「一次面接・二次面接で何を質問されるのだろう?どう答えればよいのだろう?」

多くの就活生が一次・二次面接を不安に感じています。初対面の年長者に質問され、慣れない言葉で答え、それによって採用・不採用が決まるのだから緊張するのも当然です。

しかし、質問の意図や目的を理解していれば、求められている答えも分かってきます。準備や対策も可能です。

本記事では一次・二次の各面接の質問とその狙いを紹介し、自分なりの答え方をするポイントを紹介します。

一次面接・二次面接では何を見られている?

一次面接・二次面接では何を見られている?

多くの企業は採用に当たって、面接を一度だけでなく、複数回行います。一次面接・二次面接で採用が決まる企業もあれば、二次面接の後に技術面接や役員面接などが行われる場合もあります。ここでは多くの企業に共通する一次・二次面接を中心に、どこを見られているかを説明します。

一次面接は基本を押さえる

一次面接で見られるのは、企業の一員として必要な基礎的な力を備えているかどうかです。

一次面接は、企業が多くの就活生と面談し、候補者をある程度まで絞ることを目的としています。そのためにグループディスカッションやグループ面接を行う企業も多くなっています。

面接官は人事部門の採用担当者を中心に、現場の管理職や若手社員などで構成されます。

一次面接で評価の対象となるポイントは、主に次の4点です。

  • ・基本的なコミュニケーション能力があるか?
  • ・エントリーシートの内容と一貫性があるか?
  • ・自社を真剣に志望しているか?
  • ・社会人らしい身だしなみやマナーに問題はないか?

基本的なコミュニケーション能力があるか?

企業が新卒学生に求める能力の筆頭にあがるのが、コミュニケーション能力です。企業が期待するコミュニケーション能力とは、言葉巧みに話ができる能力ではありません。コミュニケーション能力の内容は、具体的には以下の能力を指します。

  • ・相手の年齢や職業・肩書に関係なく、相手の立場に立って話に耳を傾け、適切に理解し、考えられる
  • ・相手の聞きたいことに合わせて、分かりやすく適切に自分の考えを伝えられる

こうしたコミュニケーション能力を自分が日ごろから発揮できているかどうか、意識してください。また、アルバイト先の顧客や近所の人、友だちのお母さんなど、年代の異なる人と話す経験を重ねるのも良い方法です。

エントリーシートの内容と一貫性があるか?

面接官はエントリーシートの内容を元に質問を行います。エントリーシートの内容を暗記して繰り返すのではなく、エントリーシートの内容を活用して話すことが重要です。

エントリーシートに「入社後、Aに取り組んでいきたい」とエントリーシートに書いておきながら、面接の場では「これからは(Aと正反対の)Bこそが重要」と主張してしまうと、真剣にエントリーシートに取り組んでいないとみなされてしまいます。エントリーシートの内容はしっかり頭に入れ、自分の言葉で話せるようにしておきましょう。

自社を真剣に志望しているか?

一次面接の場では「他社と比較して自社を志望した動機は何か?」など、志望動機の本気度を確認する質問を投げかけられます。内容だけでなく、言葉に詰まったり、エントリーシートを確認しようとしたりするなどの態度も含めて評価されます。

社会人らしい身だしなみやマナーに問題はないか?

一次面接では身だしなみやヘアスタイル、お辞儀の仕方や座る姿勢など、「どう見えるか」が評価されます。模擬面接の機会を積極的に活用し、録画してチェックしましょう。

二次面接と一次面接の違い

一次面接が基本的な力を備えていない就活生をふるい落とすために行われるのに対し、二次面接では、自社の一員として働ける人材かを見極めるために行われます。

そのため、面接官も人事の管理職や配属先の管理職を中心に構成されます。

二次面接で評価の対象となるのは、主に次の2点です。

  • ・自社の社風や業務内容に一致し、一緒に働ける人材か?
  • ・自社の生産性向上に貢献できる人材か?

自社の社風や業務内容に一致し、一緒に働ける人材か?

二次面接では、付け焼刃では効かない能力や資質を見られます。「面接を突破しよう」ではなく、「その企業の一員になるためには何が求められるか」という観点から準備しましょう。

二次面接の段階では、エントリーシートに書いた志望動機や、一次面接で話した志望動機を繰り返すばかりでは評価は得られません。選考の進行とともに、志望動機も深めていく必要があります。企業情報や製品・サービスの理解を深め、自分の実体験と関連させながら具体的に話せるように組み立てましょう。

自社の生産性向上に貢献できる人材か?

企業は就活生の「現在」の姿を通して、「将来」自社に貢献できる人材かどうかを見ようとしています。新卒の就活生は、今現在、具体的に何ができるかよりも、次の3点が重視されます。

  • ・企業研究がしっかりできているか?
  • ・正しく自己分析ができているか?
  • ・入社後の自分の働き方がイメージできているか?

