エントリーシートから始まる一連の採用活動の中で、企業の採用担当者が知りたいのは「あなたがどういう特長を持ち、自社の一員として何ができるか」です。就活における自己分析とは、自分が「どういう特長を持ち、何ができるか」をしっかり把握し、過不足なく伝えるために行うプロセスです。
しかし、自己分析をしなくては、と自分のこれまでを振り返ったのはいいけれど、「自分がわからなくなってしまった」「自分には強みなんてないのでは?」などと自信を失ってしまう人もいます。
そんな人には本を活用した自己分析をおすすめします。本記事では、本を活用して自己分析を行うメリットや、本の選び方、自己分析に役立つ本を紹介します。
自己分析のやり方を詳しく知りたい方は次の記事を参考にしてください。
自己分析で本を読むメリット
自己分析を行う際に本を活用すると、なぜうまく進められるのか、本を活用するメリットを整理しておきましょう。
自己流に陥らず進められる
自己分析を本を読みながら行うことで、就活の専門家の知識や、効果が実証されたフレームワークに基づいて分析を進められます。
本には実際の事例や専門家のアドバイスが記載されているため、自分だけの主観的な捉え方にとらわれず、客観的な視点で自己分析を進めることができます。また、本を参考にすることで、見落としていた要素や考え方に気付けるでしょう。
自分を言語化できる
本を読んで「考え方」は理解できても、自分なりの答えは自分で見つけなければなりません。本の内容を自分なりに咀嚼し、自己分析を行うことで、自分の思考や感情を言葉にするスキルが向上します。
言語化は、自分自身の考えや価値観を整理し、自己理解を深めるのに役立ちます。また、自分の強みや弱みを言葉にする作業は、面接での応答や自己PRにも役立ちます。
自己理解が深まるのが実感できる
本を読みながら自己分析を進め、ノートやワークシートに書き出すプロセスを通じて、自分自身についての新たな気づきや気持ちの変化を視覚化できます。自分の考えの足跡をたどりながら自分の価値観や目標を再確認し、自己成長の方向性を見出せます。
就活全体の流れが知りたい方は次の記事を参考にしてください。
自分に合った自己分析本を見つけるには?
自己分析関連の本は数多くあります。その中から自分の目的に合った本を見つける方法を紹介します。
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自己分析本には3つのタイプがある
自己分析の助けになる本は、主に3つのタイプに分類することができます。
・自己分析特化型
就活生を対象に、自己PRや志望動機作成を目的とする自己分析の本です。本の中にワークシートの欄があり、順を追ってワークをこなしながら読み進めることができます。
・キャリアデザイン型
上記のタイプより広く視点を取って、キャリアデザインや自分自身のキャリア形成の観点から自己分析を考えようとするタイプの本です。
・自己理解型
就活やキャリアに限らず、自己理解に焦点を当てた本です。自分とはどのような人間か、どのような強みがあり、どのような職業に向いているかを簡単なテストをしながら探ります、
自分に合ったタイプを見つけよう
自己分析関連の本は、大別して上記3種類に分けられますが、自分自身のニーズに合わせて考えましょう。
・とにかく就活を進めたい、自己PRや志望動機を書く材料がほしい、という人は…
「自己分析特化型」の本がおススメです。次の章で紹介する3冊を始め、書店で就活本のコーナーに「自己分析」というタイトルで並んでいる本の中から、自分が最後までやり通せそうな分量の本を探してください。
・自分に合った仕事を見つけるために自己分析をしたい、という人は…
「キャリアデザイン型」の本を読んでみてください。自分自身の長期的なキャリア形成をする中で、自己分析とはどのような役割を果たすものなのかが理解できると、少し違った角度で自己分析が進められるでしょう。
・自分をもっと知りたい、自分の性格や強みを言語化してほしい、という人は…
