こんにちは。理系就活情報局です。
博士課程まで進学する人は少ないため、就活する際に情報が少なく、不安な人も多いと思います。
そこで、この記事では「博士課程修了者は就職できないと言われる理由」や「博士課程修了後のキャリア」、「人生終了しない!博士課程修了者の就活のコツ」について解説します。
博士課程で就活を進めている人は、是非参考にしてみてください!!
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博士課程とは
学部卒・院卒・博士卒の違い
学部卒の場合、取得できるのは学士です。学士は、大学を卒業した人が取得できます。
学部生の間、研究活動に携わる時間は卒業までの1年と短く、多くの時間を卒業研究までの基礎知識を学ぶ期間となります。
院卒の場合、修士号を取得できます。
学部を卒業後、大学院に進学して修士課程を修了すると贈られます。
修士課程では、2年間大学院に通い、そのすべての期間で研究を行います。
学部生と比べると、専攻する分野の専門性がより高い知識を習得でき、更に様々な分野の知識の習得もできます。
修士課程を修了した後に更なる研究のために進学するのが博士課程です。
3年間の博士課程を修了した後に博士号が授与されます。
修士課程同様に3年間全ての期間で研究を行います。
就職した学部卒・院卒・博士卒ごとの年収
ここでは、日本における学位ごとの給与の違いについて説明します。
厚生労働省の令和5年賃金構造基本統計調査によると、
・大学卒の場合:369.4 千円
・大学院修了の場合:476.7 千円
となります。
修士課程修了・博士課程修了に分けたデータは集計されていないため、あくまで目安です。しかし、学部卒と院卒では給与の差があり、生涯年収に開きが出ることがわかります。
参考:厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」
博士課程修了者は高い専門性が求められる
修士課程と博士課程では、研究活動を行います。
就活では学士と比べると修士の場合は2年、博士の場合は5年ほど遅れて社会に出ることになります。
そのため、即戦力としてのスキルを求められる場合が多く、専門性の高い知識を求められたり、研究活動を通して高い成果を残すことが求められます。
また、学部卒の人と比較した際に、英語力や更なる理論的思考力や問題解決力などのビジネススキルを求められる場合が多く、研究活動を進める際に特に意識して取り組む必要があります。
このように、就活で求められるスキルは課程を進めるほど高くなっていきます。
博士課程修了者の就職率は70.2%
文部科学省の「令和5年度学校基本統計」によると、博士課程を修了した直後に就職した人の割合は70.2%です。
平成24年から令和4年までは65~69%を行き来していたことを鑑みると、博士課程後に就職した人が少しずつ増えてきたことがわかります。
理系大学院生に人気の就職先ランキング
キャリタス就活「就職希望企業ランキング(大学院生・理系)」から、TOP10を紹介します。
学部卒のランキングと比較しても大きな違いはなく、理系学生に人気の企業は学部卒・院卒でおおむね同じです。
博士課程に進むメリット
博士課程に進むメリットとして最初に挙げられるのは、興味のある分野を深く追究できる点です。
学部や修士課程修了後の就職も可能ですが、博士課程では会社の利益やルールに制限されず、個人の裁量による研究が可能です。
納得するまで研究したい方には、就職よりも博士課程への進学が適しています。また、研究によって博士号を取得できる点も魅力です。
博士課程に在籍すれば、研究を通じてやりがいを感じられます。
自分の書いた論文が認められ、多くの人の目に触れる機会ができれば、大きな達成感を得られるはずです。
博士課程に進むデメリット
博士課程に進むデメリットも知っておきましょう。
博士課程では、主に一人または少人数で研究を進めるため、人間関係が狭くなりがちでコミュニケーション力を発揮する機会が少なくなります。
社会で必要なコミュニケーション力を磨けず、社会に出てから思わぬやりづらさを感じる人もいるかもしれません。
また、博士課程を修了しても、必ずしも就職できるという保証はありません。
大学に残る場合は数少ないポストに就くまでポスドクとして働くことになります。一般企業への就職活動では、特定の業界や企業、職種にこだわるのではなく広い視野で仕事を探すのが重要です。
博士課程に進むと、大学卒業後から修了までに最低5年以上かかるため、同世代とは社会で積むキャリアの差が開いてしまいます。修了後のビジョンが明確でない場合は、早めに進路をどうするのか方針を決めるようにしましょう。
博士課程に進学すると、入学費や授業料、研究費用などの経済的な負担が発生します。
奨学金制度や授業料免除制度があるものの、条件が設けられているケースが多く、すべての人が利用できるわけではありません。進学を希望する場合は、学費的にも実現可能かどうか検討してみましょう。
博士卒の就活時期
博士課程の採用スケジュールは、学部や修士課程とは異なる特徴があります。
一般的に、企業は年間スケジュールに沿って3月に広報を開始し、6月から選考活動を始めますが、博士課程の場合はこの指針の対象外です。
そのため、企業は自由に採用時期を設定できます。
