「長所」と「自己PR」就活で良くみかけるこの2つの言葉の意味の違いを、皆さんはご存じでしょうか。場合によっては書き分けが求められることもあるため、意味を理解しておくことがまずは大切です。そのうえで、自己PRと長所の見つけ方までをしっかりと身につけておきましょう。
本記事では、長所と自己PRの違いとともに、例文や長所と自己PRの見つけ方を解説します。就活に臨む前の基本知識として、ぜひご参考ください。
長所と自己PR、それぞれの違い

まずは長所と自己PR、それぞれの違いについて確認しておきます。
| 項目 | それぞれの違い |
| 自己PR | 企業目線×強み |
| 長所 | 自分目線×人柄 |
長所はパーソナリティを伝える
長所を聞かれた場合は、主に性格などを含む特徴を伝えるようにします。「責任感が強い」「おおらか」などの人柄を伝えることで、働くうえでの好影響をアピールすることが大切です。
一方で、企業側としては長所を聞くことで社風にあっているかを確認しています。企業風土をしっかり把握したうえでの回答を心掛けましょう。
自己PRは社会人としての強みを伝える
自己PRを聞かれた場合は、社会人として活かせる強みを伝えます。主体性・行動力・傾聴力など、自分の強みがどのように仕事に反映できるかをアピールしましょう。
企業側も質問を通して、あなたが組織でどのように活きるのかをはかっています。採用のメリットを感じさせる回答ができれば、内定に一歩近づけます。
使い分けの方法
自己PRと長所のどちらに関する質問も、あなたが組織や仕事でどう活きるかを確認するための内容です。回答で大切なことは、企業をしっかりと知ったうえで業務環境で活かせる自身の能力や特性をアピールすることです。
そのうえで、自己PRは採用担当者の目線を意識してアピールし、長所は個人的に優れていると感じる部分を伝えます。明確な使い分けは決まっておらず、柔軟に視点を変えながら丁寧に答えることを意識すれば、問題はありません。
長所と自己PRを含むアピールポイントの見つけ方

長所と自己PRの定義を確認したところで、それぞれでアピ―ルするポイントの見つけ方を解説します。アピールポイントが見つからない場合は、ぜひ下記項目に取り組んでみてください。
自己分析をする
自分自身を知ることは、アピールポイントをみつける第一歩です。自分がこれまで成果を出した強みや周囲から褒められたこと、根拠もなく自信があることなどを一度書き出してみましょう。自己分析すれば、悪い面に隠れた自分の良い面を見つけられます。自己分析は就活の基礎になるため、可能な限り深く丁寧に行いましょう。
企業や業界分析をする
自己分析が終わったら、次に志望企業を深く知ることが大切です。企業や業界に必要な人材の特徴と自分の特徴が重なる部分があれば、それがアピールポイントになります。特に目指したい企業があれば、HPや説明会を通して研究し、組織に合わせた自己Pや長所を語れるようにしておきましょう。
見つからなければ短所を言い換えてみる
どうしてもアピールポイントが見つからない場合は、短所を言い換えてみることもおすすめです。「落ち着きがない=行動力がある」や「人見知りする=慎重に物事を考える」のように、短所と思える面には長所も隠れています。上記の言い換えは誰でも活用できるため、ゲームのつもりで考えてみると自分だけのアピールポイントを見つけられます。なお、短所をポジティブに言い換える具体例は、以下のとおりです。
≪短所の言い換え早見表≫
| 短所 | 言い換え例 |
| 心配性 | ・石橋をたたいて渡る慎重なタイプ |
| 人見知り | ・人付き合いを大切にする性格 |
| 内向的 | ・自分と向き合い答えをみつけるのが好き |
| 完璧主義 | ・計画性と正確性を大切にするタイプ |
| おおざっぱ | ・細かいことは気にしない前向きな性格 |
| 優柔不断 | ・慎重に判断をするタイプ |
| プライドが高い | ・自分に誇りをもって責任をまっとうする |
| 短気 | ・情熱を大切に仕事をする性格 |
| そそっかしい | ・考えるより行動をしたいタイプ |
| 口下手 | ・言葉選びを慎重にする性格 |
| 頑固 | ・決めたことは最後までやり通すタイプ |
自己PRに利用できる強みの具体例

