就職活動の自己PRでは、さまざまな観点から「企業に貢献できる力」を伝えていくことになります。技術や知識、経験などのほか、「行動力」もアピール力のある要素の一つです。
この記事では、行動力の概要や自己PRで行動力をアピールするための考え方、行動力を伝える文面の作成方法や例文について解説します。就活で自分の強みとなる部分を探している方は、ぜひお読みください。
なお、自己PRの書き方については以下の記事もご参照ください。
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就活でアピールする行動力とは?
自己PRの場で、やみくもに行動力を伝えようとするのは得策ではありません。まずは、行動力の定義について明確に理解しておくことが重要です。以下では、新卒の就活や転職活動で求められる行動力と、行動力への評価について解説します。
行動力とは?
行動力とは、明確な目標を設定し、その達成のために自ら考えて行動する力を指します。受け身になるだけではなく、主体的に行動していくための能力です。主に、思考力・主体性・積極性・挑戦する力といった複数の要素から構成されているといわれています。
達成すべき目標を設定するためには、日々思考しながら自分や組織の課題と向かうことが大切です。また、行動を他の人任せにするのではなく、自分から率先していく主体性や積極性も求められます。行動を個人の成長や実績につなげるためには、常に少しチャレンジングな目標を設定する果敢さも重要といえます。
これらの要素をバランスよく備えていてはじめて「行動力がある」と評価されます。例として、そもそも目標を思いつかなければ行動につながりません。目標を思いついたとしても、実際に行動しないようでは意味がないでしょう。高すぎる、あるいは低すぎる目標を設定するのも好ましくありません。自己分析では、こうした行動力の要素を自分がどれだけ兼ね備えているか評価する必要があります。
企業は行動力のある人材をどう評価しているか?
企業は採用の選考に際して、さまざまな要素を検討します。行動力も採用で重要視されている要素の一つです。
多くの企業が、行動力のある人材は入社後に会社に貢献してくれる可能性が高いと捉えています。与えられた仕事をこなすのではなく、自ら考え自発的に仕事に取り組んでくれると期待されているのです。
企業は、将来的には新入社員を、ビジネスチャンスを生み出す人材や、組織の課題解決を担う人材として育成したいと考えています。受け身で仕事をこなすだけの社員は、こうした人材への成長は期待できないでしょう。そのため、多くの企業が入社する人材に対して行動力を求めています。
就職活動において、行動力を強くアピールできれば企業からの高評価が見込めます。職務経歴書や履歴書などの書類には、可能な限り行動力のアピールポイントを盛り込みましょう。面接でも、行動力を伝えていくことで他の就活生との差別化が図れます
自己PRで企業に伝えたい「行動力」の例
単に「行動力があります」という伝え方は漠然としている印象があります。就職活動の自己PRでは、どのように行動力をアピールしていけば良いのでしょうか。以下では、行動力の具体的なアピール方法の例を紹介します。
失敗を恐れず挑戦していく力がある
行動力のある人は失敗やミスを恐れず、何事にも積極的にチャレンジする傾向にあります。失敗した場合にも過度に落ち込まず、原因を追及し、行動を改善することで成果へつなげる力があります。時には、失敗による学びから、大きく成長することも少なくありません。
失敗を単にネガティブな機会として捉えるのは合理的とはいえません。失敗の要因を認識することで、同じような失敗を回避できます。時間を有効活用するためにも、失敗を精神的に長期間引きずるのは好ましくないでしょう。
成長過程において、挑戦はマストです。挑戦する姿勢、失敗しても前向きに捉える特性などがあれば、行動力のアピールポイントとして積極的に伝えましょう。
臨機応変に対応できる
行動力のある人はトラブルや業務の内容に変更が生じた際に対応できる能力があります。自ら考えることができるため、想定外の出来事にどうにか対応しようと考え行動することが特徴です。目標に向かってどんな状況でも諦めずに行動することができる点も、行動力のある人の特性として挙げられます。
業務の現場では、絶えず何かが変化しています。それぞれの場面に応じて、適切に判断していかなければなりません。また、知識がないからといって諦めず、乗り越えていく姿勢が求められます。突発的な状況に対して臨機応変に対応した経験や根気強く取り組んだ経験があれば、行動力を示すアピール要素となるでしょう。
成長が早い
行動力のある人は目標を達成するための努力をしているため、スピーディーに成長します。能動的に自己実現を継続しており、自信を持っている点も特徴です。目標を達成するために何が必要か常に考え、周囲にアンテナを張り巡らせているのです。集めた情報を活かして、自分の成長のために行動していきます。また、自分を冷静に省みる客観性も持っています。設定した目標を成長につなげるためには、実際に行動することが欠かせません。
このように、行動力がある人はインプット(情報取得)とアウトプット(行動)を繰り返し、スキルや技術を定着させることを日常的に行っています。「興味の幅が広いこと」「自発的な勉強を続けていること」などは、全て行動力のアピールとなるでしょう。
