国家公務員や地方公務員などの公務員として働くためには、採用試験を突破する必要があります。選考の際は、筆記試験の点数はもちろん、面接試験の内容も重視されます。面接では志望動機や大学時代に頑張ったことなど、さまざまなことを質問されるでしょう。なかでも、特にしっかりと準備しておきたいのが自己PRです。自分の強みを的確にアピールして合格につなげるには、どんな自己PRを作成すれば良いのでしょうか。

この記事では、自己PRの重要性や公務員試験で評価されやすい強みなどをお伝えします。また、自己PRの作成方法や伝える際のポイント、具体的な例文集もご紹介します。公務員試験を前に自己PRの方法に悩んでいる理系就活生の方々は、ぜひ参考にしてみてください。

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公務員試験で自己PRは重要視されている?

公務員試験で自己PRは重要視されている?

公務員試験には多くの種類がありますが、基本的に第一次試験で筆記試験、第二次試験で面接試験が行われます。どちらも大事な試験ではありますが、人物重視の傾向から、面接に重きを置いているケースが少なくありません。合格するためには、筆記試験の対策だけではなく面接対策もしっかりと行うことが重要です。一部の自治体や国家公務員などの試験では、筆記・面接試験の配点比率を公表しているため、ぜひチェックしておきましょう。

面接のなかでも配点の比重が大きいといわれているのが自己PRです。自己PRでは、採用担当者に向けて自分の強みをアピールします。うまく自分の強みを伝えられると、採用後の姿をイメージしてもらいやすくなり、評価につなげられることがあります。

また、公務員採用試験で面接が重視されているのは、公務員に向いている人材であるかをしっかりと見極めるためといわれています。公務員の仕事は民間企業と特性が異なり、向き・不向きがあるとされているためです。民間企業は営利目的であり、会社の利益のために動くことが求められます。対して、公務員は国やその地域に住む人々のために動くことが特徴です。幅広い人の幸せな生活に貢献できるように働く意識が必要とされます。面接の場では、そういった意識のアピールを心がけると良いでしょう。

公務員試験の自己PRで評価されやすい強み

公務員試験の自己PRで評価されやすい強み

ご紹介したように、民間企業と公務員は性質が異なり、自己PRで高評価を得やすい資質にも違いが出てきます。民間企業と併願する方もいるかもしれませんが、同じ自己PRの内容が適さない可能性もあるため注意が必要です。以下では、公務員試験の自己PRにおいて評価を得やすい強みをご紹介します。

コミュニケーション能力

公務員の仕事では、さまざまな人とコミュニケーションを取る機会があります。配属先の職員はもちろん、取引のある業者や住民など、幅広い相手と関わることになるでしょう。自分の伝えたいことをわかりやすく言葉にする能力や、相手の意図を汲み取って返答する力が欠かせません。

さらに、数年ごとに異動のある職種の場合は、何年か経つたびに環境が変わり、周囲の人と信頼関係を築き直すことになります。はやく新しい業務を覚えて同僚との関係を構築するためにも、コミュニケーション能力が必要です。

利他の心

利他とは、自分以外の誰かの幸せを願うことや、他人の利益のために動くことです。住民の生活をより良くするために働く公務員には、利他の心が必須といえます。「人の役に立ちたい」という思いが強いことは、立派なアピールポイントになるでしょう。

忍耐力

公務員の職場は省庁や市役所、消防署、病院、学校などさまざまで、職種は多岐にわたります。仕事内容によっては強いプレッシャーを感じたり、理不尽なクレームに対応したりと、さまざまなストレスを受けるシーンがあるかもしれません。辛い状況に置かれてもくじけず、気持ちを切り替えて頑張れる忍耐力が必要といえます。「プレッシャーのかかる状況でも努力を重ねられる」「苦しくても最後までやり遂げられる」という人は、忍耐力をアピールすることもおすすめです。

責任感

業務内容によっては、形式に則った作業を堅実にこなさなければならないケースもあります。なかには単調に感じられる仕事もあるかもしれませんが、適当に済ませたり手順を飛ばしたりすると、思わぬトラブルにつながってしまうことがあるのです。公務員として働く際は、どんな仕事であってもしっかりと行える責任感が必要です。

