理系学生の中には、研究を将来の仕事にしたいと考える方は少なくありません。

研究に関連するさまざまな職種が思い浮かぶ中、身近な存在である大学教授を思い浮かべる方も多いでしょう。

大学教授は接する機会が多いことから、仕事内容や働き方のイメージはしやすい一方で年収・給料などの待遇面がわからないため、未知数な部分があります。

大学院への進学には安くない費用がかかっているため、将来的に貰える年収・給料は把握しておきたい部分です。

今回は大学教授の年収や仕事内容、大学教授になる方法を解説します。

大学で研究を続けるキャリアや学生と接する仕事を目指している方は、ぜひ参考にしてください。

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大学教授は幅広い職務・適性が求められる

大学教授は幅広い職務・適性が求められる

仕事内容や業務量は必ずしも年収・給料に対応するわけではありません。

業務量が多く、仕事内容が多岐にわたっている一方で年収・給料が高くない職種は数多くあり、逆のパターンもあります。

大学教授がどれくらいの年収・給料を貰っているかを解説する前に、本章では大学教授の仕事内容を解説します。

一般的に高年収といわれる大学教授がどのような仕事をしているかをチェックしてください。

大学教授の仕事内容①:研究

大学教授の仕事は多岐にわたりますが、自身の専門分野の研究は大学教授にとってメインの仕事です。

大学・外部からの研究費を基に研究をおこない、学会発表・論文執筆の形式で研究成果を形として残します。

大学教授の研究というと研究室に長時間こもるイメージを持つ方もいますが、研究分野によって幅広いアプローチをとっています。

研究室でデータや機器と長時間向き合う研究もありますが、調査のために現地に赴くケース・関係者へのヒアリング調査などさまざまです。

大学教授の仕事内容②:学生の指導教育

学生への指導・教育は大学教授にとって、研究と並ぶメインの仕事です。

大学は研究機関であると同時に教育機関でもあるため、後進を育成するのも大学教授の仕事になります。

学生への指導・教育は講義やゼミ、研究室などで様々な場所でおこなわれ、具体的な指導・教育内容を挙げると以下のとおりです。

・講義やゼミの準備
・試験作成と採点
・評価の決定
・研究の進め方を指導
・論文指導

上記でピックアップした以外にも、さまざまな形で大学教授は学生への指導・教育をおこないます。

大学教授の仕事内容③:大学の運営業務

自身の所属する大学の運営も大学教授の仕事になっており、具体的に以下の業務に携わります。

・講義のカリキュラムバランスの調整
・研究紀要の編集
・大学内の委員会参加
・学生向けガイダンスや説明会の調整
・大学教員の採用・審査

取り上げた運営業務は一人でおこなうのではなく、担当にわかれ、事務方である大学職員と連携して運営業務にあたります。

他には学会の運営や書籍執筆・コメンテーターなども

大学教授は紹介してきた仕事以外にも、以下の仕事をおこなっているケースがあります。

・学会の運営  :学会が主催するイベントの企画運営や学会誌の編集など
・コメンテーター:テレビやラジオなどのメディアでの解説業務
・書籍執筆   :自身の専門分野・研究に関する書籍の執筆

大学教授は研究や学生への指導など学内の仕事はもちろん、学会の運営・コメンテーターなど学外の仕事があり、活躍の機会は非常に多くあります。

大学教授の年収は約1,000万円

大学教授の年収は約1,000万円

大学教授の仕事は多岐にわたり、質と量ともに求められることから、相応の年収となることが容易に想像できます。

厚生労働省が令和4年度に発表したデータによると、大学教授の年収は約1,000万円となっており、他の職種と比較しても高額な金額です。

一方で本結果は、国公立大学・私立大学などで分けられていない点も考慮する必要があります。

国公立大学や私立大学では、学費・規模・属性から年収・給与に違いが出るためです。

幸いなことに、大学教授の年収・給与に関するデータはさまざまな機関・団体が調査しており、国公立大学・私立大学のデータもあります。

本章では、国公立大学のデータを基にした大学教授の年収や私立大学教授とのデータ比較、大学教授の年収が高い理由を解説します。

参考:厚生労働省 令和4年賃金構造基本統計調査

国公立大学教授の平均年収ランキング一覧

国公立大学教授の平均年収を知るには、バイオ専門メディア「日経バイオテク」が発表した2022年のデータが参考になります。

各国公立大学のデータが発表されており、一番高い平均年収は東京大学の1,193万円になります。

すべての国公立大学を掲載するのは難しく、数値を公表している国公立大学や知名度の高い国公立大学のデータを掲載するので参考にしてください。

大学名教授人数教授平均年齢平均年収最高年収
北海道大学345人54.3歳1,021万円1,373万円
岩手大学146人57.7歳953万円1,193万円
東北大学605人55歳1,074万円2,263万円
筑波大学390人56.4歳1,122万円1,337万円
東京大学1,200人56歳1,193万円1,891万円
新潟大学250人57.2歳1,013万円1,334万円
静岡大学262人56.4歳996万円1,250万円
名古屋工業大学111人56.5歳1,151万円1,373万円
京都大学767人55歳1,094万円1,603万円
大阪大学670人55.3歳1,120万円1,604万円
広島大学453人57.2歳1,042万円1,547万円
九州大学443人55.5歳1,097万円1,463万円
鹿児島大学242人57.4歳972万円1,226万円

参考:全国立大学の教員年収を全て公開、2263万円の最高年収はどこの大学教授?

