近年、AIやIoTの進化とともに、製造現場の幅広い工程で設計と開発を担当する機械設計エンジニアの役割はますます重要なものになっています。今後も高い需要が見込まれる魅力的な機械設計エンジニアとして採用されるために、採用担当者に「この学生がほしい!」と思わせるような魅力的な自己PRを作成しましょう。
本記事では、機械設計エンジニアに求められるものを整理した上で、設計エンジニアを志望する理系就活生が、どのように自己PRを作成したら良いか、例文と合わせて紹介します。
機械設計エンジニアの将来性と求められる知識・スキル
機械設計エンジニアは、私たちの生活を支える様々な機械製品の開発・設計に携わる仕事です。自動車、家電製品、医療機器、航空宇宙機器など、その活躍の場は多岐にわたります。
機械設計エンジニアはどんな仕事?
機械設計エンジニアの仕事は、製品の企画・設計から試作、評価、量産まで多岐にわたります。機械設計エンジニアはさまざまな領域で仕事をしますが、基本的な仕事の流れは次のようになっています。
出典:機械設計技術者(厚生労働省:jobtag)
大別すると、以下の4つにまとめることができます。
- ・企画・設計
顧客のニーズや製品コンセプトに基づいて、設計図や仕様書を作成します。
- ・試作
設計図に基づいて試作品を作成し、性能や安全性を評価します。
- ・評価
試作品の評価結果に基づいて、設計の修正や改善を行います。
- ・量産
量産化に向けて、製造部門と連携して生産ラインの設計や設備の選定を行います。
近年では、3D CADやシミュレーション技術の進化により、より高度で複雑な設計が可能になっています。
機械設計エンジニアの将来性は?
製造業は日本のGDPの約20%を占め、産業の根幹を支える製造業の需要は、今後も減少することはなく、機械設計エンジニアの需要は、将来も安定していると言えるでしょう。
【業種別GDP構成比】
出典:経済産業省 業況
さらに、AI、IoT、ロボティクスなどの技術革新により、機械設計のニーズはますます多様化・高度化しています。また、医療・福祉分野における機械設計のニーズが高まっており、社会貢献性の高い仕事に携わることができます。
これらの背景から、機械設計エンジニアは、今後も安定した需要が見込まれる職種です。
機械設計エンジニアの年収
厚生労働省のjob tagによると、機械設計エンジニアの平均年収は612.4万円で、月給の推移は以下のようになっています。
機械設計技術者の年齢別の年収(厚生労働省:jobtag)
グラフで見ると、機械設計エンジニアの年収がもっとも高くなるのは55〜59歳で769.58万円となっています。国税庁の調査結果では、同年代の平均年収は545万円、男性のみだと712万円であるため、機械設計エンジニアの給与は平均より高いことがわかります。
機械設計エンジニアに求められる知識・スキルは?
機械設計エンジニアには、以下のような知識・スキルが求められます。
- ・機械工学の知識
材料力学、熱力学、流体工学などの基礎知識
- ・設計スキル
CADソフトの操作スキル、製図スキル
- ・解析スキル
CAEソフトの操作スキル、構造解析、熱解析などの知識
- ・語学力
英語の技術文書を読解できる能力、海外の技術者とコミュニケーションできる能力
- ・コミュニケーション能力
チームで仕事を進める上で、関係者と円滑にコミュニケーションを図る能力
機械設計エンジニアの自己PRのアピールポイント
機械設計エンジニアの自己PRでは、企業が求める人物像に合わせて、自分の強みをアピールすることが重要です。ここでは、機械設計エンジニアの自己PRで特にアピールしやすい4つのポイントを紹介します。
創造力・発想力
機械設計エンジニアは、新しい製品や技術を生み出すために、常に創造力・発想力を働かせる必要があります。既存の概念にとらわれず、自由な発想で新しいアイデアを生み出せることをアピールしましょう。
【例】
新しい機構のアイデア、既存製品の改善案、課題解決のための斬新なアプローチなど
継続力・探究心
機械設計エンジニアの仕事は、試行錯誤の連続です。困難な課題に直面しても、諦めずに継続して取り組む力、新しい知識や技術を積極的に学ぶ探究心は、企業にとって魅力的なアピールポイントとなります。
【例】
実験における粘り強い取り組み、新しい技術の習得、専門分野に関する深い知識など
論理的思考力
機械設計エンジニアは、複雑な問題を解決するために、論理的思考力が求められます。物事を体系的に捉え、筋道を立てて考え、客観的なデータに基づいて判断できることをアピールしましょう。
【例】
課題分析、原因究明、解決策の提案、データ分析など
