こんにちは!理系就活情報局です!
就活において、自分に合った進路を見つけるためには「業界研究」を正しく進めることが欠かせません。

しかし、業界の数は多く、どこから調べればいいのか迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。そこで本記事では、理系就活生のために「業界研究のやり方」を主要な業界も含めてわかりやすく解説します。

本記事を読めば、ES(エントリーシート)や面接で「なぜこの業界を志望するのか」を説得力をもって語れるようになり、企業に自分を印象づけられます。ぜひ最後まで読んで、自信をもって就活に臨んでください。

\自己分析や企業選び、ESで役立つ/


そもそも業界研究とは?

そもそも業界研究とは?

業界研究とは就活において、「世の中にある様々な業界が、どのような特徴や仕組みを持っているのか」を調べる活動のことです。就活を始めると「とにかく業界研究をしましょう」とよく言われますが、なぜ必要なのかイメージできない人も多いでしょう。
結論から言うと、業界研究を行うことで、エントリーシート(ES)や面接での志望理由が具体的かつ説得力のあるものになるからです。

例えば、以下2つの志望理由を比較してみましょう。

  • ・「メーカーに興味があります」
  • ・「〇〇業界の中でも、環境技術に力を入れている△△社に関心があります」

前者は誰でも言える一般論ですが、後者は「調べて理解している」という熱意や適性が伝わります。

さらに業界研究を通じて、

  • 自分に合った業界を選びやすくなる(ミスマッチ防止)
  • ・企業研究を深める土台になる(業界理解があるからこそ個社分析が進む)
  • ・面接での逆質問やディスカッションにも強くなる

といったメリットもあります。

就活は「数をこなす」よりも「説得力ある志望動機を語れるか」が勝負です。業界研究をきちんと行えば、ESでも面接でも言葉の持つ説得力がグッと重みを増し、ライバルとの差をつけられます。

業界研究のポイント

業界研究のポイント

業界研究を進めるうえで大切なのは、やみくもに情報を集めるのではなく、順序立てて理解を深めていくことです。基本の流れは「広く浅く→狭く深く→自己分析と照合」。この3ステップを意識するだけで、業界全体の見え方がグッと変わります。

業界研究ポイント1:業界全体を「広く浅く」把握する

まずは「日本にはどんな業界があるのか」を全体像として押さえましょう。
ここでは細かいことを暗記する必要はなく、以下のように大きな枠組みと特徴をざっくり理解することが大切です。

  • ・代表的な企業の顔ぶれ(例:メーカー=トヨタ、素材=三菱ケミカル、IT=NTTデータなど)
  • ・市場規模やシェアの大きさ(例:自動車業界は国内GDPの約1割を占める)
  • ・業界ごとの社会的な役割(例:インフラ業界=暮らしの基盤を支える)

全体像を把握しておけば、まず「どの業界に自分の関心があるのか」が浮かび上がってきます。

業界研究ポイント2:業界内を「狭く深く」研究する

次に、気になった業界についてさらに掘り下げます。
ここで重要なのは、同じ業界に属していても企業ごとに強みや方向性が大きく違うという点です。

例えば「IT業界」と一口に言っても、

  • ・SIer(システム構築):NTTデータや富士通
  • ・インターネットサービス:楽天、サイバーエージェント
  • ・専門領域に特化したベンチャー企業

など、多様な企業が存在します。

掘り下げるときの視点としては、

  • ・各企業のポジション(シェア、提携関係、強み分野)
  • ・業界全体の成長性(AI、脱炭素、半導体などのトレンドとの関わり)
  • ・技術革新や国際競争の影響

などをチェックすると理解が深まります。

業界研究ポイント3:業界の動向と自己分析を照らし合わせる

最後に、業界の知識と自分の強み・価値観をつなげましょう。
これは「ESや面接で志望理由を語る」ために欠かせないプロセスです。

  • ・自分の性格や適性と照合(例:研究で培った分析力を活かすなら、コンサルや研究開発職)
  • ・将来のキャリア形成との相性(例:安定志向ならインフラ業界、挑戦志向ならスタートアップ)
  • ・外部環境(政治・経済・社会・技術:PEST分析)と自分の関心の接点

例えば、以下のような形で業界の知識と自分の強み・価値観をすりあわせます。

「バイオ系の学生が自身の研究テーマである細胞培養技術を軸に、再生医療に強みを持つ製薬メーカーと培養肉を開発する食品メーカーを比較検討し、社会貢献の方向性の違いを明確にする」

