こんにちは。理系就活情報局です。
金融業界というと、銀行の窓口業務や証券会社の営業活動を連想して、理系の就職先として考えたこともない人も多いかもしれません。しかし、近年の金融業界は大きく様変わりし、理系の就職先としても注目されています。
本記事では金融業界が、近年なぜ理系学生のスキルを求めているのか、金融業界にはどのような就職先があるのか、さらに理系出身者の多くが就く職種や将来性について詳しく説明します。
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金融業界で理系のスキルが求められる理由
金融業界は急速に変化し、デジタル化やAIの活用が進んでいます。そのため、この進化に対応できる知識とスキルを持つ理系学生が必要とされています。金融業界で理系学生がなぜ求められているのか、直接的・間接的な理由を見ていきましょう。
高度な理系スキルが必要
今日の金融業界では、AIや機械学習、ブロックチェーン技術といった高度なテクノロジーが導入されています。これらの技術を駆使して、膨大なデータを正確に分析し、将来の市場動向を予測することが求められるため、理系学生が持つ数学的・統計学的スキルが大いに活かされます。さらに、金融業界はセキュリティや信頼性が特に重視されるため、エンジニアリングやITスキルも非常に重要です。
論理的思考による課題解決に期待
金融業界では複雑な問題を効率的に解決する能力が重要です。理系学生が持つ論理的思考力は、この点で非常に価値があります。理系のトレーニングを通じて身につけたデータ分析や実験的なアプローチは、金融業界での課題解決にも応用可能です。市場の不確実性やリスク管理、さらには顧客の多様なニーズに対応するために、理系の柔軟かつクリティカルな思考が重宝されています。
金融業界への就活については、次の記事でも詳しく説明しています。
金融業界にはどのような就職先がある?
一口に金融業界といっても、金融業界に含まれるさまざまな分野があり、それぞれに異なる役割や専門知識が求められます。理系学生にとっても、金融機関のさまざまなキャリアパスが存在し、各分野でのスキル活用が期待されています。ここでは、主な金融業界の就職先について紹介します。
銀行
銀行は、個人や企業への融資、資産管理、為替取引などを行う金融機関です。特に大手銀行や地域銀行は、預金業務や融資業務にとどまらない、多岐にわたる業務を展開しており、データ分析やリスク管理、システム開発といった理系のスキルが重要視されています。最近では、デジタルバンキングやフィンテック(金融工学)分野の成長により、テクノロジーを駆使した革新的なサービス開発が進んでおり、理系学生に多くのチャンスが生まれています。
証券
証券会社は、株式や債券、その他の金融商品の取引を仲介する役割を持ちます。ここでは、マーケットの動きを分析し、最適な投資戦略を提供するために、高度な数理的分析やプログラミングスキルが求められます。また、リスクヘッジやアルゴリズム取引といった分野で、理系の知識を応用する機会が多く、特にクオンツ(数量分析)という役割では、数学や統計の専門知識が活かされます。
保険
保険会社は、リスクを管理・分散するために、生命保険、損害保険などの金融商品を提供しています。保険数理という分野では、確率論や統計学を用いたリスクの計算や商品開発が行われており、これも理系のバックグラウンドが活かされる領域です。加えて、保険業界ではビッグデータ解析やAI技術を用いて、個別化された保険商品の提供やリスク評価の精度向上が進んでおり、テクノロジーの活用が急速に広がっています。
アセットマネジメント
アセットマネジメント会社は、顧客の資産を効率的に運用し、長期的な収益を生み出すことを目指しています。ここでは、経済や市場のデータ分析を通じて、リスクとリターンのバランスを取った投資戦略を立てる能力が求められます。特に近年では、AIや機械学習を活用した投資運用が注目されており、理系学生が持つプログラミングやデータサイエンスの知識が大いに役立つ分野です。
政府系金融機関
政府系金融機関は、政策的な観点から経済活動を支える役割を担っています。日本銀行を始め、日本政策金融公庫や住宅金融支援機構など、国民の生活に密接にかかわる金融機関や、国際協力銀行のように国際情勢に直接関わる銀行、日本政策投資銀行などのように長期にわたる投資融資に専門的に関わる機関など、さまざまな種類の金融機関があり、業務内容や求められる知識やスキルも異なっています。技術的な知識を持つ理系学生を求める金融機関も増えています。
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参考:22卒 理系就活生の本選考ES 株式会社日本政策金融公庫
金融業界で理系出身者が活躍する職種と役割
理系のバックグラウンドを持つ人材は、金融業界の多くの専門職でそのスキルを活かしています。ここでは、理系出身者が特に活躍する職種とその役割を簡単に説明します。
アクチュアリー
アクチュアリーは、保険会社や年金基金などで、リスクや不確実性を数理モデルで分析し、将来のリスクやコストを予測する専門家です。数学や統計、確率論を駆使して、保険料の設定やリスク評価を行います。理系の厳密な分析力が必要な職種です。
