理系学生の中には、具体的な将来像を持って理系を選択する方がいます。

自身の得意分野から職業を見つけ出して、明確なキャリアプランを練っている方もいるでしょう。

一方で自身の専門性が、将来的にどのような職業に紐づくのかイメージが持てない方も中にはいます。

特に新卒の場合は実務経験がないため、どのような仕事に向いているのか迷ってしまう方も少なくありません。

今回は理系学生におすすめの職業と職業選びのポイントを紹介します。

理系学生の方で、就職先のイメージが湧かない方はぜひ参考にしてみてください。

理系学生が職業選びに欠かせない2つのポイント

理系学生が職業選びに欠かせない2つのポイント

理系学生におすすめの職業を紹介する前に、まずはどのように職業を選べばよいかを解説します。

理系学生は進める道が多いため、選択肢の多さに悩む方も少なくありません。

例えば、薬学部の学生であれば、薬剤師やMR、研究職など幅広い選択肢があります。

本章では職業選びのポイントを解説するので、ぜひ参考にしてみてください。

専門性や強みを生かせる

理系学生の職業選びのポイントその1は、専門性や強みを生かせることです。

理系学生の大きな特徴といえば、大学や大学院で培った専門性です。

積み上げてきた専門性とつながる職業を選べば、知識や経験がダイレクトに生かせるので、高いレベルからキャリアを始められます。

下地が整っているため、より高いキャリアを積める可能性がある点も、専門性や強みを生かせる職業を選ぶメリットです。

論理的思考力が生かせる

理系学生の職業選びのポイントその2は、論理的思考力を生かせることです。

ビジネスの現場では日夜様々な問題が発生しており、問題の認識や効率的な解決には論理的思考力が必要とされています。

理系学生は日々の活動や研究を通じて深く考える習慣から、高い論理的思考力を備えています。

理系学生の持つ論理的思考力はビジネスの現場で大いに役立つため、「論理的思考力を生かせる」という観点で職業を選ぶのもよいでしょう。

職種を幅広く知るメリット

職種を幅広く知るメリット

さまざまな職種があることを知るメリットは、ミスマッチが防げることです。

職種の仕事内容や求められるスキルを知っておけば、自身に合う・合わない仕事を判断できるからです。

本人が持つポテンシャルや性格から考慮すると、特定の職種が向いているという方は実は少なくありません。

該当の職種を知らないがために、異なる職種に就くのは本人はもちろん、採用を逃した企業にとっても不幸な結果といえます。

さまざまな職種を調べておけば、自身にマッチする職種に出会える可能性がグッと広がります。

理系学生におすすめの職業一覧

理系学生が持つ専門性や物事を深く考えられる力はどの職業にも役立つため、どの職業を選べばよいのか迷う方も多いでしょう。

本章では理系学生が専門知識を使って有利に就職できる職種を紹介していきます。

研究・開発職

農学部や理学部に所属している学生に人気の職種です。

業界としては食品や化粧品業界が特に人気となります。

そもそも研究職・開発職は、大前提としてその分野に関する専門知識を持っている人だけが選考に進めます。中には、修士課程以上をとっている方だけに応募資格がある場合も少なくありません。