上記のようなすりあわせまで行うことで、単なる情報収集ではなく自分だけの志望動機に直結する説得力が生まれます。

さらに、業界の動向を見る中で必要な要素として挙げられるのが、業界の安定性や成長性、そして将来のキャリア形成です。

業界の安定性や市場規模を見ていく中で政治、経済、社会、技術と言った4つの観点にフォーカスをおいて分析していくことで業界の動向を掴みやすくなってきます。

業界研究での情報収集の方法

業界研究での情報収集の方法

業界研究のコツを抑えた次は、業界研究を行う方法について説明していきます。業界研究において、調べる手段を理解した上で、情報収集を行うことも大事です。
多くの情報源から、それぞれの情報源を理解することで質の高い企業研究を行えます。

ここでは数多くある情報源の中でも極めて頼れる情報源について紹介していきます。

書籍、雑誌で業界・企業を総合的に把握する

1つ目として紹介するのは、書籍や雑誌です。業界本と言われる、様々な業界について書かれた本では、各業界の動向や特色だけでなく、業界内における具体的な職種についても紹介がされています。
業界だけでなく、業界内における具体的な職種を知ることで自分のつきたい職業へのイメージがつきやすくなるでしょう。

数ある書籍の中でもおすすめが、「業界地図」と呼ばれる日経経済新聞社などの複数の出版社から発行されている書籍です。
業界地図は毎年発刊されるため、新しい情報を得られます。
また、様々な業界がカバーされているため、企業の立ち位置や成長度合いを把握できます。

「業界地図」に続いて、東洋経済新報社が出版する「就活四季報」もおすすめです。
他の書籍と違うポイントとして挙げられるのが、企業から掲載料をもらっておらず、中立的な観点から企業情報や業界を分析している点です。
5,000社以上の企業が記載されていて、業界別に企業が比較されているので、見やすい書籍と言えます。
総合版、優良・中堅版、女性版などそれぞれの気になるカテゴリーでまとめられているのも嬉しい点です。

【行動ポイント】

  • ・業界地図で気になる業界をリストアップする
  • ・就活四季報で自分の業界・企業選びの軸を定める

業界研究セミナーに参加して働く人の声を聞く

2つ目として紹介するのは、業界研究セミナーです。業界研究セミナーとは大学の構内にてイベントの1つとしてや、合同企業説明会の際に開催されることが多いセミナーです。
業界研究セミナーでは実際にその業界で働く人の声や話を聞くことができ、業界のイメージをリアルに持てます。
業界における最新の動向や流れを取り入れ、最新の情報を提供している点も見逃せません。

【行動ポイント】

  • ・業界の最新動向を聞く
  • ・「業界研究セミナーで業界に興味を持った」と面接で伝えられるように業界研究ノートにまとめる

OB・OG訪問でその業界の「生の声」を知る

3つ目として紹介するのは、OB・OG訪問です。
自分で行った業界研究では掴めきれなかった情報を、OB・OG訪問を通して掴みましょう

例えば、他の企業や業界と比べたときの自社の強み、などの質問がOB・OG訪問で聞くべき質問と言えます。

行動ポイント】

  • ・大学のキャリアセンターやSNSを活用して先輩を探す
  • ・「入社前と入社後のギャップ」を質問する
  • ・得た情報を業界研究ノートに記入し、自己分析と結びつける

企業の技術レポートや特許情報を調べる

4つ目は、気になる企業の技術レポートや特許情報を調べることです。企業の公式サイトやニュース記事だけでは、業界の表面的な理解に留まってしまいがちです。企業が発表する論文を読み解けば、他の就活生とは一味違う説得力のある業界分析が可能になります。

理由は、論文や特許には企業が今まさに研究開発に力を入れている分野や他社にはない独自の技術が客観的な事実として記されているためです。例えば、国立研究開発法人科学技術振興機構が運営する「J-STAGE」などの論文検索サイトで、気になる企業名や技術分野を検索してみましょう。すると、企業の研究者が発表した最新の技術レポートが見つかるケースがあります。これにより、「この企業は現在、AIを使った画像認識技術に注力しているんだな」など、採用サイトだけでは分からないリアルな動向を掴めます。

また、特許庁が提供する「J-PlatPat」を使えば、「どんな企業が、どのような技術で特許を出願・登録しているか」を無料で調べることが可能です。多くの企業が今後収益化を見込んでいる核心的な技術は、他社に真似されないよう特許で守られています。つまり、特許情報を分析すれば、「企業が5年後、10年後にどの分野で競争しようとしているのか」を把握できます。

