理系学生は文系の学生より英語が苦手と言われています。大学入試でも英語力の配点は少なく、理数科目よりも勉強時間を割かなかった学生は多いのではないでしょうか。
そのため研究室に配属されて英語論文を読むようになると、多くの学生が苦労します。就職後は必ず英語を使うわけではありませんが、理系が活躍する企業はグローバル展開をしていることが多く、必要に応じて英語を使うようになります。
理系社員が英語を使う場面を想定し、語学勉強のモチベーションアップに繋げましょう。
求められる日本人の英語力
グローバル展開は必然
少子高齢化で人口減少が続く中、縮小していく国内市場に補うために企業のグローバル展開は避けられない潮流となっています。
以前は自動車メーカーの海外進出に付いていく形で下請け企業も進出するような例が多く見られましたが、現在では現地企業を相手にしたビジネスも増えています。
現地の日系メーカー相手であれば日本語だけで業務を遂行することができるかもしれませんが、現地の顧客を相手にするならば英語は欠かせません。以前より社員の英語力が求められるようになりました。
産業機器メーカーや自動車産業のメーカーや電気電子メーカーなどについては海外拠点を多く持血、グローバルにビジネスを行う必要があることから英語力の有無、海外赴任の希望が出世に影響するようになり、部長職以上への出世に海外赴任を要する企業も存在するようです。
就活では、海外勤務も積極的に希望すると伝えると採用ハードルが下がり、第一志望の会社に入社できる可能性が高まります。
採用選考時には多くの企業でTOEICの点数を聞かれることでしょう。
外国人と会う機会は増えている
企業が海外へ進出すれば外国人に会う機会も必然的に増えていきます。製造業の場合、海外工場の生産職や工員を担うのは現地スタッフです。
普段の業務では英語で指示する必要があるほか、海外拠点の立ち上げでは現地スタッフに対し英語を使って教育・指導しなければなりません。会話に必要な英語力は学校で習うリーディング、リスニングなどの受け身の表現ではないため、慣れていなければ戸惑う事でしょう。
近年では日本人社員の駐在以外にも、海外高度人材の就職によって外国人と接する機会が増えているようです。
現地でビジネスを展開するにあたって日本の事情に精通した現地スタッフを育成する場合、現地社員を国内拠点で働かせることになります。
外国人社員が日本語に慣れるまでの間、日本人社員は国内に居ながら英語を使わなくてはなりません。
アジアで劣る日本人の英語力
日本人の英語力は中国人・韓国人に劣ると言われています。日本以上に厳しい受験戦争を勝ち抜くために韓国や中国の学生たちは英語の勉強に励まなくてはなりません。
また、企業の一極集中が激しく福利厚生の整った企業に就職できる可能性が低いため、就活を勝ち抜くために語学学習に励む必要があります。
日本ではあまり聞かれませんが、海外留学の経験が就活でプラスになるようです。
一部では東南アジア人も日本人より英語が得意とされています。マレーシアやフィリピンでは公用語の一部に英語が使われており、小学生の英語教育は日本で始まる以前から実施されていました。
EF英語能力指数も両国は日本より高い水準です。
日本企業はアジアに拠点を置くことが多いですが、実際に駐在員として赴任してみると彼らの英語力に圧倒されるかもしれません。
理系就活生が英語を使うのはこんな場面
情報収集
入社してすぐに英語で会話することは少ないと思いますが、情報収集の場面で英語力が必要となるかもしれません。製造業の研究開発職であれば特許調査や原料調査において英語を使うことになるでしょう。
海外メーカーの製品であれば仕様書や性能表は基本的に英語で書かれています。専門知識があれば十分ですが、最低限の英語力は抑えておかなくてはなりません。
情報系職種でも英語が必要となる場合があります。常に更新しておくべき最新の技術はアメリカ発信であることが多く、知識をアップデートし続けるために英語の記事に目を通しておかなくてはなりません。日本語を話すのは1億人ですが英語人口は15億人です。極端な例えですが、英語を知っているだけで情報収集力が10倍以上になるでしょう。
