私たちがいつも使っているテクノロジーは、科学的根拠に基づいて生まれた産物です。
例えば、風邪薬を安心して服用できるのは、先人たちが実験を繰り返して、科学的に安全と立証したからです。
私たちが普段何気なく使っているテクノロジーの裏側には、数多くの試行錯誤があったことでしょう。

日夜実験を繰り返し、新しい発見やテクノロジーをさらに進化させているのが研究者です。

今回は私たちの生活を支えているといっても過言ではない研究者になるための方法を解説します。
将来的に研究者になりたいと考えている方はぜひ参考にしてみてください。

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理系学生が研究者になれる割合は約3%

理系学生が研究者になれる割合は約3%

理系学生であれば、一度は研究者になってみたいと思ったことがあるでしょう。
一方で理系学生のうち、どれだけの学生が研究者になっているのか知らない方も少なくないでしょう。

本章ではまず理系学生が研究者と呼ばれる職種についているのか明らかにします。
文部科学省が発表した令和3年度の学校基本調査によると、以下の事実が判明しています。

  • ・令和3年3月に修了した理工学系の学士57,666人中、研究者になれたのは170人
    学士卒の場合、研究者になれる割合はほぼ0%に近く、極めて少ない

  • ・令和3年3月に修了した理工学系の修士31,864人中、研究者になれたのは1783人
    修士卒の場合、研究者になれる割合は約5%と学士卒に比べて上昇

  • ・令和3年3月に修了した理工学系の博士3,079人中、研究者になれたのは418人
    博士卒の場合、研究者になれる割合は13%と学士卒・修士卒に比べて大きく上昇

  • ・令和3年3月に修了した理工学系の学生をトータルすると研究者になれる割合は約3%

 

上記のデータから研究者になるためには、学士卒の資格では難しいことがわかります。
研究者になるのであれば、最低でも修士卒・博士卒の資格があることが望まれます。

引用:令和3年度 学校基本調査

研究者になるためのルート

研究者になるためのルート

研究者になるルートは公的機関の研究者になるか、民間企業の研究機関で研究者になるかの2択となります。
本章では研究者になるためのルートについて解説いたします。

公的機関の研究所に勤める

公的機関の研究所、いわゆるアカデミアも細分化するとさらに2つのルートがわかれます。

1つ目は国や地方自体の研究所です。

具体名をあげると国立感染症研究所や気象研究所、科学警察研究所などが国や地方自体の研究所にあたります。

2つ目は国公立大学の研究所です。

具体名をあげると東京大学の地震研究所や東京工業大学の原子炉工学研究所などが国公立大学の研究所になります。

どちらの公的機関の研究所に勤める場合でも、基本的な研究目的は科学の発展や国策への貢献といった大きな目的となります。

あくまでも公的な研究所のため、営利目的ではない点は考慮しておきましょう。

研究も応用研究や開発研究ではなく、基礎研究がメインとなります。

研究期間は民間企業と比べて長い傾向にあります。

じっくり腰を据えて研究がしたいのであれば、公的機関の研究所が向いているといえるでしょう。

民間企業の研究所に勤める

民間企業の研究所に勤める場合には、各民間企業へ就職する形となります。

民間企業の研究所はあくまで民間企業のため、営利目的です。
自社製品の開発や改良、基盤の向上などを目的として研究がおこなわれます。

研究の方針も基礎研究よりは、応用研究や開発研究がメインの研究となっています。

メインの研究以外にも民間企業の研究所と公的機関の研究所を比べると、いくつかの違いがあるので参考にしてみてください。
公的機関の研究所と比べると、研究スピードや研究に携わる人数が多い点が大きな違いといえるでしょう。

また民間企業の研究所のため、利益を生まない研究はしにくい問題があります。
営利企業のため、見通しがあまりたたず、コストを生み出し続ける場合には研究が途中で中止になる可能性もあります。

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公的機関の研究員になる方法

公的機関の研究員になる方法

本章では公的機関の研究員になる条件と方法を解説いたします。
アカデミアでの研究を検討されている方はぜひ参考にしてみてください。

博士課程を修めていることが前提

まずアカデミアで研究員として働く前提として、博士課程を修めていることが条件です。
国や地方自体の研究所に勤める、もしくは大学で研究を続ける場合でも、博士課程を修める必要があります。

