理系採用の第一歩は母集団形成!母集団形成の課題と対策

近年、DXの推進などを背景に理系人材の需要が高まっていて、新卒理系学生の採用が難しくなっていると言われています。理系採用を成功させる第一歩は、良質で十分な数の母集団を形成することです。

なぜ採用活動において、母集団形成が重要なのでしょうか。本記事では母集団形成のメリットや方法、母集団形成における課題や対策方法などをご紹介します。

母集団形成の重要性

採用活動を成功させるには、母集団の形成が重要と言われています。母集団を形成するメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。

母集団とは?

統計学などでは、調査の対象となる集団全体の事を「母集団」と呼んでいます。一方で、採用活動での母集団は、「自社の求人や仕事内容に興味を持ち、応募してくれる可能性のある人の集団」を指します。

注意すべき点は、応募してくれた人だけでなく、今後応募する可能性のある人も母集団に含まれることです。

書類選考、筆記試験、面接試験と選考を進めて、人材を絞り込んでいくため、採用選考においては母集団の形成が不可欠です。

母集団形成は、単に人数を集めればよいというものではありません。将来、社員として会社に貢献してくれそうな人材であることが大切です。そのためにも、母集団形成する際には、自社の採用ニーズにできるだけマッチした人材を集めることを意識する必要があります。

目標となる人数の母集団を形成できても、自社の採用要件にマッチした人材ではなかった場合、結局は採用できる人材は少なくなってしまいます。また、質の高い人材が集まったとしても、人数が少なすぎると必要な人員を採用できません。そのため母集団を形成する際には「量」と「質」の両方を満たすことが重要となります。

母集団形成のメリット

採用活動における母集団形成には、次のようなメリットがあるため重要と言われています。

計画的な人員採用

企業が継続的に成長するには、経営戦略に沿った中長期的な人員計画が不可欠です。人員計画を組まずに採用活動を行った場合には、採用目標を達成できず人手不足になり、配置したい部署にマッチした人材がいないといった事態に陥る可能性があります。

母集団形成は採用活動初期の重要なポイントです。母集団形成がうまく進んでいない場合には、結果的には目標としている人員を採用できなくなります。母集団形成の段階で、採用戦略の見直しや施策の強化や追加を講じることができれば、採用の成功率を高めることが可能です。

採用予算の適正化

母集団形成は、採用活動の中でも最もコストがかかるプロセスです。母集団形成には、就職情報サイトや人材紹介サービスなどを利用するケースが多く、掲載料や紹介料などの採用コストが発生します。

母集団形成を意識せずに、無計画に採用活動を進めた場合には、当初の採用予算とは異なる余分なコストが発生することも考えられます。母集団形成の目標を持つことで、獲得したい応募者数とコストを算出し、実績を把握することで最適な採用手法を検討できます。

採用のミスマッチを防ぐことができる

母集団形成は、自社の採用要件にマッチした人材を集めることが重要です。つまり、エントリーの段階で、求めるスキルや知識を持っていない人材や、自社の社風に合っていない人材を見極めることができます。

自社の要件にマッチした人材を採用することは、結果的にミスマッチを防ぎ、入社後の定着と活躍が期待できます。

母集団形成の方法

母集団形成には、次のような方法があります。

就職情報サイト

さまざま業界、職種、地域の求人情報が掲載されていて、就活学生のほとんどが利用しています。企業の概要や求人情報の掲載の他、エントリーや説明会やセミナーの予約などの機能も豊富です。就職情報サイトには、リクナビやマイナビなど大手サイトの他にも、地域や職種などに特化して、情報を掲載しているものもあります。

メリット

  • 登録している学生数が多いため、地域を限定せず広く求人情報を見てもらえる
  • サイト上でエントリーから選考の案内まで等、学生とやりとりできる

デメリット

  • エントリーの有無に関わらず掲載料がかかる
  • 大手企業も含め多数の求人が掲載されているため情報が埋もれやすい

合同企業説明会

合同企業説明会は、複数の企業が一つの会場に集まって、来場する学生に自社の説明をする採用イベントです。多数の来場者が見込まれるため、単独で会社説明会を開催するより効率的に母集団形成が可能です。合同企業説明会には、民間の就職情報会社や地域の商工会議所、ハローワークなどが主催するものがあります。

メリット

  • 就職活動を行っている学生と直接話せる
  • 自社に興味が無かった学生にもアプローチできる
  • 競合他社のアピール方法を見ることができる

■デメリット

  • 規模が大きい説明会では、上手くアピールできないと埋もれてしまう
  • 自社が求める人材とは異なる学生が集まる可能性がある
  • 自社のブースに誰も立ち寄らなくても参加費はかかる