また、公務員には一人ひとりが国や都道府県、市区町村などの代表であるという意識も求められます。責任感の欠如した行動をとってしまうと、行政への信頼を失ってしまう原因になり得るでしょう。

さらに、仕事によっては個人情報のように秘密保持が必要な情報を扱うことがあります。情報漏洩を防ぐためにも、責任感を持って情報を扱う姿勢が重要です。

柔軟性

公務員は形通りの仕事を行うものというイメージを持っている方もいるのではないでしょうか。確かに、ルールを正しく守って業務に取り組むことは重要ですが、一方で柔軟性を求められる場面も少なくありません。例えば、プロジェクトを進行する中で急な変更やトラブルに対応する、住民の相談を受けてケース別に適切な対応方法を考えるなど、さまざまなシーンで柔軟性が必要になるでしょう。

論理的思考力

論理的思考力は、筆記試験でも問われる重要な能力の一つです。公務員の仕事の中では、国や地域住民の抱える課題を解決する機会も少なくありません。解決のためには現状を把握し、目標達成のために何をしていけば良いかを考えられる力が必要です。筋道を立てて物事について考えられる「論理的思考力」をアピールできると高評価につなげられるでしょう。

自己PRで強みを伝えるためのポイント 

自己PRで強みを伝えるためのポイント 

効果的な自己PRを行うためには、どのようなポイントに気をつけたら良いのでしょうか。ここでは、自己PRで自分の強みを伝える際に知っておきたい工夫やコツをご紹介します。

等身大の自分を表現する

自己PRで良い印象を残そうとするあまり、エピソードや成果を大げさに伝えてしまう就活生もいます。しかし、多くの応募者を見てきた経験豊富な面接官には、話を盛っていることに気づかれてしまうでしょう。不信感を持たれてしまうこともあるため、自己PRでは等身大の自分を伝えることが大切です。

自己PRの場で面接官が聞きたいのは、応募者の輝かしい成功体験ではありません。自己PRを通して、日々の業務に適した強みがあるかどうかを見極めたいと考えています。応募者側は素直なアピールを心がけることが重要です。面接の場で入社後の姿をイメージしてもらえるように努めましょう。

具体的な目標を盛り込む

自己PRの中で、目標達成のために自分の強みをどのように活かせるかを盛り込むと効果的です。例えば、保健所や県立病院などの職員として勤務したい人は、「感染症が地域に蔓延するのを防ぎたい」「県民の健康を守ることに貢献したい」といった具体的な目標を盛り込みます。

自分なりの目標を提示することで差別化を図り、他の候補者のアピールに埋もれにくくなるメリットもあります。面接官の印象に残る自己PRを行えるでしょう。

自身の強みをどのように活かせるかを伝える

公務員を志望した目的に応じて、自身の強みをどう生かせるかを伝えることも大切です。例えば、「強みである忍耐力を活かして、市民の健康を守るための環境づくりに取り組み、困難があっても諦めずに全力を尽くしたい」といったように伝えてみましょう。そうすることで、面接官側も応募者が公務員として貢献している姿を想像しやすくなります。自分の強みが公務員としての仕事に役立つことを、しっかりとアピールしましょう。

公務員試験で自己PRの構成を考えるポイント

公務員試験で自己PRの構成を考えるポイント

自己PRを作る際は、フレームワークを活用して構成を考えることがおすすめです。ここでは、自己PR作りに役立つPREP法やSTAR法を解説します。

PREP法を用いる

PREP法とは、伝え方のテクニックの一種です。相手に何かを伝えたいとき、PREP法を用いることでスムーズに意図をわかってもらえることがあります。

PREP法の基本は、Point(結論・要点)→Reason(理由)→Example(具体例)→Point(結論・要点)の順に述べることです。順序立てて話すことで、論理的かつ説得力のある自己PRになるでしょう。

エピソードにおいてはSTAR法を用いる

STAR法とは、具体的な経験や事例を伝える際に役立つフレームワークのことです。上記の通り、自己PRの中では「Example(具体例)」を伝える箇所があります。そこでSTAR法を使ってエピソードを組み立てることで、より明確にわかりやすく話せるでしょう。