理系就活生の中でも、高い専門分野を身につけている学生を欲する企業が多いため、有利となるでしょう。

1つ注意点としては募集人数が少ないということです。

同じ分野を学んできた学生が沢山受けにくるため、いかに差別化できるかどうかが鍵となります。

MR

MRは医薬情報担当者をさしており、製薬会社などで営業をおこなう職になります。

自社の医薬品を売りにするため、医薬品に関する知識をもっている人のほうが営業しやすい職種となるでしょう。

そのため薬学部や農学部、生物系や化学系の学科に所属している学生が有利になる職種となります。

エンジニア

エンジニアは情報系の学生が有利になる職種です。

もちろん、プログラミングを独学で学んでいる学生もいると思いますが、このような方たちも十分有利となります。

情報系の学科に所属している人たちは、プログラミング以外にもネットワークやサーバ、ハードウェア、ソフトウェアについて学んでいるケースも多いでしょう。

こういった知識も持っていることは、プログラミングだけを独学している人たちと比較して、十分差別化できる要素となるでしょう。

その意味で情報系に所属している学生がかなり有利にはたらく職種だと言えます。

データサイエンティスト

エンジニアと同様に情報系の学生が有利となります。

全ての情報系の学科がデータ分析をするわけではありませんが、学んだ事のある人や研究室が関係している人は有利だと自負して良いでしょう。

データサイエンティストは最近注目されている職種です。

ビッグデータを扱う時代になってきた今、データを駆使した戦略が中心となってきため、

日本でも重要度が高まっている職種といえるでしょう。

研究職などと同じように応募資格の学科を限定している企業、修士課程以上をとっている人に限定している企業が現れています。

どの業界においてもデータ分析結果を利用しているため、データサイエンティストはどの業界でも潰しが効きます。

そのため、現在データ分析関係を勉強している学生は好きな業界を選べる上に有利となります。

設計職

設計職としては、機械設計、電子回路設計、光学設計などがあげられます。

このような職種では4大力学と呼ばれる、材料力学、流体力学、熱力学、機械力学の知識が必須となってきます。

このあたりの勉強を機械系、電気電子系、物理系の学科に所属している学生は基本的に学んでいるでしょう。

またそれらを使って研究している学生も多いでしょう。

そのため、学んできたことをかなり活かした仕事ができる職種でもあり、また企業としても即戦力だとみなせるため、就活生の中でも有利となります。さらにCADなどを設計職では使うことになります。

このようなソフトに触れたことのある人はさらにアピールポイントになります。

生産・品質管理職

化粧品や食品に対する生産管理・品質管理は農学部や理学部、化学系、生物系を学んできた学生が、メーカーに関するものは機械や電気・電子を学んできた学生が有利となる職種です。

生産・品質というのは顧客を満足させる上ではかなり重要なものです。

そのため、生産・品質を管理している人たちというのは、企業の中でも大事なポジションとなります。

生産・品質に対する専門知識を持っている人が有利となり、企業としてもその専門知識を学び続けられる人に就いてほしいと考えています。

この先も学び続けてもらうという意味では、学生時代にその分野について研究してきた学生には好印象となるでしょう。

薬剤師

薬剤師とは文字どおり、薬のプロとして薬の調剤や説明、相談などをおこなう職業です。

薬剤師となるためには薬学部を卒業する必要があるため、紹介してきた職業と比較して、間口が狭い職業となります。

日本人の高齢化が進む昨今では、薬を必要とする方がさらに多くなることが予想されます。

人々の健康を支える薬剤師の重要性は今後益々上がるため、薬学部の方は選択肢に入れておきたい職業といえるでしょう。

医師

病気や怪我の方を診療・治療する医師は研究職と並び、理系を代表する職業です。

私たちの診療や治療をおこなっている臨床医となるためには、医学部を卒業している必要があります。

人々の健康を支えているという点をダイレクトに感じる職業でもあるため、やりがいのある職業を目指すのであれば、医師以上の選択肢は多くありません。

薬剤師と同様に、高齢化が進む日本では医師に対する需要が益々上がるでしょう。

航空整備士

航空整備士とは、飛行機やヘリコプターの機体を安全に飛行できるように整備・点検をおこなう職業です。

機械工学や航空工学を専攻している学生が目指せる職業になります。

インターネットによるつながりが当たり前になっているとはいえ、人々の移送手段である飛行機やヘリコプターの重要度は依然として高いです。

人々の"足"を安全面から支える航空整備士は表には出ませんが、縁の下の力持ちとして欠かせない職業といえるでしょう。

アクチュアリー

アクチュアリーとは、保険・金融分野で保険料率や保険支払金額の算定をおこなう職業です。

アクチュアリーになるためには、特定の学部・学科を卒業している必要はありません。

一方で高い数学的知識が必要なため、数学科を専攻していると有利になるでしょう。

金融系というと文系職のイメージがありますが、アクチュアリーは理系の知識や考え方が必要とされる職業です。

理系職業における高収入・高年収ランキング

理系職業における高収入・高年収ランキング

理系職業における高収入ランキングは以下のとおりです。

理系職業でおすすめの職業としてピックアップした職業もいくつか登場しています。

順位職業平均年収
1位アクチュアリー1,250万円
2位医師1,169万円
3位大学教授1,101万円
4位大学准教授872万円
5位大学講師719万円
6位高等学校教員709万円
7位一級建築士703万円
8位弁理士700万円
9位自然科学系研究者681万円
10位技術士667万円

