インターンとして働く経験は、学生が就業体験を通して経験を積めると同時に、企業側も将来の自社を担う候補者と出会えるなど、学生・企業双方に利点のある取り組みです。
しかし、3年生になると、研究室選びの準備が始まるとともに、サークルでも中心的な役割を担うようになり、格段に忙しくなります。そんな中、どうしてもインターンシップに参加しなければならないのか、どこまで力を入れなければならないのか、と疑問に持つ人もいるかもしれません。
本記事では、就活で順調なスタートを切るための理系学生のインターン対策を説明します。
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26卒理系学生にとってのインターンシップとは?
一般的に就活生にとって、就業体験ができるインターンシップは将来のキャリアを考える上で意義ある経験です。しかし、26卒の理系学生にとって、インターンシップはその意義を超えるものになっています。インターンシップの意義について、整理しておきましょう。
インターンシップは何のために参加する?
理系就活生がインターンシップに参加する目的は次の4点があります。
- ・体験を通して業界・企業理解を深める
職場に実際に身を置くことで、企業サイトや情報紙誌では得られない、ナマの体験が得られます。
- ・スキルや知識を身につける
実践を通して、大学では学習できないスキルや知識にふれることが可能です。
- ・企業の人と交流する
実際に働いているさまざまな社員とのコミュニケーションを通じて、社会人とはどういうことか、社会人になるために自分に足りないものを発見できます。
- ・就活の予行演習となる
インターン参加までのプロセスは、情報収集→エントリー→面接と、本選考と同じです。エントリーに記載する志望動機や自己PRも、インターンシップのプロセスを経てブラッシュアップできます。
インターンシップのメリットは?
理系学生のインターンシップへの参加は、次のようなメリットにつながります。
- ・業界研究・企業研究が行える
多くの企業を見たい、知りたいと考える人は、「オープンカンパニー」(旧1dayインターンシップ)に参加すると、効率的に業界研究や企業研究を進めることができます。
- ・授業や実験で学んだ知識やスキルを就業を通じて鍛えることができる
「汎用的能力活用型・専門活用型インターンシップ」(就業体験を含むインターンシップ)に参加することで、実際の仕事上で必要な能力を鍛えることができます。
- ・本選考で有利になる
25卒より「汎用的能力活用型・専門活用型インターンシップ」参加者の直接採用が公式に認められるようになりました。採用が決まらなくてもインターン生は本選考の一部が免除されたり、優先的に選考を受けられたりする場合があります。
26卒理系学生のインターンシップ全体像
ここでは就活全体の中で、インターンシップはいつごろ開催され、どのような準備をしたら良いのかを説明します。
2年終わり:就活準備スタート
2年生の3月頃から、業界や企業の情報収集を開始します。自分の専攻や関心のある業界から始めましょう。業界研究や企業研究で得られる情報は、同時に自分の興味や強み、能力、価値観を知るための判断材料にもなります。業界研究や企業研究をしながら、自分の価値観を見極め、自己分析していきましょう。
4月頃から26卒を対象としたインターンシップ情報サイトがオープンします。そこで夏インターンの募集情報や企業情報が公開されます。
3年前期:夏インターンのエントリー
早いところでは5月、遅くても6月頃には夏インターンへのエントリーが締め切られてしまうので、早めのエントリーが必要です。志望が決まらない人、多くの企業の話を聞いてみたい人は「オープンカンパニー」型を、実際に就業体験をしたい人は「汎用的能力活用型・専門活用型インターンシップ」型を中心に探しましょう。
3年夏休み:夏インターン
大学の夏季休暇中がインターンシップの開催も最も多い時期です。自分なりの目標を決めて参加しましょう。8月には秋インターンの募集も始まるので、秋インターンの情報収集も忘れずに行います。
3年後期:秋インターン
理系学生の3年生は、研究室選びが始まるなど忙しい時期ですが、学生の応募の少ない秋インターンは、倍率も比較的低く、参加しやすいと言えます。休暇中ではないため、「オープンカンパニー」型が中心です。志望企業がまだ決められない人は、この時期にいくつかの企業のオープンカンパニーに参加するのも良い方法です。また、夏に次いで多く開催される冬インターン情報も発表されます。企業によっては早期選考が行われ始めます。
3年年明け:冬インターン
12月〜1月の冬インターンが実施されます。ちょうど理系学生にとっては試験やレポートなど、勉強に多くの時間を割きたい時期ではありますが、夏に次いで多くの企業が冬インターンを開催します。冬インターンは夏インターンと比較すると、企業側にとっても採用色の強いものとなっているため、早期内定を得たい人は、ぜひ参加してください。
3年春休み:就活情報解禁
3月1日、就活情報が解禁されます。エントリーシート受付が始まり、いよいよ本選考のスタートです。一方、早期選考を行う企業も多く、内々定などが出始めます。
インターンシップの準備については、次の記事でもわかりやすく説明しています。
こちらも参考にしてください。
汎用的能力・専門活用型インターンシップとは?
