こんにちは。理系就活情報局です。

医薬品や化粧品、プラスチックなど私たちの身近にある製品の素材を作っているのが化学メーカーです。

化学の研究をしている学生はもちろん、それ以外の学生にも人気がある業界です。

しかし、化学メーカーと一口に言っても多種多様な企業や職種があるため、「化学メーカーのどの業態に応募したいのか」「数ある企業のどこに行きたいのか」で志望動機の書き方が全く違ってきます。

「化学メーカーに興味があるけど、どの企業が自分に合っているかわからない」「志望動機の書き方に頭を抱えている」。そんな悩みをお持ちの皆さんに、今回は化学メーカーの業態や最新動向に触れ、応募する際の志望動機の書き方のコツを解説します。最後に、業態別の志望動機例も紹介いたします。

化学メーカーに応募したいと考えている理系就活生の方は、ぜひ就活に役立ててください。

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化学メーカーを知る

化学メーカーを知る

化学業界は分野が多岐にわたるため、化学メーカーが開発する製品も企業によってさまざまです。

志望動機を作成する前に、まず業界研究をして化学メーカーの仕組みや業態、職種、業界動向を知ることから始めましょう。

業界を理解することで、「なぜ化学メーカーに行きたいのか」「化学メーカーで何をしたいのか」を明確にしていきましょう。

化学メーカーのビジネスモデル

化学メーカーは、原料の調達から製品の生産、最終製品が消費者に届くまでの過程を川の流れにたとえることがよくあります。

具体的には、下記の3つに分けられます。

・川上メーカー

原油や天然ガスなどの化学品を生産する企業です。川上の事業を行っているメーカーは、自社で川中、川下の事業も一貫して行っている総合化学メーカーがほとんどです。

・川中メーカー

基礎化学製品を原料として合成樹脂や合成ゴム、合成繊維など中間素材をつくるメーカーです。

・川下メーカー

中間素材から最終製品を生産するメーカーです。化粧品やプラスチック容器、電子部品、写真用フィルムなどがつくられています。

化学メーカーの4つの業態

事業展開別に分類する方法もあります。下記の4つの業態に分けられます。

ちなみに、多くの化学メーカーは1~3の業態に分類されますが、4の一般消費財メーカーも化学メーカーに分類される場合があります。

1、総合化学メーカー

基礎原料から川中、川下の各種製品までの一貫生産を行う企業です。川上や川中、川下まで自社で全て担っており、技術力が高い企業だと言えます。

具体的には、旭化成株式会社や住友化学株式会社、三菱ケミカル株式会社、三井化学株式会社などがあります。

2、誘導品メーカー

基礎原料をもとに中間素材を開発している化学メーカーで、合成樹脂や合成ゴム、合成繊維をつくっています。開発した商品を別の企業に販売するため、知名度は低くても高い国際競争力を有するBtoB企業が多数あります。

代表的な会社は、東レ株式会社やJSR株式会社、信越化学工業株式会社、帝人株式会社などです。

3、電子材料メーカー

基礎原料や誘導品を購入し、半導体や液晶ディスプレイ等に用いる電子材料を開発する企業です。BtoB企業ですが、電子材料は私たちの身近なところで使われています。

富士フイルムホールディングスや日東電工株式会社、東京応化工業株式会社などがあります。

4、一般消費財メーカー

日用品や化粧品、プラスチック容器、農薬、肥料、医薬品等をつくる企業で、BtoC企業が多いです。

花王株式会社、ライオン株式会社、株式会社資生堂など多数あります。

化学メーカーの主な3つの職種

化学メーカーの主な3つの職種を紹介します。仕事内容や求められるスキルが異なるため、しっかり理解しておきましょう。

・研究開発

新素材開発や既存製品の改良を行う仕事です。顧客や他部署の人と連携しながら業務を行うことが多く、コミュニケーション力や柔軟性が求められます。海外の取引先とのやり取りもあるため、英語力も必要です。

・生産技術

調達した原料を加工し製品を生産する仕事です。生産計画の策定や納期の進捗管理なども担当します。業務が化学製品の品質に影響するだけでなく、製造コストの削減などを通して企業の利益にも貢献できます。化学工業プラントや機械設備の知識も必要です。

