世の中にはさまざまな業界があり、業界毎に事業の特徴や仕事内容も異なります。
就活中に自分がどの業界を選ぶべきか悩んでいる理系学生も多いのではないでしょうか?
今回は理系に向いてる業界について、業界の特徴やトレンドを解説します。
理系学生で業界選びに悩んでいる方はぜひ参考にしてみてください。
そもそも業界とは?
業界とは企業を産業別や商業別に分類したものを指し、自動車業界やIT業界のように扱う商品・サービス、ビジネスモデルによって分けられています。
同じ業界内では仕事内容・職種、求める人材などで共通する部分が多く、業界を絞り就活することで効率的に志望企業を選べるでしょう。
理系出身が多い業界の特徴とトレンドを解説
理系出身が多い業界として以下の8つが挙げられます。
- ・自動車業界
- ・IT業界
- ・化学業界
- ・エネルギー業界
- ・食品業界
- ・医薬品業界
- ・建設業界
それぞれの特徴やトピックスについて解説するので、上記業界に興味のある方はぜひ参考にしてみてください。
自動車業界
自動車業界とは自動車やトラックなどを製造する自動車メーカーや自動車部品や素材を扱うメーカー、販売代理店など自動車関連の企業が集まる業界です。
車には数万種類の部品が使用され各ブランドごとに販売会社があるなど、自動車業界に分類される企業が数多くあります。
自動車の修理やメンテナンス、レンタカーやカーシェアを行う会社まで含めると幅広いサービスを提供している業界とも言えるでしょう。
例年自動車業界は就活生から人気があり、人気企業ランキングでも上位にランクインしています。
そのため、自動車業界を志望する場合は入念な選考対策が必要です。
「EV化」と「CASE」が大きなトレンド
近年自動車業界では、世界的に二酸化炭素排出量を減少させる取り組みが加速しており、EV化が急速に進んでいます。
また、自動車業界では「CASE」という戦略が注目されています。
CASEとは「Connected(自動車のIoT化)」「Autonomos(自動運転)」「Shared&Service(シェアリングサービス)」「Electric(電動化)」の頭文字をとった略語です。
自動車はこれまでのハード面を提供するビジネスモデルからITテクノロジーを駆使したサービス提供を組み合わせたビジネスモデルにシフトしています。
日本でも政府の強い推進があり、今後自動車業界における大きなトレンドとなるでしょう。
IT業界
IT業界はIT技術(情報技術)を利用したサービスを提供する企業が集まる業界です。
IT業界にもさまざまな種類の企業が存在し、大きく以下のカテゴリーに分けられます。
・ソフトウェア業界:アプリケーションやシステムなどのソフトウェアを開発し提供する
・ハードウェア業界:パソコンなどのハードウェアを製造する
・情報処理業界:SIerやSESを中心にシステム開発から保守点検を請け負ったり、エンジニアを企業に派遣する業務を行う
・インターネット業界:ネット広告やECなどを扱う
近年企業でのDX化が急速に進み、ITテクノロジーを駆使したサービスに大きな需要があることから堅調に成長し続けている業界です。
IT分野は企業だけでなく政府も積極的な投資を進めており、プログラミングが小学校で必修化されるなどIT人材を育成する流れが強くあります。
IoT・5Gが大きなトレンド
コロナ禍の影響で多くの企業が製造を中心とした業務で無人化・自動化を進めており、さまざまな機器をインターネットにアクセスさせるIoTが活用されています。
5Gは高速かつ大容量の通信が可能で、スポーツ観戦やライブ視聴の同時接続や工事現場での遠隔操作などに活用されており、今後も大きく普及する流れが予想されます。
化学業界
化学業界とは化学製品を開発・販売する化学メーカーが中心の業界で、ガスや石油などの原材料をもとに科学技術で変化させた製品を扱います。
化学メーカーは大きく以下の3つに分けられます。
- ・総合化学メーカー:原料の調達から製品の企画・開発・製造まで一貫して行う
- ・誘導品メーカー:原料から製造される中間材料を販売する
