理系学生にとって、大学院への進学は将来の選択肢を広げる大きな機会となります。
大学院でより深い知識を学び、研究を多く経験すれば、より専門性の高い人材となれるからです。
一方で大学院進学に伴い、少なくないお金が必要になる点も無視できません。
大学進学時にもお金がかかった上に、大学院のお金となると負担が厳しくなる方もいるでしょう。
今回は大学院への進学に必要となる費用と自分で費用負担が可能か否かを解説します。
大学院への進学を見据えている方は、ぜひ参考にしていただければと思います。
国公立大学の大学院にかかる費用
大学院進学に必要な費用を自分で負担が可能か否かを紹介する前に、まずは大学院進学にかかる費用を紹介します。
自分で負担が可能か否かを判断するためには、どれくらいの金額が必要なのかを把握することが第一歩です。
本章では国公立大学の場合、どれくらいの費用がかかるかを紹介します。
修士で大学院を修めるパターン・博士で大学院を修めるパターンは平均で以下の金額がかかります。
- ・修士で大学院を修める場合:約138万円(入学費31万円+授業料107万円)
- ・博士で大学院を修める場合:約298万円(入学費31万円+授業料267万円)
※2023年05月時点のデータです。諸費用は変動の可能性があるので最新情報のご確認お願い致します。
入学費
国公立大学の大学院の場合、入学にかかる費用は入学金+検定料の31万2,000円となります。
国公立大学の場合は基本的に入学金と検定料は、どの大学も同一の費用となります。
授業料
国公立大学の大学院の場合、授業料は53万5,800円です。
基本的にはどの大学も授業料は同一の費用ですが、一部の大学では異なるので注意しましょう。
以下は各地域にある国公立大学の大学院の授業料です。
大学名 | 授業料(年間) | 備考 |
北海道大学 | 53万5800円 | |
東北大学 | 53万5800円 | |
筑波大学 | 53万5800円 | |
東京医科歯科大学 | 53万5800円 | |
東京工業大学 | 63万5400円 | |
東京大学 | 53万5800円52万0800円 | 上段は修士課程下段は博士課程 |
金沢大学 | 53万5800円 | |
京都大学 | 53万5800円 | |
大阪大学 | 53万5800円 | |
岡山大学 | 53万5800円 | |
高知大学 | 53万5800円 | |
九州工業大学 | 53万5800円 |
私立大学の大学院にかかる費用
高校や大学の場合、公立校より私立校の方が費用はかかります。
大学院でも私立校の方が費用のかかる傾向に変わりはありません。
本章では私立大学の大学院では、どれくらいの費用がかかるかを紹介します。
修士で大学院を修めるパターン・博士で大学院を修めるパターンは平均で以下の金額がかかります。
・大学院を修士で修める場合:約197万円(入学費約20万円+授業料約1,77万円)
・大学院を博士で修める場合:約401万円(入学費約20万円+授業料約381万円)
私立大学の大学院は国公立大学とは違い、各大学で必要な費用が異なっています。
※2023年05月時点のデータです。諸費用は変動の可能性があるので最新情報の確認してください。
入学費
私立大学の大学院への入学金は、各大学で異なっているのが特徴です。
今回ピックアップした私立大学の入学費用は平均で20万1,000円です。
以下はピックアップした私立大学の大学院の入学金一覧になります。
大学名 | 入学金 | 備考 |
早稲田大学 | 20万円 | 先進理工学研究科(応用科学専攻) |
青山大学 | 29万円 | 理工学研究科 |
東京理科大学 | 20万円 | 物理学専攻実験系 |
立教大学 | 22万5000円 | 理学研究科-化学専攻 |
上智大学 | 20万円 | 理工学研究科 |
明治大学 | 20万円 | 理工学 |
芝浦工業大学 | 26万円 | |
中央大学 | 24万円 | 理工学研究科 |
法政大学 | 20万円 | 理工学研究科 |
同志社大学 | 20万円 | 理工学研究科 |
関西学院大学 | 20万円 | 理工学 |
授業料
入学費用と同様に私立大学の大学院の場合、授業料も各大学・専攻で異なります。
今回ピックアップした私立大学の大学院では、授業料の平均は以下のとおりです。
- ・修士課程・博士課程前期:平均88万4100円
- ・博士課程後期:平均67万9650円
以下は各私立大学の大学院で必要な授業料です。
大学名 | 授業料(年間) | 備考 |
慶応義塾大学 | 105万円67万円 | 上段は修士課程下段は博士課程 |
早稲田大学 | 116万500円81万1500円 | 先進理工学研究科(応用科学専攻)上段は修士課程下段は博士課程後期 |