・品質管理

業務上出てきた問題の改善や予防、対応をする職種です。品質管理現場では、化学分析機器を用いて分析測定を行います。具体的には、原材料・中間品・工場出荷の製品の分析を行います。

化学メーカーの最新動向と将来性

化学メーカーは市場規模の大きな業界です。

石油を主な原料としており、原油価格の変動に影響を受けやすくなっています。現在は、石油への依存度を下げたりコストや経費の削減などの対応をしています。

また、国内の市場が減少しているため、海外市場への参入を目的としたM&Aが積極的に行われているのが現状です。多くの化学メーカーが経済成長の著しい東南アジアを中心に海外進出しています。

世界が直面している地球温暖化問題にも取り組んでおり、2050年までにカーボンニュートラルを目指す脱炭素に向けた研究も進んでいます。

三菱ケミカルが生産する生分解性プラスチックなど、さまざまな化学メーカーがサステナビリティに取り組んでいるのも化学業界の特徴。サステナビリティは環境問題への取り組みのみならず、化学業界での新たなビジネスチャンスになると考えられています。

参照:【理系就活】化学業界とは?現状や将来性・最新動向も解説!

化学メーカー志望動機作成4つの準備

化学メーカー志望動機作成4つの準備

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なぜ化学メーカー?

化学メーカーは幅広い分野で活躍できます。最先端技術に触れることができ、社会貢献度が高い仕事に携わる喜びを感じられる業界です。

業界研究を通して、化学メーカーの魅力を掘り下げ、「なぜ化学メーカーを志望するのか」を明確に描いていきましょう。

業界構造や業態ごとの特徴を確認し、自分がどこに携わりたいのかイメージしていきましょう。

特に志望動機作成には、以下の2点を意識し徹底した業界研究が必要です。

  • ・なぜ完成品メーカーではなく素材メーカーを志望するのか
  • ・化学メーカーが取り組んでいる事業領域は、何が自分にとって魅力的に感じるのか

なぜその企業?

業界研究と同時に、応募したい企業が定まってくるでしょう。採用する企業は「なぜ自社を選んだのか」を知りたいと思っています。競合他社との違いをしっかり確認しておきましょう。

志望する企業が4つの業態の中でどの分野に該当するのか、どのような職種に就きたいのか、自分が活躍できる企業はどこなのか見極めます。

ホームページや企業案内、OB・OG訪問、インターンシップなどから、その企業ならではの魅力、自分の目指す志と重なる部分を見つけ、「なぜその企業なのか」を明らかにしていきましょう。

何をしたいの?なぜしたいの?

その企業に入社して取り組みたいこと、将来的なビジョンを具体的に述べることで、志望度の高さをアピールできます。

特に以下の部分を整理しましょう。

  • ・どの事業に携わりたいのか
  • ・どのような製品を作りたいのか
  • ・入社してからのキャリアプランをどう描いているのか

参照:【理系就活必勝講座】説得力がある強い志望動機の書き方とポイント

化学メーカーが求める人物像は?

志望動機を書くには、企業が求める人物像を把握しておくことも大事です。自分の強みがどのように企業に活かせるか分析しておきましょう。

化学メーカーでは素材の生産や製造が大規模なプロセスを踏むため、研究データの分析力や論理的思考が求められます。また、研究や開発が形になるには、継続力や粘り強さが必要です。

製造過程でさまざまな人と関わり、チームでコミュニケーションを図りながら取り組むことも多く、仲間と協力しながら目標に向かって達成することに喜びを感じられる人が向いています。

さらに、研究職は危険な薬品を扱うことが多いので、慎重で手先の器用な人が求められます。

化学メーカー志望動機書き方のコツ

化学メーカー志望動機書き方のコツ

企業は多くの学生のエントリーシートをチェックしています。その中で目に留まる志望動機を書くことが大事です。

志望動機の構成

志望動機は以下の構成を意識して作成するのがおすすめです。

  • ①「なぜ」魅力を感じたのか?:深掘りしすぎず端的に
  • ②「何」に魅力を感じたのか?:企業理念や事業内容など根幹部分
  • ③企業で実現したいこと:入社後の活躍を連想

