理系学生を募集する企業では、エントリーシートに志望動機や自己PRと並んで「研究課題」の項目を用意している場合があります。理系学生にとっては自身の専門性や問題解決能力をアピールする大きなチャンスです。
しかし、「どのように書けばよいかわからない」「研究課題が就職活動とどのように関係するのか疑問」と困っている人も多いのではないでしょうか。
本記事では、エントリーシートの研究課題とは何か、企業がどこを評価するのか、どのように書けば効果的なのかを詳しく解説します。例文も交えて具体的な書き方を紹介するので、これからエントリーシートを作成する理系就活生はぜひ参考にしてください。
エントリーシートの研究課題とは?
エントリーシートの「研究課題」とは、大学や大学院で取り組んでいる(またはこれから取り組もうとする)研究テーマについて記述する項目です。これは、単に研究内容を説明するだけでなく、論理的思考力や問題解決能力、専門知識の習得度を企業に示す機会でもあります。
研究課題は卒論のテーマを選ぶことが基本
基本的には、卒業研究や修士研究のテーマをそのまま研究課題として記述する欄です。研究の背景、目的、手法、得られた結果や考察を簡潔にまとめることで、専門性を伝えやすくなります。
特に技術職や研究職を志望する場合は、研究内容と志望企業の事業との関連性を意識すると効果的です。
自分の取り組もうとする課題でも可能
卒業研究にまだ着手していない場合や、研究テーマが明確でない場合は、これから取り組む予定の課題や、関心のある研究分野について記述します。その際は、「なぜそのテーマに興味を持ったのか」「どのようなアプローチで研究を進めたいのか」といった視点を盛り込むと、主体的に考える力をアピールできます。
エントリーシートで研究課題を求められるほかに、企業によっては研究概要書という形式で提出を求められる場合もあります。研究概要書の書き方については、こちらの記事を参考にしてください。
エントリーシートの研究課題で、企業はどこを見る?
エントリーシートの研究課題を通じて、企業は応募者の専門性や思考力、問題解決能力を評価します。具体的には、以下の3つのポイントが重視されます。
研究課題のテーマ・内容を評価
企業は、研究テーマがどのような課題に取り組んでいるのかを重視します。特に技術職や研究職では、応募者の研究が企業の事業や技術分野とどの程度関連しているかが評価の対象になります。また、研究の新規性や社会的意義、実用性もチェックされるため、テーマ選定の背景や目的を明確に記述することが重要です。
研究課題に取り組む姿勢を評価
研究への取り組み方や姿勢も、企業が注目するポイントです。研究を進める上で直面した課題や困難をどのように克服したのか、自らの工夫や努力をどのように活かしたのかを具体的に説明することで、問題解決能力や粘り強さをアピールできます。特に、試行錯誤を重ねながら成果を出した経験は、実務でも役立つ能力として評価されます。
研究課題の説明の仕方を評価
企業は、応募者が研究内容をわかりやすく伝えられるかどうかも評価します。専門的な内容を、理系以外の人でも理解できるように説明する能力は、仕事においても重要です。論理的に整理された文章や、簡潔で明確な表現を意識することで、コミュニケーション能力の高さを示すことができます。
エントリーシートの研究課題の訴求ポイント
エントリーシートの研究課題を通じて、企業に対してどのような強みをアピールできるのかを意識することが重要です。特に以下の3つのポイントを訴求することで、仕事への適性を示すことができます。
仕事での再現性
企業は、研究で培った知識や経験が実務にどのように活かせるかを重視します。研究で得た分析手法や問題解決のアプローチが、企業の業務に応用できることを示すと、即戦力としての期待が高まります。特に、データ解析や実験手法、プログラミングスキルなどは、多くの業界で求められる能力です。
取得した知識やスキル
研究を通じて習得した専門知識や技術的スキルは、強みとしてアピールできます。例えば、特定のソフトウェアやツールの習熟度、論文の読解力、実験技術などを具体的に記述すると、専門性の高さが伝わりやすくなります。また、知識の応用力や新しい技術への適応力を示すことで、成長意欲のある人材として評価されます。
コミュニケーション能力
研究は単独で進めるものではなく、指導教員や共同研究者とのやり取りが不可欠です。研究成果の発表やディスカッションを通じて、どのように他者と協力し、意見を伝え、調整してきたのかを説明することで、コミュニケーション能力の高さをアピールできます。特に、チームでの協働経験やプレゼンテーションのスキルは、企業でも求められる能力です。