青山大学 | 66万6000円 | 理工学研究科 |
東京理科大学 | 90万円60万円 | 物理学専攻実験系上段は修士課程下段は博士課程 |
立教大学 | 87万500円81万6500円 | 理学研究科-化学専攻上段は博士課程前期下段は博士課程後期 |
上智大学 | 4万6000円50万1000円 | 理工学研究科上段は修士課程下段は博士課程 |
明治大学 | 76万円78万円 | 理工学上段は修士課程下段は博士課程 |
芝浦工業大学 | 112万1000円65万7800円 | 上段は修士課程下段は博士課程 |
中央大学 | 80万6000円 | 理工学研究科博士課程前期・博士課程後期ともに |
法政大学 | 77万円60万円 | 理工学研究科上段は修士課程下段は博士課程 |
同志社大学 | 84万4000円81万5000円 | 理工学研究科上段は修士課程下段は博士課程 |
関西学院大学 | 71万5000円43万2000円 | 理工学上段は博士課程前期下段は博士課程後期 |
大学院にかかる費用を自分で負担するのは簡単ではない
紹介してきたとおり、大学院進学に伴う費用は決して少ない金額ではありません。
年間だけで何百万ものお金がかかるので、自分だけで支払うのが難しい方が多いでしょう。
特に大学生の場合、アルバイト以外での収入がほとんどないので、負担するのは簡単ではありません。
自分の持ち出しだけで負担するのは難しい場合には、必要な制度を利用しましょう。
自身の経済力に加えて、学費免除制度や奨学金制度を活用すれば、支払うのは難しい金額ではなくなります。
大学院にかかる費用を、自分で負担する具体的な方法については次章で解説します。
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大学院にかかる費用を自分で負担するための方法
本章では様々な制度を利用しつつ、大学院にかかる費用を自分で負担するための方法を紹介します。
自身の持ち出しプラス、用意されている制度を利用すれば、大学院の費用を自分で負担するのも難易度はグッと下がります。
学費免除を申請する
大学院にかかる費用自体がなくなる、もしくは少なくなれば、経済的な負担は減少するでしょう。
国公立大学や私立大学を問わず、各大学には学費免除の制度が設けられています。
入学金や学費が免除されれば、数十万から数百万円単位の負担がなくなります。
大学院にかかる費用を自分で負担する場合には、積極的に活用していきたい制度です。
一方で学費免除を受けるには、一定の条件をクリアする必要がある点も忘れてはいけません。
誰しもが活用できる制度でない点は注意しておきましょう。
奨学金制度を利用する
学費の負担が難しい場合には、奨学金という形でお金を借りる、もしくは給付で費用を負担する方法もあります。
奨学金制度は独立行政法人や財団法人、大学がおこなっている奨学金制度など色々な種類があります。
奨学金制度も学費免除と同様に条件があるため、すべての人が支援を受けられるわけではありません。
一方で奨学金制度をおこなっている団体は数多くあるため、支援を受けられる機会は数多くあります。
また組み合わせて支援を受けられるのも、奨学金制度の良いところです。
割の良いアルバイト
制度を活用して、費用負担のレベルを下げる点も重要ですが、自身の支払い能力を上げる努力も重要です。
とはいえ、研究で忙しい大学院生はアルバイトに多くの時間を割けないため、割の良いアルバイトを選ぶ必要があります。
専門知識を生かしたアルバイトは比較的時給が良いため、割の良いアルバイトになります。
例えば、数学や科学系の学力を生かせる塾の講師や家庭教師は、大学院生にはおすすめです。
他にも大学院生ならではのTA制度は、大学内で働ける制度なので利用してみるのも良いでしょう。
貯金の一部を利用する
学費免除制度や奨学金制度、アルバイト代を合計して、足りない場合のみ貯金の活用を検討しましょう。
もちろん貯金のすべてを使い果たしてしまうような支払計画は、将来性を考慮するとリスクが高いのでおすすめしません。
あと数万円が足りないという場合のみ、貯金で支払うというイメージを持ちましょう。
貯金は将来のリスクや投資に備えるために必要なお金になります。
あくまで足りない分を貯金で少し補填するイメージであり、大きく足りない場合には計画自体を見直す必要があります。
大学院の費用負担に使える奨学金制度と特待生制度
自分で学費がすべて負担できない場合には、奨学金制度や学費免除制度の活用をおすすめしてきました。
本章では具体的な奨学金制度や学費免除制度について紹介します。
日本学生支援機構の奨学金