参照:【エントリーシートにおける志望動機の書き方とは?例文も詳しく解説】

読む人の心に刺さる志望動機を

多くの応募者の中から選ばれるためにも、採用担当者の心に刺さる志望動機を書きましょう。

できるだけ具体的なエピソードを交えながら、企業への熱意を伝え、入社後どのように活躍するかを思い浮かべてもらえる志望動機を書きましょう。

どの企業にも当てはまる抽象的な志望動機は読んでもらえません。「企業研究をしっかりしているな」「入社の意欲が高いな」と感じてもらえる志望動機が必須です。同じ志望動機を使い回していると、企業に見抜かれてしまいます。

採用担当者が読みやすく印象に残る志望動機は、マニュアルから借りてきた言葉ではなく、自分の言葉でその企業に提出するために書いた、1通だけの志望動機です

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化学メーカーに応募する志望動機4つの例文

化学メーカーに応募する志望動機4つの例文

ここからは、化学メーカーの各業態別志望動機の例文を紹介します。200~300文字の例文を示していますが、字数によって簡潔にしたり膨らませたりするなど工夫してください。

志望動機例文①【総合化学メーカー】

①「なぜ」

私は、地球環境に優しい化学製品を生み出すという夢を実現したいと考え、貴社の研究開発職を志望しました。

②「何」

貴社は、「人、社会、地球の心地よさがずっと続いていくこと」を経営理念とし、生分解性プラスチックの製造やサーキュラーエコノミーの推進など、常に地球の未来を見据えた経営を行っています。

③「企業で実現したいこと」

私は、大学と大学院で化学工学を研究してきました。貴社のチームの一員として、持続可能な社会づくりのために地球に優しい素材を開発し、未来の地球を幸せにしたいという思いを持ち続けながら仕事に取り組んでいきたいと思います。

志望動機例文②【誘導品メーカー】

①「なぜ」

私は新しい素材を開発し、人々の暮らしを向上させたいと思い、貴社を志望しています。

②「何」

貴社は「科学技術による素材のイノベーションで人々を幸せにする」という理念のもと、先端素材を継続的に開発しています。トップシェアを誇る炭素繊維は、航空機の軽量化、性能向上、コスト削減を実現しました。繊維素材を航空機に使用する発想に感銘を受けました。

③「企業で実現したいこと」

大学では有機化学の研究をし、分子構造の解明をしました。高い技術力と繊維という強みを持つ貴社で、研究開発職として新たな素材の価値を生み出し、世の中を改良することにつなげたいと思っています。

志望動機例文③【電子材料メーカー】

①「なぜ」

貴社を志望する動機は、常にニッチな市場でチャレンジすることができる風土です。

②「何」

液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ、熱はく離シートなど、市場のニーズを把握するリサーチ力と技術力の高さ、そしてアグレッシブに挑戦できる企業であることに魅力を感じ、生産技術の仕事を希望しております。

③「企業で実現したいこと」

インターンシップに参加させていただき、意見を出し合いながら製品作りに取り組む社風や貴社の設備などにも魅力を感じ、社員の皆さんと一緒に切磋琢磨しながら仕事をしたいと思います。

志望動機例文④【一般消費財メーカー】

①「なぜ」

私は、人種や性別、年齢に関係なく人々に幸せを届ける仕事に携わりたいと思い、貴社で基礎研究、素材研究をすることを志望しています。

②「何」

貴社の技術力の高さと誇りをもって研究する姿勢に魅力を感じています。「美しさ」は外見的なことだけではなく、自信につながったり、喜びや健康に大きく影響します。生涯にわたって人の幸せに携わりたいと思っています。

③「企業で実現したいこと」

お客様に使っていただくことで、肌や髪がより健康になるような素材を開発し、国を超えて世界中のお客様に美と健康を届けたいと思います。貴社でなら、その夢が実現できると思い志望いたしました。

業界動向や求める人物像を知ることがコツ

化学メーカーは、今、ビジネスモデルの見直しや海外進出など、転換期を迎えています。業界の現状や未来を見据え、業界が求める人物像を把握し、自分のビジョンと重ね合わせることが大事なポイントとなります。

業態や職種によって志望動機の書き方が変わるので、その企業を志す思いを自分の言葉でしっかり表現しましょう。