自己PRで行動力を効果的に伝えるポイント
行動力を効果的にアピールするためには、伝え方を意識することも大切です。単に行動力をアピールするエピソードを話しても、うまく伝わらないことがあります。以下では、魅力的に行動力を伝えるためのノウハウについて解説します。
印象に残るように工夫する
行動力のアピールは、相手の印象に残るように伝えることが大切です。行動力に関する話題は就職活動において一般的であり、多くの人が行動力をアピールします。面接で行動力について質問されることも少なくありません。そのため、ありきたりな内容では印象に残りにくいのです。
行動力の話題は、ありがちなアピール内容にならないように工夫してください。行動力を発揮したエピソードに可能な限り具体性を持たせるとオリジナル性を出すことができます。サークル・部活、アルバイトなどで行動力がどのように役立って、どのような結果になったのか具体的に説明できるように準備しておきましょう。
また、具体性を持たせるためには数字を交えて話をするのがおすすめです。行動力の作用によって、商品がどれだけ売れたのか、顧客がどれだけ増えたのか、といった情報を伝えられるとインパクトがあります。アピール内容に説得力も生まれるため、ぜひ意識してみてください。
PREP法を取り入れる
行動力に優れていることをわかりやすく伝えることが求められます。そのために意識しておきたいのが、PREP法を意識して話を組み立てることです。
PREP法とは簡潔かつロジカルに自分の意見を伝える際に有効な手法です。文章やプレゼンテーションの内容を理路整然と伝えるための考え方として普及しています。行動力のアピールにおいても、PREP法を意識することで伝わりやすくなるでしょう。
PREP法では、以下の順番で話題を述べます。
1.Point(結論・要点)
2.Reason(理由)
3.Example(具体例)
4.Point(結論・要点)
まず、結論を最初に述べることが大切です。続いて、理由を述べ、結論の根拠を説明します。その後、具体例を述べてその説得力を補填します。最後に、もう一度結論を述べて印象を強めるのがポイントです。
PREP法に則してして行動力のアピールを組み立てることで、相手に伝わりやすくなります。社会人として求められる「物事を簡潔に伝える能力」にもつながりますので、ぜひ実践してみてください。
「自分がどう感じたのか」という心情をエピソードに含める
行動力をアピールする際に交えたいのが、「その時、自分がどう感じたのか」というエピソードです。事実だけではなく、自分の気持ちも伝えてコミュニケーションを円滑にしていくテクニックを「自己開示」といいます。
特に面接など直接対面する機会では、相手と打ち解けていくことが大切です。話しやすい印象を与えることで、「職場に馴染めそう」「信頼できる」といったイメージを強められます。自己開示はそのための取り組みです。
例として、ボランティアで行動力を発揮して活躍した際のエピソードを簡単に紹介しましょう。
小学生・中学生を対象とした機械製作のボランティアに運営サポートで参加した際は、子どもたちが打ち解けられるように、まずレクリエーションを行うことを提案しました。 結果的に作業が効率的に進み、成果物が完成した際には大きな充実感が得られ、嬉しく感じました。チームで結果を出すために、目的を共有することやお互いの信頼感を高めて協力することの大切さを学びました。 |
このように、行動力の発揮によって感情が動いた経験があれば、積極的に表現してみてください。
自己PRで行動力をアピールする際の注意点
自己PRで行動力をアピールする際に注意しおきたいことがあります。アプローチを間違えると、行動力が短所と評価され、マイナスな印象になりかねません。自分の行動力のアピール内容について以下のようなポイントからチェックしてみてください。
やみくもに行動するという印象にならないよう注意する
行動力をアピールしたい気持ちが先行して、「やみくもに行動しているだけ」という印象にならないように注意しましょう。行動力には、客観的な目標設定や計画的な行動が求められます。計画性が感じられない行動のエピソードを話しても、行動力の評価につながりません。協調性に欠ける印象を与え、「企業や周りの従業員を振り回すリスクがある」と判断されてしまうケースもあります。行動の背景には、適切な目標設定と、その目標達成に向けた計画的な考えがあることを伝えましょう。
仕事でどのように行動力を活かせるか述べる
自己PRでは、自分の行動力が実際に業務で役立つことを的確に述べる必要があります。これは、入社後に自身が会社に貢献する姿を企業にイメージしてもらうためです。
行動力を発揮した経験から得た学びを業務にどう活かせるか伝えましょう。そのためには自分の行動力と業務に親和性がなければなりません。営業職、販売職、事務職、企画職など、職種によって期待される行動力は異なります。また、志望している業界でどんな業務が行われているのか理解しておくため、詳細な企業研究・業界研究が求められます。
また、過去の行動力が一過性のものではなく、再現性があることを説明することも重要です。継続して行動力を発揮している例を提示できると、説得力が増すでしょう。特定の環境だけではなく柔軟な状況に対応して行動できる点も示せると、評価につながります。
行動力をアピールする自己PRの作成手順
