IT企業に対して、「AI開発などを行っている」「進化を続けている」など、ばくぜんとしたイメージはあっても、具体的に何をするのかがよくわからないと感じている理系学生も多いのではないでしょうか。
IT業界は、ソフトウェア開発やインフラ構築、データ分析、AIの研究開発など、多岐にわたる業務を担っています。そのため、IT企業と一口に言っても、事業内容や役割はさまざまであるため、かえって「どんなところか」がわかりにくくなっているのかもしれません。本記事では、IT企業の基本的な役割や社会における重要性、そして理系学生が活躍できるフィールドや職種、仕事内容など、さまざまな面に焦点を当ててわかりやすく解説します。
IT企業とは

最初にIT企業の「IT」の意味や役割など、IT[企業の基本を整理しておきましょう。
ITとは「Information Technology(情報技術)」の略
「IT企業」という言葉をよく耳にしますが、「IT」とは「Information Technology(情報技術)」の略です。つまり、IT企業とは情報技術を活用した製品やサービスを提供する企業を指します。具体的には、ソフトウェアの開発、インターネットサービスの提供、データ管理・解析、AI・機械学習の研究開発など幅広い分野がIT企業に含まれます。
IT企業の役割
IT企業は、社会のデジタル化を支える以下の重要な役割を果たしています。
- ・システム開発:企業の業務を効率化するためのシステムやアプリケーションの開発
- ・インフラ構築:インターネットやクラウド環境を支えるネットワークやサーバーの構築・運用
- ・データ分析:大量のデータを解析し、企業の意思決定をサポート
- ・AI・機械学習:人工知能技術を活用した自動化や新サービスの開発
社会を支えるIT
IT企業の技術は、以下のように社会のあらゆる場面で活用されています。
- ・流通:在庫管理システムや物流の最適化、ECサイトの運営支援
- ・製造業:IoTを活用したスマートファクトリーの実現や生産ラインの自動化
- ・医療分野:電子カルテや診断支援システムなど医療の現場をサポート
- ・金融:オンラインバンキングやキャッシュレス決済の基盤を提供
- ・交通・物流:自動運転技術や最適な配送ルートの解析
- ・エンターテインメント:ゲームや動画配信サービスなど、デジタルコンテンツの発展
IT企業における女性の活躍
近年、IT業界では多様性が重視され、女性の活躍も増えています。かつては「理系=男性が多い」などのイメージもありましたが、現在ではプログラマーやデータサイエンティストなど、さまざまな職種で女性が活躍しています。
特にリモートワークの普及で家庭と仕事を両立しやすい環境が整いつつあり、IT業界は男女問わず活躍できる分野として注目されています。さらに、女性向けのITスクールやキャリア支援プログラムも充実しているため、未経験からでも挑戦しやすい環境が整っています。
IT業界の主な種類と仕事内容

IT業界といってもさまざまな分野があり、幅広く手掛ける企業もあれば、その分野に特化した企業もあります。ここではIT業界の主な仕事内容を整理しておきましょう。
ソフトウェア開発
ソフトウェア開発企業は、業務システムやスマホアプリ、ゲームなどを開発する企業です。プログラミング言語を用いた設計・開発・テスト・運用が主な業務であり、エンジニアのスキルが重要視されます。
ハードウェア開発
ハードウェア開発企業は、コンピュータやスマートフォン、家電製品などの機器を設計・開発する企業です。電子回路設計や組み込みソフトウェアの開発など、電気・電子工学の知識が求められます。
インフラ系
インフラ系企業は、通信ネットワークやクラウドサービスの提供を行う企業です。データセンターの運用や5G技術の開発、ネットワークの最適化など、社会のIT基盤を支える役割を担っています。
SIer(システムインテグレーター)
SIer(System Integrater)は、企業の業務効率化のためにシステムの設計・開発・導入を行う企業です。顧客のニーズに合わせたシステムを提供し、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)を支援します。
インターネット・Webサービス
インターネット・Webサービス企業は、SNSや検索エンジン、動画配信サービスなどのプラットフォームを運営する企業です。ユーザー向けのサービスを提供し、Web技術やデータ解析を活用した開発が行われます。
IT業界の主な職種