海外拠点への配置
日本人社員が実際に英語を使って会話をするのは海外拠点への配置が多いと思われます。
基本的には日本人スタッフが管理を行い現地スタッフが業務を担当するため、現地英語を使う際はマネジメントのために英語を使うことになります。そのため英語を全く話せなければ業務が滞ってしまうでしょう。
外国人顧客の対応には英語を完璧に話せる社員が担当するため問題ありませんが、海外への配置では最低限の英語力が必要になります。
また、事業所の中が日本人だけであっても生活で関わることになる店員や周辺の住民は現地人です。緊急時の備えも考慮して英語力を持っておかなくてはなりません。
高度人材の来日
前述の通り、最近では高度人材が日本の拠点に来る機会が増えています。
日本人社員と同様に正社員として採用されるため、上司や同期、部下など立場に関係なく外国人社員が配置されることになります。
現地スタッフに対して命じるような比較的簡単な内容ではなく、日本人社員とのコミュニケーションで使う専門的な内容を含めて会話する必要があるため、より高度な英語力が必要になるでしょう。日本に就任する高度人材は予め日本語を習得していることが多いですが、細かな部分ではやはり英語が必要となります。
高度人材として来日する社員は現地でも有数の大学出身の人が多く、彼らの英語力には圧倒されるかもしれません。外国人相手にマネジメントを遂行できる社員は出世にも良い影響を与えるため、英語力を鍛えておいても損はないと思います。
理系就活生が効率的に英語力を伸ばすには?
完璧を目指さなくても良い
日本人が英語を苦手とする要因の一つに学校教育があると言われています。日本の学校では文法を完璧にするように習い、少しでも間違えるとテストで減点されてしまいます。
しかし実際の英会話で必要なのは文法ではなく単語の知識です。動詞の三人称のsをつけ忘れていても、前置詞を間違えていたとしても、大体の意味が合っていれば相手に伝わります。
社会人として英語を身に付けたいのであれば完璧にしようとするのではなく、相手に伝えることを重点に置きましょう。
例えば長文読解の場合、学校では一文ずつ完璧に訳す必要があります。
しかし語学として身に付けたいのであれば全体を通して大体の意味を理解するに留めておきましょう。
TOEICなどの点数自体にもこだわらくて良いかもしれません。
専門分野を通じて英語力を磨く
英語の勉強を始めようとして参考書を読み進めてみたけど途中で挫折してしまう…そんな方は多いかもしれません。語学勉強にどうしても飽きてしまうのは、自分がその内容に興味が無いからです。
例えば長文読解の参考書には様々なジャンルの文章が載せられており、読みたいと思う文章が見つかる可能性は低いでしょう。
そもそも日本語で書かれていたとしても読みたくならない文章ばかりです。
特に社会人の場合は期末試験のような動機付けがないため途中で挫折しやすくなります。
飽きずに英文を読み続けるためには自分が興味のある分野の本を選べばよいのです。
英語勉強のための本ではなく、理系分野の洋書がおすすめです。
会社で使う英語も専門知識が絡む言葉が多く、英語の専門書は実践にも役立つ可能性があります。
企業の制度を活用しよう
グローバル展開が進むにつれ、企業側も従業員の育成に力を入れるようになりました。
「TOEIC ○○点講座」のような通信教育の費用を一部負担したり、提携先の英会話教室の月謝を全額負担する企業が増えています。
中には外国人講師を社内に招き入れ、勤務の一環として授業を受けさせる企業も存在します。
こうした企業の制度を活用することで効率的に勉強できるかもしれません。
自分で申し込んだ英会話教室は飽きたらいつでも解約できますが、企業の制度で契約した場合はすぐには辞めづらいため、モチベーションを維持し続けることができます。
人事評価のプラスになるかもしれません。
これだけは知っておきたいポイント(まとめ)
1)苦手では済まされない英語事情
2)理系こそ英語を使う機会は多い
3)興味を通じてモチベーションをアップさせよう