- ・電子材料メーカー:電子材料の製造・販売を行う
消費者が日常的に手にする食品のラップや洗剤から製品の材料となる樹脂やウレタンまで幅広い製品を販売しています。
化学メーカーは規模の大きい有名な企業も多く、就活生からも安定した人気がある業界です。
環境問題への取り組みが注力される
化学業界は生産工程で二酸化炭素の排出やプラスチック製品の廃棄があり、環境負荷が高い業界とされています。
近年ではこうした環境問題への取り組みに多くの化学メーカーが注力しており、二酸化炭素を吸収する素材が開発されるなど環境負荷の低い製品の開発が活発化。
政府がカーボンニュートラルという二酸化炭素の排出量を実質ゼロにする目標を掲げており、事業継続のためにも環境問題への積極的な取り組みが求められています。
エネルギー業界
エネルギー業界とは石油・電気・ガスなど日常生活に欠かせないエネルギーを扱う企業が集まる業界です。
電車や自動車などの動力源であり、上記エネルギーの安定供給が求められます。
石油・電気・ガスでそれぞれ扱う企業が分かれており、これらエネルギーの調達〜販売まで一貫して行っているのが特徴です。
近年クリーンエネルギーの需要増や電力・ガスの販売自由化など業界の流れも大きく変わっています。
水素を中心に環境負荷の低いエネルギーに注目が集まる
エネルギー業界では石油・電気・ガスに次ぐエネルギーとして「水素」が注目されています。
水素は生成過程で燃焼されても二酸化炭素を排出せず、環境負荷の低いエネルギーです。
石油など天然資源の枯渇が懸念される中、水素は地球上の様々な物質に含有されており安定供給できるエネルギーとして期待されています。
二酸化炭素を排出しないためカーボンニュートラル実現にも貢献でき、近年各企業が積極的に事業を展開しています。
食品業界
食品業界は食品の製造や販売をメインとするメーカーが中心ですが、取り扱う商品もメーカーにより様々です。
食品メーカーは主に以下の3つに分けられます。
・加工食品メーカー:お菓子、乾燥面、冷凍食品など
・食品原料メーカー:小麦粉、水産品、食肉製品など
・清涼飲料水、タバコ、アルコールを扱うメーカー
農薬や肥料を扱うメーカーも食品業界に分類され、様々な企業が集まる業界です。
食品メーカーは文系理系問わずに就活生から人気があり、常に就活人気ランキングで上位にランクインする企業が多くあります。
SDGsに対応した生産体制構築が積極的
食品業界では食品廃棄問題への取り組みが重要視されており、SDGsに対応できる生産体制構築が進められています。
他にも魚介類など水産資源が枯渇する懸念があり、SDGsの核となる「持続可能性」の観点からも養殖体制の整備など食品の安定供給も課題となっています。
医薬品業界
医薬品業界は製薬メーカーを中心に医薬品の製造・販売に関わる企業が集まる業界です。
病院や薬局などで販売される医薬品の製造はもちろん、新規医薬品の研究開発や既存医薬品の改良も行います。
医薬品は研究開発に多額の資金を要するため、資本力のある大規模な企業が多いのが特徴です。
近年は医療費抑制の影響から新規医薬品と同成分で価格の安いジェネリック医薬品の流通が増えています。
海外進出を念頭に置いたM&Aが積極的
医薬品業界は薬価引き下げなどの影響で国内での需要減が著しく、海外進出で利益確保に努める企業が多くなっています。
特にM&Aで海外企業を買収し海外市場獲得を狙う企業が多く、武田薬品工業のシャイアー買収をはじめ国内大手メーカーの海外企業買収がトレンドです。
医薬品メーカーは今後海外進出で市場シェアを獲得できるかが事業継続の鍵となるでしょう。
建設業界
建設業界は住宅やビルなどの建築物をはじめ、道路や水路の整備など土木工事も行う業界です。
建設業界には1つの工事に複数社が関わるケースも多く、様々な企業が存在します。
特に就活生に人気があるのは、土木工事からビル・マンションの建設まで幅広く手がけるゼネコン(総合建設会社)です。
大林組・鹿島建設・清水建設・竹中工務店・大成建設の5社はスーパーゼネコンと呼ばれており、採用競争率も非常に高くなっています。