一次面接・二次面接の評価のポイント

一次面接・二次面接の評価のポイント

多くの企業では、事前に一次面接・二次面接の評価シートを作成します。評価基準を定め、項目ごとに評価点を付けていきます。

一次面接の標準的な評価項目を知ろう

具体的な評価項目は、各企業が求めている人物像によって異なりますが、一次面接では次の5項目の評価項目が設定されることが多く、点数で評価されます。

  1. 1.コミュニケーション力

  • ・論理的に話を組み立てられるか?
  • ・聞かれたことに的確に答えているか?

…など

  1. 2.動作・態度

  • ・落ち着いているか?
  • ・自社に合う雰囲気か?

…など

  1. 3.協調性

  • ・異なる価値観の人に対しても協力できそうか?

…など

  1. 4.熱意・意欲

  • ・話しぶりに熱意や意欲が感じられるか?

…など

  1. 5.忍耐力

  • ・粘り強く取り組めそうか?

…など

二次面接の評価項目

二次面接では技術・専門部門が加わり、次の4項目を中心に評価されます。

  1. 1.専門性

  • ・卒論(修論)内容について、わかりやすく簡潔に説明できるか?
  • ・質疑応答に的確に答えられるか?

…など

  1. 2.創造性

  • ・豊かな発想が感じられるか?
  • ・借りものではない、自分の言葉で説明ができるか?

…など

  1. 3.理解力

  • ・質問に対する把握力や要約力は優れているか?
  • ・頭の回転の速さは感じられるか?

…など

  1. 4.適応性

  • ・希望以外の部署でも働けそうか?
  • ・ストレス耐性力はありそうか?

…など

一次面接・二次面接の質問の狙いと答え方

一次面接・二次面接の質問の狙いと答え方

一次面接・二次面接でよく聞かれる質問例と何を評価するための質問か? 及び回答のポイントを紹介します。

一次面接の基本的な質問10例と答え方

Q1. 当社の志望動機を教えてください。

【質問の狙い】

多くの企業の中で、なぜ自社かを答えてもらうことによって、就活生の仕事観や本気度を把握したい。

【回答のポイント】

エントリーシートの内容に沿って、自分の経験と関連付けながら具体的に述べる。「理念」や「特色」にもふれる。

Q2. 会社選びで重視するポイントを教えてください。

【質問の狙い】

Q1の質問を別の視点から聞いている。

【回答のポイント】

一般的に答えるのではなく、Q1と整合する内容で具体的に回答する。

Q3. 当社でやってみたいのはどんな仕事ですか?

【質問の狙い】

就活生の関心や、志望の本気度を把握したい。

【回答のポイント】

自分の興味・関心を伝えてから、最初はどのような業務でも誠意を持って行い、早く仕事を覚えたいと思っていること、将来的な希望まで含めて回答する。

Q4. 自己PRをしてください。

【質問の狙い】

就活生の自己分析が深掘りできているかを知りたい。

【回答のポイント】

エントリーシートの内容を深掘りしつつ、具体例を交えて回答する。

Q5. あなたの長所と短所を教えてください。

【質問の狙い】

自己PRと同様、就活生の自己分析が深掘りできているかを知りたい。

【回答のポイント】

長所はアピールし、短所はふれた後で、どのように克服しようとしているかを具体的に説明する。「人間関係が苦手」のように、言いっぱなしにしない。

Q6. あなたが学生時代に学業面で力を入れたことを教えてください。

【質問の狙い】

何を学んだかを確認した上で、学問的興味・関心、専門分野を知りたい。

【回答のポイント】

結論+Why⇒Howで回答する。詳しくは後述。

Q7. あなたのアルバイト経験と、そのアルバイトを選んだ理由を教えてください。

【質問の狙い】

就活生の仕事に対する取り組み姿勢を知りたい。

【回答のポイント】

Q6.と同様に、結論+Why⇒Howで回答する。加えて、社会人となる自分にプラスに結びつくような成果を伝える。

Q8. あなたの座右の銘を教えてください。

【質問の狙い】

就活生の人生観や価値観を知りたい。読書量、社会常識なども把握したい。

【回答のポイント】

同様に、結論+Why⇒Howで回答する。なぜそれが座右の銘になったのか、どのような時に指針にしているのかを具体的に説明する。

Q9. 他人と意見が対立した時、どう解決したか教えてください。

【質問の狙い】

就活生の対人関係のトラブルに対する対応力を知りたい。

【回答のポイント】

コミュニケーションを通じていかに解決したか、事実に基づいて具体的に説明する。加えて、この経験で学んだこと、今後、この経験をどのように活かそうとしているかにもふれる。

Q10. 現在、ほかにどんな会社を受験していますか?

