こんにちは。理系就活情報局です。
突然ですが、あなたはいま、何のために勉強していますか?
「卒業後、仕事について、生活していくため」
そんな人も、いるかもしれませんが……
「大学で学んだことを、社会のために、人のために、役立てる」
「そのためにサイエンスを、テクノロジーを学んでいる」
そんな人も、いるでしょう。
あなたが学んでいるサイエンスを、テクノロジーを、社会のために、人のために役立てようとする概念、
それが「Society5.0」です。
日本語で言えば「第5の社会」ですが、それは「工業社会」「情報社会」の次にくる新しい社会を意味します。
今回は、「Society5.0」の将来性や求められる人材とともに、
「遠隔医療」「介護ロボット」分野での企業事例について紹介します。
Society5.0の将来性
Society5.0とは
「Society5.0」(ソサエティ5.0)は、サイエンス、テクノロジーの力を借りて、私たち人間がより快適に、活力に満ちた豊かな生活ができる社会(Society)です。そのキーポイントは「現実空間」(フィジカル空間)と「仮想空間」(サイバー空間)が高度に融合している社会だということです。
それを提言したのは日本政府で、AI(人工知能)、IoT(モノのインターネット)などを基礎技術に、かつての産業革命にも匹敵する社会の変革を実現しようという、遠大な指針です。
内閣府の「第5期科学技術基本計画」(2016年1月閣議決定)では、Society5.0をこのように定義しています。
「サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)」
わかりやすい例が「ZOOM」のようなテレビ会議でしょう。
「会議」はかつて、東京の会社なら東京にあるビルの会議室(現実空間/フィジカル空間)に参加者全員が集まって行うものでした。しかしテレビ会議は、参加者がテレビ会議システム(仮想空間/サーバー空間)に「仮想的に」集まって、会議をします。東京の会社にいても、埼玉県の自宅にいても、大阪のホテルにいても、ニューヨークにいても、アフリカにいても、通信回線がつながればスマホを使ってでも会議に参加することができます。
出勤しなくても会議や打ち合わせができますから、通勤地獄から解放される人、育児や介護をしながら働く人、複数の会社の仕事をかけ持ちする人など、多様な働き方ができるようになります。「人間中心の社会」とは、そういうことです。
そのようにして労働にも、経済にも、生活にも、社会にも、さまざまな変革がもたらされるのが「Society5.0」です。
未来の学校は、登校しなくてもオンライン学習で必要なことを学んで卒業できるようになるかもしれません。コンビニは、セルフレジとキャッシュレス決済の無人店舗が主流になるかもしれません。人工知能を利用したリアルタイム翻訳で、メジャーリーグ中継をアメリカ人と同時に楽しんで「オータニサーンすごい」などとSNSでリアルタイムに感想を語りあえるようになるかもしれません。介護施設では寝たきりの高齢者を、介護士に代わってロボットが介護してくれるようになるかもしれません。ロボットは、腰を痛めてやめてしまうことはありません。
そんなことは、20世紀にはSF映画の中の話でしたが、21世紀には「Society5.0」で、現実の社会の中で実現できるようになるわけです。
ではなぜ「5.0」なのでしょうか?
