2023年卒 理系学生に人気のインターンシップ企業ランキングを紹介

2025年卒の就活から採用直結型のインターンシップが、政府が定める就活ルールで認められる見込みです。そのため、今後ますますインターンシップを実施する企業も参加する学生も増えることが予想されます。

本記事では、インターンシップの種類や目的、実施する際の手順と合わせて、2023年卒の学生に人気だったインターンシップ企業を紹介します。

インターンシップとは

インターンシップは学生にとって、実際の業務をや職場の雰囲気を体験できる非常に重要な機会です。一方で、企業側にとっても学生に自社の概要や職種への理解を深めてもらうだけでなく、早期に学生と接触できることから、人材確保に有効な手段となっています。

インターンシップの種類

インターンシップは、実施する期間によって「1DAYインターンシップ」「短期インターンシップ」「長期インターンシップ」の3つに分けられます。

1DAYインターンシップ

数時間〜1日で実施するインターンシップ。本来、インターンシップは企業が学生に就業体験の場を提供する制度です。しかし、近年では新卒採用の手段として、1DAYインターンシップを実施する企業が増えました。
プログラムの内容は、主に「会社説明会・セミナー形式」「ワークショップ・プロジェクト形式」「見学・体験形式」に分けられます。

■会社説明会・セミナー形式

企業の業務内容や業界の状況などの説明が主な内容のプログラム。

■ワークショップ・プロジェクト形式

企業の業務に関連したテーマが与えられて、その課題に対する解決策について、グループディスカッションやプレゼンテーションを行うプログラム。

■見学・体験形式

オフィスや工場などの仕事現場の見学や、職場で実務を体験するプログラム。

1DAYインターンシップは、1日で完結するため時間がない学生も気軽に参加でき、企業も負担が少ないというメリットがありますが、一方で内容が浅くなりがちです。

短期インターンシップ

3日〜数週間程度の期間で実施されるインターンシップ。大学の夏休みを利用したサマーインターンシップや冬休みのウインターインターンシップが代表的です。企業によっては宿泊を伴って開催する場合もあります。

企業概要や業務内容の説明といった座学から、グループワークや実際の業務体験までを経験できるプログラムが一般的です。

参加する学生にとっては、どのような業務内容なのかや職場や社員の雰囲気などを確認できるメリットがあります。一方で、企業は学生のコミュニケーション力や思考力を見ることができるのが大きなメリットです。

長期インターンシップ

3か月以上の期間で行われるインターンシップで、企業によっては半年以上のこともあります。社員と同様の業務を行うケースが多く、給与が支払われます

学生が長期インターンシップに参加するメリットは、実際の業務をじっくりと体験し、内容が把握できるとともに、社会人としてのスキルやマナーが身につくなどです。

企業側のメリットとしては、学生の人柄や能力をしっかりと見極めて、入社後に活躍できる人材かどうか判断できる点でしょう。終了後にそのまま就職する学生が多いのも、長期インターンシップの特徴です

インターンシップを実施する目的

企業がインターンシップを実施する目的には、主に次の3つがあげられます。

学生と早期に接点を持つ

政府は経済団体などに、3月1日以降の広報活動開始、6月1日以降の採用選考活動開始、10月1日以降の内定日といった採用活動のルールを要請しています。しかし、優秀な学生を早期に囲い込みたい企業は、採用スケジュールを年々早期化させています。

企業がインターンシップを実施する目的のひとつが、学生と早期に接点を持つためです。インターンシップを就職活動が本格化する前に実施することで、企業は早い段階で学生と接触できます。

経団連と大学で作る産学協議会は、2025年卒の就活からインターンシップに参加した学生の情報を採用選考に利用するのを認める要望を政府に提出していて、今後は採用直結型のインターンシップを実施する企業が増えると予想されます。

人材育成によって入社後すぐに活躍してもらう

長期インターンシップや内定者を対象としたインターンシップでは、学生に社員と同様の業務を任せることがあります。このような場合には、採用したい学生が入社後できるだけ早い時期に即戦力となって活躍できるように、人材育成の視点でさまざまなことを学ばせます。

ミスマッチによる早期離職の防止

新卒採用の3割が3年以内に離職してしまうと言われており、人手不足かつ採用難の状況の中で、早期離職防止が大きな課題となっています。早期離職は、職業選択や企業選択のミスマッチなどが原因です。

インターンシップに参加することで学生は、実際の業務を体験し、職場の雰囲気を感じることができます。また、企業側は自社と学生の相性をしっかりと見極める時間が取れます。そのため、ミスマッチによる早期離職の防止もインターンシップの目的のひとつです。

インターンシップのメリットとデメリット

インターンシップのメリットとデメリットを企業側と学生の視点でそれぞれ紹介します。

企業側のメリットとデメリット

■メリット

①短時間の面接試験では把握が難しい価値観や能力、行動パターンなどを確認できる
②自社の事をより多くの学生に知ってもらえる
③能力や意欲の高い優秀な学生を発掘できる
④職場内に学生がいることで社員のモチベーションが向上する
⑤学生をフォローすることで、社員は日頃の仕事を振り返ることができる

■デメリット

①インターンシップの受け入れに協力する社員の負担
②プログラム内容の検討や打ち合わせ、学生を受け入れる体制の整備など事前準備の負担
③インターンシップ中の事故やケガなどの対応
④プログラム内容や現場の雰囲気によっては志望度を下げてしまうこともある