DX化や3Dプリンターによる設計に注目が集まる
建設業界は従来から人手不足が叫ばれており、解決手段としてDX化が注目を集めています。
具体的にはドローンを用いた現場測量や施工管理の効率化が行われており、生産性の向上を図る動きが活発です。
また3Dプリンターによる設計も注目されており、アメリカの企業では3Dプリンターを活用し設計・工期の短縮や建設コストの削減を実現しているケースもあります。
業界ごとの特徴やトレンドを把握するメリット
業界ごとの特徴やトレンドを把握するメリットについて以下の観点から解説します。
- ・今後のキャリアの方向性を決めやすい
- ・面接対策になる
- ・志望企業を絞り込める
業界ごとの特徴やトレンドを把握し就活の効率化を図りましょう。
今後のキャリアの方向性を決めやすい
業界の特徴やトレンドを把握することで今後のキャリアの方向性を決めやすくなります。
業界の特徴やトレンドを把握すれば、その業界が今後どのような方向に進むかをある程度予測でき、将来自分がどのような立ち位置で仕事ができるかイメージしやすくなるでしょう。
自分のキャリアをイメージできれば、入社後スムーズに仕事ができる上、転職などのキャリア選択の場面でも判断しやすくなります。
面接対策になる
業界の特徴やトレンドの把握はそのまま面接対策となります。
業界研究により企業の特徴や立ち位置などの全体像を把握でき、志望動機の精度を高められるでしょう。
仕事内容について深く理解できれば、求められる能力も予想でき効果的な自己PRにつなげられます。
志望企業を絞り込める
志望企業を絞り込めるのも業界の特徴やトレンドを把握するメリットです。
業界の特徴やトレンドを把握せず就活を行うと、自分に合っている可能性がある企業を片っ端から受ける必要があり、膨大な作業量となってしまうでしょう。
業界について調べることで、自分が興味のある企業や職種をある程度絞り込み、就活を効率化できます。
業界を選ぶポイント
ここでは業界を選ぶポイントについて以下の観点から解説します。
- ・自身の興味・関心から業界を選ぶ
- ・自身の研究・専門性が活かせる企業と出会う
- ・インターンへの積極的な参加
上記ポイントを把握し効率的に志望業界を選定しましょう。
自身の興味・関心から業界を選ぶ
まず自身の興味・関心から業界を選んでみましょう。
興味や関心のない仕事や業界を選んでしまうと、志望動機や自己PRで自信を持ってアピールできない上、就職できたとしても仕事へ取り組む姿勢も中途半端になる可能性があります。
普段自分の目にする商品やサービスで気になるものはもちろん、様々な業界を調べた上で興味のあるものをピックアップし絞り込むのがおすすめです。
自身の研究・専門性が活かせる企業と出会う
理系学生の場合は自身の研究や専門性が活かせる企業を選ぶのも良いでしょう。
自分の学習した内容が仕事で活かせれば、即戦力として活躍できる上、業務上での成長も大きく期待できます。
業界の特徴を把握しながら自分の専門性が関係する企業をチェックしましょう。
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インターンへの積極的な参加
インターンに参加することで自分に合った企業か判断しやすくなります。
インターンではその企業の実務を体験できる場合が多く、実務を通して企業で働くイメージを具体化することで自分に合った企業か判断しやすくなるでしょう。
気になる企業のインターン情報をチェックし、積極的に参加しましょう。
業界に捉われず幅広い分野から検討しよう
世の中には数多くの業界が存在し、特徴もそれぞれ異なります。
業界選びでは自分のイメージだけで決めず、業界に関する情報を収集しそれぞれの特徴を理解した上で自分に合った業界を選ぶことが大切です。
また業界だけではなく、職種や企業理念など様々な観点から企業を選ぶことで、志望動機や自己PRに説得力を持たせられるでしょう。
業界研究を中心に様々な観点から自分に合った企業を探すことをおすすめします。