原始時代に始まるわれわれ人間の社会は「狩猟社会→農耕社会→工業社会→情報社会」と発展してきました。それぞれに第1の「狩猟社会(1.0)」、第2の「農耕社会(2.0)」、第3の「工業社会(3.0)」、第4の「情報社会(4.0)」と割り振ると、現状は「Society4.0」の情報社会になりますが、その次にくる第5の社会(Society)のシステムを「5.0」としているわけです。
Society5.0が目指す社会
「Society5.0と言っても、それは情報社会(Society4.0)の単なる進化形ではないのか?」
あなたはそう思ったかもしれません。ではSociety4.0とSociety5.0の差異についてお話ししましょう。
わかりやすく言えばSociety5.0は、Society4.0で浮かび上がった経済、社会などでのさまざまな課題を解決するフェーズの社会です。サイエンスとテクノロジーによってオンライン空間と現実の世界をつなぐことによる「問題解決」が、その目的です。
Society4.0は、ネットやスマホの普及などで世界が情報ネットワークでつながった社会ですが、その課題は、情報共有の不足、連携の悪さ、非効率さ、社会的コストの負担増加、情報社会から疎外される人々などなど、不便なこと、不十分なことが、山のようにあります。
「世界のどこにいても、リアルタイムで情報を取り放題」と言っても、取ってきた情報をうまく活かせるかどうかは、また別の問題です。積みあがる情報に飲み込まれて「何をしていいのかわからなくなった」という人も、たくさんいます。
たとえば、検索エンジンに言葉を入力しても、余計な情報がたくさん出てきて探したい情報になかなかたどり着けないという経験は、誰にもあるでしょう。カーナビに目的地を入力して出てきた「時間最短」の結果が住宅地の中を縫う裏道で、運転の途中で下校中の小学生をはねそうになったら、笑い事ではすまされません。裏道の問題は実際に裁判にもなっています。
そんなことはたいていの場合、情報ネットワークのサイバー空間(仮想空間)と、人間がいるフィジカル空間(現実空間)の融合がうまくいっていないから起きます。その融合を、サイエンス、テクノロジーの力を借りてうまく実現して問題を解決するのが「Society5.0」なのです。その解決のしくみをつくる役割は、あなたのような人に託されています。
Society5.0で解決する課題
Society5.0で解決される課題の代表的な例としては、次のようなものがあります。
・人手不足
人手不足が深刻な業界として、建設業界が挙げられます。少子高齢化によって、建設現場で働く人の採用難がどんどん進んでいます。そこでSociety5.0ではIoTやAIを活用した「建設機械の無人化」によって人手不足を解決しようとしています。
たとえばショベルで掘削する土木作業では、人は建機に乗り込むのではなく、現場事務所のパソコンの前に座って、ショベルについたカメラの映像を見ながら遠隔操作でショベルを動かして掘削作業をします。それなら建設作業は「きつい」でも「危険」でも「きたない」でもなくなり、「3K」でも敬遠される職種ではなくなって、人手不足解消につながるでしょう。
・フードロス
食べ物が廃棄されるフードロスの問題は「生産した農産物が余る」ことで引き起こされます。余った農産物はどんどん鮮度が落ちていくので、時間がたてば売り物にならなくなり、もったいなくても廃棄するしかありません。
しかし理論上、「消費量=供給量」に限りなく近づければ、廃棄量は限りなく小さくなってフードロスの問題は解決します。「そんなのは理想論だ」とあなたは思うかもしれませんが、Society5.0ではサイエンスとテクノロジーの力を借りて、その理想に限りなく近づくことができます。簡単に言えば「消費されるのと同じ量を生産すればいい」のです。
たとえばキャベツであれば、その地域で、小売店で販売されるキャベツと同じ個数を、ハウス栽培のキャベツ農家が生産・出荷すれば、フードロスはなくなります。ただしそれには、販売データをきめ細かく分析して販売個数を的確に予測し、それに応じて生産するキャベツの個数を調整する必要があります。
それを得意とするのが先端技術のAI(人工知能)です。AIが小売店の販売データをもとに「〇月〇日の最適なキャベツ出荷個数」を割り出し、それをもとに農家が生産を計画・調整することでフードロスを最小化します。そんな農業を「スマート農業」と言います。
・地球温暖化