大学や研究室への訪問

理系学生は大学や研究室の教授からの推薦を受けて、就職企業を決めるケースがあります。そのため、社員の母校へ訪問して大学や研究室との関係を築くことで、学生を紹介してもらえる可能性があります。

■メリット

  • 特定の分野を専攻している学生に直接アプローチできる
  • 学内セミナーに参加できたり、単独セミナーを学内で開催する際に教室を貸してもらえるなど配慮が期待できる

■デメリット

  • 新たに関係を築くには時間がかかる
  • 訪問する時間や交通費などの負担が大きい

ダイレクトリクルーティング

ダイレクトリクルーティングは、企業が直接学生にオファーを送りアプローチする採用手法です。一般的な新卒の採用活動では、企業に興味を持った学生からアクションを起こしますが、ダイレクトリクルーティングでは、学生が登録しているデータベースに企業から、直接オファーを送ることができます。

なお、ダイレクトリクルーティングのサービスの中には理系採用に特化したものもあります。「TECH OFFER」は、新卒理系学生に特化したダイレクトリクルーティングのツールです。0,000件の研究室データベースと100万件の技術キーワードから自社にマッチした学生にオファーを出せます。

■メリット

  • 直接ターゲットとなる人材に自社の魅力をアピールできる
  • 研究室で忙しく就職活動ができない理系学生にも直接アプローチできる

デメリット

  • データベースからターゲットとなる人材を検索して、スカウト文を送るなど工程が多い

他にも、自社の採用ホームページやSNS、リファラル採用など、採用手法にはいろいろな施策があるので、自社の採用戦略や採用予算に合わせて選択し母集団形成を進めましょう。

母集団形成の課題と対策法

母集団形成における課題は、大きく「母集団の数の課題」と「母集団の質の課題」の2つに分けられます。

母集団が形成できない

採用目標を達成するには、一定数以上の母集団を形成する必要がありますが、人数が多ければ多いほど良いというものではありません。母集団の人数は、採用目標から逆算してどのくらい必要かを検討する必要があります。

適正な母集団の大きさを把握する

母集団が少なすぎると、採用目標を達成できなかったり、やむを得ずターゲットとは異なる人材を採用しなければならないなど、さまざまな問題が発生する可能性があります。

逆に母集団が大きすぎると、候補者への対応や絞り込みに時間や手間を取られて採用活動に遅れを生じてしまいます。まずは、自社の適正な母集団の人数を検討しましょう。

ターゲットに合わせた方法を選ぶ

ターゲットによって母集団形成の方法を選ぶことが必要です。例えば理系学生であれば、大学や研究室の推薦で就職先企業を決めるケースがあることから、大学や研究室との関係づくりは有効です。

一方で、文系学生の場合には、自分で応募先企業を探す学生がほとんどなので、理系学生の採用ほど大学や研究室への訪問は効果が期待できません。

母集団を確保するには、前章で紹介した施策の中で、自社のターゲットに効率的に接触できる方法を選択することが重要です。ただし、いろいろな施策に取り組むと採用担当者の業務負担を増やしたり、採用コストがオーバーする原因にもなるので注意が必要です。

採用スケジュールを考慮する

新卒採用の場合には、ほとんどの企業が一斉に採用活動をスタートするため、他社よりスタートが遅れるとエントリーが集まらない、優秀な人材には他社が先に内定を出してしまうなど採用活動の失敗につながります。

事前にいつからどのような方法で母集団形成を行うのか採用スケジュールを綿密に立てることが重要です。

なお、理系学生の場合には3年生の後半から研究室に所属するケースが多く、就職活動を行える時間があまりありません。理系学生採用を成功させるには、理系学生に合わせて柔軟に採用スケジュールを立てることが大切です。

ターゲットとマッチしない

母集団形成の目的は、自社に興味を持ち応募してくれる可能性のある人を集めることです。しかし、自社のターゲットにマッチした人材の母集団を形成しなければ、採用目標は達成できません。

ターゲットが明確に定まっておらずに、単純に母集団の人数を集めるだけでは、選考で絞り込むための費用や手間が大きくなる可能性があります。

ターゲットにマッチした母集団を形成するには、自社が求める人物像を明確にして、学生に情報を伝えることが重要です。求める人物像を明確に提示することで、学生が自らマッチしているかミスマッチかを判断する材料となります。

まとめ

自社の採用要件にマッチした人材を必要な人数で採用するには、「数」と「量」ともに十分な母集団を形成することが必要です。母集団形成には、計画的な人員採用や採用予算の適正化、採用のミスマッチを防ぐなどのメリットがあります。

母集団を形成するには、ターゲットに合った施策を選ぶことが大切です。自社の採用戦略に合った施策で、良質で必要な人数の母集団を形成しましょう。