学生のメリットとデメリット

■メリット

①早期に内定獲得できる可能性がある
②仕事の役に立つスキルや知識が身につく
③入社前に実際の業務内容や職場の雰囲気を知ることができる
④インターンシップで経験したことが自己PRになる
⑤長期インターンシップの場合には報酬を受け取れる

■デメリット

①選考に通らないと参加できない
②長期インターンシップの場合には学業との両立が難しい
③1DAYや短期のインターンシップでは、企業の理解が深まりにくい
④マイナスの印象を持たれてしまう可能性もある
⑤インターンシップの参加が必ずしも内定につながるわけではない

2023年卒 インターン人気企業ランキング

就職活動を行っている学生は、どのような企業のインターンシップに参加したいと思っているのでしょうか。「Rakutenみん就」が23年卒業予定の学生を対象に調査したインターン人気企業ランキングでは次のような結果となっていました。

総合ランキング

順位企業名前年順位
1位ニトリ(1位)
2位味の素(3位)
3位伊藤忠商事(5位)
4位楽天グループ(9位)
5位花王(8位)
6位アクセンチュア(13位)
7位アサヒ飲料(2位)
8位サイバーエージェント(6位)
9位サントリーグループ(10位)
10位旭化成(26位)

理系ランキング

順位企業名総合順位
1位ソニー14位
2位ニトリ1位
3位味の素2位
3位旭化成10位
5位NTTデータ13位
6位花王5位
7位アンセンチュア6位
7位トヨタ自動車24位
9位伊藤忠商事3位
10位楽天グループ4位
10位サントリーグループ9位
10位野村総合研究所(NRI)40位

業界別(電機・機械・材料)

順位企業名総合順位
1位ソニー14位
2位アイリスオーヤマ22位
3位トヨタ自動車24位

業界別(医薬・化学・化粧品)

順位企業名総合順位
1位花王5位
2位旭化成10位
3位資生堂11位

業界別(食品・農林・水産)

順位企業名総合順位
1位味の素2位
2位アサヒ飲料7位
3位サントリーグループ9位

業界別(情報処理・システム)

順位企業名総合順位
1位楽天グループ4位
2位NTTデータ13位
3位LINE28位

業界別(通信・ネットワーク)

順位企業名総合順位
1位ソフトバンク52位
2位NTT西日本57位
3位NTT東日本93位

参考:Rakutenみん就「2023年卒 インターン人気企業ランキング」

インターンシップ実施までの手順

最後に、企業がインターンシップを実施する際の手順について説明します。

目的の明確化

最初にインターンシップを実施する目的を明確にしましょう。目的を持たずにインターンシップに学生を集めても、成果が得られないばかりか、参加した学生にも良い印象を与えません。

インターンシップ実施の目的は企業によって異なると思いますが、前述した通り大きく分けると3つです。

  • 学生と早期に接点を持つ
  • 人材育成によって入社後すぐに活躍してもらう
  • ミスマッチによる早期離職の防止

これ以外にも、自社への志望度を高めることや自社のブランディング、優秀な学生を発掘するなどのケースもあります。目的が明確になったら、どのような学生にアプローチするのかを検討します。

プログラムの決定

インターンシップの目的とターゲットとなる学生が決定したら、どのようなプログラムが学生の興味をひくことができるかを頭に描きながら、インターンシップの期間やプログラムの内容を企画します。

■ 実施期間
  • 1DAYインターンシップ
  • 短期インターンシップ
  • 長期インターンシップ
■プログラムの内容
  • 会社説明会・セミナー形式
  • ワークショップ・プロジェクト形式
  • 見学・体験形式
  • 実際の業務を行う

実施期間が短ければ、気軽に参加できので学生の応募は多くなります。実施期間が長ければ、本格的な業務が体験できるので、学生の成長や社員との関係づくりが期待できます。一方で、参加するハードルが高くなってしまいます。それぞれのメリットとデメリットを考慮してプログラムを企画しましょう。

担当部署や担当社員の選定

社内のどの部署でインターンシップの学生を受け入れて、担当社員を誰にするかは非常に重要なポイントです。学生に体験させたいことと現場が対応できる範囲を両立させながら受け入れ先を決定しましょう。

担当部署や担当社員の選定ができたら、関係者に周知してスケジュールを調整します。

募集方法を決める

インターンシップの実施概要が決まったら、募集方法を決定します。募集方法には就職情報サイトや自社のホームページ、大学のキャリアセンターなどでの告知があります。

実施後のフォロー

インターンシップを実施した後には、参加した学生に良かった点や改善した方が良い点を伝えましょう。自社に入社してもらうことだけを目的とせず、学生のこれからのキャリア形成についてアドバイスができると、好印象につながります。

また、多くの学生から応募があり選考を行った場合には、インターンシップの不参加は採用上の不合格では無い旨をしっかりと伝えておきます。

まとめ

インターンシップは、早期に学生に接触することや即戦力人材の育成、入社後のミスマッチ防止など企業にとってさまざまメリットがあります。

一方で、受け入れる部署や社員の負担やプログラムの内容によっては、学生の志望度を下げてしまうなどのデメリットもあります。ただ学生を集めるだけでなく、企業にとっても学生にとっても、成果が期待できるプログラムを企画することを心がけましょう。