人類共通の最重要課題の一つ、地球温暖化。その防止の方法は突き詰めれば「大気中の温室効果ガスの量をこれ以上増やさず、減少させること」に尽きます。手段としては温室効果ガスを「発生する燃料の使用量を減らす」「大気中に出ないように閉じ込める」「別の物質に変えて固定化する」などいろいろありますが、まさにサイエンス、テクノロジーの出番です。
「パリ協定」を結んで世界が長期的な視点でその実現に向けて進んでいる「脱炭素社会」では、Society5.0が果たす役割はきわめて重要です。たとえば「スマートシティ」に取り組む国や自治体では、エネルギーを効率的に利用できるテクノロジーを求め、投資しています。そこには再生可能エネルギーをはじめ、新しい環境イノベーション技術が生まれています。
・高齢化
医療の進歩で、以前は「不治の病」とされた病気も治せるようになり、世界的に平均寿命が伸びました。長寿は喜ばしいのですが、それに次世代を担う子どもの数が減る少子化が重なって、日本は高齢化率が世界で最も高い国の一つになりました。高齢化率は今後もますます高まると予想され、それに伴ってさまざまな課題が浮上しています。最も深刻なのが医師、看護師、介護スタッフなど医療や介護の現場の人手不足で、これが都市部と地方の医療格差、介護格差にもつながると懸念されています。
Society5.0は通信技術を利用したオンライン遠隔医療、医療や介護の現場でのロボットやAIの活用などによって、高齢化に伴う諸課題を解決でき、医療費や介護費用など社会的なコストも低減できると期待されています。
・地域格差の是正
日本にもみられる人口の都市集中は、地域経済の衰退の結果と言えます。いい働き口が減ったから、不便だから、魅力がないから、財政力が弱まって自治体の公共サービスが悪化したからと、若者層を中心に人口が地方から都市へ吸い上げられています。
しかし、たとえば地域活性化のために交通手段を確保しようと自治体がバスを運行しようとしても、必要な運転免許を持つ人材が確保できず断念せざるをえなかった、という話もあります。
その解決策として、Society5.0では運転手不要の「自動運転バス」を提案できます。運転手を雇わなくてもいい分、運賃も安くでき、生活コストの安さがこの地域の魅力になります。それに必要な自動運転のテクノロジーはいま、実用段階に達しようとしています。
Society5.0の「5つの要素技術」
経済産業省は、現在のSociety4.0からSociety5.0へ進化するための主要なテクノロジーとして
「IoT」「ビッグデータ」「人工知能(AI)」「ロボット」の4つを挙げています。それに「5G」を加えて「5つの要素技術」と呼ぶこともあります。
産業技術総合研究所のレポートは、Society5.0の要素技術として次の6つを挙げています。
1 CPS(Cyber-Physical System)における知覚・制御を可能とする人間拡張技術
2 革新的なAI用ハードウェア技術とAI応用システム
3 AI応用の自律進化型セキュリティ技術
4 情報入出力用デバイスおよび高効率のネットワーク技術
5 マスカスタマイゼーションに対応できる次世代製造システム技術
6 デジタルものづくりに向けた革新的計測技術
これ以外にもさまざまな技術がSociety5.0に関わってきますので、ここで整理して、主なものをかいつまんでご紹介します。
IoT
IoT(Internet of Things/モノのインターネット)は、「モノ」がインターネット経由で通信を行い、その情報に基づいて最適な制御を行える技術です。家電製品、自動車、工作機械、建物からチップを埋め込んだ値札まで、ありとあらゆるモノが情報を発信します。
ビッグデータ
ビッグデータは、その名の通り巨大なデータの塊を意味します。国や自治体、企業、団体、個人、IoTなどさまざまな情報源から集まった膨大なデータがリアルタイムに蓄積されて、Society5.0による課題の解決に役立てられます。
AI(人工知能)
AI(Artificial Intelligence/人工知能)のシステムは、機械学習などの学習機能を持ち、高度な情報処理能力でビッグデータを解析して最適な情報を提供し、Society5.0による課題の解決の主役になると期待されています。
ロボット
人間の指示で動作するロボットは以前からありますが、Society5.0で活用が期待されるのは、AIも搭載されていて、情報をもとに自分で考えて最適な判断を下して行動できる「スマートロボット」です。物流や介護などの現場で、人の手を借りずに、人を助けます。