参考:厚生労働省 賃金構造基本統計調査

理系学生が活躍可能な文系職業

理系学生が活躍可能な文系職業

理系学生が将来的に就く職種というと、研究開発やエンジニアをイメージする方が多いでしょう。

一方で理系学生でも営業などの文系職に就くことができ、活躍することが可能です。

本章では理系学生が活躍できる文系職業を解説します。

コンサルタント

対象となる企業の分析をおこない、課題の解決に導くコンサルタントは、理系学生が活躍できる職業です。

コンサルタントというと文系職業に思われがちですが、理系学生が持つ論理的思考力の高さが大いに役立つ職業です。

企業の課題解決には原因の追究が欠かせず、原因を深くまで掘り下げるためには論理的思考力が必要不可欠になります。

コンサルタントの大きな武器となる論理的思考力を、理系学生が身につけているため、コンサルタントでも活躍ができます。

技術営業

商品・サービスに関する高い知識を持って営業活動をおこなう技術営業も、理系学生が活躍できる職業です。

営業職というと文系職業の代表になりますが、技術営業は商品・サービスの知識を持って営業をおこなうため、理系学生の持つ知識が役立つ職業です。

営業活動には熱意に訴える能力も必要ですが、論理的に商品・サービスの必要性を訴える能力も欠かせません。

商品・サービスの必要性を論理的に説明できる高いスキルを、理系学生は兼ね備えているため、技術営業に必要な素養を持ち合わせています。

理系女子に人気の職業

理系女子に人気の職業

一昔前と比較して、理系を専攻する女性が増えるなど理系分野にも男女の隔たりが少なくなりつつあります。

本章では理系を専攻する女性に人気の職業を解説します。

理系女子の方は自身の職業選びに、ぜひ参考にしてください。

薬剤師

薬剤師は薬局やドラッグストアで、薬の販売や指導をおこなう職業です。

処方された薬を患者さんに渡すだけでなく、飲み合わせや注意点などを指導するため、高いコミュケーション能力が必要とされます。

今後、高齢化が進行する日本社会では、薬に対する需要はさらに増えることが予想されます。

人々の生活を支える薬剤師が活躍する機会は増えるでしょう。

システムエンジニア

ITシステムの設計からプログラム開発まで幅広くおこなうシステムエンジニアも、理系女子に人気の職業です。

IT系というと長時間労働など働きづらい印象はありますが、昨今では労働環境が改善されており、女性に働きやすい環境になりつつあります。

また手に職がつきやすい職業でもあるため、ライフサイクルに合わせて、異動や転職などがしやすい点もシステムエンジニアのメリットになります。

昨今では女性目線ならではのデザインやシステムの仕様を取り入れて、ヒットするサービスが登場するなど女性が活躍しやすい業界です。

研究職

大学時代を通じて高めた専門性を、ありのまま生かせる研究職も理系女子に人気の職業です。

あくまで成果を出す前提ではありますが、研究職も女性に働きやすい環境が整っています。

研究が順調に進んでいれば、定時もしくは定時プラスアルファの労働時間で退社することも可能です。

自身の専門性を生かしつつ、ワークライフバランスを重視したい場合にはおすすめの職業といえるでしょう。

理系職業で求められる能力3選

理系職業で求められる能力3選

エンジニアやMR、品質管理など理系学生が目指せる職業は数多くあります。

一方で、どの職業でも求められる共通の能力があります。

どの職業でも共通して求められるため、ぜひ身につけておきたい能力といえるでしょう。

本章では理系職業に求められる能力を3つ紹介します。

論理的思考力

論理的思考力は、どの理系職業でも求められる代表的な能力といえるでしょう。

論理的思考力は様々な場面で役立ちますが、代表的な場面は問題点の原因を発見するときです。

例えば、売上が下がっているという問題点が上げられた場合、売上が下がった原因を見つけるには、筋道を立てて考える必要があります。

論理的思考力は筋道を立てて考える際に役立つ能力です。

論理的に矛盾のない原因が見つかった場合には、後は原因に対処するだけとなります。

粘り強さ

研究職やプログラマーなどの職業では、思うような結果がすぐに出るとは限りません。

多く試行錯誤を繰り返した結果、ようやく狙った結果が出るケースもあります。

