理系学生は、研究内容が仕事に直結することが多く、将来のキャリアを考えるにあたり、研究室選びは重要なイベントの1つです。
自身に合う研究室に入れれば、より実力を発揮できるのは間違いないでしょう。
自分にマッチする研究室かを見極める絶好の機会が研究室見学です。
一方で自身に合う研究室を見極めるためには、どのような点をチェックすればよいかわからない方も少なくないでしょう。
今回は研究室見学ですべき質問と見極めのポイントを解説します。
研究室見学を少しでも不安に感じている方は、ぜひ参考にしてみてください。
研究室見学で明らかにすべきポイントとは
研究室を見学する際に明らかにすべきポイントは、以下の3つになります。
- ・研究環境
- ・研究室での生活について
- ・将来性について
研究環境
数年間の間、研究をおこなっていく上で研究環境の良し悪しは見逃せないポイントです。
特に以下の3点は研究をしていく上で重要な要素になるので、確認しておくとよいでしょう。
- ・自身の行いたい研究ができるのか
- ・研究設備は整っているのか
- ・教授や准教授、研究室の先輩の人柄
研究室での生活
研究環境と同様に研究室での生活がどうなっているのかも重要なポイントです。
例えば研究室の滞在時間がどれくらいかは、研究に重きをおきたい学生にとって、確認したいポイントです。
他にもバイトをしなければならない学生にとって、バイトの可否は死活問題になります。バイトができるのかもチェックしておいた方がよいでしょう。
将来について
多くの理系学生にとって、大学の研究室は自分を高めるための通過点になります。
将来を考慮すると、以下のポイントは確認しておきましょう。
- ・研究室を卒業した先輩の進路
- ・大学院に進む研究室の先輩の数
- ・就活やインターンはキチンとおこなえるのか
研究室の見学を通じて、研究室の方針を確認しておき、自身の将来像に合うかをチェックしておきましょう。
▼あなたに合った企業が丸わかり▼
TECH OFFERで理系限定適性診断を受ける
研究環境を確認できるおすすめの質問
本章では研究環境が自身にマッチするかを確認できる質問を9つ紹介します。
実力があったとしても、環境が合っていないと活躍できないケースは少なくありません。
ぜひ自身にマッチした研究環境であるかをチェックしてみてください。
研究テーマや研究成果について
まず研究室を選ぶ際、真っ先に気になるのが研究室での研究テーマや研究成果についてでしょう。
以下の質問をぶつけて、研究テーマや研究成果に対する感触を得ていきましょう。
他にも、なぜ今の研究に取り組んでいるのかなどの目的を質問すると、研究室に対する理解がより深まります。
- ・自身の研究したいテーマで研究をおこなうことは可能か
- ・これまで取り組んできた研究テーマは何か
- ・現在の研究からどのような成果が得られるのか
- ・現在の取り組んでいる研究のきっかけとは
学会での発表や論文発表について
研究室にとって、学会での発表や論文発表は成果を示すアウトプットです。
以下の質問をおこない、研究室がどれだけのアウトプットを生み出しているか確認しておきましょう。
- ・研究室を修了するまでに何本くらいの論文を出しているのか
- ・学会には年に何回参加するのか
- ・学会で発表する学生の数はおよそ何人くらいか
特に博士号取得まで考慮している学生や奨学金制度を活用している学生にとって、論文や学会への参加は重要な要素です。
コアタイムはいつなのか
コアタイムとは必ず研究室にいなければいけない時間帯を指しています。
例えば、コアタイムが10時~17時の場合には、10時から17時は必ず研究室にいなければなりません。
コアタイムのあるなしでは、日々の生活の組み立てが大きく変わるのでコアタイムの有無と時間を確認しておきましょう。
企業との研究有無
研究分野によっては企業と共同研究をおこなっている研究室もあります。
基礎研究より応用研究や開発研究などの実用的な志向を持っている方は、企業との共同研究があるのかを質問するとよいでしょう。
研究室の方針
研究室の”色”が強く出るのが、研究室の方針です。
例えば、チームで研究を進めるタイプの研究室なのか、個人で研究を進めるタイプの研究室なのかでわかれます。
議論を交わしながら研究をしたい方などは前者を選ぶとよいでしょう。
一方で黙々と研究を進め、自身でスケジュールを管理したいのであれば、後者がおすすめです。
研究室として、どのような方針をとっているのかを質問しておきましょう。
研究設備について
研究分野によっては設備を多く必要とするものもあります。
研究設備は多岐にわたっており、パソコンや顕微鏡、机といった身近な設備から解析装置や電子顕微鏡など高度な設備まで様々です。
自身が目指す研究に必要な設備が揃っているかは、確認しておきましょう。
また研究設備の利用状況もおさえておかないと、配属後に困った展開になるかもしれません。
例えば、研究室のメンバーに対して、設備が足りていないと利用できる機会がシンプルに減ります。
機材や設備の順番待ちが発生して、効率よく研究ができなくなります。
研究費の割合
研究には消耗品などの物品が欠かせません。
必要な消耗品は試験紙やフィルター、実験用ホースなど研究分野によって様々です。
必要な物品が出てきた場合、購入してもらえるのかは確認しておきましょう。
研究費が多くない研究室では、必要な物品を中々購入してもらえず、自腹で購入するというケースも少なくありません。
教授や准教授の人柄
研究室に所属すると教授や准教授から指導してもらうことになりますが、教授や准教授の人柄は必ずチェックしておきましょう。
いくら希望の研究ができるからといって、教授や准教授との相性が悪ければ、研究室で苦しい時間を過ごすことになります。