STAR法の特徴は、Situation(状況)→Target&Task(目標)→Action(行動)→Result(結果)の順に述べることです。この流れを意識しながら文章を練っていきましょう。

公務員試験での自己PRの作成手順

公務員試験での自己PRの作成手順

自己PRの基本的な作成方法が身についていると、面接で話す際はもちろん、履歴書やエントリーシート、面接カードなどに文章として記載するときにも役立ちます。メモをしながら構成を考え、自己PR文を完成させましょう。こちらでは、公務員試験における自己PR作成手順を、ステップ別にご紹介します。

Step1:志望する公務員職に必要とされている強みを分析する

「志望先に必要とされている強み」と、自己PRでアピールする「自分自身の強み」にズレがあると、面接官から適性なしと判断されてしまう可能性があります。まずは志望する公務員職について徹底的に調査し、求める人物像を把握することが重要です。どのような人材が求められているのかを理解できれば、自己PRでどういった強みをアピールすれば良いかを判断できるでしょう。

志望先を調査する際は、パンフレットやホームページなどの職員採用情報を確認してみましょう。詳細な人物像が記載されていることがあります。公務員として就職した先輩に話を聞く、OB・OG訪問をするといった方法もあります。

また、すぐには自分の強みが思いつかないという人もいるでしょう。自分の強みは何かを見極めるために、自己分析を行うことも必要です。長所や短所は何か、それを体現するエピソードはあるかなど、じっくりと考えていきましょう。

Step2:自身の強みを活かせたエピソードを考える

自己PRで強みをアピールするときは、根拠となる具体的なエピソードを添えることがポイントです。過去の経験を棚卸しして整理し、自分の強みと関連性のあるエピソードを探してみましょう。勉強や研究、アルバイト、部活動・サークル活動など、さまざまな経験から

強みやエピソードは抽象的な言葉で表すのではなく、具体的な表現に言い換えると良いでしょう。例えば、コミュニケーション能力をアピールしたいのであれば、「私は周囲の人と円滑にやり取りして、協力しながら物事を進めていくことができます」と表現してエピソードにつなげていくことで、自分の強みをより具体的にイメージしてもらえます。

Step3:強みや経験を公務員職でどう活かすか考える

自己PRで自分の強みやエピソードを話すだけで終わってしまうと、ただ自慢話をしただけになってしまいます。最終的に、自分の強みが公務員の仕事でどのように活かせるかを示しましょう。そのためには、事前に志望先の仕事内容を研究しておく必要があります。業務に関係のない内容をアピールしても高評価にはつながらないため気をつけましょう。

Step4:自己PRの内容全体についてPREP法を用いて組み立てる

自己PRの大まかな内容が決まったら、Point(結論・要点)→Reason(理由)→Example(具体例)→Point(結論・要点)の順に組み立てていきます。最初に結論として自分の強みは何かを述べることで、聞き手に何を伝えたいのかを明らかにできます。次に、なぜそれが自分の強みといえるのか、理由を述べましょう。根拠となるエピソードを伝えることで、さらに説得力が生まれます。最後に改めて自分の強みは何であるのかを強調し、公務員として働く際にどうやって活かせるかをアピールしましょう。

Step5:自己PRの中のエピソードについてSTAR法を用いて組み立てる

自己PRで話すエピソードは、Situation(状況)→Target&Task(目標)→Action(行動)→Result(結果)の順番に組み立てます。当時の自分の状況を簡単に説明し、経験の中で掲げた目標や課題などを伝えましょう。さらに、目標達成や問題解決に向けてどのように考え、行動したのか、どんな結果が出たのかを具体的に伝えます。結果を通じて何を得たのかどのような学びを得たのかを提示しましょう。

また、自己PR文の構成が決まったら、一度文章に起こしてきれいにまとめます。家族や友人、キャリアアドバイザーなどに添削してもらい、客観的な意見をもらうこともおすすめです。何度か推敲を重ねることで、より良い自己PR文に近づけられます。面接で話すことを想定し、スピードや区切り方に問題はないか、時間内に収まりそうかといった部分もチェックしてもらいましょう。