IT企業にはさまざまな職種があり、連携しながら仕事を進めていきます。以下では理系出身者が多く携わるマネジメント系(企画や管理を行う職種)と開発系(設計・構築を行う職種)を中心に、簡単に紹介します。
| 分類 | 職種 | 概要 |
| マネジメント系 | ITコンサルタント | 企業のIT戦略を策定やシステム導入をサポートする専門家 |
| プロジェクトマネージャー(PM) | ITプロジェクトの全工程をマネジメントするポジション | |
| データサイエンティスト | ビッグデータを分析し、意思決定に役立つ知見を提供する専門職 | |
| 開発系 | システムエンジニア | ソフトウェアの設計や要件定義を行い、開発チームと連携してシステムを構築する職種 |
| ネットワークエンジニア | 企業のネットワーク環境を設計・構築・運用するエンジニア | |
| サーバーエンジニア | サーバーの設計・構築・管理を行い、安定したシステム運用を支えるエンジニア | |
| インフラエンジニア | ITシステム全体のインフラを整え、最適な環境を構築するエンジニア | |
| セキュリティエンジニア | 企業のITシステムやネットワークなどのセキュリティの保守を担当するエンジニア | |
| AIエンジニア | 機械学習やディープラーニングなどの手法を駆使して、AIシステム開発を行うエンジニア | |
| データエンジニア | 膨大な量のデータ管理、データ用の情報基盤の構築や運用を行うエンジニア | |
| プログラマー | ソフトウェアやアプリケーションのプログラムコードを書く職種 |
ITコンサルタント
企業のIT戦略を策定し、クライアントのシステム導入や業務改善を、幅広い見地からサポートする専門家です。
プロジェクトのマネジメントを担当するため、開発・導入時には旗振り役を担います。
ITコンサルタントにはIT知識に加えて、業界のトレンドや各種法令など幅広い知識が必要です。
ITコンサルタントの中には特定のツールや業界に特化したITコンサルタントもいます。
プロジェクトマネージャー(PM)
ITプロジェクトの全工程をマネジメントする業務で、予算を立ててチームに仕事を割り振り、全体の進行状況を統括します。
クライアントの現場担当者や上層部、社内外の関係者と意見を調整して合意形成を図るのもプロジェクトマネージャーの職務です。
プロジェクト全体に目を光らせ、場面に応じた対応が求められるため、経験が物をいうポジションになります。
プロジェクトマネージャーは豊富な経験の他に、リーダーシップやコミュニケーションスキルが必要です。
データサイエンティスト
ビッグデータを分析し、企業の意思決定に役立つ知見を提供する専門職です。新しい商品やサービスを産み出したり、業務プロセスを革新したりします。
データサイエンティストの具体的な業務内容は以下のとおりです。
- ・データ収集・加工:データの収集と分析向けにデータの加工
- ・仮説立案:課題解決のためにどのようなデータを分析すべきかを決める
- ・データ分析:収集されたデータの分析とモデル構築
- ・提案活動:分析結果を基にした戦略の提案
データサイエンティストにはプログラミングやデータ処理などのテクニカルスキルに加えて、ビジネス上の課題を見定めるビジネススキルも求められます。
システムエンジニア
ソフトウェアの設計や要件定義を行い、開発チームと連携してシステムを構築する職種です。クライアントからの要望を元に要件定義を作成し、実装する機能や仕組みを設計に落とし込みます。
基本的に要件定義や設計など上流工程を担当しますが、プロジェクトや所属する企業によっては開発やテストなどの下流工程も担当するケースがあります。
さまざまな工程を担当する可能性があるため、幅広いスキルと経験が求められる職種です。