どのような人であれ、相性があるので教授と准教授の人柄は要チェックポイントです。
例えば、以下の質問をぶつけると教授・准教授の人柄がわかるでしょう。
- ・学生への指導はどのようなスタイルか(比較的面倒見がよい、それとも放置が多い)
- ・教授/准教授の説明はわかりやすいか、それともある程度こちらが質問する前提か
- ・休みの日も研究室に顔を出すなど、熱心な方なのか
研究室のメンバーの人柄
研究室では長い時間を過ごすため、人間関係は重要な要素です。
研究室のメンバーはどのような人が多いのか伺っておきましょう。
- ・気さくな先輩が多いのか
- ・質問をぶつけて、回答してくれるタイプなのか
- ・黙々と研究に打ち込むタイプなのか
▼あなたに合った企業が丸わかり▼
TECH OFFERで理系限定適性診断を受ける
研究室での生活を確認できるおすすめの質問
本章では研究室でどのような生活となるのかを確認するための質問を4つ紹介します。
研究環境と同じように合わない場所で長い時間を過ごすのは、学生と研究室側の双方にとって、マイナスです。
研究室での生活が合うかどうかチェックしておきましょう。
ゼミ・定例報告会の頻度
研究室のゼミや定例報告会では、主に研究の進捗発表や研究発表の練習をおこないます。
ゼミや報告会に対応するためには、しっかりとした準備が必要です。
つまりゼミや定例報告会の頻度が多い研究室では、開催回数に比例する形で準備の時間を取られることになります。
毎週1回程度であれば、対応できるかもしれませんが、2回を超えると準備が大変です。
ゼミや定例報告会の頻度もチェックしておきましょう。
バイトは可能か
基本的に多くの研究室ではバイトは許可されていますが、中にはバイトを禁止している研究室もあります。
バイトが必要な学生にとって、バイトのできる・できないは死活問題です。
念のため、バイトが可能なのかは確認しておきましょう。
普段どれくらい研究室にいるか
研究に重きをおきたい学生や学生生活も重要と考える学生にとっても、研究室での滞在時間は重要なポイントです。
以下の質問を投げかけ、研究室に普段どれくらい滞在しているのかチェックしましょう。
- ・週何回、研究室にくることを必須としているのか
- ・忙しい時期はどれくらい研究室にいるのか
- ・普段、どれくらいの時間を研究室で過ごすのか
将来を確認できるおすすめの質問
本章では研究室での研究や生活よりさらに先の質問、将来を見据えた質問を4つ紹介します。
どの研究所に入るかで、将来に大きく影響を与えるケースも少なくありません。
自分の将来像を思い描きながら、研究室をチェックしていきましょう。
インターンは可能か
就職活動の通年化が進む昨今では、インターンへの参加が選考に少なからず影響を与えています。
就職を見据えているのであれば、インターンへ参加可能か質問してみましょう。
中には研究と就活の両方をこなすことをよしとしていない教授も少なからずいます。
研究室に入る前にあらかじめ確認しておいた方がよいでしょう。
研究室に所属した先輩の進路
研究室に所属した先輩の進路は聞いておいた方がよいでしょう。
研究室における先輩の進路は、研究室に入った未来のあなたの進路になる可能性が高いからです。
以下の質問をおこない、就職した先輩の進路を具体的に尋ねてみましょう。
- ・就職した先輩が、どのような企業に就職しているのか
- ・推薦枠はあるのか
大学院に進む先輩の数は
大学院への進学を見据えている場合には、大学院へ進む先輩の数について質問するとよいでしょう。
大学院への進学が多い研究室であれば、大学院進学に有益な情報が自然と集まってきます。
就活期間は就活に集中できるのか
修士課程で修了を考えている方は、就職活動をする必要があります。
就活期間には就活に集中できるのかは、ぜひ確認しておきましょう。
研究室を預かる教授の考え方によっては、研究室にいながら就活をすることに良い思いを持っていない方も一定数存在しています。
いざ就活をしようと思ったときに研究が忙しくて時間が取れないとなれば、就活でかなり苦しい思いをするでしょう。
研究室見学へ向けた準備と当日の流れ
ここまでは研究室を見学した際に確認すべきポイントとおすすめの質問を紹介しました。
本章では研究室を見学に行く際に必要な準備と当日の流れについて解説します。
アポイントを取る
いきなり研究室を訪問しても問題のない研究室もありますが、先方の予定もあるのでアポイントを取った方が無難な対応です。
まずは教授にメールをして、見学してもよいタイミングを伺いましょう。
2月~3月は卒業論文等で研究室が忙しくなるので、見学は避けた方がよい時期になります。
当日の流れ①:教授からの説明とQAタイム
見学当日はまず教授から研究内容やルールの説明がおこなわれます。
質問タイムが設けられるので、随時質問をぶつけていきましょう。
当日の流れ②:研究設備の紹介
教授からの説明が終わると、研究室内の案内が始まります。
研究設備や実験器具の説明がおこなわれるので、質問を投げかけるとよいでしょう。
当日の流れ③:学生にQA
最後は研究室にいる大学院生と会話する時間が設けられます。
教授に聞きにくい内容があれば、大学院生にぶつけてみてもよいでしょう。
▼あなたに合った企業が丸わかり▼
TECH OFFERで理系限定適性診断を受ける
まとめ
どの研究室に所属するかで、将来が大きく変わるといっても過言ではありません。
自身にマッチした研究室に行くためにも、今回紹介したポイントを踏まえて、見学に行くとよいでしょう。
研究室見学で重要なのは準備になるので、しっかり備えて研究室見学に臨むことをおすすめします。