企業に研究をアピールする研究概要書の書き方は、次の記事でも詳しく説明しています。エントリーシートの「研究課題」についてもふれているので、こちらも参考にしてください。
エントリーシートの研究課題の構成(文字数別)
企業によってエントリーシートに記載する研究課題の文字数は異なります。ここでは、代表的な文字数である50字、150字、300字の場合の構成について説明します。
50字の場合
50字という短い文字数で研究課題を説明する場合、最初の研究テーマで何をしたかを端的に伝える必要があります。以下の構成を参考にしてください。
- 1.研究テーマ: 研究のタイトルを記載します。タイトルに研究領域、研究手法、目的を盛り込むことで、一気に読み手の興味を引き付けることができます。「〜の研究」は省略してかまいません。
- 2.研究成果: どのような結果が得られたかを1文で説明します。
【例】
研究テーマ
[※研究領域]における[※実験、手法など]を用いた[※目的:~の分析、~の評価、~の測定、~の制作など]
研究成果
□□[※簡単なプロセス]により〜の[※成果を得た、知見を得た、(を)達成した、など]。
150字の場合
150字の場合、50字の場合よりも詳細な情報を加えることができます。以下の構成を参考にしてください。
- 1.研究テーマ: 研究のタイトルを記載します。
- 2.研究の背景: 研究の背景や問題意識を説明します。
- 3.研究目的: 研究の目的や目標を説明します。
- 4.研究方法: 研究の方法やアプローチを簡単に説明します。
- 5.研究成果: どのような結果が得られたかを説明します。
- 6.今後の展望: 今後の研究の展望や課題を簡単に説明します。
【例】
研究テーマ
[※研究領域]における[※実験、手法など]を用いた[※目的:~の分析、~の評価、~の測定、~の制作など]
研究の背景
△△を背景として、▽▽という課題が生じている。
研究目的
▽▽の原因の解明[※分析、解決など]を目的とし、
研究方法
[※研究手法、調査手法、実験など]を用いて[※実験、観測、調査など]を行った。
研究成果
[※経過など]により[※成果、結果など]を達成した。
今後の展望
〇〇〇〇に向けて〇〇〇〇の研究を進める予定である。
300字の場合
300字の場合、研究の背景や目的を詳しく書くことで、よりわかりやすく研究内容を説明することができます。以下の構成を参考にしてください。
- 1.研究テーマ: 研究のタイトルを記載します。
- 2.研究背景: 研究の背景や問題意識を具体的に説明します。
- 3.研究目的: 研究の目的や目標を具体的に説明します。
- 4.研究方法: 研究の方法やアプローチを詳細に説明します。
- 5.研究成果: どのような結果が得られたかを具体的に説明します。
- 6.考察: 研究結果に対する考察や分析を説明します。
- 7.今後の展望: 今後の研究の展望や課題を具体的に説明します。
例:
研究テーマ
[※研究領域]における[※実験方法、手法、手段など]を用いた[※目的:~の分析、~の評価、~の測定、~の制作など]
研究の背景
[※研究の背景説明:〇〇が社会問題となっている、従来の研究では〇〇〇が未解明など]により、
研究目的
[※課題]を解明し、[※目的]を行うために、
研究方法
[※実験方法、手法、手段など]を用いて[※実験、観測、調査など]を行った。
研究成果
[※経過など]により[※成果、結果など]を達成した。
考察
[※成果、結果など]が得られた要因について〇〇〇〇の観点から考察し、
今後の展望
[※今後の展望:結果の応用、実用化など]に向けて、さらに[※目的]の研究を進める。
エントリーシートの研究課題の訴求ポイント別例文
エントリーシートの研究課題では、単に研究内容を説明するだけでなく、自身の強みや能力を企業にアピールすることが重要です。ここでは、研究課題を通して特に訴求したいポイント別に例文と作成のポイントを紹介します。
テーマ・専門性を訴求したい場合
自分の研究テーマや専門性を企業にアピールしたい人は、次の3点に焦点を当てて作成しましょう。
- ・研究テーマの新規性や独自性を強調する
- ・研究を通して得られた専門知識やスキルを具体的に説明する
- ・研究分野と企業の事業内容との関連性を示す
【例文】
研究テーマ:マルウェア「Emotet」の感染拡大メカニズムの解析と対策