ネットワークエンジニア
企業のネットワーク環境を設計・構築・運用するエンジニアで、ネットワークセキュリティやトラブルシューティングを担当します。
今やネットワークはどの企業にも欠かせないため、IT企業以外にも活躍の場があるエンジニアです。
ネットワークエンジニアはネットワークシステムに関する知識に加えて、物理的なネットワーク機器を扱うスキルも求められます。
ネットワークエンジニアは、ソフト面とハード面の両方の知識やスキルが求められる職種です。
サーバーエンジニア
サーバーとはコンピューターの一種で、データの保存や共有、情報処理など多くの役割を担っています。サーバーエンジニアはシステムの司令塔としての機能サーバーの設計・構築・管理を行い、安定したシステム運用を支えるエンジニアです。
以前は実物のサーバー機器だけを取り扱っていましたが、現在のサーバーエンジニアはクラウド環境にもサーバー構築を求められます。
サーバーエンジニアにはサーバーの知識はもちろん、ネットワークやセキュリティの知識も必要です。
インフラエンジニア
ITシステム全体のインフラを整え、最適な環境を構築するエンジニアです。インフラエンジニアが担当するのは、サーバーやネットワーク、データベース、ストレージなど多岐にわたります。
インフラエンジニアにはサーバーやネットワークへの幅広い知識に加えて、トラブルに落ち着いて対処できる冷静さも必要です。
先ほど紹介したネットワークエンジニアとサーバーエンジニアは、インフラエンジニアの一種になります。
セキュリティエンジニア
企業のITシステムやネットワーク、サービスなどのセキュリティの保守を担当するエンジニアです。ITシステムの脆弱性を探し出し、対応策を企業側に提案します。また、セキュリティの専門家として、クライアント企業の従業員に向けたセキュリティ教育も職務のひとつです。
昨今ではセキュリティ事故が企業の社会的責任を問われるため、セキュリティエンジニアに対する需要が高まっています。
サイバー攻撃の手口は日々進歩しており、常に最新情報に関する学習を求められる職種です。
AIエンジニア
機械学習やディープラーニングなどの手法を駆使して、AIを使ったシステム開発を行うのがAIエンジニアです。AI技術を開発したり、実装したりするだけでなくクライアントの業務の中でAIがどのように活用できるかを考案して提案も行います。
昨今はどの業界・企業でもAI活用を求めているため、最もニーズのあるエンジニアといっても過言ではありません。
AIエンジニアにはプログラミングスキルに加えて、統計学や機械学習の知識が必要になります。
データエンジニア
データエンジニアは、企業が保有する膨大な量のデータの整理や管理を行ったり、データを活用するための情報基盤の構築や運用を行うエンジニアです。
データサイエンティストやデータアナリストとの違いは、データ分析の有無です。
データエンジニアはデータ分析のための下準備を担当するエンジニアであり、データ分析はデータサイエンティストやデータアナリストが担当します。
データエンジニアにはプログラミングスキルに加えて、データベースの設計・管理スキル、クラウド環境を整備するスキルが問われます。
プログラマー
ソフトウェアやアプリケーションのコードを書く職種で、開発の中心的な役割を担います。
作り上げたコードに不具合がないかを確認するのもプログラマーの仕事です。
Webやゲーム、組み込みシステムなど幅広い業界で活躍の機会があります。
プログラマーはプログラミングスキルに加えて、設計の意図や誤りを設計者に確認できるコミュニケーションスキルが必要です。
IT業界の職種については次の記事でも詳しく説明しています。
分野別!世界を代表するIT大手企業を紹介