一部の企業は学部・修士と同様のスケジュールを設けており、その場合はM2の頃から就活をスタートしましょう。
一方で、中途採用と同様に通年採用を行う企業もあります。志望先の具体的なスケジュールについては必ず確認しておき、エントリー時期を逃さないよう気をつけましょう。
学部卒・修士・博士の求人数の違い
新卒採用の求人が最も多いのは、やはり学部卒です。
学部卒はポテンシャル採用の側面が大きく、さまざまな職種や業界から募集があります。
しかし、近年は即戦力を求める中途採用の需要が増えており、新卒採用の求人数はやや減少傾向です。
修士や博士の場合は、専門職の求人が出されています。
博士や博士研究員は新卒だけではなく、中途としても採用されています。近年は企業もプロジェクトのリーダーシップを担う人材を求めて、中途採用を積極的に行っている傾向です。
文部科学省科学技術・学術政策研究所「民間企業の研究活動に関する調査 2022年度調査結果」によれば、博士課程修了者(9.3%)よりも修士課程修了者の採用割合(約40%)が高くなっています。
博士課程修了者はポスドクなどで大学に残る人も多いため、求人数としては学部卒>修士卒>博士卒となります。
博士課程修了後のキャリア
博士課程修了者の多くが研究職を目指す
博士号を取得した人の多くが職種を大学教員や研究職を選んでいます。
研究職を選ぶ場合、企業での研究職の他に公的機関の研究職があります。
公的機関での研究職を選ぶ場合、国家公務員総合職試験への合格が必要になります。
また、中には超難関コンサルティングファームから内定を勝ち取る人もいます。
しかし、コンサル業界を含め、多くの文系企業は、研究の成果を出したからといってビジネススキルやポテンシャル評価には繋がらないため、研究活動と同時に求められるスキルを身に付ける必要があり、忙しい日々を過ごすことになります。
ポスドクとして研究生活を進める
大学教授になるまでには、博士課程修了後にポストドクターとして大学で2~3年ほどの任期付きで働く必要があります。
ポストドクターの期間に研究の成果を残すと助教、次に講師、准教授、教授という順にキャリアを進めていきます。
つまり、大学教授になるまで多くの年月がかかり、教授になれる人もかなり限られています。
民間企業・公的機関への就職
博士課程修了者には、公的研究機関や民間企業の研究職・技術職になる道もあります。
特に大手製造業では、博士号取得者を積極的に採用して、将来の研究開発を担う人材の確保に力を入れている傾向です。
専門分野が完全に一致しなくても、応用可能な領域であれば、チャレンジする価値は十分にあります。
医療機関や海外企業で活躍する道も
博士課程修了者には、医療機関や海外企業で活躍する道もあります。
製薬業界では、博士課程修了者を研究職として採用しており、需要が高まっています。
薬剤師免許を持つ博士号取得者は、民間の製薬会社で薬の研究開発に関われるケースも多いです。
また、病院薬剤師の職場でも、博士号取得者は昇進の機会に恵まれることもあります。
海外企業での活躍も1つの選択肢です。
欧米諸国では博士号に対する社会的評価・給与水準が高く、キャリアパスも日本より整備されています。
日本の企業にこだわらなければ、博士号取得者として専門分野での活躍の可能性が広がるでしょう。
博士課程修了者は就職できないと言われる理由
修士卒よりも求人数が少なく就職率が低い
博士課程修了者が就職できないと言われる理由の1つ目は、博士課程修了者を対象とした求人数は修士課程修了者よりも少なく、就職率も低いためです。
博士号を取得したとしても、必ずしも研究職に就職できるわけではありません。
理系の強みは専門性ですが、博士課程修了まで突き詰めると、就職の間口が狭まるデメリットがあります。
企業は人件費のかかる博士卒の採用に慎重
博士課程修了者が就職できないと言われる理由の2つ目は、企業は人件費のかかる博士卒の採用に慎重だからです。
理系の就職先では、学部卒・修士卒・博士卒では初任給が異なる傾向にあります。
学士ではポテンシャル採用ですが、修士取得者は適度に専門性を兼ね備えているため、採用担当者にとって魅力的な人材です。博士号取得者は専門性を深めている反面、高額な給与を支払う必要があるため、企業は採用を慎重に行います。
専門分野外での就職の道が限られる
博士課程修了者が就職できないと言われる理由の3つ目は、専門分野外での就職の道が限られるためです。
博士課程修了者は専門性が高い分、学部卒・修士卒と比べて分野外での就職が難しい傾向にあります。
専門性や理系の素養を別のフィールドで活かす道もあります。しかし、長年研究をしてきただけに、企業も博士課程修了者を専門外のことに取り組む人材としては見づらい点は事実です。
大学教員のポストは狭き道
博士課程修了者が就職できないと言われる理由の4つ目は、大学教員のポストは狭き道だからです。
博士号取得者の数に対して、大学の常勤ポストの数は十分ではありません。
博士号取得者の中には、ポスドクなどの任期付きの教員ポストを繰り返し経験しながら、職に就けないでいる人が多くいるのが現状です。
学部卒の同世代とはキャリアに差が出ている
博士課程修了者が就職できないと言われる理由の5つ目は、学部卒の同世代とはキャリアに差が出ているためです。
博士号を取得するまでには、最短でも学部卒から5年が必要です。
最速で博士号を取得しても、その時には27歳になっています。