平均給料を基にすると私立大学の教授の方が年収は高い

利潤を追求する民間企業・団体の方が、同類の仕事でも公的機関より年収・給与が高いケースは珍しくありません。

大学教授の場合でも、平均給料を基に計算をすると私立大学の方が年収は高い計算となります。

政府が2021年に発表したデータによると、国立・公立・私立大学の教授の平均給料は、以下のデータとなっています。

・国立大学教授の平均月額給料は536,900円
・公立大学教授の平均月額給料は540,400円
・私立大学教授の平均月額給料は570,300円

月額給料を単純計算に12ヶ月分で計算をすると以下の値となっており、私立大学の教授の方が高い年収となります。

・国立大学教授の平均月額給料から計算した年収:6,442,800円
・公立大学教授の平均月額給料から計算した年収:6,484,800円
・私立大学教授の平均月額給料から計算した年収:6,843,600円

年収を構成する要素として給料以外にもボーナスや手当があるため、実際の収入はより高くなります。

ボーナス・手当は年収を構成する要素として大きいため、一概に私立大学の教授の方が高年収になるとはいい切れない点は注意が必要です。

参考:令和元年度「学校教員統計調査 給料月額別 職名別 本務教員数」

なぜ大学教授の年収は高い?

国公立・私立を問わず、大学教授は高い年収となっています。

多くの方が気になるのは、なぜ大学教授の年収は高くなるかでしょう。

大学教授の年収が高い理由は、高い専門性を有しているからです。

大学教授になるためには博士号の取得や多数の研究実績、専門分野における高度な知識やスキルなどが必要です。

大学教授になるほど高い専門性を持つ人材は多くないため、自然と人材としての希少価値が上がることから年収も比例して高くなります。

大学教授になる3つの方法

大学教授になる3つの方法

年収・給料は働くうえでは見過ごせない要素であるため、大学教授の高年収は研究を仕事にしたいと志す人にとって朗報です。

本章では大学教授になるための3つの方法を解説します。

大学教授を将来的な視野に入れている方は、ぜひ参考にしてください。

博士号取得を取得して研究員からスタート

大学教授になるための一般的なルートとしては、博士号を取得した後に研究員からスタートして、徐々にステップアップする方法です。

大学教授には博士号の取得を条件としている大学がほとんどのため、大学教授を目指すためにはまず博士号を取得します。

博士号を取得後、一般的には博士研究員として働き始めます。

大学教授になるためには多数の研究実績・経験が求められるため、地道に研究を続けて結果を残すしかありません。

研究員の次のステップである助手・助教に応募して審査に通れば、ステップアップが可能です。

講師・准教授も同じように、応募・審査の通過を繰り返しつつ徐々にステップアップをしていき、最終的な大学教授のポジションを目指します。

公募へ応募をする

大学教授となるためにはポストの空きが必要となるため、タイミングによってはなれないケースがあります。

たとえば、自身が目指しているポストの大学教授が、比較的年齢の若い方であれば、数十年間ポストが空くことはありません。

一方で大学教授のポストは、自身が所属している大学の分だけではない点を頭に入れておく必要があります。

大学教授のポストは公募の形で募集されるケースがあり、条件を満たせば、応募が可能です。

公募の審査に通過すれば、大学教授になれます。

大学からのオファーを受ける

公募以外にも、大学からのオファーで大学教授になれるケースがあります。

大学側からのオファーを受けるためには、研究者として高い実績と知名度を残す必要があるため、レアケースです。

大学教授になるためには地道にステップアップをするか、公募されているポストから大学教授になる方法がほとんどです。

大学教授の業務上や目指す上での注意点

大学教授の業務上や目指す上での注意点

他の職種と比べ、高い年収が期待できる大学教授にも気を付けなければならないポイントがいくつかあります。

本章では大学教授における業務上や大学教授を目指すうえでの注意点を解説します。

大学教授は多忙になりがち

大学教授の仕事内容が研究や学生への指導、大学の運営業務など多岐にわたることからも想像できるとおり、大学教授は非常に多忙です。

どの仕事もクオリティを落とせない仕事のため、自然と忙しくなります。

大学教授は高い年収・給料が期待できる反面、労働量は多いと考えてよいでしょう。

ライフワークバランスを重視した働き方を目指す方にとっては、大学教授は向いているとはいいづらい職種になります。

教授になれるかはあくまでポストの空き次第

優れた研究業績や人柄を有していても、必ず大学教授になれるとは限りません。

大学教授になれるかは、あくまでポストの空き次第で決まります。

ポストの空きがなければ、大学教授になれずに研究者人生を終える可能性もゼロではありません。

ポストの空きは運の要素もあるため、将来的に大学教授を目指す方は大学教授になれないリスクも考慮しておく必要があります。

まとめ

今回は大学教授の年収や仕事内容、大学教授になる方法を解説しました。

今回解説した内容をまとめると以下のとおりです。

・大学教授の仕事内容は研究や学生への指導など多岐にわたる
・大学教授の平均年収は約1,000万円
・大学教授になるためには3つのルートがある

大学教授は簡単になれる職種ではありませんが、研究を仕事にしつつ、高い年収が期待できる魅力的な職種です。

ぜひ本記事を参考に、大学教授を目指す一歩を踏み出していただければと思います。

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