IT業界を牽引する世界的な大手企業について、時価総額や市場シェアが高い企業を中心に分野ごとに紹介します。
ソフトウェア開発
・Microsoft(マイクロソフト):Windows OSやOffice製品の開発を手掛ける企業です。
高い技術力や豊富な資本を武器にビジネスを展開しており、世界的に最も影響力のあるソフトウェア開発企業といえます。
近年はSkypeやLinkedInなどのサービスを買収して、Microsoft製品とつなげることで市場での優位性を高めようとしています。
・Oracle(オラクル):データベースソフトウェアの代表的な企業です。
データベースソフトウェアは数多くありますが、Oracle Databaseは世界で最も利用されているもののひとつです。
Oracle Databaseとの連携を意識して、クラウドサービスやミドルウェア製品の開発も手掛けています。
ハードウェア開発
・Apple(アップル):iPhoneやMacなどの開発を手掛ける企業です。
同社の手掛けるハードウェアはシンプルかつ洗練されたデザインをしており、デザイン性に惹かれたファンは世界中に存在します。
ハードウェアに搭載するソフトウェアの開発も数多く手掛けており、iOSやmacOS、Siri、Appstoreなどをリリースしています。
・Intel(インテル):半導体チップやプロセッサの開発を手掛ける企業です。
Intelが開発した半導体やプロセッサを直接目にする機会は少ないですが、私たちの生活を支えているハードウェアといっても過言ではありません。
パソコンやサーバーはもちろん、産業機器や医療機器、IoT、自動車などあらゆる分野でIntelの製品は利用されています。
インフラ系(クラウド・ネットワーク)
・Amazon:世界最大のクラウドサービス提供する企業です。
AmazonはECサイトのイメージがありますが、営業利益のほとんどはAmazonが提供するクラウドサービス「AWS」で稼いでいます。
ECサイトの企業と思う方が多いかもしれませんが、実態はクラウドサービスの会社といってもよい経営内容です。
・Cisco(シスコ):ネットワーク機器や通信インフラを提供する企業です。
通信インフラ以外にもテレビ・Web会議システムを提供しており、ネットワークソリューションでは世界トップクラスのシェアとなっています。
Ciscoにはネットワークエンジニアの技術力を評価する独自の資格制度がある点も特徴で、多くのエンジニアが取得を目指しています。
SIer(システムインテグレーター)
・富士通:大規模システムの構築や運用を手掛ける企業です。
富士通自体がハードウェアを手掛ける企業でもあるため、クライアントのニーズに合わせてシステム機器の提供もおこなえます。
食品業界や官公庁など幅広い業界のシステム構築に携わっており、日本を代表するSIer企業です。
・NTTデータ:金融・行政向けのITソリューションの提供をしています。
NTTグループの主要企業でもあり、グローバルにサービスを展開しています。
国内最大手のSIerであるため、IT企業への就職を目指す学生が数多くエントリーしている企業です。
インターネット・Webサービス
・Google(グーグル):検索エンジン、広告、クラウドサービスなど幅広く展開している企業です。
「調べ物はGoogleで検索する」など、世界中の人々の行動を変えた企業でもあります。
現在はGoogle GeminiをはじめとするAI開発に力を入れています。
・Yahoo!(ヤフー):検索エンジンやニュース、ショッピング、オークションなどサービスを提供する企業です。
数多くのサービスがYahooのサービス上に集まっているため、Yahooだけでやりたいことを完結できます。
日本の利用者数が最も多いLINEとYahooは連携しており、ショッピングやカレンダーの通知がLINEに届くようになっています。
外資系・内資系IT企業の違い