博士課程修了者は学部卒で就職した同期と比べて5年社会に出るのが遅れている上に、社会経験もありません。
就職後の初任給や、その後の年収にも差が出てくるでしょう。
博士課程修了の強みとは
高い専門性が身についている
博士号は、1度取得すれば一生有効な学位です。
徹底的に1つのテーマを研究するため、非常に高い専門性が身につきます。
特に将来性のある専門分野では、長期的に見れば就職や生涯年収においても有利になるでしょう。
就職先で即戦力になれる
博士課程修了者は就職先で高度な専門性を求められるため、即戦力として活躍できます。
専門性以外にも、研究を通して身につく論理的思考力・課題解決力・データ分析力は、仕事をする上で役立つスキルです。
企業にとっても、ポテンシャルを買われる学部卒と比較して人材育成のコストがかからない博士課程修了者は魅力的です。
1つのことを追求するスキルがある
博士課程修了者は、研究生活で1つのことを追求するスキルが身につきます。
たとえば、研究職に就いた場合は企業が設定した目標に沿って研究を行います。
すぐに結果が出ない長期的な研究に取り組むには、コツコツと1つのことに向き合う継続力が必須です。
その点、5年を研究に費やしてきた博士課程修了者は粘り強く目の前のことに取り組む力を備えた人材です。
人生終了しない!博士課程修了者の就活のコツ
大学の研究室やキャリアセンターを活用
博士課程修了者が就活する時は、教授に相談することも一つの方法です。
研究室によっては、教授が企業とのコネクションを持っています。
紹介を受ける場合は、基本的に後から断ることが難しいため、その企業について自分でよく調べてから選考を受けましょう。
また、大学のキャリアセンターを活用することもおすすめです。
大学のキャリアセンターには、博士課程修了者向けの求人情報が届いている可能性があります。特に、以前に修了者が採用された実績のある企業からは、他では見つけることのできない魅力的な求人情報が届くこともあります。
キャリアセンターの職員と積極的にコミュニケーションを取ることで、優先的に紹介してもらえるかもしれません。
民間企業や公務員の求人を頻繁にチェック
企業のWebサイトや求人サイトを定期的にチェックして、博士課程修了者対象の求人が掲載されていないか見ることも大切です。
数は少ないですが、定期的に情報を確認する習慣をつけておけば、魅力的な条件の求人に出会える可能性も上がります。
民間企業や公務員の求人を頻繁にチェック
企業のWebサイトや求人サイトを定期的にチェックして、博士課程修了者対象の求人が掲載されていないか見ることも大切です。
数は少ないですが、定期的に情報を確認する習慣をつけておけば、魅力的な条件の求人に出会える可能性も上がります。
研究の内容だけでなく過程もアピールする
博士課程修了者は、就活で自身の研究についてアピールします。
その時は、研究の目的や方向性、実験・調査手法の選択理由だけでなく、プロセスについても説明することが重要です。
研究の過程を説明すれば、どんな障壁がありどんな方法で乗り越えたのかを伝えられます。研究の内容とともに、自分の考え方を採用担当者にアピールしましょう。
また、専門外の人も同席する可能性があるため、専門用語を避け、わかりやすい言葉で表現することが求められます。
英語力はどんな分野でも使えるスキル
博士後期課程では、英語論文の執筆や国際学会での研究発表の機会があります。
たとえTOEIC スコアが高得点でなくとも、せっかく培った英語力や英語によるコミュニケーション能力を示すことが重要です。
英語の研究活動には、一定以上の英語力が不可欠です。
英語はどんな分野でも活かせるスキルなので、しっかりアピールしましょう。
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TECH OFFER(テックオファー)は、理系専用のため、KDDIや東京エレクトロン、積水化学といった大手企業から中小企業まで、技術系の職種を中心にスカウティング(面談や早期選考案内の声掛け)が活発です。
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国による博士課程学生の支援プログラム
博士課程学生には、活用できる支援プログラムがあります。
研究者志望の博士課程学生におすすめなのが、特別研究員制度です。
特別研究員制度は、優れた若手研究者に対して研究に専念する機会を与える制度です。
特別研究員に採用されると、2年もしくは3年間、研究奨励金や科研費の提供を受けられ、生活の不安を軽減した上で研究に専念できます。
特別研究員に採用されること自体が1つの業績となるため、研究者志望の博士課程学生にはおすすめです。
また、文部科学省の次世代研究者挑戦的研究プログラムの一環で、博士課程学生に生活費総同額の研究費支援とキャリアパス整備を行う「SPRING・フェロー事業」も行われています。
参考:文部科学省 「博士後期課程修了者の進路について」
まとめ
研究が好きで突き詰めたいと思って博士課程に進んだ後、その後のキャリアに悩んでいる人も多いと思います。
今回は、博士課程修了者の就職について解説しました。
博士課程修了者は、自分次第で思い思いのキャリアを積んでいける力を持っています。
これまでの経験を活かして、自分らしいスタイルでキャリアを描いていきましょう!