工学部(機械、電気電子、材料、建築土木)に進んだ人なら将来は機械系や自動車関連、工業、ゼネコンといった工学系の仕事に就きたいと考えているのではないでしょうか。

しかし、そうした仕事はメーカーや企業ごとに細かく分類が分かれており、自分の目標をしっかりと持っておかないと「イメージと違う」「やりたいことではなかった」と感じてしまうでしょう。

ここではどんな仕事があるかや役立つ知識、それに就くために必要なアピールポイントを紹介していきます。

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理系就職で設計・開発と言っても携わる分野で必要な知識は大きく異なる

何に携わりたいのかを明確にする

あなたがやりたいことはどんなことですか?工学系の仕事と言っても「機能を考える」「デザインを作る」「実際のメカニック部分を設計する」「試作検討を行う」「部品調達を行う」「施工管理する」と様々な仕事があります。

その中で何がしたいのか、何ができるのかを見定めておかないと就職したことに満足してしまうでしょう。

経験が無い部分を知識や好奇心でカバーできる前向きな姿勢とコミュニケーション能力が必要

どんな仕事もそうですが、知識だけでなく経験がなければ社会人として大きな価値を持った人材にはなれません。

そうした人になるには柔軟に物事を受け止め、自分のものにできる能力が必要です。

技術職は職人気質で知識があればうまくやっていけるといると思われがちですが、入社したばかりではそうした能力はなかなか備わっていません。

そこで大切なのがどんなことにも興味を持てる好奇心と周りの人のアドバイスをしっかり聞ける・聞き出せるコミュニケーション能力です。

興味があれば自然と自分の頭に自分の知識として蓄積されていきます。

また、教えてもらったことを素直に聞く姿勢と、聞きたいと思っているように相手に感じさせるコミュニケーション能力があれば、いろんな人から情報を引き出せるでしょう。そしてそれらがあなたの経験となっていくのです。

理系就職で自分で考えた製品を設計したいと考えている人

世の中の製品は発明や企画だけで作られているわけではない

そもそも設計とはなんでしょうか。漠然と「自分の思った物を作りたい」と考えている人はいませんか?

一般的に販売されている商品はすべて「世間のニーズ」を元に作られています。

企業の持つ膨大なデータから今のトレンドや世界情勢、物価などを加味した上で自社の強みや特色を生かした製品を販売しています。

つまり「自分の思った物を作れる」ことが設計の仕事ではなく、「世間に受け入れてもらえる製品を、相手を踏まえて作る」ことが設計者の仕事です。

設計の際にはコストや安全性、法規制、製造のしやすさ等々の観点が必要となります。

自分の意見を製品に取り入れてもらうには多くの経験とデータ分析能力が必要

設計者として自分の意見を取り入れてもらうには上流工程に携わる仕事をしなければなりません。

それには多くの経験と世間のニーズを分析する能力が必要です。

多くの経験を積むことで機械構造的に実現可能かといったことから、材料費・原価・工数、安全性や品質保証といったことが感覚的にわかるようになります。

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理系就職で製品のデザインを設計したいと考えている人

デザインは設計や開発とは別のルートで考える

デザインは製品にとってかなり大きなポイントです。どんな優れた商品でもデザインが悪ければ全く売れません。

自動車などの目に付く商品は特にデザインが重要視されています。

そしてデザイナーになるには工学系の中でも「デザイン工学」などの専門的な知識を得ている、もしくはデザイン専門学校でそうした知識に特化していることが必要です。

もちろん開発や設計職からデザインに関わる部署に配属されることもありますが、それはあくまで「デザイナーが決めた見た目が機械設計的に可能か」を判断する仕事が主になります。

自分で思った製品を作れるデザイナーを目指すなら、専門のルートを進みましょう。

センスに関わる部分が大きいため、非常に難しい分野であることを覚悟する

どの業界でもデザイナーになれるのは一握りの人材です。開発や設計職に比べて圧倒的に募集が少なく、必要とされる人材の数も限られています。

またデザイナーとしての仕事ができなかった時に別の設計や開発の仕事に就くことは難しいでしょう。

そう考えると「自分で一からデザインをしたい」という場合でない場合は、いったん設計や開発部門で経験を積んでからのキャリアアップを目指す、ということも考えたほうがよいでしょう。

