こんにちは。理系就活情報局です。

情報系業界は、Information Technology(情報技術)の頭文字を取ってIT業界ともいいます。情報系業界は、情報技術を活用したさまざまなサービスを提供する業界です。

情報系人材のニーズはますます高まっており、金融や人材業、教育など幅広い業界で人材が求められています。反面、情報系は理系・文系、男性・女性、既卒・新卒を問わず人気があり、情報系学部出身だから、理系だからという理由だけで優位性は維持できなくなっています。

「学部や院で獲得した専門性を活かしたい。」

「自分のスキルや知識を活かせる場で働きたい。」

そのためにはしっかりした志望動機の作成が求められます。本記事では理系就活生が希望する業界・職種に就くための志望動機の作成方法を例文と共に解説します。

情報系業界を志望する理系就活生の皆さんは、ぜひ参考にしてください。

情報系業界とは?

情報系業界とは?

情報系業界の「情報」とは、コンピューターやデータ通信に関連する技術の総称で、現代の社会にとって欠かせないインフラとなっています。

情報系業界の全体的傾向と特徴 

情報系業界は官公庁をはじめ各企業が推し進めるIT化・DX化を背景に、今後も業績を堅調に伸ばしていくことが予測されます。

少子高齢化が進む日本では、生産性向上に向け、IT化が最重要課題として挙げられます。しかし、大企業に比して中小企業のIT活用は、未だ十分ではありません。ITに投資できる費用が十分でないことや、ITに精通した人材の不足などの阻害要因があるためです。

しかし、今後はこうした課題に応えるクラウドサービスの普及によって、中小企業のIT化の進展が予測されます。それに伴い、クラウド基盤の構築や運用のスペシャリストや、クラウドを活用したソフトウェア開発の需要も高まっています。

業界動向サーチによると、2021-2022年の情報系業界の動向は、以下のようになっています。

市場規模…17.2兆円成長率…2.7%利益率…1.6%平均年収…638万円

参考:業界動向サーチ「IT業界の動向や現状、ランキングなど」

情報系業界の主要5業界と主な職種

情報系業界は扱う領域の幅が広く、主に以下の5業界から成っています。

  • ・ソフトウェア業界
  • ・ハードウェア業界
  • ・インターネット・Web業界
  • ・情報処理サービス業界
  • ・通信インフラ業界

各業界について見ておきましょう。

◇ソフトウェア業界

ソフトウェア業界は、コンピューターのオペレーションシステムやさまざまなアプリケーションソフトの企画・設計・開発を手がける業界です。近年、クラウドサービスの登場と普及によって、高度なスキルを持つスペシャリストの需要が高くなっています。また、ビッグデータを活用するソフトウェアの開発も活発化。今後、ますます最先端の知識やスキルが求められるでしょう。

ソフトウェア業界の主な職種

  • プログラマー

システムエンジニアが設計した仕様書に沿ってプログラムを構築する仕事です。技術者として採用された場合、プログラマーからスタートし、適性に応じて他の職種に配属されます。

  • システムエンジニア(SE)

顧客課題を発見し、その課題を解決するシステム全体を設計し、仕様書に落とし込む役割です。

  • ネットワークエンジニア

システムが利用できるように、ネットワーク環境を整える役割です。ネットワークを構成する機器に対する専門知識のほか、セキュリティ対策もネットワークエンジニアの役割です。

  • データベースエンジニア

ソフトウェア会社の主力商品の1つであるデータベースの運用・管理を行うのが主な役割です。

◇ハードウェア業界

コンピューター本体やスマートフォン、ゲーム機、マウスやプリンターなどの周辺機器のように「モノ」の企画・設計・開発・販売を行う業界です。

ハードウェア業界の主な職種

  • ハードウェアエンジニア

機器内部の電子回路や部品の設計を担当します。

  • 組み込みシステムエンジニア

電化製品や工業機器に組み込まれるコンピューターシステムを設計し、開発する役割です。

インターネット・Web業界

インターネット・Web業界は、インターネット接続サービスを提供するプロバイダーや、検索エンジン・ニュースなどを提供するポータルサイト、インターネット広告やSNSの運用などにかかわります。変化が早く、さまざまな形態でかかわる人も多い業界です。

インターネット・Web業界の主な職種

  • フロントエンドエンジニア

WebサイトやWebアプリケーションなど、ユーザーが直接目にする部分を製作します。近年ではモバイル端末でもユーザーが操作しやすいインターフェースの設計などのスキルが求められています。