自己PRに利用できる強みの具体例は以下の通りです。自己PR作成時にご参考ください。
思考能力に関するする強み
思考する能力に関する強みは、以下のようなものがあります。
- ・集中力
- ・分析力
- ・計画力
- ・創造力
- ・企画力
- ・言語化能力
行動に関する強み
行動に関する強みには、以下のような内容があります。
- ・継続力
- ・実行力
- ・好奇心
- ・主体性
- ・忍耐力
- ・探究心
対人関係における強み
対人関係に関する強みには、以下のような内容があります。
- ・発信力
- ・コミュニケーション能力
- ・誠実性
- ・協調性
- ・傾聴力
理系職種別に強みをPRする例文

以下では、代表的な理系職種別に自信の強みをPRする例文を紹介します。
研究開発
私は答えのない課題に対しても、あきらめることなく仮説検証に挑戦し、実績に繋げる性格です。大学在学中は研究で思うような成果が得られないこともありましたが、冷静に原因を追究し、必要な対策を講じることで結果を導きました。強みである粘り強さと探求心を活用し、研究開発の力になりたいと考えています。
生産技術
私は現場を俯瞰してみて改善ポイントを見つけられる強みがあります。在学中の研究室では、装置の稼働率が落ちている要因を分析し、手順の再構築によって稼働率を向上させました。原因分析から改善につなげる能力も最大限に発揮して、安定したモノづくりに貢献したいと考えています
ITエンジニア
私の強みは、主体性があることだと思います。大学在学中の研究では課題であった効率化の改善に着手し、独自でプログラムを作成して自動化することで効率を向上させました。その結果、これまで掛かっていた時間を、約半分程度に短縮できました。このように、その場でできることを考え、行動に移すことを大切にしています。入社後も主体性を発揮し、幅広い業務において積極的に貢献したいと考えています。
データサイエンティスト
私の強みは、探求心があることだと考えています。研究では上手くいかないこともありましたが、常に必要なデータを集め、統計的に処理することで再現性の高い結果を導くことができました。データの裏側にある意味まで深く考えを巡らせながら、結果に結びつけることを大切にしています。入社後も強みである探求心を活かし、組織に貢献できればと考えています。
品質管理
私の強みは、根気強く続けられる継続力にあります。研究で起きた失敗も原因をあきらめることなく追究し、やり方を見直すことで、沢山の成果を生むことできました。根気強く妥取り組み続ける姿勢は、品質を守ることにおいても非常に大切だと考えています。入社後も継続力を発揮し、信頼をいただける製品づくりの力になりたいと考えています。
自己PRで評価されやすいポイント

自己PRを作成するうえで意識しておきたい、評価されやすいポイントがあります。下記3つのポイントを意識して、作成や回答を行うことが効果的です。
組織との相性が良い
自己PRで最も評価が高いポイントは、自社組織との相性が良いことです。あなたのアピールポイントが、志望企業が必要としている能力であることが評価のポイントです。目立つ能力でなくても、組織との相性が良いと感じられれば、おのずと評価は高くなります。
| 分類 | 文章 |
| 良い例 | 私は貴社の○○という理念に共感しています。だからこそ、○○という強みを活かせると考えています。 |
| 悪い例 | 私の○○という強みは、きっと活かせるはずです。(企業を知らずに、強みだけアピールする) |
プレゼンテーション能力がある
自己PRの内容ももちろん大切ですが、わかりやすく話すこともまた非常に大切です。あなたのことを知らない面接官に、自分をわかりやすく自己PRすることができれば、それだけでも高評価に繋がります。面接官の思考も想像しながら、理解しやすい言葉で話すと評価を上げることができるでしょう。
| 分類 | 文章 |
| 良い例 | 私は学生時代、○○のような有名製品に使われる、○○システムの研究をしていました。 |
| 悪い例 | 私は○○システムの研究をしており、▲▲機器の制作に携わっていました。(面接官がわからない可能性があるものを説明しない) |
入社後の活躍がイメージできる
自己PRを聞いて、入社後の活躍がイメージできることで非常に高い評価を得られます。そのためには、企業を深く知り、求める人材やマインドを知ることが非常に大切です。自分自身の能力が組織にどのように活かせるかを明確に語ることで、高評価を得ることができるでしょう。
| 分類 | 文章 |
| 良い例 | 入社後は、御社で大切にされている前向きな姿勢を心がけ、○○事業を業界No.1に押し上げることに貢献したい思いがあります。 |
| 悪い例 | 入社後はとにかく自分の強みを活かし、成果を上げたいと考えています。(具体性に乏しい) |
≪自己PRの構成の基本!PREP法/STAR法≫
下記一覧は、自己PRの代表的な構成である、PREP法/STAR法2つの流れや書く内容を表したものです。下記表を参考に構成すると、自己PRがぐっと書きやすくなります。ご自身に合った構成をまずは見つけてみましょう。
| PREP法/基本構成 | 書く内容 | STAR法/基本構成 | 書く内容 |
| ①結論 | 自分の強み | ①状況 | エピソード |
| ②理由 | 強みの裏付け | ②目標 | 掲げた目標や課題 |
| ③具体例 | 強みエピソード | ③行動 | そのための行動 |
| ④展望 | 強みの活かし方 | ④結果 | 結果や成果 |
長所と自己PRの違いが分かる、それぞれの例文

