自己PRにおいて、「柔軟性」は立派なアピールポイントになることがあります。企業の多くは柔軟性の高い人材を求めているといわれています。自己PRにおいてしっかりとアピールできれば、高評価を得られることもあるでしょう。

ただし、柔軟性という言葉をなんとなく使うだけでは曖昧な印象になり、何を伝えたいのかが不明瞭になってしまう可能性があります。ほかの就活生との差別化も難しくなり、良い結果を残せなくなるかもしれません。自分の長所をしっかりと伝えられるよう、適切なアピールのコツを押さえておきましょう。今回は、自己PRにおいて柔軟性が評価される理由や、柔軟性が求められる理系職種、効果的な自己PRのポイントなどをご紹介します。

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自己PRで評価される柔軟性の基礎知識

自己PRで評価される柔軟性の基礎知識

柔軟性とは具体的にどういった能力のことを指すのでしょうか。ここでは、自己PRにおいて柔軟性が高い評価を得られる理由や、柔軟性が高い人材の能力の例をご紹介します。

自己PRで柔軟性が評価される理由

多くの社会人にとって「柔軟性」は欠かせない能力の一つといえます。経済産業省が提唱する「社会人基礎力」にも、柔軟性が含まれているのです。社会人基礎力とは2006年に経済産業省によって提唱された考え方で、「職場や地域社会で多様な人々と仕事をするために必要な力」と定義されています。

社会人基礎力は「前に踏み出す力」「考え抜く力」「チームで働く力」の3つに大別されています。柔軟性は「チームで働く力」の一つで、「意見の違いや立場の違いを理解する力」と定義されます。

社会ではさまざまな価値観を持つ人が集まり、チームを形成します。メンバー同士が協力し合って物事を進めていくためには、相手のことを理解し、尊重できる柔軟性が必須といえるでしょう。

【参考】 「社会人基礎力」 (経済産業省)

自己PRで評価される「柔軟性の高い」人材の例

・状況に応じて臨機応変な対応ができる人

イレギュラーな事態が起こっても、冷静に対処できる人は柔軟性が高いといえます。突発的なトラブルやスケジュール変更などにも適正に対応できるでしょう。

・新しい分野や考えにも適応できる人

既存の考え方やルールに固執しすぎない素直さがあり、新しい視点を取り入れられるのも柔軟性が高い人の特徴です。受け身にならず、継続的に新しい分野へチャレンジしていくこともできるでしょう。

・相手の立場で物事を考えられる人

上司や後輩、顧客など、さまざまな相手の立場になって考えられる人も柔軟性が高いとされます。メンバーと不必要に対立せず、協力しながらチームとして働いていけるでしょう。

・創意工夫ができる人

柔軟性が高い人は多角的な視点から物事を考えることができ、発想力が高いことも特徴です。目まぐるしく環境が変化するビジネスシーンにおいて、柔軟な発想でアイディアを生み出し、企業の成長に貢献していくことも期待されるでしょう。

柔軟性が求められる理系の職種

柔軟性が求められる理系の職種

就職活動においては、志望する業界・企業がどのような人材を求めているのか調べることが大切です。職種や業種次第では、柔軟性のアピールが効果的とはいえない場合もあるため気をつけましょう。例えば、マニュアル通りの正確な手順や対応を重視する仕事などは、柔軟性よりも堅実さをアピールしたほうが良い場合があります。

企画職や事務職、営業職など、企業によって募集する職種はさまざまです。それでは、柔軟性が求められる理系の職種にはどのような種類があるのでしょうか。こちらではいくつかの例をご紹介します。

研究開発職

新しい製品や技術を生み出すため、基礎研究や応用研究を行う職種です。業務において柔軟な思考力が必要とされます。

生産技術職

製品の設計や、生産工程を効率化するための技術開発などを行う職種です。仕事上、部門・部署をまたいでコミュニケーションを取る機会も多く、相手の立場で考えられる柔軟性が求められます。

技術営業職

専門的な知識を活かし、商品・サービスの提案やコンサルティングなどを行う職種です。顧客と関係を構築していくためには、柔軟性を持った対応が必要といえるでしょう。

システムエンジニア

ソフトウェアやアプリケーションの設計、開発などを行う職種です。顧客ニーズに応じ、幅広いシステムを構築します。臨機応変に対応できる力や、チーム内外とコミュニケーションする力など、柔軟性が求められる仕事です。

