「第一志望の選考途中に、別の企業から内定をもらってしまった!」
内定取得後に就職活動を続けるには、内定保留の連絡が必要です。
とはいえ、内定保留は伝えづらい、と考える人が多いのではないでしょうか。
この記事では、就活途中で内定をもらってしまった理系学生の皆さんに向けて、内定保留のスマートな伝え方やマナーについて詳しく解説します。
内定保留は理系就活の手段のひとつ

せっかく自分を選んでくれた企業に、内定保留をお願いするのは少し気が引けるかもしれませんが、内定保留は就活における重要な手段の一つです。
入社を迷っているのであれば、その旨を企業の採用担当者に必ず伝えましょう。
この章では、内定保留を連絡する際に必ず聞かれる「保留の理由」をどうすればよいか、具体的に解説します。
他企業の選考待ちは正直に伝えてもよい
内定保留の理由で最も多いのは、第一志望の選考結果待ちだと思います。
この場合、他社の選考結果が出ていないことを正直に伝えてしまって構いません。
ただし、内定先の企業に対して、第二志望であることを明言するのは失礼にあたります。
「第一志望の結果を待ちたいので…」のように明確な優先順位が伝わる表現は避け、「もう一社選考が進んでいる企業があり、そちらの企業の合否を待ってから結論を出したい」と伝えましょう。あるいは、就職活動シーズンとして早めに内定をもらった時は、「就活をほとんどしておらず、もう少し他の企業なども見たうえで納得して内定を受諾したい」と伝えるのも一つでしょう。
なお、内定保留の理由として「親や親戚などの意見を聞いてから決めたい」は、あまりおすすめできません。「社会人としての主体性や決断力に欠けるのでは?」と誤解される可能性があるためです。
公務員試験の結果待ち
公務員試験を受けている場合、正直に伝えることも一つですが、慎重に考えましょう。なぜなら、民間企業と公務員は仕事内容も大きく異なり、求められる姿勢や性質も大きく変わるからです。あなたが公務員志望であることが伝わることで最悪の場合、会社の採用判断が変わる可能性があります。
なお、公務員は種別ごとに合格通知の時期が異なります。
参考までに、過去2年の公務員試験のスケジュールをご紹介します。
国家公務員総合職
2020年 最終合格発表 | 8月21日(金) |
2019年 最終合格発表 | 6月25日(火) |
国家公務員一般職(大卒程度)
2020年 最終合格発表 | 10月13日(火) |
2019年 最終合格発表 | 8月20日(火) |
地方公務員上級技術職
2020年 最終合格発表 | 8月上旬~下旬 |
2019年 最終合格発表 | 8月上旬~下旬 |
※2020年は新型コロナウイルス感染の影響により、一部日程が例年よりも遅くなっています。2021年度以降、実施時期が大幅に異なる可能性に注意してください。
理系就活での内定保留のリスクを把握しておこう

内定保留の申し出には、場合によってはリスクが伴うことがあります。
考えられる可能性や対処法について、項目ごとにご紹介します。
入社意欲や志望度が低いと思われる
内定保留は致し方ない選択とはいえ、申し出た時点で「入社意欲の低さ」「志望度の低さ」はある程度企業側に伝わってしまいます。
「このまま入社してくれないのでは無いか」と不信感を持たれた場合、その企業にいざ入社した際に「第二志望でしぶしぶ入った社員」と判断されてしまう可能性があります。
リスクの回避方法としては、内定保留を伝える際に入社の意思をしっかり伝えることです。入社したい気持ちはありつつ、就活活動は納得できるまで続けたいという気持ちを伝えることが重要です。
なお、決断を待ってくれる企業への誠意として、キープする内定は「一社」に絞り、複数の会社へ内定保留のお願いをすることは、企業に多大な迷惑が発生するほか、他就活生の就業機会を奪うことにつながりますので避けましょう。
内定取り消しの可能性?
可能性は低いですが、内定保留の申し出によって、内定を取り消された事例が無い訳ではありません。内定保留を申し出る時点で、ある程度のリスクが生じることは覚悟しておきましょう。
とはいえ、実際には「しっかりと意思を固めてから入社してほしい」という理由から、内定保留を受け入れる企業がほとんどです。内定取り消しは企業側にとっても機会損失となる上に、内定受諾の強要で新卒定着率の低下を招いてしまっては、本末転倒だからです。
理系学生は「後付け推薦」「後だし推薦」に注意
理系学生ならではのリスクとして、近年「後付け推薦(後だし推薦)」が、問題視されています。
後付け推薦とは企業が学生に対して行う「オワハラ」の一種で、自由応募の採用枠だったにも関わらず、選考が進んだ時点で大学からの推薦状の提出を求める行為です。
内定者の入社率を高める目的で、最終面接の前後に推薦状の提出を求められる事例が確認されています。
「後付け推薦の推薦状を提出した場合、内定保留が出来ないのでは?」と不安を感じるかもしれませんが、法的にも就活マナー的にも問題はありません。
推薦状の提出を断って不採用となるリスクを避けるため、後付け推薦を打診されたら素直に応じたうえで、必要であれば内定取得後に保留を申し出ましょう。
内定保留をスムーズにすすめるポイント4つ