一言でIT企業といっても、国内資本のIT企業と外資系のIT企業があり、さまざまな違いがあります。ここからは、外資系IT企業と内資系IT企業の違いについて解説します。
評価制度の違い
まずは、評価制度が大きく異なります。
外資系の場合には、評価の対象を結果や実力など、数値で評価するのが一般的です。
一方で国内資本の企業も結果を重視する方向に舵を切りつつありますが、外資系と比べるとまだまだ年齢を重視する傾向です。
年功序列・経験年数に比重がある内資系と、実績重視の外資系には、今だ大きな評価制度の違いがあります。
働く環境の違い
外資系の場合は、社内で設定されている公用語が英語に設定されているケースも少なくありません。
会議やメール、資料はすべて英語にする必要があるため、外資系の場合には英語力も問われることになります。
外資系IT企業への入社を目指す場合は、働く環境についても理解しておく必要があるでしょう。
就活時期の違い
国内企業も以前に比べると前倒しになりつつありますが、外資系はかなり就活時期が早い場合があるので注意が必要です。
外資系企業は就活ルールなどの取り決めがないため、自由に採用活動を行う傾向にあります。志望企業があれば事前に情報収集し、早め早めの準備を心掛けましょう。
IT業界の年収

IT企業の年収は、企業規模や扱っている業務によって異なります。ここではIT業界全体の傾向を見ておきます。
IT人材は一般企業よりも年収は高め
IT業界は、他の業界に比べて年収が高い傾向にあります。特に、専門的なスキルを持つエンジニアやプロジェクトマネージャーは高い給与水準を誇ります。厚生労働省の資料によると、ITエンジニアの平均年収は約550万円と一般的な企業の平均年収478万円を上回っています。特にスキルの高い人材ほど給与が高くなる傾向があります。

(出典:スキルレベル別給与データ(年収):厚生労働省 職業情報提供サイト)
例えば、プロジェクトマネージャーやデータサイエンティストのような高度な専門職は、年収が700万円以上になることも珍しくありません。また、経験を積みスキルを向上させることで、さらなる高収入を目指すことも可能です。
スキルアップによって年収が上がる
IT業界では、スキルレベルに応じて年収が上がることが特徴的です。画像の表からもわかるように、スキルレベル1〜2のITエンジニアの年収は400万円前後ですが、レベル3〜4になると600万円以上、さらにレベル5以上では1000万円を超えるケースもあります。
特に、以下のようなスキルを持つエンジニアは高収入を得やすいです。
- ・AIエンジニア・データサイエンティスト:機械学習やデータ解析のスキルが求められ、年収が高め
- ・セキュリティエンジニア:企業の情報資産を守る専門知識が必要で、需要が高い
- ・クラウドエンジニア:AWSやAzureなどのクラウド技術を活用できると給与が上がりやすい
- ・IoTエンジニア:センサー技術やネットワークの知識が求められ、需要が多い
IT業界は、実力主義の傾向が強く、資格取得やスキルアップによって着実に年収を伸ばすことができる業界です。
高スキル人材を求める企業もある
近年、企業は高度なITスキルを持つ人材を求めており、特にクラウド、AI、セキュリティ分野の専門家は非常に高い報酬を受けることができます。
例えば、外資系IT企業や大手のITコンサルティング企業では、ITエンジニアの報酬が特に高く、年収1000万円以上のポジションも存在します。また、フリーランスとして独立し、プロジェクト単位で働くことで高収入を得るエンジニアも増えています。
厚生労働省の統計データを活用すると、IT業界の年収の傾向や求められるスキルをより詳細に分析することが可能です。今後もIT技術の進化に伴い、エンジニアの需要と報酬はさらに増加していくと予想されます。
IT企業で活躍できる理系スキルとは?