【行動ポイント】

  • ・「J-STAGE」「J-PlatPat」などで企業の技術レポートや特許情報を検索する
  • ・技術レポートや特許情報から企業の動向や将来性を把握する

成功に導く業界研究のステップ

成功に導く業界研究のステップ

最後に、上手に業界研究をしていく中で重要になってくるやり方についてステップごとに紹介していきます。

ステップ1:業界地図を見る、興味を掴む 

まず最初に、多岐にわたる業界の中から自分の興味のある業界を絞って行きます。
業界を絞っていく中で必要となるのが前述したような、業界地図や就活四季報です。業界地図を使うことで、業界における動向、そして全体像が一気に掴めるため、興味のある業界を探しやすくなります。

自分の所属しているゼミの研究や学部、子供の頃に憧れていた業界を振り返ることで、興味のある業界をもっと見つけやすくなります。

ステップ2:合同説明会に参加して興味を深める

興味のある業界を絞り出したら、合同説明会に参加していきましょう。
合同説明会には多くの企業が参加することや、採用担当者に直接話を聞けるなど、同じ業界内での企業比較ができます。

また、合同説明会では自分が興味のない企業や業界も数多く見かけるでしょう。はじめは興味がなくても、説明会に参加することで自分では気づかなかった興味・関心に気づけるかもしれません。
興味を持った業界だけに縛られ、視野を狭めすぎないことがとても重要になってきます。

ステップ3:業界研究ノートを作成して志望理由をまとめる

合同説明会においてある程度自分の就きたい業界が定まってきたら、業界研究ノートを作成しましょう。

業界研究ノートは、業界情報の収集を通じて気になる業界をピックアップし、業界ごとに得た情報や自分の気づき・印象を記録していきます。ある程度、自分の志望業界が絞れてきたら、業界研究の内容を深めていきます。

ここで、ステップ1で利用した就活四季報を元に、自分の興味を持った業界をもう1度深く調べていきます。
興味のある業界を深くリサーチした後は、それぞれの業界ごとに志望動機を考えていきます。

志望動機を作成する上で、まず以下4つの点を業界研究ノートにまとめます。

  • ・業界や企業に興味を持ったきっかけ
  • ・業界の状態や展望
  • ・その業界で活かせる長所
  • ・業界においてどの企業に興味があるのか、その理由と他の企業との違い

業界研究ノートの内容は、志望動機をまとめる時の元になります。この段階で志望動機をまとめておくと、エントリーシートを作成するときの志望理由の作成を効率化できます。

業界研究を行う際には、1つの業界だけを深くリサーチするよりも業界同士を比べることで違いや特色がよりはっきりします。業界研究ノートを作成する場合でも、1つの業界だけでなく複数の業界の研究ノートを作成し、比較研究を行いましょう。

ステップ4:興味を持った業界の共通点をつなげる

最後のステップとして、興味を持った業界や企業の共通点を挙げることが重要になってきます。

共通点を見つけていく中で、「BtoB(対法人)」「BtoC(対個人)」を横軸に、「有形・無形サービス」を縦軸にしていくことで、自分の志望する方向性が掴みやすくなってきます。

自分の興味のある枠の中で深堀し、違いを探っていくことで、自分が大切にする軸をぶれなく伝えられるため、就活の成功へと繋がるでしょう。

業界研究ノートは、業界研究を効率化・深化させるために欠かせないものです。TECH OFFERは以下のリンクから無料でダウンロードできます。

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業界一覧8分類

業界一覧8分類

就活でよく使われる「業界」とは、事業内容やサービスの特徴によって企業を大きく分けた区分を指します。
世の中には数多くの企業がありますが、業界を分類することで「どんな役割を持つのか」「社会でどのような位置づけなのか」を理解しやすくなります。

ここでは就活でよく参照される代表的な8分類を紹介します。各業界の特徴や将来性をつかみ、自分自身の関心や強みと照らし合わせてみましょう。

【主要8業界一覧】

業界名特徴将来性
製造業界自動車・電機・化学など「モノづくり」が中心。研究開発型の職種も多い脱炭素、EV、AI活用など技術革新が加速
IT・通信業界ソフト開発、通信、インターネットサービスなど多様AI、クラウド、5G/6G分野の拡大が続く
商社業界国内外でモノやサービスを取引。総合・専門商社があるエネルギー・食料・インフラ分野で安定需要
金融業界銀行、証券、保険など「お金の流れ」を支えるフィンテックやキャッシュレス化が進展
インフラ・エネルギー業界電力、ガス、鉄道、航空など生活基盤を担う再生可能エネルギー・脱炭素へのシフト
流通・小売業界スーパー、百貨店、ECなど消費者に直結EC市場拡大、データ活用戦略が重要
広告・マスコミ業界テレビ、新聞、出版社、広告代理店など情報発信が中心デジタル広告やSNSマーケティングにシフト
公務員・教育・医療業界社会を支える公共性の高い仕事少子高齢化に伴う教育改革・医療拡充が必要