25卒から、これまで公式に定義されてこなかったインターンシップが、経済産業省・文部科学省・厚生労働省による「インターンシップの推進に当たっての基本的考え方」の下で正式に定義づけられるようになりました。
インターンシップが次の4タイプに分類されるようになったのです。
タイプ1:オープン・カンパニー(企業説明会やイベント)
タイプ2:キャリア教育(大学での授業・講義や企業による教育プログラム)
タイプ3:汎用的能力・専門活用型インターンシップ(職場における実務体験)
タイプ4:高度専門型インターンシップ(大学院生対象の特に高度な専門性を要求される実務を職場で体験)
この中で注目されているのがタイプ3の汎用的能力活用型・専門活用型インターンシップです。ここでは、タイプ3について説明します。
汎用的能力・専門活用型インターンシップは従来とどう違う?
汎用的能力活用型・専門活用型インターンシップは次の3点で従来のインターンシップと異なります。
- ・実施内容が定められている
学生の適性や汎用的能力を重視する汎用的能力活用型インターンシップと、専門性を重視した専門活用型インターンシップで、実際の職場で社員と共に就業体験を行います。また、修了後は社員からのフィードバックを受けることができます。
- ・実施期間が定められている
汎用能力活用型は5日間以上、専門活用型は2週間以上で、実施期間の半分を超える日数を就業体験に充てることが求められています。また、期間が長く、就業体験を含むことから、長期休暇期間に開催となっています。
- ・学生情報の広報活動や採用選考への使用が認められている
企業はインターン生の情報を広報や採用選考に活用することが認められています。インターン生に対しては、内定に直結する可能性があるほか、インターン生限定のイベントや、1次選考のスキップなど、さまざまな特典が考えられます。学生情報の採用選考への使用は、一部の企業では従来から行われていましたが、政府に認められたことで、今後、インターンシップを実施する企業の多くで行われることが予想されます。
汎用的能力・専門活用型インターンシップの実施状況
日本経済団体連合会(経団連)が2023年3月に行った調査によると、汎用的能力活用型・専門活用型に相当するインターンシップを実施している企業は、2022年の段階で37.2%でしたが、23年、24年と、実施を計画する企業が増えることが予想されます。
出典:日本経済団体連合会「質の高いインターンシップに関する意向調査結果」
また、汎用的能力活用型・専門活用型インターンシップの実施を予定する企業は従業員数の多い大企業が多く、業種別では製造業がやや多いことがわかります。
出典:日本経済団体連合会「質の高いインターンシップに関する意向調査結果」
26卒が3年生になる2024年には、製造業を始めとした大企業を中心に、多くの汎用的能力活用型・専門活用型インターンシップの実施が予想されます。採用に有利になるインターンシップとして、多くの就活生が殺到すると考えられるため、情報収集やエントリー準備は早めに行うことが重要です。
大学院生なら高度専門型インターンシップも
タイプ4の高度専門型インターンシップは、大学院の修士・博士課程を対象としたインターンシップです。
既に2021年度から試行中の理系の博士課程対象の「ジョブ型研究インターンシップ」と、検討段階の修士課程学生を対象した「高度な専門性を重視した修士課程学生向けインターンシップ(仮)」が該当します。
ジョブ型研究インターンシップは国内の企業で2か月以上、有給の研究インターンシップに参加する制度です。対象者は現状では自然科学系の博士課程在籍者に限られます。
「ジョブ型研究インターンシップ推進協議会」に参加している企業は2023年12月段階で57社。まだ実績も少ないですが、自然科学系分野で今後博士課程に進学することを検討している人は、ぜひ選択肢のひとつとして考えてください。
インターンシップの選び方・探し方
忙しい理系学生は、自分の目的に合ったタイプのインターンシップに、ベストのタイミングで参加することが重要です。自分に合ったインターンシップの選び方と探し方を紹介します。
忙しい理系学生は目的を絞ることが大切
自分はインターンシップに参加して、何を得ようとしているのか、最初に目的を絞ることが重要です。
例1: まだ志望業界・志望企業がはっきりしておらず、インターンシップを通じて自分にマッチする企業に出会いたい。