【質問の狙い】

就活生の自社に対する真剣度を知りたい。

【回答のポイント】

受験している会社をすべていう必要はない。基本的には同じ業界の、直接的な競合ではない会社を挙げる。業界を志望している理由と、面接中の会社が第一志望であることをあわせて伝える。

二次面接の基本的な質問5例と答え方

二次面接では、その企業独自の質問のほかに、一次面接と同様の質問や次のような質問が出されます。

Q1. 研究室やゼミでの取り組みを教えてください。

【質問の狙い】

研究内容を簡潔に説明できるかどうかを知りたい。専門分野や取り組み方の姿勢を通して、自社でどのように働けるかを知りたい。

【回答のポイント】

研究内容を、結論+Why⇒Howで簡潔に、専門外の面接官にも理解できるように回答する。仕事に結びつく内容であれば、積極的にアピールする。

Q2. 研究の中で困難に感じたことはありましたか? またその困難をどのように乗り越えたかを教えてください。

【質問の狙い】

就活生の問題解決力を知りたい。また、困難にぶつかった時のレジリエンス(立ち直る力)を知りたい。

【回答のポイント】

経験の中から、解決〜成長につながったことを具体的に話す。学んだことを今後の仕事にどのように結びつけられるかを一緒に伝える。

Q3. あなたが苦手なタイプの人を教えてください。また、そのようなタイプの人とどのように接してきたか、これまでの経験をふまえて教えてください。

【質問の狙い】

就活生が人間関係で行き詰ったときにどのように対処するかを知りたい。

【回答のポイント】

結論+Why⇒Howで回答する。正直に答えてかまわないが、プラスの成果につながるように説明を組み立てる。

Q4. 当社でのキャリアプランを教えてください。

【質問の狙い】

就活生の自社に対する真剣度、実現可能なキャリアプランを描けているか、自社で働くことをどのようにイメージしているかを知りたい。

【回答のポイント】

目標+Why⇒Howで伝える。Howの部分は実現可能であること、実際にそれに向けて準備を始めていることを伝える。

Q5. 他社の選考状況を教えてください。当社は何番目の志望ですか?

【質問の狙い】

就活生の自社に対する真剣度を知りたい。他社の動きを見ながら、内定を出すかどうかを決めたい。

【回答のポイント】

第一志望と言ってかまわない。面接企業と同一の業界の企業を挙げ、なぜ志望しているか、その中でも、なぜ面接企業が第一志望なのかを伝える。

一次面接・二次面接の準備をしよう

一次面接・二次面接の準備をしよう

技術的に対処できないことに関しては、日常的に少しずつ準備をすることが重要です。また、面接のたびに振り返りを行い、改善点を見つけましょう。

一次面接:評価アップのためにできること

一次面接では、次の4つの基本的なポイントを押さえておきましょう。

  1. 1.聞く姿勢はできているか?
  2. 2.表情を意識しよう
  3. 3.表現力を身につけよう
  4. 4.対応力を高めよう

1.聞く姿勢はできているか?

コミュニケーション力に関しては、話し方に意識が向きやすいのですが、「しっかり聞くこと」ができていれば、評価につながります。

「会話のキャッチボール」という言い方がありますが、まずは面接官の投げるボール(質問)をしっかり受け取って、あわてずに投げ返す(返事をする)ことが大切です。

面接官の話の一部を聞いて「あ、これはあのパターンだ」と自分の用意したシナリオに持ち込もうとしてはいけません。面接官はそれぞれに聞きたいポイントが異なっており、それを外してしまうとコミュニケーション面ではマイナスの評価につながります。

すぐに答えがでなくても、わからなくても、悪い評価にはなりません。「少し考えさせていただけますか?」「申し訳ありません。その質問は~という意味でしょうか?」と応答することで、きちんと聞いていることが相手に伝わり、コミュニケーション力は高く評価されます。

コミュニケーションの基本である「聞く姿勢」を改めて意識しましょう。

2.表情を意識しよう

動作・態度の項目で、忘れられがちな点として表情があります。表情は動作や態度と並んでその人の印象を大きく左右します。

口角を下げ、眉間にしわを寄せて暗い表情をしていれば、暗い印象を与えます。どれだけ熱を込めて将来の希望を語っても、表情と言葉が一致していなければ説得力は生まれません。

普段、周囲から怒ってもいないのに「怒ってる?」と聞かれたり、緊張した場面で笑っているつもりもないのに「へらへらするな」と言われた経験はありませんか? まずは自分の表情を鏡でよく見て、言葉と表情を一致させるところから始めましょう。

3..表現力を身につけよう

自分の考えを説得力を持って口にするためには、表現力が必要です。頭の中で論理的に思考していても、声に出してうまく伝えられなくては、論理的思考力をアピールできません。面接の内容を頭の中で組み立てるだけではなく、実際に声に出して説明してみましょう。