「柔軟性」の自己PRが与えるイメージ

「柔軟性」の自己PRが与えるイメージ

柔軟性を軸に自己PRを行うとプラスなイメージを与えられることが基本です。ただし、場合によってはネガティブなイメージを与えてしまう可能性もあります。自己PRが短所の紹介になってしまわないよう注意することが大切です。「柔軟性」が持つポジティブ・ネガティブなイメージを把握しておき、自身のアピールに活用しましょう。

「柔軟性」のポジティブなイメージ

・素直に人の意見に耳を傾ける姿勢がある
・想定外の状況でも機転をきかせた対応ができる
・アイディアが豊富
・周囲とのトラブルが少ない

柔軟性があるとアピールすることで、素直さや対応力、発想力があるという印象を与えられることがあります。協調性があり、周囲の人と円滑なコミュニケーションが取れると印象付けしやすいこともメリットです。人柄の良さをアピールしやすくなるでしょう。

「柔軟性」のネガティブなイメージ

・周りに流されやすい
・優柔不断
・1つのことが長続きがしない
・自分の考えや意見がない

柔軟性をアピールすると、優柔不断で流されやすい人というイメージを与えてしまうことがあります。継続力や主体性がないといった印象を植えつける可能性がある点もデメリットでしょう。

マイナスなイメージを与えないためには、自己PRの際に他の能力も同時にアピールすることがおすすめです。例えば、持久力があることを併せてアピールすれば、1つのことが長続きしない印象を払拭できるでしょう。受け身な印象を避けたい場合は、積極的に動いてリーダーシップを発揮できることをアピールするのが有効です。

柔軟性をアピールできる自己PRの構成手順

柔軟性をアピールできる自己PRの構成手順

柔軟性があることを伝えて魅力的な人材であると評価してもらうためには、自己PRの仕方にも気を配ることが大切です。ここでは、自己PRを上手に行うために知っておきたい、基本的な流れやステップ別のノウハウを解説します。手順に沿って自己PR文を完成させましょう。

Step1:まずは「柔軟性がある」という結論から伝える

自己PRは結論ファーストで組み立てることがポイントです。最初に自分の強みが柔軟性であることを伝えれば、その後の説明もスムーズに受け取ってもらいやすくなります。

結論はなるべく短く、端的に言い切りましょう。「私の強みは○○です」というように、自分のキャッチコピーを伝えるイメージで文章を作ることがコツです。

Step2:具体的なエピソードを盛り込む

具体性のある経験談は長所をアピールする際の根拠となり、自己PRの説得力を増してくれます。自身の柔軟性がどういった場面で発揮されたかを伝えましょう。

また、面接時間は限られているため、エピソードを長々と話してしまわないように注意が必要です。だらだらと話すと、もっとも伝えたい部分がうまく伝わらない可能性もあります。要点を簡潔にまとめて話しましょう。

Step3:成果や結果をアピールする

ビジネスパーソンとして働く際は、会社の利益向上のために成果をあげる姿勢が求められます。自己PRでは自分の経験で得た成果・結果を話せると、入社後の活躍をイメージしてもらいやすくなるでしょう。

柔軟性が結果に結びついたことを、できるだけ明瞭に伝えることが重要です。数字で表せるような成果であれば、具体的な数字を用いましょう。ただ、柔軟性のエピソードは数値化しにくいケースも珍しくありません。その場合は、自分の努力がどのように貢献できたか、人からどんな評価をもらえたかなどをなるべく具体的に述べてみましょう。

Step4:仕事に活かせることを強調する

自己PRを締めくくる際、柔軟性が仕事へ活かせることを改めて強調します。企業への貢献意欲を示し、企業が求める人材であることをアピールしましょう。このとき、応募先の仕事内容に合わせて、柔軟性をどのように活かせるか伝えるのがコツです。企業への理解度が高いことも示せるでしょう。もちろん、そのためには事前に企業研究をしっかりと行っておく必要があります。

柔軟性を効果的にアピールした自己PRの例文

柔軟性を効果的にアピールした自己PRの例文

面接に向けて自己PRの内容を書き出したいものの、何から手をつけたら良いかわからない……という方も多いのではないでしょうか。そのときは、作成イメージがわきやすいように例文を見ておくことがおすすめです。以下では、柔軟性をテーマとした自己PR文例をいくつかご紹介します。

サークルのエピソード

私の強みは、トラブルがあったときにも迅速に対応できる柔軟性だと考えています。
私は軽音サークルに所属しているのですが、本番直前に機械が故障したことがありました。突然の出来事でしたが、慌てず冷静に機械の状態をチェックし、簡単な修理を行いました。結果、ライブは予定通り開催することができ、お客様にも楽しんでもらえました。
仕事上で何か起きた場合もその場で最善の方法を判断し、会社に貢献できるような行動をしていけるよう努めたいと思っています。

