時点の考えでいいですよ。これからの活動で増えたり減ったり、変わったりしてもかまいません。今この瞬間の気持ちを大切にしてください。

自分の人生を考える時は、わがままにそして、図々しく考えてみてください。

学生があまり使わないであろう用語も注釈なしで載せています。企業説明会などで使われる可能性もあります。

わからない用語があったら調べてみてください。企業が求める人材像が見えてくるかもしれません。

ここまで、色々考えながら読むのはとても大変だったと思います。

ここまでの健闘を称えつつ、今後の健闘をお祈りし終わりにします。

キャリアカウンセラー 加藤真琴

一歩踏み出す瞬間の人の輝きに魅せられキャリア支援に携わっていくことを決意したのが20年前。理系大学での活動を中心に、延べ15,000人以上の学生を対象としたキャリアカウンセリング実績をもつ。

現在の志事(ライフワーク)は、セルフブランディングとフレームワークを活用したキャリアサポートプログラムの企画運用。

「正解なんてない。こたえはツクルもの♪」をモットーに活動中♪