世界各分野の著名人が講演を行うTEDですが、スピーカーは18分のスピーチをするために、数か月練習しています。自分の考えを声に出して表現することは、むずかしいことなのです。

面接で適切な答え方をするために、次のことをチェックしてみましょう。

  • ・声量・発声:声は小さすぎないか、お腹から声が出せているか
  • ・話す速度:速すぎないか、メリハリがなく単調になっていないか
  • ・ボキャブラリ:同じ言葉を繰り返していないか、敬語は自然に使えるか

プレゼンやディベートなどの機会を積極的に活用しましょう。自分が書いた志望動機を音読するだけでも効果があります。

4. 対応力を高めよう

事前にまったく想定していない質問をされたらどうしよう、頭が真っ白になってしまうのではないか、と不安を感じる就活生もいます。

しかし、どれだけ準備をしていても、想定外の質問は、かならずされるものです。想定外の質問に対しては、「まったくわからない時」「別の条件なら答えられそうな時」など、いくつかのパターンを予測して、対処方法を決めておきましょう。

緊張している自分に意識が向いてしまうと、一層緊張を呼ぶ悪循環を引き起こします。就活生が緊張するのは、当たり前のことです。緊張している自分を隠そうとせず、深呼吸してください。意識を自分の緊張から引き離すために、目の前のもの(例:面接官のネクタイの柄)に注目するのも良い方法です。

二次面接:評価アップのためにできること

二次面接では次の3点の準備をしておきましょう。

  1. 1.理系学生に求められることを知ろう
  2. 2.Why⇒Howの説明に慣れよう
  3. 3.結論から話す習慣をつけよう

1.理系学生に求められることを理解しよう

理系就活生が特に期待されているのは、論理的思考や専門性を備えていることです。そのため、二次面接では自分がその強みを持っていることを伝える必要があります。

この時、理系就活生が気を付けるべきは、人事部や営業部の面接官などの専門外の面接官に、自分の研究やスキルをわかりやすく説明することです。専門性の高い内容を、聞き手の理解に合わせて説明する能力があることを示せば、高い評価につながります。

2.Why⇒Howでの説明に慣れよう

Why⇒Howの説明とは、理由から説明していくことを指します。TEDのスピーチ「優れたリーダーはどうやって行動を促すか」の中で、サイモン・シネック氏は「Why⇒How⇒What」と進むスピーチが人を動かすというゴールデンサークル理論を提唱しました。

通常の説明はWhat⇒Howの順番をたどっており、Whyは説明されないことも多くあります。

【Whatから始まる説明の例】

  • ・(What)私は〇〇大学で建築学を学びました。
  • ・(How)そこで建築学の基礎を学び…

【Whyから始まる説明の例】

  • ・(Why)私は家は人の幸せをはぐくむものだと考えています。
  • ・(How)そこで家の建築に興味を持ち、大学で建築学を学びました。

「Why」から説明することで、就活生の意図や目的が最初に伝わり、強い印象をもたらします。志望動機やその企業・業界を選んだ理由など、「Why」を求められる質問だけでなく、「学生時代に力を入れたこと」や「自己PR 」などでも、「Why⇒How」の順序で説明できるようになってください。

3.結論から話す習慣をつけよう

2.とも関連しますが、最初に結論、次にくるのはWhy、そしてHowという構成を意識しましょう。結論に続いてWhatを持ってくると、全体に散漫になり、結論も弱くなってしまいます。次の2つの例を比較してください。どちらの就活生の人柄がはっきりと伝わるでしょうか?

【結論⇒What⇒Howの例】

  • ・(結論)私は塾講師のアルバイトを中心に行ってきました。
  • ・(What)私は主に高校の受験数学を中心に教えました。
  • ・(How)なるべく簡単な問題から始めて自信をつけてもらい…

【結論⇒Why⇒Howの例】

  • ・(結論)私は塾講師のアルバイトを中心に行ってきました。
  • ・(Why)それは、私自身が数学ができない時期があり、できないことの屈辱や劣等感、そしてできるようになった時の喜びを知っていたからです。
  • ・(How)まずは子どもたちの積み残した箇所を見つけ…

「聞けて良かった」「話せて良かった」と思える面接に

一次面接・二次面接は、それぞれ目的が異なり、評価ポイントも違います。基本的な点を理解し、「何を聞かれているか」の要点を外さない答え方をしましょう。

面接力を鍛えるためには、日ごろからの準備が必要です。準備し、面接のたびに振り返りを行い、チェックして改善を続けましょう。

こうした準備と努力を続けることで、面接官・就活生の双方が満足できる面接が実現します。採用・不採用にはさまざまな要素が複合的に加わり、面接の結果だけで決まるわけではありませんが、充実した面接を行えていれば、かならず結果はついてきます。