クオンツ
クオンツ(数量分析家)は、金融市場での投資戦略を数学的モデルに基づいて立案・実行する専門家です。主に証券会社やヘッジファンドで活躍し、数理ファイナンスやアルゴリズム取引、リスク管理のために、理系の高度な数理解析やプログラミングスキルを活用します。
証券アナリスト
証券アナリストは、企業や市場のデータを分析し、投資家に向けて適切な投資判断を助言する役割を持ちます。理系の論理的思考やデータ解析スキルを駆使し、企業の業績や市場動向を予測するため、信頼性の高いレポートを作成します。
トレーダー
トレーダーは、株式や債券、デリバティブなどの金融商品をリアルタイムで売買し、利益を得る役割を担います。市場の動向を瞬時に分析し、リスクを管理しながら取引を行うため、数学やデータ解析のスキルが重要です。特にアルゴリズム取引などで理系のスキルが重視されます。
ファンドマネージャー
ファンドマネージャーは、投資信託や年金基金などの大規模な資産を運用し、リスクとリターンのバランスを取りながら、顧客の資産を増やすことを目指します。市場のデータ分析や、投資ポートフォリオの構築に理系のスキルが活かされ、科学的なアプローチで投資判断を行います。
データサイエンティスト
金融業界のデータサイエンティストは、膨大な量の金融データを分析し、そこから有益な情報やパターンを見つけ出すことで、企業の意思決定を支援する役割を担っています。顧客の取引履歴や属性データを分析し、顧客のニーズや嗜好を把握することで、よりパーソナライズされた商品やサービスの開発や、過去のデータに基づいて、信用リスクや市場リスクなどを評価し、適切なリスク管理を行うためのモデルの構築に携わります。
金融業界におけるキャリアパスと将来性
金融業界は多様なキャリアパスを提供しており、特にテクノロジーの進展に伴い、理系のスキルを活かせる分野が急成長しています。ここでは、金融業界でのキャリアパスと将来性について説明します。
伝統的な銀行や証券会社での技術職の需要
銀行や証券会社などの伝統的な金融機関でも、ITインフラの整備やデータ分析、リスク管理といった技術職の需要が高まっています。AIやブロックチェーン、サイバーセキュリティといった分野における革新が進んでおり、理系のスキルを持つ技術者が、これらの新しい技術を金融サービスに応用する役割を担っています。これにより、伝統的な金融機関における技術職のキャリアパスも広がっています。
フィンテック企業の成長
フィンテック企業は、金融とテクノロジーを融合させた新しいサービスを提供し、近年急速に成長しています。キャッシュレス決済、オンライン融資、暗号通貨取引プラットフォームなど、革新的な金融サービスが次々と生まれており、理系出身者のテクノロジーやデータサイエンスの知識が非常に重宝されています。フィンテックの成長に伴い、理系の専門知識を活かした新しいキャリアパスがますます広がっています。
金融専門職以外のキャリアパスも
金融業界で培ったスキルは、金融専門職以外のキャリアパスでも活かすことができます。例えば、データ分析やプログラミングスキルを応用して、ITコンサルティングや企業のデジタル戦略部門で活躍することが可能です。さらに、金融業界の経験を持つ人材は、スタートアップや企業のCFO(最高財務責任者)といった経営層にも進出できる可能性があります。このように、金融業界で得たスキルと経験は、他の産業や役割にも転用できるため、キャリアの選択肢が非常に広いと言えます。
金融業界で活躍するために求められるスキルとは?
金融業界は、急速に技術が進化する中で、理系のスキルを持つ人材が非常に求められています。ここでは、金融業界で成功するために必要な主なスキルを紹介します。
数学、統計、プログラミングスキル
金融業界では、リスク管理や市場予測、資産運用の分野で数学や統計学が重要な役割を果たします。特に、確率論や数理ファイナンスといった分野の知識が求められ、複雑なデータを解析するためにプログラミングスキルも必須です。多くの金融機関やフィンテック企業では、プログラムを通じて自動化やアルゴリズムを駆使した分析が行われるため、PythonやC++、Javaなどのプログラミング言語が活用されています。
PythonやRなどのデータ分析ツール
PythonやRは、金融業界でのデータ分析やモデリングに頻繁に使用されるツールです。これらのプログラミング言語は、大量のデータを効率的に処理し、精度の高い予測モデルを構築するのに役立ちます。特にPythonは、数多くのデータ分析ライブラリ(Pandas、NumPy、SciPyなど)や機械学習フレームワーク(TensorFlow、scikit-learnなど)を活用することで、柔軟かつ強力な分析が可能です。Rも統計解析に特化しており、金融データの可視化や高度な統計処理に利用されています。
AIやブロックチェーン技術の理解と応用
AI(人工知能)やブロックチェーンは、金融業界において大きな革新をもたらしています。AI技術は、リスク管理や顧客分析、クレジットスコアリング、アルゴリズム取引などに応用され、効率化や予測精度の向上に寄与しています。さらに、ブロックチェーン技術は、取引の透明性やセキュリティを高め、暗号通貨やスマートコントラクトなどの新しい金融サービスの基盤を提供しています。これらの先端技術を理解し、適切に応用できる能力は、これからの金融業界で不可欠なスキルとなるでしょう。
