21卒学生の就職活動の傾向

コロナの影響

昨年3月末からコロナウィルスの流行は、その後いったん下火になったものの第2波、第3波と続き、いまだに猛威を振るっています。そのため、コロナの影響を考えてWEBなどを利用した就職活動を積極的に取り入れる企業と、以前と同じ方法で行う企業が混在する結果となりました。
しかし、アンケートの結果を見ると、コロナによる就職活動への影響は限定的であったといえるでしょう。WEBなどの新しい就活方法はメリットを感じている学生も少なくなかったようです。一方、コロナ下での選考フロー(リアル接点)などは、不満につながる可能性もあることがデータで確認できました。

業界・職種選びについて

理系学生の業界・職種選びでは自身の専門や素養を活かしたいと考える学生が多く、企業選びについても93%が専門・素養に関係した就活を行っていたことが分かりました。
また、企業より個別対応での声掛けや、丁寧な対応が学生の満足度につながり、入社意欲を高めることが多くの学生の回答より明らかとなっています。

JOB型採用の希望者が多い

採用配属先と配属職種が決定されていることが最も嬉しいと答えた学生は半数を超え、その他一定の条件も含めて97%の理工系学区制がJOB型採用を希望していることが明らかになりました。そのことからも、JOB型採用を行っている企業に人気が集まることが今後も予想され、企業側も何かしらの対応をするようになるのではないかと考えられます。

理工系学生アンケート回答者属性

今回のアンケートは2020年8月7日に行い、259名から回答がありました。内訳は学部27名、修士229名、博士3名となっています。
理工系では全体的に修士課程に進学する学生が多く、今回のアンケートでもその傾向が強いことが分かります。特に研究職を目指す学生にとっては、学部卒よりも修士課程を修めた方が有利であることも影響しているのではないかと考えられます。

就職活動における新型コロナの影響

就職活動における新型コロナの影響について、複数回答(最大3つ)で尋ねたところ、コロナの影響による就活のWEB化はプラスに働いたことが分かりました。特に「旅費・交通費」「移動時間」の削減をあげた学生は64.1%となっており、地方在住の学生にとってはメリットが大きいと考えられます。
なお、やりやすかった理由としては緊張しにくい、やりにくかった理由としては手ごたえがない、不慣れだったなどが挙げられています。

志望業界の決定時期

志望業界の決定時期については、理工系修士進学者の多くが夏以降に、秋までには7割が決定しています。また、学部生でも1年の時点で、修士生でも学部3・4年で決定している学生もおり、早い時点で志望する業界について決める学生もいることが分かりました。

仕事選びへの影響要素

仕事選び(業界、職種)に影響する要素

大学での所属・専攻に関する業界・職種を選んでいる学生が27%と最も多く、続いて先輩の就職業界・職種、大学時代の体験となっています。

親の意見

自身の就職活動や仕事選びに関して、親の意見の影響はなかったと答えた学生は65%と最も多くなっています。一方で35%は何らかの影響があると答えています。「あった」「かなりあった」という学生も約1割程度いることが分かりました。

JOB型採用に対する意識

JOB型採用については、97%の理工系学生が希望しており、特に配属先と職種が決定している採用を歓迎する学生が半数を超えていることが分かりました。これは業界や職種を選ぶ際の理由と合致しており、就職後に希望する職種で活躍したいと考える学生が多い事がうかがえます。
一方、現状の採用を選ぶ学生は2.7%と非常に少なく、就職後の仕事内容が希望と異なることでモチベーションが下がる可能性を示唆しているともいえるのではないでしょうか。

理工系21卒学生の就活実態

会社説明会・企業イベントへの参加

21卒就活では会社説明会や企業イベントがWEBで実施されることもあったことから、リアルとWEBの両方に参加した学生が増えたことにより、例年よりも説明会への合計参加社数が多くなっていた可能性があります。
それぞれの内訳を見ると、どちらも説明会への参加は1~5社が多くなっていますが、リアルではWEBよりも説明会に参加する社数が少なくなる傾向にありました。

<WEB開催>

<リアル開催>

就活初期の企業とのWEB交流内容

企業とWEBを通しての交流について「参加しやすさ」と「形式・内容」について尋ねたところ、個別面談を希望する学生が45%と最も多く、個別面談+座談会では62%に上りました。密で濃く、丁寧な出会いを求める学生が多い事がうかがえます。
一方、匿名性の会社説明会を選んだ学生も31%おり、参加しやすいのは個人が特定されない方法だという事がわかります。