公務員試験

国や地方自治体の研究所に勤める場合、基本的には公務員試験を突破する必要があります。
院卒者の公務員試験は筆記と政策課題の討議、面接の3つから構成されており、各々でしっかりと点数を取る必要があります。

一方で研究所の中には、独自に採用をおこなっている研究所もあるため、チェックが必要です。
自身が希望している研究所がある場合には、ぜひチェックしておきましょう。

例えば、国立感染症研究所では公募という形で研究職員を募集しています。
病原微生物の取り扱い経験者かつ研究実績を有することや募集人数が若干名など、厳しい条件はあるものの確かに募集をしています。

引用:人事院 国家公務員試験

引用:国立感染症研究所

ポスドク

大学の研究室で勤める場合には、ポスドクと呼ばれるポジションからスタートするのがほとんどです。
ポスドクとはポストドクターの略であり、任期ありの研究員を指します。
ポスドクの期間で研究が順調に進めば、無期雇用の研究員として採用されます。

大学の研究室の場合は以下の順番でステップアップを踏むケースがほとんどです。

  • ・ポスドク→助教→准教授→教授

公務員試験や研究機関が募集する独自の求人より、大学の研究室に勤める方が易しそうと思ったのであれば、要注意です。

昨今話題となっていますが、ポスドクは非常に不安定なポジションです。
2~3年の任期内に目ぼしい研究結果が出せなければ、契約が打ち切りになってしまいます。

契約打ち切り後は、自分で働ける研究機関を探す必要があります。
さらにポスドクを長く続けていると、民間企業への就職も厳しくなってくるケースもゼロではありません。

大学の研究室に勤めたい場合には、険しい道が待っている点は必ず考慮しておきましょう。

民間企業の研究員になる方法

民間企業の研究員になる方法

本章では民間企業の研究員になる条件と方法を解説します。
民間企業の研究員になるには基本的に就活をおこない、企業に採用される必要があります。

もしくは大学の研究室からの推薦で採用が決まるケースです。
民間企業の研究員の場合、アカデミアほどの制限がないため、研究員になりやすい傾向にあります。

修士課程を修めていることが前提

民間企業の研究員になるには、最低でも修士課程を修めていることが前提になります。なぜなら、研究室を持つような企業は修士卒を最低限の条件としている企業が多いためです。
修士課程を修めた学生であれば、企業としても戦力となる知識やスキルを有していると判断ができるので、採用の対象となります。

修士卒が条件なので、博士卒の学生も民間企業の研究員となる条件は満たしています。
博士卒となると少々事情が変わってくるので要注意です。

博士卒の場合、より高度な研究をおこなっていると判断され、採用のボーダーラインが修士と比べシビアになります。
研究分野以外にも、高いヒューマンスキルを身につけていることが期待されている点も注意しなくてはいけません。

博士卒の場合、修士卒の学生より即戦力性が期待されているので、要注意です。
修士卒の学生と同じように就活をしていては良い結果につながらない可能性もあるため、しっかりと対策を練って取り組みましょう。

身についている専門性と即戦力性とのバランスが取れているのが、修士卒の学生になります。
民間企業の研究員を目指す場合には、修士の段階で検討するとよいでしょう。

研究者向けの求人サイトもある

餅は餅屋という言葉があるとおり、特定のサービスに特化しているプロがいるのであれば、プロに頼るのが1番効率的です。
営業職向けの求人サイトがあるように、研究者向けの求人サイトもあるため、ぜひ活用していきましょう。
以下が研究者向けの求人サイトです。

どちらも国外の求人が掲載されていますが、日本国内だけで探すよりグッと間口が広がります。
限られた国内より海外の選択肢を含めた方が、良いポジションを掴める可能性が高まります。
また海外での研究経験は後のキャリアで大きな財産になるのはいうまでもないでしょう。

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まとめ

新たな発見や既存の研究へ改良を加えることで、人々の暮らしをより豊かにできるのが研究者です。
理系学生であれば、一度は研究者に憧れを抱いたことでしょう。

華々しい世界に見える一方で、研究者の地位に辿り着くには大きな壁が立ちはだかっています。
研究結果は小さくても良いので、結果を出し続けていると研究者になるルートも自然と開けています。

今回の紹介した内容を参考に、ぜひ研究者になるための一歩を踏み出していただければと思います。