ゼミや研究室のエピソード

私の長所は、既存のやり方を改善しながらより良いものを目指していける姿勢です。
研究室では計画に基づいた実験を行っていましたが、継続していく中で非効率に感じる部分も出てきました。そのため、待ち時間に必要な器具の準備を行ったり、テンプレートを作ってレポート作成時間を短縮したりといった取り組みを行いました。最終的に、実験からレポート完了までの時間を以前の8割に抑えられるようになりました。
就職した後も、現状に満足しすぎず工夫を重ね、改善を目指していけると考えています。

インターンシップのエピソード

私は、柔軟性を活かしてチームでの仕事を円滑に行えると考えています。
以前、インターンシップの現場で今後の方針についての意見が割れ、収拾がつかなくなりそうになったことがありました。まずは場の雰囲気を明るくするために軽く話した後、それぞれの意見をまとめて、最終的に全員が納得いくような結論を導くことができました。メンバーからも「助かった」と感謝してもらい、話し合いに貢献できたと実感できました。
入社後も、社員同士の意見や要望を汲み取りながら、柔軟に業務を進めていきたいと考えています。

自己PRで柔軟性を強調する際の注意点

自己PRで柔軟性を強調する際の注意点

自己PRにおいて柔軟性があることを強調する場合、応募先に合わない特徴をアピールしたり、抽象的な表現をしたりするのはNGといえます。事前に注意したいポイントを確かめておき、選考に役立てましょう。こちらでは、自己PRで柔軟性をアピールするときに気をつけておきたい注意点を解説します。

応募先の企業が求める「柔軟性」にマッチしていることをアピールする

企業や業種、職種別に、求める「柔軟性」は異なる場合があります。応募先の企業が重宝する人材はどのような特徴を持つのか理解した上で、柔軟性のアピール方法を検討することが大切です。

企業研究やインターンシップなどを通じ、志望企業の求める人物像を徹底的に調べましょう。企業理解を深めてから選考に臨むことで、こちら側の熱意も伝わりやすくなります。入社意欲の高さのアピールにもつなげられるでしょう。

抽象的な表現を避ける

「柔軟性」という単語をただ使うだけでは曖昧な表現になってしまい、自分の魅力を十分に伝えられない可能性があります。抽象的な表現をなるべく避け、具体的な言葉で伝えることを心がけましょう。「柔軟性」を別の言葉に言い換えることで、エピソードにも深みが出ます。

また、曖昧な表現のままでは、応募者の解釈と面接官の解釈にズレが生じてしまうことがあります。お互いの認識を合わせるためにも具体的な言い方でアピールしましょう。

*柔軟性があることの言い換え例

・言い換え例1:他人の意見を素直に取り入れられる
・言い換え例2:多角的な視点からアイディアを考えられる
・言い換え例3:困難にぶつかっても臨機応変に対処できる
・言い換え例4:さまざまな立場の相手と円滑なコミュニケーションを取れる
・言い換え例5:環境の変化に負けずに最善を尽くせる適応力がある

自分の伝えたい柔軟性はどのようなスキルであるかを見つめ直し、言い換え方を探っていきます。根拠となるエピソードとも合わせてどのような表現にするか決めましょう。

行動との矛盾がないようにする

アピール内容と実際の行動に矛盾があると、せっかく自己PRで強みを伝えられても信憑性が薄れてしまいます。例えば、臨機応変に動けることをアピールしたものの、想定外の質問をされたときに黙り込んでしまうと、自己分析が不十分と判断されるかもしれません。

自己PRと行動に矛盾が生じないよう、しっかりと面接対策をしておくことが重要です。自己PRの内容を決めたら、その後に質問されそうな内容を想定して回答を用意しておきましょう。

また、練習を重ねて面接のやり取りに慣れておき、自信をつけることもおすすめです。模擬面接を受けてキャリアアドバイザーや就職エージェントなどから助言をもらうと、改善点もわかりやすくなるでしょう。面接に関する不明点や悩みがある場合、すぐに相談して解消することも大切です。

自己PRのポイントを押さえて柔軟性をアピールしましょう!

柔軟性を強みとしてアピールすると、「素直である」「機転がきく」「協調性がある」といったイメージを与えられることがあります。研究開発職や生産技術職、技術営業職、システムエンジニアといった職種は柔軟性が求められる機会も多いため、選考時にアピールすると良いかもしれません。ただ、柔軟性が持つネガティブなイメージに引っ張られないように対策することも大切です。ご紹介した自己PRのコツや例文集も参考にしながら、効果的なアピール方法を考えておきましょう。

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