5G(第5世代移動通信システム)
5G(第5世代移動通信システム)は、Society5.0を支える最重要の情報通信インフラです。「高速」「大容量」「低遅延」でデータをリアルタイムに送受信でき、一度に多くのデバイスと接続できる「多重接続」で、IoTとの親和性も高いといわれています。
日本のSociety5.0戦略
日本のSociety5.0戦略は、2016年1月閣議決定の「第5期科学技術基本計画」から始まりました。これは科学技術基本法に基づいて5年ごとに改定される政府の計画で、第5期(2016~2020年)のキャッチフレーズとして提唱され、次のように定義づけられたのが「Society5.0」でした。
「サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の新たな未来社会(Society)」
同じ2016年の12月に日本政府が発表した「新しい経済政策パッケージ」では「単なる効率化・省力化にとどまることなく、『Society5.0』時代のまったく新しい付加価値を創出することによって、まさに『革命的』に生産性を押し上げる大きな可能性を秘めている」と述べられています。
2017年には経済産業省が、日本の産業が目指すべき姿として「コネクティッド・インダストリーズ」を発表し、ITやIoTで「つながる」ことによる革新、生産性の向上が強調されました。2018年には経団連が提言・報告書「Society5.0-ともに創造する未来」を出し、第5期科学技術基本計画終了後の2021年(令和3年)版の「科学技術・イノベーション白書」の中では、「Society5.0の実現に向けて」と題した特集が組まれ、解説動画も公開されています。
電子政府
政府は自治体とともに、AIやビッグデータを活用して行政手続きを電子化する「公共サービスのスマート化」「電子政府」のプロジェクトを推進しています。官と民でデータを連携させ、従来の紙の書類による複雑でわずらわしい申請手続きを、スピーディーにワンストップで完了させます。国民には利便性の向上、行政側には管理コストの削減というメリットがもたらされます。
キャッシュレス社会
政府は統一QRコードの実用化、税金や公共料金のキャッシュレス化のための情報インフラ整備を推進しています。中小の事業者がキャッシュレス決済端末を導入する費用の補助も行っています。
働き方改革
政府は、国民が毎日それぞれの職場へ定時に通勤して働くという働き方だけでなく、ITを活用したテレワークによって在宅勤務やサテライトオフィスなどでの時間や場所にとらわれずに働ける働き方も選べるような「働き方改革」を推進しています。それによって高齢者、障がい者、女性、外国人などにも雇用機会がひろがるでしょう。
地方創生
政府は、都市への一極集中の状況を緩和し、地方経済の活性化を図る「地方創生」にSociety5.0のテクノロジーを活用しようとしています。たとえば都市部の若い人材と、人材を求めている地方企業が、お互いのニーズや希望をマッチングさせる目的でITをうまく利用すれば、その地域の経済を支える将来の担い手候補が確保できるでしょう。
スマートシティ
スマートシティは、交通渋滞の解消、子どもや高齢者の安心・安全の確保、治安の維持、利便性の向上などの諸問題をITなどSociety5.0のテクノロジーによって解決し「全体最適化」「持続可能性」を図っている都市です。政府はスマートシティのプロジェクトを推進しています。
スーパーシティ構想
政府の「スーパーシティ構想」は、Society5.0のキーテクノロジーのAIやビッグデータを活用して、社会自体を変えることができるような都市づくりを目指しています。「生活を支える複数のサービスが導入されている」「複数のサービスがデータ連携を通じて相乗効果を発揮している」「その成果が住民に評価されるような事業になっている」という3つの条件を満たすような「まるごと未来都市計画」です。それはサイバー空間とフィジカル空間が高度に融合した、まさにSociety5.0を象徴するような都市と言えます。
Society5.0のための人材育成
日本では2020年から小学校の学習指導要領で「プログラミング教育」が必修になりました。それはSociety5.0が目指している社会では「プログラミング的な思考」つまり「論理的な思考」ができる人材が求められていることを意味します。