エントリーシートや履歴書、職務経歴書などの自己PRで行動力をアピールする際のステップを解説します。それぞれのステップで重視すべきポイントについてアドバイスしますので、ぜひ参考にしてください。
Step1:志望企業の求める行動力を分析する
自己PRでは、「企業から求められること」と「企業で活かせそうな自分の強み」にズレが生じないように意識する必要があります。行動力のアピールについても例外ではありません。そのため、まずは「企業から求められること」を把握する必要があります。
社風や求人情報の記載内容から、どんな人物が求められているのか分析してください。その上で、志望企業と相性の良い自分の行動力について見つけましょう。見つけ方がわからない場合は、キャリアアドバイザーやコンサルタントに相談してみるのがおすすめです。
Step2:自身が行動力を活かせたエピソードを考える
アピールすべき行動力が決まったら、続いてその行動力が発揮されたエピソードについて考えていきます。大学での経験や留学時の経験、アルバイトの経験などから探してみてください。既卒や第二新卒の場合も、学生時代のエピソードを選んで問題ありません。リーダーシップを発揮した話や、フットワークを活かして迅速に課題解決をした話などが好まれるでしょう。
Step3:強みや経験を企業でどう活かすか考える
ここまで考えた行動力を、志望企業でどのように活かすか考えましょう。志望動機に結びつけてアピール内容を検討すると一貫性が生まれます。採用担当者が「入社後に活躍してくれそうだ」と具体的にイメージできる内容を意識してください。
Step4:「行動力」を言い換えたキャッチフレーズを考える
ここまで行動力を軸に自己PRを考えてきましたが、「行動力」という文言は抽象的なため、基本的に担当者に伝える言葉としてはNGです。「行動力」という言葉を、ほかのキャッチフレーズに置き換える必要があります。
例として、「私の強みは行動力です」というアピールは抽象度が高く、採用担当者の印象に残りにくいでしょう。自分が持っている行動力がどのようなものなのか、より具体化したキャッチフレーズを考えてください。
「失敗を恐れず行動できることが私の強みです」「スピード感を意識して意思決定を行っています」「好奇心を抱いたものや浮かんだアイデアに基づいて、すぐ行動しています」など、自分の行動力について詳細に説明してください。
Step5:PREP法を用いて説明を組み立てる
最後に、PREP法で文章を調整していきましょう。Point(結論・要点)、Reason(理由)、Example(具体例)、Point(結論・要点)の順番を意識してください。作成した文章は、何度か読み返して客観的に評価することをおすすめします。
行動力をアピールする自己PRの例文
最後に、行動力をアピールする自己PRの例文を紹介します。自分なりのPR文を考えるときの参考にしてみてください。
【例文1】
私には、困難な状況に対して、目標を設定して乗り越えていく力があります。 エンジニア職のインターンシップに参加した際、業務の技術色が強く、授業で身につけた知識を活用できない状況が続きました。解決策として、疑問に思った点を常に記録しておき、インターン業務の終了後、その日のうちに全て調べて悩みを解消することにしました。 その甲斐あり、最終日には現場で話されている内容をほとんど理解できるようになりました。職員の方にも、向上心を評価していただきました。 採用していただけた場合はこの経験を活かして、日々新しい知識にキャッチアップしていきたいと考えています。 |
【例文2】
私には、失敗を恐れず新しいアイデアを試していくチャレンジ精神があります。 大学では、機械学習の研究室に所属しています。画像処理を自動化するプログラムの作成に取り組んでいましたが、初期段階では実用レベルに至らず苦労していました。 思い切って処理方法の見直しを行い、工程ごとに個別のプログラムを実装したところ、期待していたものに近い結果を得ることができました。 製品開発においても、固定概念にとらわれず新しいアイデアを提供していきたいです。 |
【例文3】
私は、設定したゴールに向かって着実に進んでいく粘り強さがあります。 大学での専攻はデータサイエンスです。とりわけビッグデータの研究に注力しています。一般的な市場のデータを元に、特定市場での売り上げデータを予測するプログラムを作成していしましたが、統計学的に有意な結果を得ることは簡単ではありませんでした。 プログラムの刷新や、分析モデルの変更を何度も繰り返していくうちに、納得のいく結果を得ることができるようになりました。共同で研究していたメンバーと喜びを分かち合ったことは、かけがえない記憶です。 御社でも、この経験をサービスの改善に活かしていきたいと考えています。 |
自己PRでは行動力をアピールして採用につなげよう
企業のなかには、自発的に成長してくれる行動力のある新入社員を求めるところも少なくありません。行動力を入社後の教育によって伸ばすことは困難といえます。そのため、就職活動で行動力を認められれば、一気に採用の可能性が高まるかもしれません。それまでの経験から、行動力のアピールにつなげるエピソードを見つけ、企業に伝えることがポイントです。今回ご紹介した自己PRの作成手順やコツも参考に、効果的なアピールを行って採用につなげましょう。
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