金融業界への理系学生の就職活動のポイント
将来性や高年収で就活生に人気の高い金融業界で理系学生が就活を成功させるためには、金融業界に合わせた準備が求められます。ここでは、金融業界に向けた就活の重要ポイントを説明します。
入念な業界研究と企業研究が必要
金融業界は非常に多岐にわたり、銀行、証券、保険、フィンテック企業など、分野ごとに異なる特性があります。理系学生にとっても、各分野でどのようなスキルが求められるのかを理解することが重要です。また、志望する企業についても、具体的な事業内容や社風、技術的な取り組みを調べておくことで、面接やエントリーシートで具体的な志望理由を伝えやすくなります。
金融業界で自分が何が貢献できるのかを整理する
理系学生が金融業界において、自分のスキルがどのように貢献できるのかを整理しておくことが大切です。例えば、データサイエンスやプログラミングの知識がどのようにリスク管理や顧客分析、アルゴリズム取引に応用できるのかを具体的に考えてみましょう。自身の強みを具体的に説明できると、企業側に「即戦力」としての印象を与えることができます。
金融業界で自分が成し遂げたいことを明確に
就職活動において、自分が金融業界でどのようなことを成し遂げたいかを明確にすることが重要です。金融業界は変革が激しく、AIやフィンテックなど新しい技術の導入が進んでいます。これに対して、理系のスキルを活かして何を実現したいのか、自分のビジョンを具体化しておくことで、面接時にも説得力のあるアピールができるでしょう。
専門系職種の採用コースを把握する
金融業界では、クオンツやアクチュアリー、データサイエンティストといった専門職向けの採用コースが設けられている場合があります。自分が志望する専門分野の採用コースを把握し、その採用コースで求められる資格などの条件を情報収集しましょう。場合によってはTOEICのスコアなども求められる場合があるため、早めの対策が大切です。こうした条件を満たすことで、特定のスキルや経験が求められる職種に対して、より具体的な応募書類や面接対策が可能になります。
説明会やインターンに積極的に参加する
金融業界では、説明会やインターンに積極的に参加することで、熱意を認められる傾向があります。また、インターンに参加することを通じて、選考の第一次プロセスを免除されるなど、企業とのコネクションを築くことで採用に有利になる企業も多いようです。
もちろん、説明会やインターンに参加することで、一歩踏み込んで業務を理解し、自分のスキルが現場でどのように活かせるかを知ることも重要ですが、金融業界を志望する学生は、採用に直結するという観点から、説明会やインターンの情報を積極的に収集しましょう。
金融業界を志望する場合の注意点
理系の就職先として金融業界は、IT業界やメーカーに比べて、志望者も少なく、大学の就職課でも情報が少ない場合があります。そのため、金融業界を志望する場合は、以下の注意点を意識して就活を進めましょう。
業界・職種の理解がカギ
金融業界は多様な職種と役割が存在しており、それぞれに異なるスキルや知識が必要です。銀行、証券、保険、フィンテックなど、同じ金融業界内でも、業務内容や働き方は大きく異なります。
また、同じ企業内でも営業職や専門職(クオンツ、アクチュアリーなど)では求められるスキルセットが異なるため、自分が希望する職種に応じた業界理解が必要不可欠です。職種やキャリアパスについて入念にリサーチし、自分の強みや興味がどこで活かせるかをしっかり考えましょう。
何がしたいかをしっかり考えよう
金融業界は非常に広範であり、担う業務も多岐にわたっています。そのため、自分がこの業界で具体的に何をしたいのか、どの分野でどんな役割を果たしたいのかを明確にすることが重要です。そのために「会社四季報」などで情報収集を積極的に行い、可能であればOB・OG訪問も行いましょう。
また、理系のスキルをどのように活かして、金融の現場で価値を提供したいのかを具体的に考え、それに基づいてキャリアプランを立てることも大切です。やりたいことが明確であるほど、面接やエントリーシートでの自己PRも説得力を持ち、企業側に自分のビジョンを伝えることができます。
理系の強みを活かして金融業界でキャリアを築こう
本記事では今日の金融業界で、理系学生のスキルや知識が求められていることや、金融業界のさまざまな就職先や職種、それぞれに求められるスキルなどについて説明しました。
新しいテクノロジーの影響を受け、金融業界は大きな変革の中にあり、従来の「銀行」や「証券会社」「保険会社」などのイメージでは語り切れない業務の広がりがあります。また、フィンテックなど、まったく新しい分野もすさまじい勢いで成長しており、スキルや知識を持つ理系学生にとって、十分に挑戦しがいのある分野だといえます。
金融業界に興味がある人は、ぜひ情報収集し、じっくりと検討してください。
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