自分を他人に説明するのが苦手だったり、これまで「自分はどのような人間か」と考えたことのないタイプのない人は、「自己理解型」の本を手に取った方がいいでしょう。簡単な質問を通して自分の性格や強みが言語化されるのを見て、自分が属する性格タイプの特長を把握することができます。
慣れたら別のタイプにも挑戦してみよう
「自己分析特化型」の本は、何よりも最後までやり通すことが重要です。その上で、興味があれば、「自己理解型」の本を読んだり、「キャリアデザイン型」の本を手に取ることで視野が広がるでしょう。
また、「キャリアデザイン型」の本を読んだり、「自己理解型」の本を読んだ人が、もう少し具体的に就活に取り組みたいと考えた時は、「自己分析特化型」の本を選んでください。
就活に役立つ本を知りたい方は、次の記事も参考になります。
自己分析の助けになるおすすめの本9選
ここからは上記3タイプの本を、それぞれ3冊ずつ紹介します。
自己分析特化型
・『絶対内定2024 自己分析とキャリアデザインの描き方』(杉村太郎・藤本健司著 ダイヤモンド社)
本書は「自己分析」という考え方を就活に取り入れた、「自己分析」のパイオニアとでもいうべき本です。1994年、本書が初めて登場して以降、就活に自己分析は必須のものと考えるようになりました。
560ページ余の本と94枚のワークシートはボリューム十分で、1人でやり通すのは大変かもしれません。途中で精神的にも追い込まれるような気分を味わう人もいるかもしれません。そんな時にはグループで進捗度合いを報告したり、互いにアドバイスしあったりしながら進めることで、大きな成果を得られるでしょう。
・『マイナビ2025 オフィシャル就活BOOK 内定獲得のメソッド 自己分析 適職へ導く書き込み式ワークシート 』(岡茂信著 マイナビ出版)
就活生なら誰もが1度は手に取ったことのあるマイナビ オフィシャル就活BOOKシリーズの1冊です。マイナビの本らしい、見やすく、わかりやすく、取り組みやすい本です。
自己分析は「主観的自己分析」「客観的自己分析」「自己分析のまとめ」の3部で構成されており、「適職分析」「自己PR・志望動機の作成」に続いているため、自己分析⇒自分に向いている仕事選び⇒自己PT・志望動機作成へとスムーズに進めます。
・『就活必修 ! 1週間でできる自己分析2025』(坪田まり子著 さくら舎)
上記2冊は分量も多く、やり切れるかな…と不安な人は、毎日1章ずつ進み、1週間でやり切れるこの本を手に取ってみてください。
どのように考えたら良いか、道筋が丁寧に説明されているので、説明を読みながら書き込むことで、自己分析を進められます。
キャリアデザイン型
・『理系のためのキャリアデザイン 戦略的就活』(増沢隆太著 丸善出版)
就活本の中では珍しい、理系に特化した本です。理系就職に焦点を当て、理系学生のキャリア形成の仕方について簡潔に説明されています。修士生に向けた項目もあります。
この本の中では「自己分析」に割かれている部分は決して多くありません。しかし、何のために自己分析が必要か、どのように自己分析を活かすべきかが事例も交えて説明されています。「自己分析特化型」の本を手に取ってみたけれども、どうも自分には合わないような気がする、と感じた理系就活生は、ぜひこの本を手に取ってください。
・『あなたが「一番輝く」仕事を見つける 最強の自己分析』(梅田幸子 KADOKAWA)
本書は数多く採用面接に立ち会った著者による「天職を見つけること」に焦点を当てた、転職者と就活生の両方に向けた自己分析の本です。自分に自信を失ったり、何をすべきか進路に迷っている人におススメです。本書を読むことで「こう考えればいいのか」と発想の転換のヒントが得られるでしょう。
・『最適なキャリアデザインのための パーソナルSWOT』(嶋田利広 マネジメント社)
マーケティングの考え方を就活に応用する本は多くありますが、本書はその中でもSWOT分析の手法を利用した自己分析の本です。
SWOT分析は、ビジネスや企業を内部環境(強みと弱み)、外部環境(機会と脅威)の4つのマトリックスで分析する手法です。SWOT分析を使って自分自身を分析し、自分のキャリアデザインやワークライフを設計します。そして、自分にしかない強み(USP)を見つけるための考え方が記されています。