それでは、長所と自己PRごとの例文をご紹介します。それぞれの違いを確認したうえで、ぜひ作成の際の参考にしてみてください。
長所を伝える例文
私の長所は、計画通りに柔軟に対応できる適応力があるところです。もともと計画通りに約束を守ることが好きなのですが、大学での研究を通して「適応力」を深められました。きっかけは企業との長期の共同研究を実施した際に、多くの研究計画の変更を経験したためです。
この経験から、研究が変更になった場合もできることに注力し、落ち着いて段取りを組みなおせば問題なく実行できることが理解できました。入社後も丁寧な準備のうえお客様のご要望に叶う納期で研究を進め、計画変更にも柔軟に対応して行きたいと考えております。
自己PRとして使える例文
私の強みは、作業の効率化を目指し努力できる点です。大学在学中の研究では、データ前処理作業の際のデータ分析が、非効率であることに課題を感じていました。そこで、研究室内で相談のうえ、自動化のスクリプトを開発。その結果、35%の作業時間削減を実現し、分析により多くの時間を割くことができるようになりました。入社後は、通例となっているプロセスについてもフラットに確認し、作業効率化に寄与できればと考えております。
長所と自己PRを効果的に使い分けるポイント

では最後に、長所と自己PRの使い分けを効果的に行うための、3つのポイントを解説します。
同じ内容にならないよう準備しておく
長所と自己PRを上手く使い分けるためには、違いを意識して準備しておくことがおすすめです。先程ご紹介した例文などを参考に、長所と自己PRのそれぞれの基本文章を用意しておくと良いでしょう。面接官がそれぞれを質問する際の心情も考えながら、準備しておくことが大切です。
組織や仕事に結び付けて伝える
自分自身の強みや長所がどのように組織に活かせるかを考えて、企業や仕事ごとの文章を考えておくことも大切です。長所・自己PRを聞かれた場合に、「どの部分をアピールするのか」という意図を持って回答しましょう。どちらを聞かれた場合も最終的には業務内容や組織の内容に帰結するように心掛けて、作成を進めることが良策です。
場数を踏んで使い分けを覚える
自己PRと長所の使い分けを理解した場合は、面接などで伝える練習をすることも有効です。面接の場は、TECH OFFERなどの逆オファー型就活サービスを活用すると、簡単に候補を見つけられます。
利用方法はTECH OFFERのサイトにアクセスして、プロフィールを入力するだけです。しっかりと情報を入力しておけば、それを見た企業から直接オファーが届きます。そして企業を調べたうえで、興味がある場合はそのままエントリーも可能です。
さまざまな企業からインターンや本面接へのオファーを受け取れるため、新たな志望先探しにも有効です。早めの登録がオファーを集めるコツですので、まだ利用したことがない方は早期登録をおすすめします。
回答フローチャートと回答例
長所と自己PRの使い分けについて、以下のフローチャート形式で回答方法をまとめました。
| 質問① | 自己PRと長所のどちらを聞かれた? | |
| 回答① | 自己PRを聞かれた | 長所を聞かれた |
| 質問② | 「経験・成果で語れる?」 | 「性格的強みを一言で言える?」 |
| 回答②(YESの場合) | 成果+学び+活かし方 | 長所+具体例+活かし方 |
| 回答②(NOの場合) | 具体例を思い出し、行動を中心に構成 | 自己分析を深める(性格や価値観に基づいた長所を整理) |