  • バックエンドエンジニア

ユーザーが入力した内容をデータ処理したり、データベースに保存したり、入力内容に即した出力を行えるように、Webサーバーやデータベースシステムを設計します。

◇情報処理サービス業界

情報処理サービス業界は、情報システムの構築・運用(SI)にかかわる業界です。また、技術者を派遣するサービス(SES)や、情報通信技術を活用して経営課題を解決するコンサルティング業務も含まれます。

情報処理サービスの主な職種

  • 情報コンサルタント

企業が抱える経営課題を発見・分析する業務です。企業に向け、解決策を提案し、支援を行います。

◇通信・インフラ業界

通信・インフラ業界は、Wi-Fiや携帯電話などの通信回線をユーザーに提供したり、運用のための設備の運用や保守を行います。水道や電気などの他の社会インフラに比べて、技術革新のスピードが早く、大容量化も進んでいます。

通信・インフラ業界の主な職種

  • サーバーエンジニア

サーバーの設計・構築・運用・保守にかかわるエンジニアです。サーバーに障害が起こった場合には、休日や夜間でもすぐに対応しなければなりません。また、サーバーのセキュリティ対策も重要な仕事です。

  • ネットワークエンジニア

ネットワークの設計・構築・運用・保守を担当するのがネットワークエンジニアの役割です。

  • データセンターエンジニア

データセンター施設や設備の巡回を行い、点検を行う業務です。

情報系業界の志望動機作成~準備編

情報系業界の志望動機作成~準備編

志望動機が書けない…と悩む人の原因は、準備が不足していることによります。職業経験の限られた就活生にとって、「やりたい仕事」の中身も「仕事をしたい業界」も、はっきりしないのは仕方がありません。自分の頭の中から「志望動機」を探すのではなく、業界研究や職種研究、企業研究をしながら作り出しましょう。

準備段階では、以下4点の問いに対する答えを考えていきます。

  • ・志望業界で求められる人材とは?
  • ・志望職種で求められる人材とは?
  • ・志望する企業で求められる人材とは?
  • ・その業種・職種・企業で自分が貢献できることは?

志望業界で求められる人材とは?

業界研究で、その業界の役割や特徴の分析を行います。そこから一歩進めて業界のトレンドや傾向、今後の課題などを研究しながら、どのような人材が求められているかを探りましょう。

次に、自分の興味・関心との接点を探します。自分がその業界に対してどのような価値を提供できるか、これまでの経験や知識、スキルを棚卸しながら考えます。

見つけた接点をメモに書き留めます。以下の問いでも同様に記録しておきます。言語化することで、自分の漠然とした思いが、徐々に形になってくるはずです。

志望職種で求められる人材とは?

情報系の場合、業界によって職種がある程度絞りこめるため、職種と業界が同時に決まる人も多いでしょう。職種を研究する場合は、職種の役割・特徴を整理しながら、どのような能力を持った人材が求められるかを考えます。

次に、自分のスキルや強み・性格を考えながら、求められる人材との接点を探します。

志望する企業で求められる人材とは?

企業を選ぶ段階では、インターンや合同説明会に参加し、環境や企業文化などをつかむことが重要です。その上で、自分はどのような条件を求めているのか、ライフプランと合わせて検討しましょう。

企業理念や歴史、市場シェア、従業員数、業績などを見ながら、自分がその企業の採用担当者だったら、どのような人材を求めるか考えます。

次に、その人材と自分の接点をさがします。

その業種・職種・企業で自分が貢献できることは?

これまでのメモを見返しながら、自分がどのような価値を企業や企業の顧客に対して提供できるかを考えます。

その内容をまとめ、これもメモに残します。このメモが、志望動機を書く際の材料になります。

情報系業界の志望動機作成~執筆編

情報系業界の志望動機作成~執筆編

企業の採用担当者は、多くの就活生の志望動機を見るため、1つひとつをじっくりと熟読することはありません。そのため志望動機には、以下の2つのことが求められます。

  • ・わかりやすいこと
  • ・一読して印象に残ること

志望動機は論理的に構成されている必要があります。

志望動機の構成を理解しよう

志望動機は以下の構成を意識して作成するのがおすすめです。

  • ①「なぜ」魅力を感じたのか?:深掘りしすぎず端的に
  • ②「何」に魅力を感じたのか?:企業理念や事業内容など根幹部分
  • ③企業で実現したいこと:入社後の活躍を連想