公務員を志望する際の自己PRの例文 

公務員を志望する際の自己PRの例文 

自己PRの作り方はわかったものの、最終的にどんな文章を目指せば良いかよくわからないという方もいるかもしれません。そんなときは、例文を見てイメージを膨らませてみましょう。ここでは、自己PRの例文をご紹介します。

【例文1:コミュニケーション能力をアピール】

私の強みは、チームの力を最大限に発揮させるためのコミュニケーション能力です。
以前、大学の化学実験の授業で、複数の学生とチームを組んで実験を行うことになりました。チームにはさまざまなメンバーが集まり、意見の違いや実験手法の理解度の差がありました。私はグループの調整役として立候補し、全員の意見を聞いて、どの手法が効果的かを議論しました。その後、メンバーの理解度に応じて、実験手順を簡潔に説明し、各自の役割を明確にしました。さらに、実験結果の分析や報告書の作成時にも全員の意見を取り入れるように心がけ、定期的なミーティングを開催して情報共有を行いました。こうしてメンバー全員が協力した結果、実験を成功させることができました。また、報告書の評価も高く、チーム全体の協力が評価されました。
今後も、チーム内の多様な意見をまとめ、円滑なコミュニケーションを図りながら仕事を進めていけると考えています。

【例文2:利他の心をアピール】

私は、地域社会に貢献したいという気持ちを強く持ちながら、業務に従事することができると考えています。
私は大学で環境工学を専攻しており、地域の環境保護活動に参加してきました。地域の河川の水質改善やごみ拾いを行うことが目的であり、活動の一環として、定期的に水質測定やデータ分析などを行いました。得られた結果を基に改善策を提案し、地域住民や自治体と協力して環境改善に取り組みました。また、地域住民に呼びかけてごみ拾いイベントを行ったり、地域の小学校で子どもたちに向けて環境教育を行ったりといった活動をしてきました。結果、河川の水質改善や、地域住民の環境意識の向上につながりました。
この経験を通じて、他者のために行動することの大切さを学び、公務員として地域社会に貢献する意欲を強めました。公務員として働き始めた後も誰かのために役立ちたいという気持ちを忘れず、積極的に仕事に取り組んでいきたいと思っています。

【例文3:忍耐力をアピール】

私の強みは問題にぶつかっても諦めずに取り組める忍耐力です。
情報工学の授業で、大規模なプログラミング課題が課されました。しかし、課題の内容は複雑で、頻繁にバグが発生しました。期限内に課題を完成させるために夜遅くまでプログラムの問題点を解析し、デバッグ作業を続けました。また、同じ課題に取り組む仲間と情報交換を行い、お互いに助け合いながら問題解決に取り組みました。
最終的に、全てのバグを解消し、課題を期限内に完成させることができました。この経験を通じて、粘り強く問題解決に取り組む姿勢と、困難な状況でも諦めない忍耐力が養われたと思います。仕事上でもこの忍耐力を活かし、何があってもくじけずに業務を進めていけると自負しています。

【例文4:責任感をアピール】

私には、任された仕事を真面目にこなし、最後までやり遂げる力があります。
以前、大学のサークル活動で、理系学生のための科学技術展を企画・運営するプロジェクトに参加しました。私は予算管理の担当で、必要な金額を細かく計画し、資金を確保するためにスポンサー探しやクラウドファンディングを行いました。また、収支の記録を厳密に管理し、全ての支出が予算内に収まるように調整すると同時に、定期的にチームメンバーに予算の状況を報告し、透明性を保ちました。結果、イベントは予算内で成功し、多くの参加者から高い評価をいただくことができました。
公務員として就職できた後も、この責任感を活かし、どんな仕事にも真摯に取り組んでいきたいと思っています。

公務員試験で高評価を得られる自己PRを目指しましょう

自己PRは就職活動の選考において重要度の高い項目の一つです。公務員試験でも、自己PRで自分の強みを的確に伝えることが求められます。応募先のことを十分に調べ、自己分析を行った上で、適切な自己PRを考えていくことが大切です。PREP法やSTAR法などのフレームワークを活用することで、簡潔でわかりやすい自己PR文を考えやすくなります。魅力的な自己PRができるよう、ポイントを押さえて対策しながら準備を進めていきましょう。

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