フローチャートの回答ごとに、以下で自己PRと長所を使い分ける際の例文を紹介します。
①自己PRを聞かれた際に経験・成果で語れる?
YES:成果+学び+活かし方の回答例
大学在学中の研究で、新しい触媒反応の条件最適化に取り組み、これまでに比べて反応効率を20%向上させました。成果が出るまで工夫を続ける試行錯誤の大切さと、データをさまざまな角度から検証する分析の重要性を学びました。学生時代に得た経験や手法を、入社後は製品開発プロジェクトの分野で活用できればと考えています。
NO:具体例を思い出し、行動を中心に構成した場合の回答例
大学では〇〇分野の研究に取り組み、専門知識の理解とともに、授業や演習のなかで課題解決力を習得しました。まだまだ知識や経験は少ないですが、大学在学中に得た知見と分析力や論理的思考を活かし、入社後は貴社〇〇製品における機能向上に寄与できればと考えております。
②長所を聞かれた際に性格的強みを一言で言える?
YES:長所+具体例+活かし方の回答例
私の長所は、最後まであきらめない粘り強さです。ゼミの研究で〇〇についての実験に取り組んだ際も、長期間にわたって何度もうまくいかないことがあり、周囲はあきらめモードでした。しかし、もう一人のメンバーとともに文献調査と挑戦を繰り返し、最終的に学内表彰を貰える成果を上げることができました。この粘り強さを武器に、入社後も製品の課題解決に貢献したいと考えています。
NO:自己分析を深める場合の回答例
長所の回答例を作成する前に、性格や価値観に基づいた長所を整理することをおすすめします。だれにでも必ず長所はありますので、落ち着いてこれまでの様々なシーンを振り返ってみることが大切です。長所が整理できたら、上記例文を参考に回答例を考えてみましょう。
自己PRと長所に関するよくあるQ&A

最後に、回答時のよくある質問をQ&Aにまとめました。
自己PRと強みは同じでいい?
自己PRと強みは、同じでも問題はありません。強みは自分が得意な特性をはっきりと伝えることが多く、自己PRは強みを裏付けるエピソードや経験の分量を多くして伝えます。
面接官としても、自己PRと強みのそれぞれの回答の違いを知りたいわけでなく、あなたがどんな人なのかを知りたいだけです。どちらの場合も、どんな思いや強みがあるのか、しっかりとアピールすることを心掛けましょう。
長所と短所をセットで聞かれたら?
長所と短所は、一緒に聞かれることも多い質問です。そのため、回答方法としては、関連づけ一貫性が感じられる答え方をおすすめします。たとえば、長所を行動力とするのならば、短所は時折頑張りすぎてしまうなどの形です。最後に短所を改善する姿勢などを示せば、より印象は良くなります。
同じエピソードを両方で使ってもOK?
エピソード自体は同じものを使っても構いませんが、強み・自己PR・長所短所など聞かれた内容に応じて切り口を変えることが大切です。同じエピソードでも、視点を変えたり伝え方を変えたりするだけで、まったく印象が異なる内容になります。定型の回答は上手く話せても、さほど印象はあがりません。本音で話している印象を与えるためにも、オリジナルの内容を心がけましょう。
まとめ
本記事では、「長所と自己PRの違いと、それぞれの例文や長所・自己PRの見つけ方」を解説しました。長所と自己PRの違いはご理解いただけたでしょうか?面接官の意図を踏まえたうえで違いを把握し、面接時の効果的なアピールにお役立てください。
また、自己PRとあわせて万全の準備をしておきたい「志望動機の書き方」や「ガクチカの伝え方」については、以下の記事で詳しく解説しています。


