理系採用に苦戦する企業が今すぐ実践すべき学生へのアプローチ方法とは?

理系採用に苦戦する企業が、今すぐ実践すべき学生へのアプローチ方法とは?

近年、理系学生の採用需要が高まっています。一方で、理系学生の数は年々減少していて、企業間の採用競争が激化しています。
理系学生は、大手企業を志望する傾向が強く、中小企業の採用担当者の方は、理系学生の採用に苦戦しているのではないでしょうか。

今回は理系学生の採用に苦戦する要因と、理系採用のために実践すべきアプローチ方法について解説します。新卒の理系採用を専門にしているTECH OFFERが解説していますので、ぜひ参考にしてください。

企業から理系人材が求められている背景

経済産業省が、IT技術を活用して新たなビジネスを創造したり、既存の業務をデジタル化して効率化を目指すDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進していることもあって、近年は多くの企業でDX化が進められています。そのため、採用市場ではDX化を担うIT人材の需要が高まっています。

経済産業省によると将来的に40〜80万人の規模でIT人材が不足すると試算されています。今後市場の拡大が予想される、ビッグデータや人工知能、IoTなどの分野に対応するために、企業は今後ますます理系人材の採用を積極的に行っていくでしょう。

理系採用に苦戦する4つの要因

少子高齢化による学生数や労働人口による人手不足などの理由で、就職求人市場は売り手市場が続いています。特に新卒の理系学生は、次の4つの要因によって採用が難しい状況です。

  • 文系学生と比べて理系学生は数が少ない
  • 理系学生は就職活動に費やせる時間が少ない
  • 大学や研究室の推薦で就職先を決めることがある
  • 理系学生は大手企業への志向が強い

文系学生と比べて理系学生の数が少ない

文部科学省が平成27年3月に公表した「理工系人材育成戦略」に掲載されているデータによると、理・工・農学分野の学部学生は平成11年度の63.6万人をピークに減少を続け、平成25年度には55.4万人と8.2万人も減っていました。

また、全学生数に占める理・工・農学分野の学部学生数の割合も年々減っていて、平成25年度で21.6%と文系学生と比べると理系学生は圧倒的に少なくなっています。

「理工系人材育成戦略」には、18歳人口の推移のデータも紹介されていますが、少子高齢化社会が進むわが国では、18歳人口が減り続けていて今後さらに少なくなると予想されています。

参考:文部科学省「理工系人材育成戦略」

就職活動に費やせる時間が少ない

政府は就職活動日程に関する関係省庁の連絡会議を開催し、24年卒の就活ルールについて、広報活動は3月以降、採用選考活動を6月以降、内定を10月以降と現行の日程を維持すると決定しました。

しかし、この就活ルールは目安であって、早期に選考を行って内定を出す企業が多いため、ほとんどの文系学生は3年生の後半には就職活動をスタートします。

一方で、理系学生は3年生の後半から研究室に入るため、文系学生に比べると就職活動に費やす時間が取れません。そのため、企業説明会やインターンシップに参加する機会が少ない傾向にあります。

推薦で就職先企業を決めるケースがある

理系学生には、大学や研究室の教授から推薦されて企業に応募するという就職方法があります。大学や研究室とのつながりがある企業に推薦で応募できれば、文系学生が行うような就職活動をあまり行わずに内定を獲得できます

このような理由から理系学生は積極的に就職活動を行いません。大学や研究室とつながりを持たない企業は、新卒採用の市場で理系学生にアプローチする機会が少ないといえるでしょう。

大手企業への志向が強い

理系学生は、文系学生と比べると大手企業を志望する傾向にあり、「絶対に大手企業がよい」と「自分のやりたい仕事ができるのであれば大手企業がよい」と考える学生が多くいます。

これは、大手企業は研究施設や体制が充実していて、入社後にキャリアアップが目指せるというイメージを、理系学生が持っていることが要因と考えられます。

大学や研究室にとっても、学生が大手企業に入社できれば就職実績となって、入学希望者にアピールできます。そのようなアピールを見る機会が多かった学生は、結果として大手企業への志向が強くなるのではないでしょうか。