この場合は気軽に参加できるオープンカンパニー型(旧1dayインターンシップ)が向いているでしょう。夏の時期は多くの企業が就活生とのコンタクトの場として、オープンカンパニー型インターンシップを開催します。複数の企業にエントリーしましょう。
例2:就活の予行演習として、インターンシップ選考を経験したい。
この場合は、夏の汎用的能力活用型にエントリーしましょう。汎用的能力活用型は多くの就活生が集まるため、本選考以上に狭き門となります。複数回のインターンシップ選考が用意され、志望動機や自己PRの作成など、本選考同様の準備が必要となるため、自分のエントリーシートがどこまで通用するのかや、面接での課題点抽出などが可能です。
例3:自分の志望する分野で知識やスキルがどれだけ通用するか、また、本当に適性があるのか、実務を経験しながら試してみたい。
このような目的を持つ人は、専門活用型インターンシップや、ベンチャー企業などで実施されている長期インターンシップが向いています。専門活用型インターンシップは2週間以上、ベンチャー企業はさらに長く3か月前後のところも多くあります。長期インターンシップの経験は、就活の本選考でも「学生時代に頑張ったこと」としてアピールできるし、本選考でも有利に働きます。
インターンシップの時期による違いは、以下の記事でも詳しく説明されています。
理系学生にとってベストなタイミングは?
大学のスケジュールとインターンシップの開催時期の両方から、自分に最適の時期を選びます。
秋、冬と時期が遅くなるにつれ、本選考との関連が深まります。夏インターンシップを企業研究に位置づけ、秋〜冬に本命のインターンシップに参加する、という方法もあります。
インターンシップはどこで探す?
インターンシップは、以下のところで探すことができます。
- ・大学のキャリアセンター
- ・企業サイト・企業のSNS
- ・就職情報サイト
- ・ダイレクトリクルーティングに登録
窓口によって紹介される企業も異なるため、複数のルートを活用すると幅広い企業の応募要項を見ることができます。インターンシップの申し込みは、紹介窓口から応募できるようになっているため、気になる企業があれば、まずは申し込んでみましょう。
インターンシップの詳しい情報収集の仕方は次の記事を参考にしてください。
理系学生がインターンシップに参加する際の注意点
インターンシップは、どんな業界や職種で働くことが自分にとってベストなのかを見極める良いチャンスですが、反面注意すべき点もあります。
インターンシップの倍率は高い
企業にもよりますが、開催されるインターンシップの募集人員は、本採用の人員と比較しても少ないことが多いです。一方、人気企業には多くの就活生が殺到するため、本選考以上の倍率となるケースが少なくありません。
そのため、インターンシップに不採用になったとしても、落胆する必要はありません。きちんと振り返りを行い、エントリーシートや面接での課題を明確にしたら、他のインターンシップや本選考に備えましょう。インターンシップに落ちても、本採用に影響することはありません。
エントリーシートの準備は入念に
インターンシップ選考のある企業は、エントリーシートの提出が義務付けられます。多くの人が「志望動機」や「自己PR」を書くのは初めての経験でしょう。これを機に、企業研究や自己分析をしっかり行い、担当者の目を引くエントリーシートの書き方を身につけてください。
大学生活とのバランスを考えよう
3年生にとって就活は大事ですが、大学生活をおろそかにしないように気を付けてください。就職が決まっても、必要な単位を取得できずに採用が見送られる人は、どこの大学でも耳にする出来事です。
また、サークル活動やアルバイト、ボランティアなどの経験は、自分の人生を豊かにするものであると同時に、「学生時代に力を入れたこと」として語ることのできるエピソードとなります。就活に専心しすぎることのないよう、バランス感覚を大切にしてください。
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重要さを増すインターンシップ、ぜひ参加を
本記事では、26卒理系学生が、インターンシップとどのように取り組むべきか、目的やメリット、また25卒から始まった新しい分類など、さまざまな面から対策法を説明してきました。
就活生にとってのインターンシップは企業理解・仕事理解の面でも、また本選考の準備の面でも、大きなチャンスです。インターン生の情報の活用が、広報・採用活動に解禁されたこともあいまって、企業もこれまで以上にインターンシップを重視するようになるでしょう。
自分の目的に合ったインターンシップを見極め、効率的に準備を進めてください。