いま「Chat GPT」が話題ですが、そんな先進のAIに人間がとって代わられたり、支配されるのはなく、あくまで人間主体でSociety5.0が目指している社会を築くには、人材の育成が欠かせません。すべての国民がAIやデータ活用の知識を持ち、AIにとって代わられることがない力を身につけることが、その大きな目標です。
Society5.0企業事例「遠隔医療」「介護ロボット」編
今回は、Society5.0に取り組む企業事例として、「遠隔医療」「介護ロボット」分野での企業事例を紹介します。医療介護分野に関心のある方は、今後の企業研究の参考にしていただければと思います。
遠隔医療
・キヤノンメディカルシステムズ
「ペースメーカー統合管理サービス」は、ペースメーカー各社が提供する遠隔モニタリングサービスの受信データを一元管理できるクラウドサービスです。各社の異なる受信データを統一して管理・表示することで、簡単かつ迅速に患者さんの状態を確認でき、医療従事者によるモニタリング業務の負荷軽減と効率化を図り、質の高い医療サービスの提供を支援しています。
・エムスリー
SNS「LINE」を運営するLINEと合弁でLINEヘルスケアを設立し、全国の医師がすぐにでもオンライン診療を開始できるよう、コミュニケーションアプリ「LINE」のビデオ通話を活用した『オンライン診療マニュアル』を公開して、医師のオンライン遠隔診療を支援しています。
・ウインメディックス
スマホやタブレットで、どこにいても医師の「診察」「相談」が受けられるシステム「Hey Doctor」の開発・運営を行っています。各地の病院を「バーチャルホスピタル」「バーチャルファーマシー」として機能させる、医療従事者による医療相談サービスを提供しています。
介護ロボット
・FUJI
「移乗サポートロボット」は、介護現場の中でも身体負担の大きい、ベッドから車椅子、車椅子からお手洗いへの乗り移りなどの移乗動作をサポートしています。介護者の身体負担を軽減し、腰痛を予防します。
・CYBERDYNE
「HAL」は、脳卒中(脳梗塞、脳出血)、脊髄損傷、パーキンソン病、脳性麻痺、ALSなど脳神経疾患の患者さんの脳からの信号を検知して、思い通りにからだを動かせるようにアシストしてくれる、世界初の装着型サイボーグです。
・菊池製作所
「介護用マッスルスーツ」は、圧縮空気を用いた人工筋肉を採用した、軽量・高出力な介護ロボットです。訪問入浴介助時のベッド・浴槽間での移乗作業など、介助者の腰に大きな負担のかかる作業を支援します。
Society5.0に求められる人材と技術教育
Society5.0の時代で必要とされる人材とは、どんな人材なのでしょうか?
やはり、あなたのような理系の専門知識を持った人材が求められるでしょう。エレクトロニクスの基礎知識、AIやビッグデータの処理に結びつくようなプログラミングの知識と能力があれば、引く手あまたになることでしょう。
しかし、大事なことは、社会が、経済が、大きく変化する時代に入っていくということです。
ただ「プログラミングができます」というだけの人材では、単純な作業はあっと言う間にAI(人工知能)に置き換えられてしまうかもしれません。そうなれば人材としての市場価値は大きく低下してしまいます。
「プログラムが書ける」だけでなく、「プログラミング的な思考ができる」ことが必要です。それは突き詰めて言えば「論理的な思考ができるか?」となります。
それに加えて、たとえば無から有を生じさせることができるような創造性、課題を発見したらそれをなんとか解決まで導けるような力、必要なことを言語化して的確に人に伝えられるプレゼンテーション能力、集団を率いてプロジェクトをうまく運営できる力を有する人材が、生き残るには有利になるでしょう。
なお、光あるところ、影もあります。Society5.0には、セキュリティの問題、個人情報流出の恐れなど、人間を不幸にしかねないような要素もひそんでいます。「ユートピア(理想郷)」とは正反対に、人間がAIやロボットに支配される「ディストピア」になるのではないかと警鐘を鳴らしている人もいます。
たずさわる者はそれも理解した上で、根底で「Society5.0でどんな社会を目指すのか?」というビジョンを明確に持っていることが必要でしょう。それはつまり「あなたは人間が主役の社会の設計図を描けるか?」ということです。
そんな人材であれば、たとえ学生時代の専攻がコンピュータとは離れていたとしても、常に新しい知識を吸収しながらSociety5.0の時代に高い市場価値を保ち続けることができるはずです。
それこそ、革新が進む「創造社会」での真の担い手と言えるのではないでしょうか。