実際に内定保留の連絡をする場合のマナーやコツを、4つのポイントに絞ってご紹介します。
内定保留を決めたら即連絡
内定を承諾するか保留するかに関わらず、企業側から何らかの連絡があった場合、基本的には即返信がビジネス上のマナーです。
メールの場合は24時間以内、電話の折り返しは企業の営業時間中、なるべく早いタイミングで行います。
決断を迷っていたとしても、第一報に対してのリアクションをせずに放置するのは、企業へ悪印象を与える原因となります。
内定保留の打診をスムーズに進めるためにも、迅速なレスポンスを心がけましょう。
内定保留には期限を設定する
内定保留を申し出る際に重要なのが、「いつまでに回答出来るか」を必ず明言することです。採用担当者としては、なるべく早く内定承諾を得て、採用予定枠を埋めたいのが本音といえます。
入社の意思がはっきりしない候補者を抱えることは、企業側にとってのリスクです。採用担当者の負担とならないよう、自分から回答期限を申し出ましょう。
連絡はメールと電話の両方で行う
内定保留の連絡は、メールと電話の両方で行うことをおすすめします。
メールは企業とのやり取りをデータとして残すため、電話はメールでは伝わらない「入社意欲」や「誠実さ」を伝えるためです。
メールと電話それぞれの例文をご紹介します。
メールでの連絡
件名:内定保留のお願い(○○大学 ○○(名前)) ———————————————————— ○○○株式会社 総務部 人事課 課長 □□ □□様(フルネーム) お世話になっております。 ○○大学4年の○○ ○○(フルネーム)です。 この度は内定のご連絡をいただき、誠にありがとうございました。 貴社よりご評価いただき、大変光栄に感じております。 入社承諾のお返事につきまして、一点お願いがございます。 現在他企業様の選考も一社進んでおり、そちらの選考が終わるまで、正式な回答を保留とさせていただくことは可能でしょうか。 選考結果の発表が6月予定とのこと、6月15日までには、回答の有無に関わらず一度ご連絡させていただきます。 貴社からのお話を是非お受けしたいと考えておりますが、就職活動において後悔の無いよう、全ての選考を終えてから決断したいと考えております。 勝手なお願いにて誠に恐縮ですが、ご容赦いただけましたら幸いです。 何卒よろしくお願い申し上げます。 ------------------------------------------------------------ ○○大学工学部 ○○工学科4年 (名前) (携帯番号) (メールアドレス) ------------------------------------------------------------ |
メールでの連絡の後、担当者宛に電話にて連絡します。なお、メールと電話の順序は前後してもかまいません。
電話での連絡
人事:お電話ありがとうございます。 □□□株式会社でございます。 学生:おはようございます。○○大学の○○と申します。 人事課の□□様はいらっしゃいますか。 本日ご連絡いただいた内定通知の件についてご連絡いたしました。 人事:私が□□です。おはようございます。 学生:ただいまお時間を少々いただいてもよろしいでしょうか。 人事:はい、かまいませんよ。 先ほどメールいただいた、内定保留の件でしょうか。 学生:はい、 貴社にはご迷惑をかける形となり大変申し訳ないのですが、 回答までの猶予をいただきたいと考えております。 人事:承知しました。6月15日にご連絡いただけるのですね。 学生:はい。それまでに回答が出るかはまだ分からないのですが、 いずれにせよ15日までには一度、ご連絡させていただきます。 人事:わかりました。良いお返事を期待しております。 学生:ご承諾いただきありがとうございます。 引き続きよろしくお願いいたします。 それでは失礼いたします。 |
辞退の場合にはしっかり謝罪する
第一志望の企業から無事内定が出た場合、内定保留中の企業へはお断りの報告をする必要があります。連絡はメール、電話のどちらでも構いませんが、待っていただいた以上、必ず謝罪の気持ちを伝えるようにしてください。
あなたに可能性を感じて内定を出してくれた企業です。入社の縁は無かったとしても、今後何らかの形で接点ができる可能性もあります。
社会人として、最後まで誠意ある対応を心がけましょう。
これだけは知っておきたいポイント

第一志望の結果が出る前に内定が出てしまった場合に備え、内定保留のコツやノウハウについて解説しました。
今回の押さえておくべきポイントは以下の通りです。
・内定保留は就活生の権利。ただし、内定保留のお願いはビジネスマナーを守ったうえで誠意ある対応を
・内定保留を申し出る際はなるべく早めに。回答期限を必ず伝えよう
・内定保留→内定辞退となった場合、辞退の連絡と謝罪は必ず伝えるのが社会人として必須のマナー
この記事が、現在就職活動中の皆さんのお役に立てば幸いです。