理系採用に成功した3つの事例

理系採用に苦戦する企業が多い中、理系採用に成功している企業も多数あります。今回はそんな企業の中から、成功事例を3社紹介します。

  • フジクリーン工業株式会社
  • 株式会社構造計画研究所
  • 伸和コントロールズ株式会社

いずれの会社も決して有名な企業というわけではありませんが、苦戦せず理系採用に成功しています。それぞれ具体的な事例を紹介していきます。

地方の優秀な学生にアプローチ【フジクリーン工業株式会社】

浄化槽メーカーのパイオニアとして業界トップクラスのシェアを誇る「フジクリーン工業株式会社」。浄化槽自体の知名度が非常に低く、会社に興味を持ってくれる学生が少ないという悩みを抱えていました。

そんな中フジクリーン工業が目をつけたのが地方の理系学生です。「未来の子供たちにきれいな水環境を残す」ことを理念に掲げているので、幼いころから自然豊かな水環境で育った地方出身の学生は興味を持ってくれると考えました。

そこで地方の理系学生にアプローチできるダイレクトリクルーティングツール『TECH OFFER』を活用。研究熱心な学生を中心にアプローチすることで、理系採用を成功させています。

参考:アプローチすることが難しかった地方の優秀な理系の学生に内々定を出すことができ、効果を実感

理系学生に合わせたインターンシップを開催【株式会社構造計画研究所】

エンジニアリングコンサルティング及びプロダクツサービス事業を展開する「株式会社構造計画研究所」。大手ナビサイトを中心に採用活動をしていましたが、年々マッチ率が下がり内定者数も減っていました。

そんな中株式会社構造計画研究所は、夏季インターンシップに力を入れます。研究に忙しい理系学生は就職活動に割ける時間が短いので、4月の早い時期からアプローチを開始。9月の夏季インターンシップへの集客を強化して、内定につなげています。実際内定者の半数はインターンシップ経由で、早い段階からのアプローチが成功していると言えます。

参考:幅広い学生へのアプローチを実現し、かつ母集団形成に重要なインターンシップへの参加募集時から活用することにより、低負荷で高い効果を実感

自社にマッチした人材にダイレクトリクルーティング【伸和コントロールズ株式会社】

バルブや精密温調装置のメーカーとして高い技術力を有する「伸和コントロールズ株式会社」。毎年10名ほど内定者を出していましたが、入社後なかなか成果が出せず退社してしまうことに悩んでいました。

そこで伸和コントロールズは自社の要望と、学生のニーズを再調査。企業のニーズを定めたうえで、それに合った学生にアプローチするように動きます。そこでダイレクトリクルーティング『TECH OFFER』を活用し、理系学生を中心に採用活動を進めます。その結果これまでアプローチできなかった理系院卒学生にもアプローチし、採用につなげられました。

参考:全国の学生にアプローチ!これまで出会えなかったターゲット学生の母集団形成に成功

理系採用のために実践すべき4つのアプローチ

理系学生は、3年生の後半には研究室に所属するため、文系学生とは就職活動のスケジュールや応募企業の選択方法が異なります。苦戦せずに理系採用を行うには、理系学生に合わせたアプローチを行うことが大切です。

  • 地方の理系学生にアプローチする
  • 理系学生に合わせたスケジュールを組む
  • 大学や研究室との関係を深める
  • ダイレクトリクルーティングツールを活用する

地方の理系学生にアプローチする

理系学生の採用ニーズの高まりを受けて採用競争が激化しています。その傾向は、特に都市部の理系学生に強いのが特徴です。

会社説明会やインターンシップは、都市部で行われることが多く、都市部の学生は就職に関する企業情報を得やすい環境にあります。一方で、地方の理系学生は都市部の学生と比べると圧倒的に情報が少ないのが現状です。

また地方の理系学生は情報量の少なさ以外にも、会社訪問や面接試験などで交通費がかかるなど不利な点があります。そのため、都市部の学生ほど積極的に就職活動ができていない学生が少なくありません。

地方の理系学生にアプローチするには、まず学生に企業名や企業概要を知ってもらうことが大切です。インターネットの普及によって、地方の学生も情報発信ができる環境になりました。しかし、ホームページに掲載した情報を学生に見てもらえるとは限りません。