今回は、上記も踏まえて、レポートや論文を書くのに適した、パラグラフ・ライティングという手法を紹介したいと思います。

パラグラフ・ライティングは、ひとつのテーマに沿って構成されたライティング方法で、論理的な文章を書くことに適しています。

パラグラフ・ライティングは、「結論」「背景・根拠」「まとめ」の3要素で構成されています。志望動機もその構成に沿って作成してみましょう。

①結論

自分がA社のXという職種を志望することを書きます。

②結論に至った背景・根拠

背景:ここではなぜそう思うようになったか説明します。

根拠:自分目線でなく、自分はA社でどのような貢献ができると考えたから、A社を志望したのかを書きます。

この背景と根拠は内容によってどちらが先に来てもかまいません。

③まとめ

最初に提示した結論をより具体的に、A社でどのような仕事がしたいかを書きます。

軸となる3つの文を書いてみよう

最初に「結論(まとめ)」「背景」「根拠」を3つの文章にまとめてみましょう。

中心となるのは「背景・根拠」の部分です。ここで、準備段階で作成したメモが役に立ちます。

「自分がその企業を志望するに至った背景」も、自分目線で考えていては、十分に展開できません。業界や、職種、企業が求める人材と自分の接点を展開することで、説得力のある文章になります。

企業理念や事業内容など根幹部分は「なぜ」を繰り返して深掘りしよう

志望動機の中でも、企業の理念や事業内容は「なぜ自分がその企業を志望したか」の根幹に当たる部分です。しっかりした内容になるよう、自分が作成した「背景」と「根拠」を「なぜそう考えるのか?」と深掘りします。

【例】

新しい技術が次々に生まれている情報系業界にいれば、自分を成長させられるのではないかと考えた。

⇒「なぜ自分を成長させられる」と言えるのか?

⇒「なぜ自分の成長が、その企業にとって意味があるといえるのか?」

【例文の推敲後】

新しい技術が次々に生まれている情報系業界は、課題の解決方法が次々に増えていくということでもある。その解決方法を学ぶことで、顧客の課題に対する解決力も増していくのではないかと考えた。

書き直しを重ねることで自分自身の思考も深まり、説得力のある志望動機ができあがります。

情報系主要5業界の志望動機例文

情報系主要5業界の志望動機例文

情報系主要5業界の志望動機の例文を紹介します。ここでは①結論②背景③根拠④まとめがわかりやすいように分けて紹介します。

200字〜300字の短い志望動機であれば、いったん書いた上で不要な部分を削除します。逆に400字以上の長めの志望動機を求められる場合は、「背景」「根拠」の部分を詳しく説明しましょう。

ソフトウェア業界システムエンジニアの志望動機例

①貴社のシステムエンジニアとして、お客様の課題を解決できるシステムを作りたいと考えます。
②学生時代、アルバイトをしていた塾では、Excelで勤怠管理をしていました。1人ひとりが手入力で行っていたため、ミスも多く出ました。私がマクロを組み、全体の入力を簡素化したところ、塾長を始め多くの人に喜んでもらえました。自分の知識が人の役に立つことの喜びを知った経験でした。
③貴社は企業の生産性向上に寄与する多くのソフトウェアを提供しています。自分の作成した勤怠管理がもっと完成されたシステムとして提供されているのを見た時は、「プロの手によるIT技術はこうなのか」と感動しました。
④私も貴社の一員として、バックオフィス管理を始め、さまざまな職場環境で生きる最適なシステムが構築できるよう働いていきたいと考えます。

⇒「システムエンジニアに求められる役割」を「顧客の課題解決の役に立つこと」ととらえ、その役割と自分の経験の接点を軸とした志望動機です。

ハードウェア業界組み込みシステムエンジニアの志望動機例

①IoT時代のものづくりにとって心臓部となる組み込みシステムの開発を行いたいと考え、業界の第一人者である貴社を志望いたします。
②大学ではプログラミングや電子回路設計を学びつつ、ボランティアで小学生とロボットづくりを行ってきました。そのプロセスで、実際にモノが動く仕組みを小学生と共有できた経験は得難いものでした。
③貴社は家電製品を始めOA機器、輸送機械など、組み込みシステムの開発を幅広く手がけていらっしゃいます。ものづくりの現場で自分が大学で得たC言語やシステム設計などの知識を活かしたいと考えます。
④入社後は現場で基礎を学び、将来的には組み込みシステムエンジニアとして貴社に貢献できればと願っています。

⇒「なぜハードウェアなのか?」という問いに対し「ものが動く仕組みを作りたいから」という回答を軸とした志望動機です。自分のスキルにも触れ、どのような形で企業に貢献できるかを説明しています。