理系職業では職業に必要な能力も重要ですが、いかに粘り強く取り組めるかも重要な能力です。

昨今はGRIDという言葉が注目されているように、粘り強さも重視されています。

課題解決力

どの理系職業でも日々問題が発生するため、課題を解決する力が求められます。

例えば、狙った実験結果が出なかった、エンジンがどうしても動かないなどレベルの差があれば、問題は発生します。

過去の経験や知識から簡単に解決できる場合もあれば、中々解決に至れない場合もあるでしょう。

決定的な解決策がない場合、"アタリ"をつけながら、解決へのアプローチをしていくことになります。

解決に向けて、仮説を立てながらアプローチしていく力も理系職業では求められています。

理系就活を有利に進めるアプローチ3選

理系就活を有利に進めるアプローチ3選

理系職業の中には特定の分野を専攻している学生のみや修士卒以上など、応募が限定されているケースがあります。

一般的な職業より応募数は減りますが、同じレベルの方が集まる点を考慮すると、厳しい競争である点は変わらないでしょう。

本章では理系就活を有利に進めるためのアプローチを3つ紹介します。

早めに就活準備をスタートする

昨今の就活におけるキーワードは、早期化です。

一般的な就活時期より早く選考が始まり、今では卒業年度の初めには内定が出ているケースも少なくありません。

自身の専攻分野につながる企業の募集も、早期に募集終了となってしまう可能性があります。

早期化の流れは今後も続くことが予想されるので、早めに就活準備をスタートして、早期化に対応できるようにしましょう。

インターンシップに参加する

夏季や冬季に実施されるインターンシップには以下の理由から参加しておいた方がよいでしょう。

  • ・仕事や業界に対する理解が深まる
  • ・企業との相性が分かる
  • ・志望動機につながる
  • ・選考につながるケースがある

2025年卒からインターンシップが変わり、より選考につながる形となるため、インターンシップの重要性は以前より大きく増すことになるでしょう。

スカウトサービスを利用する

企業へ応募をおこない、選考を受けるだけが就活ではありません。

昨今ではスカウトサービスを利用して、有利に就活を進められるケースがあります。

スカウトサービスに自身のプロフィールや研究実績などを登録しておけば、企業からスカウトが来る可能性があります。

また昨今のスカウトサービスはマッチング機能も兼ね備えているため、相性の良い企業と出会える可能性はより上がるでしょう。

数あるスカウトサービスの中で、理系就活生におすすめなのが『TECH OFFER』です。

『TECH OFFER』は理系学生のためのサービスであり、利用する企業も理系学生をターゲットにしています。

『TECH OFFER』に登録した学生は、平均で1人あたり20社からのスカウトを受け取っています。

ぜひ理系職業を志している学生の方は、今回を機に『TECH OFFER』に登録してみてはいかがでしょうか。

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診断ツールを用いて適職な理系職業を探す

理系就活の一般的な流れとしては、さまざまな理系職を調べつつ、就活を進めていくことになります。

もし最初から適職がわかれば、業界研究や企業研究に多くの時間をあてられるため、有利に就活を進められるといえるでしょう。

昨今では自身の適職を診断してもらえるツールが登場しており、就活をするうえで参考になります。

診断は過去の膨大なデータを基におこなうため、精度は非常に上がりつつあります。

参考サイト:リケラボ 理系の理想のはたらき方を考える研究所

まとめ

今回は理系学生におすすめの職業と職業選びのポイントを解説しました。

理系学生におすすめの職業は以下の10個となります。

  • ・研究/開発職
  • ・MR
  • ・エンジニア
  • ・データサイエンティスト
  • ・設計職
  • ・生産/品質管理職
  • ・薬剤師
  • ・医師
  • ・航空整備士
  • ・アクチュアリー

理系職業を選ぶ際には、「専門性・強み」「論理的思考力」を生かせる職業を選ぶとミスマッチの少ない就職となるでしょう。