地方の理系学生と接触できる機会を作るためには、地方の大学に出張して会社説明会やセミナーを開催し、地方での面接会などを実施する必要があります。

企業訪問やインターンシップ、面接試験ための交通費や宿泊費などの費用の全額または一部を企業が負担することで、地方の理系学生が就職活動をしやすくなります。

大企業であれば知名度を活かして、都市部の理系学生にアプローチできますが、中小企業ではアプローチに苦戦する状況です。都市部と比べると競争が激しくない地方の理系学生に、積極的にアプローチすることで採用できる可能性が広がります。

理系学生に合わせた選考スケジュールを組む

理系学生は、研究に時間が取られるため、企業の選考スケジュールに合わせて就職活動を進めるのに苦戦するケースがあります。企業側が、理系学生のスケジュールにできるだけ合わせることが大切です。

エントリーしている学生には、研究室の予定をヒアリングして支障がでないように選考スケジュールを組みましょう。学生のスケジュールに配慮して、柔軟な対応ができる企業は、企業イメージが向上し、学生の志望度がアップする可能性があります。

他社に優秀な理系学生を取られないためにも、競合他社の選考スケジュールも確認しておきましょう。

大学や研究室との関係を深める

理系学生は、大学や研究室の推薦によって就職先を決めるケースがあります。そのため社員の母校と関係を深めるのは有効な手段です。ただし、継続的に関係を築いていく必要があるため、効果が出るには時間がかかります。

しかし、一度関係を作ることができれば、OB社員から研究室の教授や学生に自社の魅力を伝えられるので、長期的な視点を持って取り組みましょう。卒業した社員がいない大学にも、定期的に訪問することで大学関係者との信頼関係を築くことができます。

ダイレクトリクルーティングを活用する

就職サイトや合同企業説明会、人材紹介サービス、大学からの推薦など、新卒採用の手法にはさまざまなアプローチ方法があります。優秀な理系学生を採用するには、それぞれの手法の特徴に合わせて、自社の魅力をしっかりと学生に伝えることが大切です。

学生に自社の魅力を伝えたいと思っても、学生との接点が持てずに苦戦する企業も多いのではないでしょうか。そんな企業におすすめの手法がダイレクトリクルーティングです。

ダイレクトリクルーティングとは、企業が学生に直接アプローチする採用手法で、最近注目されています。就職サイトでは、掲載した求人情報を見た学生がエントリーするまで、合同企業説明会では学生がブースを訪れるまで、人材紹介サービスなどでは紹介がくるまでと、従来の採用手法では、企業は待つしかありませんでした。

一方で、ダイレクトリクルーティングは、自社が求める要件にマッチした学生を探して、企業から直接アプローチできます。ダイレクトリクルーティングであれば、学生一人ひとりに合わせた自社のPRが可能です。

ダイレクトリクルーティングの活用術については、下記記事でも詳しく解説しています。こちらの記事も合わせてご覧ください。

理系採用に特化した「TECH OFFER」を活用

ダイレクトリクルーティングには、いろいろな種類がありますが、中には新卒理系学生に特化したサービスもあります。

「TECH OFFER」は、新卒の理系学生に特化したダイレクトリクルーティングツールです。40,000件の研究室データベースと、100万件の技術キーワードで、自社にマッチした学生に効率よくオファーを出せます。

またターゲットとターゲットに合わせたオファー文を設定しておけば、学生がオファーを受諾するまでの運用をほぼ自動的に行えるため、採用担当者の負担を大幅に削減可能です。

ダイレクトリクルーティングは、登録しておけば企業からスカウトが来るため、研究室で忙しくて就職活動に時間が割けない理系学生にとっても、大きなメリットがあります。

まとめ

理系学生は、3年生の後半には研究室に所属するため、文系学生と同じような就職活動ができません。そのため、企業側が理系学生に合わせて、柔軟に選考スケジュールを組むことが、理系採用に苦戦しないためには必要です。

理系学生を採用するには、まず自社の魅力を学生に伝えることが大切です。新卒採用には、さまざまアプローチ方法がありますが、ダイレクトリクルーティングなど理系学生の就活事情に合わせた手法も試してみましょう。