世界中で猛威を振るうマルウェア「Emotet」の感染拡大メカニズムに着目し、その詳細な挙動を解析することで、効果的な対策を講じることを目的とした。Emotetの亜種ごとのコード解析、通信パケット解析、サンドボックス解析を行い、感染経路、ペイロードの種類、C&Cサーバとの通信プロトコル等を明らかにした。本研究で得られた知見は、企業がEmotetによる被害を未然に防ぎ、安全な事業活動を行う上で役立つ可能性がある。
努力・粘り強さを訴求したい場合
研究内容の専門性やテーマの新規性よりも、研究のプロセスにおける努力や性格の粘り強さをアピールしたい時の「研究課題」には、次の点に焦点を当てて作成します。
- ・研究過程における困難や課題を具体的に説明する
- ・困難を乗り越えるためにどのような努力や工夫をしたかを説明する
- ・研究に対する情熱や粘り強さをアピールする
【例文】
研究テーマ:高齢者の情報格差解消に貢献するIoTデバイスの開発
高齢者の情報格差が拡大する現代において、誰もが情報技術の恩恵を受けられる社会の実現を目指し、高齢者でも容易に利用できるIoTデバイスの開発に取り組んだ。当初は、高齢者のITスキルや身体機能の制約から、操作性の高いデバイスの開発に苦労した。しかし、高齢者へのヒアリングや試作品の改良を重ね、最終的には直感的なインターフェースとシンプルな操作性を実現した。感覚的な表現を開発に落とし込み、粘り強く改良を重ねた経過は、私にとって得難い経過となった。
コミュニケーション能力を訴求したい場合
自分自身のコミュニケーション能力を訴求したい場合は、次の点に焦点を当てて作成しましょう。
- ・研究活動においてどのような人と連携し、どのようにコミュニケーションを取ったかを説明する
- ・共同研究や学会発表を通して得られた経験や学びを述べる
- ・協調性やコミュニケーション能力をアピールする
【例文】
研究テーマ: 〇〇地域における〇〇のLCA(ライフサイクルアセスメント)分析
〇〇地域における〇〇の環境負荷を評価するため、LCA分析をチームで実施した。私は主に現地調査と聞き取り調査を担当し、[※〇〇生産者、消費者、行政関係者など)に対して、〇〇[※製品の製造過程、使用状況、廃棄方法など)に関する情報を収集した。多様な関係者と円滑なコミュニケーションを図るために、チャットツールやオンライン面談などさまざまなチャネルを用い、工夫を重ねながら必要な情報を効率的に収集し、分析に役立てた。
エントリーシートで研究課題を求められるほかに、企業によっては研究概要書という形式で提出を求められる場合もあります。
エントリーシートでの研究課題の作成をしっかりやっておけば、「学生時代に力を入れてきたこと(ガクチカ)」などでも応用して使うことができます。ガクチカで研究をアピールする方法については、次の記事で詳しく説明しています。
エントリーシートの研究課題が書けない場合は?
エントリーシートで研究課題を記入する欄があるものの、何を書けばよいか分からず悩む理系学生は、決して少数派ではありません。特に、研究テーマが未定の学生や卒業研究がない学生、さらにはゼミに所属していない学生にとっては、大きなハードルに感じられるでしょう。ここでは、それぞれのケースに応じた対応策を解説します。
研究課題が未定の場合
大学3年生の段階では、まだ研究室配属前で具体的な研究テーマが決まっていないケースも多いでしょう。このような場合、次のようなアプローチでエントリーシートを記入するやり方があります。
- ・興味のある分野や取り組みたいテーマを書く
まだ研究が始まっていなくても、学んできた分野の中で特に関心のあるテーマや、研究室で取り組みたい内容について書くことができます。例えば、機械学習に興味があるなら、「〇〇のデータ解析における機械学習の応用について研究予定」などと書きましょう。 - ・授業や課題で取り組んだ内容を活用する
大学の授業や演習で行った課題・プロジェクトを研究課題の代わりに記載することも可能です。例えば、プログラミングの授業で作成したシステムや、データ分析の課題で扱ったテーマを紹介できます。
卒業研究がない場合
大学によっては、カリキュラム上の都合で卒業研究が必須ではない場合もあります。このような場合は、以下のような情報をエントリーシートに記載しましょう。
- ・専門科目での学びやプロジェクトをアピール
卒業研究がなくても、専門的な授業やプロジェクトで得た知識やスキルを強調できます。「〇〇の授業で〇〇な課題に取り組み、△△の知識を活用した」といった形で具体的に記述すれば、十分「研究課題」として通用します。 - ・インターンや自主的な学習の経験を記載する