実際に理系就職現場で求められている仕事

既存製品のアップグレードに繋がる設計・開発

実際に駆け出しの頃は設計の仕事では何をするのでしょうか。多くの場合、新製品をいきなり設計することは少なく、既存の製品をアップグレードに繋がる開発を行う一員となります。

既存製品という前例があることで設計開発のイメージがしやすく、ノウハウもあるため学びやすいこともあるようです。

それらを参考にして、新たに上流工程で決まったスペックを満たせる部品や構造を考えることになります。

具体的には新機能を搭載するための部品製作や、廉価版発売のためコスト削減を実現、寒冷地や輸出対応のため細部の変更といったことになります。

これらは製品の全体を大きく変えるわけではなく、ある程度流用しながら一部を変更していく作業です。

こうした経験を積みながら「もっとこうすれば組み立てやすい」「機能的にはこの材質の方が高価だがスペックアップに繋がる」といった気づきを蓄積していくことで、上流工程に携わるチャンスを掴めるかもしれません。

上流過程で決まったモデルをCADでモデリングするCADオペレーター

経験が浅いうちは研修も兼ねてCADを使ったモデリング作業に従事する可能性もあります。

メーカーや業界によって使用されているCADは様々で、一例を挙げると自動車メーカーでは「CATIA」というハイエンドCADが主流となっています。

こうしたCADを使って上流工程で決まったデザインやモデルを検討・検証用の3Dモデルにし、図面の作成を行う仕事は、言われたものをモデリングするだけでやりがいがなかなか感じにくいですが、しっかり仕事をしていくことで信頼を得て、あなたの意見を言える機会を与えられる可能性が出てきます。

試作機の試験や評価を行う分析部門

ほとんどの製品では耐久試験や評価試験を行うため、そのスタッフとして配属されることもあります。こうした試験は繰り返し同じことを行うことが多く、退屈に感じるかもしれません。

しかし、実際の製品を触りながら、試験方法を学んでいくことができます。

そして、製品を作るために必要な法規やクリアしなければいけないポイントを学ぶことができ、やがて試験をしているあなたの製品を使ってみたフィードバックを求められるようになれば、自分の意見が設計開発に役立っているというやりがいが得られるようになります。

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機械や自動車のメーカーで設計や開発の仕事をしたい人がPRすべきポイント

1)自分のやりたいこと、できることをいくつかピックアップしてESに記載する

自分の知識をたくさん書くことも大切ですが、これから先の展望や将来の目標をしっかりアピールしましょう。

どんな技術者になりたいか、どの分野のスペシャリストを目指したいかを伝えることで、採用担当者にあなたが入社してからの活躍をイメージしてもらうことに繋がります。

2)とにかくいろんな知識と経験を吸収できる前向きな姿勢を見せる

知らないことを恥ずかしがらず、積極的に学ぶ姿勢がこの業界では求められます。自分で調べる能力や他人からのアドバイスを吸収したいという前向きさが高感度を高めます。

3)人の意見を引き出し、聞くことができるコミュニケーション能力が大切

基本的なことは教えてもらえますが、そこからプロフェッショナルになるには、様々な人の知識を引き出して学んでいくことが近道です。

そうしたコミュニケーション能力、いわゆる「聞き上手」を目指しましょう。

4)コツコツ真面目に取り組める人やただ言われたこととやるだけではない人が求められる

最初のうちはどんな仕事も地味でつまらないと思うかもしれません。しかしそうした積み重ねが経験になり、知識として成長できることに繋がります。

また、そうした作業の中から自分なりのやり方や意味を見出して仕事に取り組める人が、社内で重宝される人材になるポイントです。

これだけは知っておきたいポイント(まとめ) 

1)設計職に就くと、最初は決められた仕様の中で作ることが多いためイメージと違う可能性がある。

2)デザイン職は花形だが、それだけ専門性が高く競争率も高い。

3)最初は地味で裏方の仕事が多いが、地道に知識と経験を積むことで社内でスペシャリストとしての地位を確立できるよう努力すればやりがいは見つかる。



ライター:キタカゼ(理工系大学卒、自動車・精密機器メーカー就業実績あり)