製造業界

自動車、電機、化学、素材など「モノを作る」企業が中心です。日本の輸出を支える基幹産業であり、研究開発型の職種も多いため、理系就活生にとって身近な業界です。

  • 特徴:安定した雇用規模、大手企業が多い
  • ・将来性:脱炭素、EV、AI活用など新技術とともに変革が進む

IT・通信業界

ソフトウェア開発、SIer(システム構築)、通信キャリア、インターネットサービスなどを含む業界です。社会のデジタル化に伴い、今最も成長している分野の一つです。

  • 特徴:多様な職種(開発・運用・コンサル)が存在
  • ・将来性:AI、クラウド、5G/6Gなど新分野の拡大が続く

商社業界

国内外のモノやサービスを取引し、流通させる役割を担う業界です。総合商社と専門商社があり、幅広い産業をつなぐビジネスモデルが特徴です。

  • ・特徴:グローバルな仕事が多く、調整力・交渉力が求められる
  • ・将来性:エネルギー・食料・インフラなどの分野で需要は継続

金融業界

銀行、証券、保険、クレジットカードなどを含む業界です。企業や個人のお金の流れを支える役割を担っています。

  • 特徴:社会の基盤を担う重要な業界
  • ・将来性:フィンテックやキャッシュレス化で新しいサービスが拡大中

インフラ・エネルギー業界

電力、ガス、鉄道、航空など、生活や社会活動の基盤を提供する業界です。人々の暮らしを支えるため、安定感が大きな魅力です。

  • 特徴:長期的に働ける安定志向の人に人気
  • 将来性:再生可能エネルギーや脱炭素社会へのシフトが大きな課題

流通・小売業界

スーパー、百貨店、コンビニ、ECサイトなどを含む業界です。消費者に最も近い存在で、生活に直結した商品やサービスを届けています。

  • 特徴:消費者ニーズの変化を敏感に反映
  • ・将来性:EC市場の拡大、データ活用による顧客戦略が重要

広告・マスコミ業界

テレビ局、新聞社、出版社、広告代理店、Webメディアなどを含む業界です。情報を発信し、社会や消費者に大きな影響を与える役割を担います。

  • 特徴:企画力・表現力・発信力が重視される
  • ・将来性:デジタル広告やSNSマーケティングへのシフトが進む

公務員・教育・医療業界

行政機関、学校、病院などを含む業界です。社会全体を支える「公共性の高い仕事」が中心となります。

  • 特徴:安定性が高く、社会貢献度も大きい
  • ・将来性:少子高齢化に伴い教育改革・医療サービス拡充が求められる

Q&A|業界研究でよくある質問と回答

Q&A|業界研究でよくある質問と回答

就活生からよく寄せられる質問をまとめました。迷ったときは、下記の質問と回答を見て基本を押さえておきましょう。

Q1. 業界研究はいつから始めればいい?

A. 3年生の夏〜秋には始めておきたいです。3年生の夏〜秋の時期はサマーインターンや合同説明会が多く開催され、企業や業界に触れるチャンスが豊富です。早めに情報を集めておくと、冬以降のエントリーシート作成や本選考にスムーズにつなげられます。

Q2. 業界研究では何を調べればいい?

A. 業界全体の規模・主要企業・動向を調べましょう。例えば、「市場規模」「上位3〜5社の特徴」「成長分野」「課題」などの項目をチェックしておくのがおすすめです。理系の場合は特に、技術革新や研究開発分野のトレンドに注目すると志望理由に説得力が増します。

Q3. 業界研究はどこまでやれば十分?

A. 志望業界は「狭く深く」、それ以外は「広く浅く」でOKです。全業界を完璧に調べる必要はありません。気になる業界については「主要企業の違いを説明できるレベル」まで掘り下げ、その他は「業界の役割や将来性をざっくり語れる」程度で十分です。

これだけは知っておきたいポイント(まとめ)

就活における業界研究は単なる情報収集ではなく、ESや面接で「自分の言葉」で志望理由を語るための準備です。

「広く浅く全体像をつかむ」→「狭く深く気になる業界を掘り下げる」→「自己分析と照合して将来像を描く」の流れを意識すれば、説得力のある志望動機が生まれ、就職後のミスマッチも防げます。

業界研究を丁寧に進めることは、キャリア選択を後悔しないものにする大きな一歩です。

また、就活を効率的に進めたい就活生に「TECH OFFER」への登録をお勧めします。

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