面接を受けた会社数

面接を受けた会社数では5~10社で47%(約半分)を占める結果となりました。その中でも割合としては5社が一番多いと考えられます。ある程度、数を絞り面接に臨んでいることが分かります。

就職活動のスタイル

就職活動のスタイルを複数回答で尋ねたところ、業界・職種選びの軸の結果と同様、理工系学生の93%は自身の専門や所属の素養に関係した就活を行っていることが分かりました。

推薦の活用状況

理系特有ともいえる学校・学科推薦および教授推薦を積極的に活用したと答えた学生は4%でした。自由応募との併用も32%と、全体としては少数派といえます。一方、活用しないと答えた学生は64%となっています。

理工系21卒学生の就活意識

就職の決め手

最も多かったのが「社風・社員の雰囲気」で、35.5%、次いで「仕事のやりがいを感じられそうだから」が30.5%でした。「興味がある業界だから」や「給料・福利厚生が良い」という意見が3位と4位でしたが、より働きやすくやりがいを求める学生が多い事が分かります。勤務地については5%と低めで、優先順位としては低くなっています。(※就活終了段階での学生の回答結果)

就活での不便・煩わしい点

就活で煩わしい、不便だと感じた点を複数回答で尋ねたところ、一番多かった答えは「興味や関心のない企業からの大量のリクルートメール」でした。2位は「就活サイトへの登録とES記入」、3位は「研究や論文などの時間が奪われる」という結果に。

面接方法

WEB面接と訪問による面接のどちらが良いと感じますか?(2択or自由記入)という質問に対しては、WEB面接とリアル面接は拮抗する結果となりました。自由記入で「初期はWEB面接という使い分け」を記入した学生が多いことから、潜在的にはこのような方法を希望している可能性が高いことがうかがえます。

厳選!理系就活生におすすめサイト 

メジャーなナビサイトを始め、企業研究やエントリーシート作成・逆求人サイトまで様々な就活サービスがありますが、それぞれ特徴があります。目的に合わせて各媒体を使い分けるのがおすすめです。

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理工系学生に特化した逆求人サイトです。大手企業から中小企業まで、技術系の職種を中心にスカウティング(面談や早期選考案内の声掛け)が活発におこなわれており、オファー理由が明示されるので業界・企業研究、志望動機形成に役立ちます。

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OfferBox(オファーボックス)

逆求人サイト最大手で、使いやすさや利用企業数・質ともに非常に優秀なサイトです。エントリー前に、スカウトが届いた企業とチャットを使って話すことができるのが大きなメリットですが、理系採用企業は一部に限られるので注意が必要です。

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キミスカ

逆求人サイトとしてこちらも有名です。利用企業数はOfferBoxに劣りますが、企業からの本気度のわかりやすい3種類のスカウトと精度の高い適性検査が魅力のサイトです。無料の適性検査が受けられ、各能力の測定値が出るだけでなくそれぞれの項目に長文のコメントが付き、「よく当たっている」と精度の高さも評判です。ただし、こちらも理系採用企業は多くありません。

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理系マイナビ

理系学生向けに作られたマイナビの理系版で、進路・就活ガイドブックをはじめ、理系の仕事研究など就活ノウハウがたくさん紹介されています。大きな特徴はスカウト機能があること。自己PRをもとに企業側からスカウトメールが送られてくることがあります。

理系マイナビ

理系ナビ

理系学生に特化したインターンシップ、就活情報サイトです。総合的なサイトにはない理系特有の就活情報をもとに、キャリアプランについて考えながら就活を進めることができます。キャリアスクールというイベントは、セミナーやグループワークを通して企業理解や職種理解を深めることができるので有用です。また、キャリア相談を利用することで、就活の方向性が定まっていないという方でもコンサルタントと一緒にキャリアプランを立てることが可能です。

理系ナビ

まとめ

  • 1.コロナの理系学生の就職活動への影響は限定的であり、学生は新しい就活方法にメリットも 感じている一方で、コロナ下での選考フロー(リアル接点)などは不満につながる可能性もあることが データで確認することができました。
  • 2.理系学生は専門職種と素養を活かしての就職が93%であり、個別対応での声掛けや、丁寧 な対応をしてもらえることが満足度につながり、入社意欲を高めることが生の声から明らかとなりました。
  • 3.理系学生においてはJOB型採用を望む声が大きく、従来型の採用希望者は2.7%にとどまる ことから、理系学生の採用企業は徐々にJOB型採用を検討していく必要性があることがうかがわれました。




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