自己理解型
・『さあ、才能(じぶん)に目覚めよう 新版ストレングス・ファインダー2.0』(ジム・クリフトン、ギャラップ著 日経BP 日本経済新聞出版)
ストレングス・ファインダーはアメリカで就職や転職の際に、自分の強みを発見するツールとして使われています。巻末のQRコードでWebテストを受けることができ、34種類の強みの中から自分に備わっている上位5つを詳しく解説したレポートをダウンロードできます。
ただ、レポートのみだと自分の強みが分かっても、それを具体的にどのように活かすかが見えてきません。その部分を補うのが本書です。強みが所属する4つのカテゴリーは、ビジネスや日常生活でどのような表れ方をするのか、どのように活かせるのかを詳しく学ぶことができます。
・『insight(インサイト)――いまの自分を正しく知り、仕事と人生を劇的に変える自己認識の力』(ターシャ・ユーリック著 英治出版)
本書は自己認識に焦点を当てています。自己認識とは「自分自身と、他人からどう見られているかを理解しようとする意思とスキルのこと」と明確に定義されています。人は誰でも自分が抱いているセルフイメージと他者が見ている自分の間にはずれがあります。「それぞれの像を正しく見極めることで、自分を正しく知ろう」という本です。
巻末にセルフチェックがあり、自分の回答と各章の内容を照らし合わせて読むことで、内容をより具体的に把握できます。
・『新版 エニアグラム【基礎編】 自分を知る9つのタイプ』(ドン・リチャード・リソ、ラス・ハドソン共著 KADOKAWA)
エニアグラム関連の本は数多くありますが、本書はエニアグラム研究所共同創設者の手によるものです。人の気質を9つのタイプに分けて診断するもので、性格の特徴のほか、「根源的恐れ」や「根源的欲求」「超自我のメッセージ」が紹介されています。なかでも「超自我のメッセージ」は興味深く、無意識のうちに自分が従っている規範が何なのかのヒントになります。
簡易診断が第1章にありますが、詳しい診断は第3部に書くタイプに分かれて設置されています。全体を読めば、自分のタイプだけでなく周囲の人がどうしてそのような行動を取るのか、理解する助けにもなります。
自己分析で本を活用する上での注意点
本を使って自己分析を行う場合は、次の3点に注意してください。
多くの本に手を出す必要はない
自己分析を進める上で、何冊も本を読む必要はありません。情報過多は自己分析の焦点を失わせる原因ともなりかねません。それよりは多くの就活生に支持され、信頼性の高い本の中から1冊か2冊を選び、選んだ後は迷ったり、目移りしないようにしましょう。
自分に合う本を丁寧に仕上げる
本を選んだ後は、丁寧に読みましょう。内容を理解し、提供されているワークシートや質問に真剣に取り組むことで、自己分析の質が向上します。読み流すのではなく、質問を手がかりに自分の内面に向き合いましょう。
進捗状況を話し合う場を持つ
自分の内面に向き合うのは孤独な作業ですが、だからこそ進捗状況を他者と共有することが重要です。友人や家族、 キャリアセンターの担当者やカウンセラーなど、信頼できる人と話し合うことで、自分の気持ちや考えを整理しやすくなります。また、他者からのフィードバックを受けることで新たな気づきを得ることもできます。
また、身近な人だからこそ、かえって打ち明けにくい場合もあります。そんな時はTECH OFFERが運営するオープンチャットグループを活用してください。匿名で利用でき、自己分析で行き詰ったことや、進捗状況の報告など、トークや質問を投げかけることができます。
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自己分析は本を活用して進めよう
本を活用することで、自己分析は我流に陥らず、総合的・系統的に進められます。とはいえ、就活本は数多く出版されており、自己分析に関する本もたくさんあります。その中から自分に合ったものを探すのは大変です。
本記事で紹介した本を実際に手に取って、自分に合うものを選んでください。そして、いったん「この本を使おう」と思ったら、あれこれ迷わず、じっくりと読み込んでください。