もしインターンシップに参加していれば、その経験を研究課題の代わりに記述することもできます。その他、自主的に取り組んだ学習(例えば、資格取得のための勉強や、オンライン講座で学んだ内容)を、自分自身の「研究課題」として記載することで、主体的に学ぶ姿勢をアピールできます。
ゼミに所属していない場合
ゼミに所属していない場合でも、工夫次第でエントリーシートの研究課題欄を埋めることは可能です。
- ・個人で取り組んだ課題や興味のある研究分野を記述
ゼミに所属していなくても、授業や課題で学んだことを基に、自分なりに興味を持って調査したテーマについて記載できます。例えば、「〇〇の分野に関心があり、関連する論文を読んで学習を進めている」などと書くと、研究に対する意欲を伝えられます。 - ・アルバイトやサークル活動での経験を活用する
研究課題に直接関連しなくても、論理的思考や課題解決能力を発揮した経験があれば、それを研究的な視点で書くことは可能です。例えば、プログラミングサークルで開発したアプリや、スピーカーの自作、データ分析を行ったアルバイト経験などを紹介しましょう。
エントリーシートの研究課題を書く際の注意点
エントリーシートの研究課題欄は、単に研究の内容を説明するだけでなく、論理的思考力や課題解決能力を伝える場でもあります。記載内容によっては、企業に「研究に対する意欲が低い」「論理的に説明する力が弱い」と思われる可能性もあるため、注意が必要です。ここでは、研究課題を書く際に気をつけるべきポイントを解説します。
「なし」や「未定」、空欄はNG
研究課題がまだ決まっていない場合や、卒業研究がない場合でも、「なし」「未定」と書いたり、空欄のまま提出したりするのは避けましょう。企業側はこの欄を通じて、課題に対する考え方や問題解決力を評価しているからです。
仮に研究課題が思いつかなくても、先述のように、これまでの授業や実験、サークルやアルバイトでの経験を「研究課題」の形式で記載すれば、十分「研究課題」として提出できます。
「研究が決まっていない」「ゼミに入っていない」などの理由で何も書かないのではなく、自分が学んできたことを軸に、企業に伝えられる内容を考えることが重要です。
文字数に気をつける
エントリーシートでは、文字数制限が設けられていることが多いため、適切な分量で簡潔にまとめることが重要です。
- ・短すぎると印象が悪い
「〇〇について」と一語で書いたようなもの、「機械学習」のようにあまりに漠然としたことを書いただけでは、何をしているのか実際のところがわからず、採用担当者にも「自社を本気で志望する気があるのか?」と、熱意を疑わせてしまいます。 - ・長すぎると読みにくい
逆に、専門用語を多用しすぎたり、詳細すぎる説明を書いたりすると、読み手にとって理解しづらくなります。簡潔かつわかりやすくまとめることを意識しましょう。他学部の友人や家族に聞かせてフィードバックをもらうのも良い方法です。
仕事での再現性を意識する
企業がエントリーシートの研究課題を重視する理由の一つに、「研究内容が仕事でどのように活かせるか」を知りたいという面があります。そのため、研究の目的や身につけた手法、得られた知見が仕事にどのように応用できるかを伝えるのも有効です。
アピールのポイント
- ・課題発見能力のアピール:「〇〇の課題を解決するために、この研究に取り組んだ」など、問題意識を明確に伝えます。
- ・論理的思考力のアピール:「この研究を進めるにあたり、〇〇という方法を選んだ」など、選択の理由を説明します。
- ・成果や学びを仕事に結びつける:「この研究を通じて、データ分析スキルを磨いた」「実験での試行錯誤を通じて、仮説検証の重要性を学んだ」など、研究後を視野に入れて作成しましょう。
たとえ研究テーマが直接企業の事業と関連しなくても、研究を通じて得たスキルや考え方が、仕事でどのように役立つのかを示すことが大切です。
エントリーシートの研究課題で自分の強みを伝えよう(まとめ)
本記事では、エントリーシートに記載する研究課題について、その役割や、企業はなんのために就活生の研究課題を知りたいのか、また実際に作成する上での構成や例文を詳しく紹介しました。
エントリーシートの研究課題は、企業が求める人材を把握し、それに応えられる自分の強みを軸に作成します。仮に研究課題が決まっていない場合でも空欄のままにしたり、「未定」と書くのではなく、自己PRにつながる内容を作成しましょう。
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