コミュニケーション能力
機械設計エンジニアは、チームで仕事を進めることが多いため、コミュニケーション能力は必須です。自分の考えを分かりやすく伝え、相手の意見を丁寧に聞き取る能力は、企業にとって高く評価されるでしょう。
【例】
チームでの共同作業、プレゼンテーション、アルバイト先での顧客対応など
自己PRの書き方については、次の記事でも詳しく説明しています。
機械設計エンジニアの自己PRの準備
自己PRは、自分の強みを企業にアピールする絶好の機会です。しかし、やみくもにアピールしても、企業に響く自己PRを作成することはできません。ここでは、機械設計エンジニアの自己PRを作成する前に準備すべき3つのステップを紹介します。
自己PRの軸を作る
自己PRの軸となる強みを明確にしましょう。
- ・過去の経験や実績を振り返り、自分が最も自信を持ってアピールできる強みを見つける
- ・企業の求める人物像を把握し、自分の強みと合致する部分を探す
- ・強みを具体的な言葉で表現する(例:創造力、継続力、論理的思考力、コミュニケーション能力など)
自己PRの軸が定まれば、内容に一貫性が生まれ、より説得力のある自己PRを作成できます。
自己PRを裏付けるエピソードを探す
自己PRの軸が決まったら、それを裏付ける具体的なエピソードを探しましょう。
- ・学生時代の研究、アルバイト、インターンシップ、課外活動など、過去の経験を振り返る
- ・強みを発揮した具体的な場面、課題、取り組み、成果を具体的に書き出す
- ・エピソードを通じて、自分の強みがどのように発揮されたかを説明できるように準備する
具体的なエピソードは、自己PRに説得力を持たせるだけでなく、面接での質問にもスムーズに答えられるようにする効果もあります。
企業での再現性を考える
最後に、自分の強みが企業でどのように活かせるかを考えましょう。
- ・企業の事業内容、製品、技術などを深く理解する
- ・自分の強みが、企業の課題解決や目標達成にどのように貢献できるかを具体的に説明する
- ・入社後に挑戦したいこと、貢献したいことを具体的に述べる
企業での再現性を考えることで、採用担当者はその就活生が自社で活躍するイメージを持ちやすくなります。
機械設計エンジニアの自己PRを魅力的にするポイント
自己PRは、企業に自分の魅力を最大限に伝えるための重要なツールです。ここでは、機械設計エンジニアの自己PRをさらに魅力的にするための3つのポイントを紹介します。
結論ファーストで書く
自己PRは、最初に結論を述べることで、相手に最も伝えたいことを明確に伝えられます。
- ・最初に自分の強みやアピールポイントを簡潔に述べる
- ・具体的なエピソードや実績は、結論を裏付けるための材料として提示する
- ・結論を最初に述べることで、相手は話の要点を理解しやすくなる
結論ファーストで書くことで、相手に分かりやすく、かつ印象に残りやすい自己PRを作成できます。
データや客観的な成果を盛り込む
自己PRにデータや客観的な成果を盛り込むことで、自分の能力や実績を具体的に示すことができます。
- ・数値データ
- ・資格やGPA、コンテストなどの受賞歴
- ・論文や発表などの実績
客観的なデータは、主張に説得力を持たせ、企業に自分の能力をより深く理解してもらうのに役立ちます。
企業理念や事業の内容と一致させる
自己PRは、企業の理念や事業内容と一致させることで、企業に熱意や適性をアピールできます。
- ・企業のウェブサイトや採用情報などを参考に、企業理念や事業内容を深く理解する
- ・自分の強みや経験が、企業の理念や事業内容にどのように貢献できるかを具体的に説明する
- ・企業が求める人物像を把握し、自分の強みと合致する部分を強調する
企業理念や事業内容との一致を示すことで、企業は自社で活躍するイメージを持ちやすくなります。
機械系関連の志望動機については次の記事でも詳しく説明しています。
【例文付き】機械設計エンジニア向け自己PR例3選
自己PRを作成する上で、自分のどんな点に焦点を当てるかを最初に明確にすることが重要です。ここでは「スキル・知識」「創意工夫」「コミュニケーション能力」の3つの点に焦点を当てた自己PRの例文を紹介します。
スキル・知識に焦点を当てた自己PR
【例文】
私は大学の授業やゼミなどあらゆる機会を利用して、機械設計エンジニアに必要な知識やスキルを身につけようとしてきました。大学で機械工学を専攻したのも、小さいころからのあこがれだったものづくりに携わるために、エンジニアに必要な知識を身につけられると考えたからです。入学後は、エンジニアに役立つと思われる材料力学と流体工学について深く学びました。また、CAD演習を積極的に活用して、設計から解析までの一連のプロセスを経験しました。これらの知識とスキルを活かし、貴社の製品開発に貢献したいと考えています。