情報システム業界情報コンサルタントの志望動機例

①私は企業のIT化・DX化推進の手助けをしたいと考え、さまざまなクラウドサービスを提供しておられる貴社を志望いたしました。
②私の母は介護施設で管理業務に就いています。報告もプラン作成もすべて紙で行われていて、非常に非効率的な現場であったのが、業務管理ツールの導入で業務負担が大きく改善されたことを聞きました。この時、1年以上にも及ぶ導入計画を立て、支援を行うITコンサルタントという職の存在を知りました。
③顧客の困りごとを聞き、どうなれば良いかをヒアリングしつつ、俯瞰的に課題の所在をとらえ、ソリューションを提供するというITコンサルタントの役割が、多くの企業で求められていると考えます。そのため、私は貴社のインターンシップに参加し、さまざまなツールが実際にどのように効率化に役立っているかを知ることができました。
④貴社の一員として多くの企業の業務効率化や生産性向上の支援を行いたいと考えます。

⇒職種・企業を選んだ明確な経験がある場合は、その経験を軸に志望動機を作成します。その場合は、具体的な経験を述べると同時に、経験の中の普遍的な要素を取り出し、職種や企業の役割と結びつけることが重要です。

Webサービス業界バックエンドエンジニアの志望動機例

①貴社が運用しておられるWebサービスでバックエンド開発を行いたく、志望いたしました。
②貴社は医療人材派遣サービス〇〇を始め、さまざまなWebサービスを展開しておられます。働き方が多様化する今、人材を求めている企業と、自分のスキルや条件に合った仕事を探す人のマッチングはますます重要になっていると考えます。貴社の掲げる「1人ひとりが働くことを通じて自己実現する」というミッションに強い魅力を感じ、私もその一翼を担いたいという思いを強くしました。
③私は大学時代からデータベース開発に興味を持ち、JavaやPHP、Ruby、 Pythonなどのプログラミング言語を学び、応用情報技術者試験を取得しました。
④求人メディアの開発や保守運用を通じて、ユーザーに正しく情報を届け、最適な企業とつなげる手助けをしたいと考えます。

⇒理念や事業内容を中心に志望動機を作成する場合は、企業が公開している内容をなぞるだけでなく、自分との接点を探し、企業でどのような役割を果たしたいかを明確にしましょう。

通信インフラ業界(インフラエンジニア)の志望動機例

①私は貴社で地域の通信インフラの設計や構築を行いたいと考えます。
②過去に大学内で通信障害が起こるトラブルがありました。この経験は、普段意識することのなかった通信インフラが、私たちにどれほどの影響を及ぼしているかを思い起こさせるものでした。障害の復旧には多くの人がかかわり、私たち通信工学の学生も学内ネットワークの仕組みを詳しく知れました。以来、通信インフラにかかわる仕事をしたいと思うようになり、大学院でも分散処理システムを専門に学びました。
③幅広い年代の人がスマートフォンを利用する今日では、通信インフラの重要性がかつてないほど高まっています。学内の通信障害であっても影響を受けた範囲の大きさを考えると、地域の通信インフラを支障なく運用することがきわめて重要であると想像できます。
④地域の通信インフラに大きな役割を果たしていらっしゃる貴社で、安定した通信インフラを実現する一翼を担いたいと考えます。

⇒自分の興味・関心を持つようになったきっかけを軸とした志望動機です。きっかけを書く場合は、短くてもできるだけ具体的に伝わるように工夫しましょう。

情報系業界の業種・職種を理解し自分らしさを伝えよう

情報系業界は情報技術に関連するさまざまな業界や職種から構成されています。志望動機では、「なぜ、その業界―職種―企業を選択したのか?」を論理的に説明しなければなりません。

そのためには、以下の3点を中心に、自分の考えをまとめましょう。

  • ①「なぜ」魅力を感じたのか?:深掘りしすぎず端的に
  • ②「何」に魅力を感じたのか?:企業理念や事業内容など根幹部分
  • ③企業で実現したいこと:入社後の活躍を連想

志望動機を書く場合は、「①結論」「②背景・根拠」「③まとめ」という構成を持ったパラグラフ・ライティングの方法を参考にしていただければと思います。準備段階で作成したメモを、3つの軸に落とし込みましょう。

しっかり考えて作成した志望動機は、読み手にも行間から思考の跡が伝わります。論理的であると同時に熱意の伝わる志望動機を作成しましょう。