奨学金制度として有名な日本学生支援機構の奨学金制度は、大学院生でも利用は可能です。
日本学生支援機構の場合、奨学金制度には第一種奨学金と第二種奨学金の2種類があります。
第一種奨学金と第二種奨学金の違いは、利子の有無です。
第一種奨学金には利子がつかない一方で、審査には厳しい基準が設けられています。
反対に第二種奨学金には利子がある一方で、審査の基準は緩和されています。
以下は第一種奨学金と第二種奨学金の違いとなりますので、ご確認ください。
第一種奨学金 | 第二種奨学金 | |
修士課程・博士前期課程月額奨学金 | 5万円・8万8000円 | 5万円・8万円・10万円・13万円・15万円から選択可能 |
博士課程・博士後期課程月額奨学金 | 8万円・12万2000円 | |
利子の有無 | なし | あり※在学中は発生しない |
学力基準 | 特に成績が優れている | 成績が優れているor学修に意欲があり、確実に修了できる見込み |
修士課程・博士前期課程家計基準 | 収入299万9000円以下 | 収入536万円以下 |
博士課程・博士後期課程家計基準 | 収入340万円以下 | 収入718万円以下 |
※2023年05月時点のデータです。各種データは変動の可能性があるので最新情報のご確認お願い致します。
引用元:独立行政法人 日本学生支援機構
日本学生支援機構以外の奨学金
奨学金は様々な団体がおこなっていると紹介してきたとおり、日本学生支援機構以外にも奨学金制度をおこなっています。
例えば、以下の団体が奨学金制度を通じて、学生への支援をおこなっています。
団体名 | 奨学金 | 備考 |
公益財団法人 帝人奨学会 | 月額8万円から10万円 | 医学系・薬学系・理工学系など修士課程・博士課程の理系大学院生 |
公益財団法人 本庄国際奨学財団 | 月額15万円~20万円 | 専攻分野を問わず |
引用:公益財団法人 帝人奨学会
※2023年05月時点のデータです。各種データは変動の可能性があるので最新情報のご確認お願い致します。
大学の学費免除制度や奨学金
大学も優れた学生、意欲のある学生を支援するために学費免除制度や奨学金制度を設けています。
大学側が用意している支援制度は手厚いサポートから少しの支援までと、様々なレベルで制度が用意されています。
自身の経済状況に合わせて、活用するようにしましょう。
例えば、以下のような制度が大学側に用意されています。
団体名 | 支援種類・奨学金 | 備考 |
早稲田大学 | 奨学金 年額500,000円 | 資格を満たす採用人数全員に支給在籍期間中に合計3回の受給ができるので、最大150万円 |
東京大学 | 入学料・授業料の免除制度 | 免除制度を利用するには経済的な事情や成績優秀者などの条件 |
引用:早稲田大学 大学院博士後期課程若手研究者養成奨学金(給付)
引用:東京大学 入学料・授業料免除 大学院生(留学生を除く)
大学院での効率的な就活にはオファーサイトがおすすめ
大学院に進学すると、理系学生はレベルの高くなった研究に、バイトを含めた私生活がプラスされるため、より一層忙しくなります。
一方で企業への就職を志している場合には、就活が加わってくるので、より忙しくなるでしょう。
理系大学院生は研究とプライベート、就活を成立させるために、効率的な就活が求められる立場となります。
一般的な就活でもメリハリをしっかりつければ、効率性を上げることは確かに可能です。
一方で近年登場したサービスを使えば、より効率的な就活も可能になるでしょう。
例えば、オファーサイトのスカウトを活用した就活です。
オファーサイトとは登録してある学生のプロフィールや経歴をみて、企業から学生へオファーをするサービスです。
学生側はキチンとプロフィールや経歴を入力しておけば、企業からオファーが来るので効率的な就活が実現できます。
数多くのオファーサイトがある中で、理系学生におすすめなのが『TECH OFFER』です。
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一般的な就活と併用も可能なので、効率的な就活を目指すのであれば、ぜひTECH OFFERを活用してみてはいかがでしょうか。
まとめ
大学院への進学は自身のキャリアを作り上げていく上では貴重な機会となるでしょう。
一方で大学院への進学に伴う、決して安くない費用で躊躇してしまう方もいるはずです。
今回の記事では、大学院への進学に伴う費用を自分で負担するための方法を4つ紹介しました。
- 学費免除を申請
- 奨学金制度を利用
- アルバイト
- 貯金の一部を利用
大学院への進学に伴い、費用面に不安を感じている方はぜひ本記事を参考にしていただければと思います。