創意工夫に焦点を当てた自己PR
【例文】
私は、常に新しいことに挑戦し、創意工夫を凝らして解決することを大切にしています。大学では演劇サークルに所属し、照明班のチーフとして、劇をドラマティックに演出するために、さまざまな工夫を重ねてきました。従来行われていた方法では、座席によっては役者の顔が暗く見えてしまうことがあります。そのため複数のスポットライトを工夫し、舞台上の1人ひとりが魅力的に見えるように照明を工夫し、新しい方法を提案してチームで協力して実現しました。その結果、クライマックスの場面のスポットライトの当て方に「感動した」というコメントを数多くもらうことができました。この経験から、固定概念にとらわれず、工夫を重ねることで、課題解決に貢献できると確信するようになりました。貴社のものづくりの一端に加えていただけましたら、創意工夫しながら製品開発に貢献したいと考えます。
コミュニケーション能力に焦点を当てた自己PR
【例文】
私は、飲食店のアルバイトを通じて、さまざまな年代のお客様からのご希望やご意見をうかがうことを通じて、コミュニケーション能力を高めてきました。そのレストランでは、お客様の注文を伺うだけでなく、新メニューの提案やイベントの企画にも携わりました。特に印象に残っているのは、ハロウィンイベントを企画した際のことです。当初は、お客様の反応が予想以上に少なく、集客に苦労しました。そこで、私はお客様一人ひとりに直接お声がけし、イベントの魅力を伝えました。また、お客様の意見を積極的に聞き取り、イベント内容の改善に努めました。その結果、イベントは大成功を収め、多くのお客様に喜んでいただくことができました。この経験から、相手の立場に立って考え、積極的にコミュニケーションを図ることの大切さを学びました。貴社に入社後も、この経験を活かし、チームメンバーやお客様と円滑なコミュニケーションを図りながら、業務に取り組みたいと考えています。
自己PRの例文は次の記事でも紹介しています。
機械設計エンジニアの自己PRの注意点
自己PRは、魅力を最大限に伝えるための重要なツールですが、注意すべき点もいくつかあります。ここでは、機械設計エンジニアの自己PRを作成する際の注意点を3つ紹介します。
専門用語の使い方に気をつける
機械設計エンジニアの自己PRでは、専門用語を使う場面もあるでしょう。しかし、専門用語を多用すると、相手に内容が伝わりにくくなる可能性があります。
- ・専門用語を使う場合は、相手が理解できるレベルに合わせて説明を加える
- ・専門用語を多用するのではなく、具体的なエピソードや実績を交えて説明する
- ・面接官が専門家とは限らないため、誰にでも伝わる言葉で説明する
専門用語の使い方に気を配ることで、相手に分かりやすく、かつ効果的な自己PRを作成できます。
ネガティブな表現を避ける
自己PRでは、自分の強みや実績をアピールすることが重要です。そのため、ネガティブな表現は避け、ポジティブな表現を心がけましょう。
- ・失敗経験を述べる場合は、そこから何を学び、どのように成長したかを説明する
- ・自分の弱みを述べる場合は、それを克服するためにどのような努力をしているかを説明する
- ・常に前向きな姿勢で、自分の可能性をアピールする
ネガティブな表現を避けることで、相手に好印象を与え、自分の魅力を最大限に伝えることができます。
嘘・誇張は避ける
自己PRでは、事実に基づいて、正直に自分の経験や能力を伝えましょう。嘘や誇張は、面接で深掘りされた時に応えられなかったり、後々発覚する恐れがあったりするため、いずれにしても企業からの信頼を失うことにつながります。
- ・事実に基づいて、具体的なエピソードや実績を述べる
- ・自分の能力を過大評価せず、等身大の自分をアピールする
- ・面接での質問にも、正直に答える
嘘や誇張を避けることで、相手に信頼感を与え、自分の誠実さをアピールすることができます。
まとめ
本記事では、機械設計エンジニアの将来性、求められる知識・スキル、自己PRの作成方法について解説しました。
機械設計エンジニアは、技術革新やグローバル化により、今後も安定した需要が見込まれる魅力的な職種です。自己PRでは、自分の強みを明確にし、具体的なエピソードや実績を交えてアピールすることが重要です。
この記事で紹介したポイントや例文を参考に、自信を持って就職活動に臨んでください。
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