IT業界で活躍するためには、専門的な知識だけでなく、論理的思考力やチームでの協力も重要です。学生時代に身につけておくと、就職後に役立つスキルを紹介します。
プログラミング
IT業界では、プログラミングの基礎知識があると大きな強みになります。以下のような言語を用いてのプログラミングスキルがあると、開発職だけでなくデータ分析やシステム設計など幅広い分野で活躍できるからです。学生時代に自分でアプリを作ったり、プログラミングコンテストに参加したりする経験を積むと、就職活動でも自己PRに使えます。
- ・Python:データ分析やAI開発、Web開発まで幅広く使える
- ・Java:業務システムやアプリ開発で利用される
- ・C/C++:組み込みシステムやゲーム開発に必須
- ・JavaScript:Webサイトやフロントエンド開発に活用
データ分析
データを扱う力は、IT企業だけでなく、多くの業界で求められる重要なスキルです。求められるデータ分析スキルは、以下のようなものです。
- ・ExcelやSQLを使ってデータを整理・分析するスキル
- ・Python(pandas, NumPy, scikit-learn)を活用したデータ解析
- ・統計学や機械学習の基礎知識
数学・論理的思考力
IT業界では、プログラムを組む際やシステムを設計する際に数学的な考え方や論理的思考力が求められます。特にAI・データサイエンス分野では、統計学や確率論、線形代数の知識が求められるため、数学が得意な人はIT業界で大きな武器になります。
- ・アルゴリズムとデータ構造(例:ソート・探索アルゴリズム)
- ・線形代数や統計学(AIやデータ分析分野で必要)
- ・論理回路や離散数学(ハードウェアやネットワーク分野で活用)
コミュニケーション能力
意外かもしれませんが、IT業界ではコミュニケーション能力が非常に重要です。エンジニアも、チームでの開発やクライアントとの打ち合わせが多く、「技術を言葉で説明する力」が求められます。
- ・相手にわかりやすく説明するスキル(プレゼン能力)
- ・チーム開発での円滑なコミュニケーション
- ・論理的に考え、適切に意見を伝える力
IT企業で働くメリット

IT企業で働くメリットとして、主に3つの点をあげることができます。
最新技術に触れられる
IT業界は技術の進化が非常に速い分野です。AI、ブロックチェーン、クラウドコンピューティング、IoTなど、最新技術を活用する機会が多く、エンジニアとして最先端の技術に関わることができます。
新しい技術を学びながら実践できる環境が整っているため、テクノロジーに強い関心を持つ人にとっては、刺激が常に得られる職場です。
柔軟な働き方
IT企業の多くは、リモートワークやフレックスタイム制を導入しており、働き方の自由度が高いのが特徴です。
特に、エンジニアやデータサイエンティストなどの職種では、成果物が重視されるため、働く場所や時間に縛られず、効率的に仕事ができる環境が整っています。
社会を変えられる
IT技術は、私たちの生活や社会の仕組みを大きく変える力を持っています。IT企業で働くことで、社会にインパクトを与える仕事に関わることができます。
自分が開発したシステムやアプリが、多くの人の生活を便利にしたり、社会課題を解決したりする場面を目の当たりにできるのは、大きなやりがいとなるでしょう。
IT企業で働くデメリット

IT企業は魅力的な職場である反面、デメリットもあります。代表的なデメリットを見ておきましょう。
スキルアップを続けなければならない
IT業界は技術の進歩が速いため、常に学び続ける姿勢が求められます。新しいプログラミング言語、フレームワーク、セキュリティ対策など、数年単位でトレンドが変わるため、継続的なスキルアップが必要です。
スキルを磨かないと、市場価値が下がり、転職や昇進が難しくなるリスクもあるため、向上心を持ち続けることが大切です。
プレッシャーが強い
IT業界では、プロジェクトの進行状況によっては長時間労働やトラブル対応が必要になるケースもあります。厳しい納期や、待ったなしの障害対応、また、クライアントのさまざまな要求に対応して、柔軟な働き方が要求されます。
IT業界に入るときに役立つ資格

IT業界を目指す理系就活生が取っておくと良い資格は、目指す職種やキャリアパスによって異なりますが、基礎的な知識やスキルを証明するもの、専門性を高めるものなど、いくつか有効な資格があります。
基礎・共通スキル
どのIT企業にも活かせる基礎的なスキルを示す資格として、以下があげられます。
- ・基本情報技術者 (FE): ITエンジニアの登竜門となる国家資格。プログラミング、ネットワーク、データベース、セキュリティなど、IT全般の基礎知識を幅広く証明できます。
- ・応用情報技術者 (AP): FEを取得した人が次に目指す国家資格です。より高度なIT知識や応用力、問題解決能力が問われます。
- ・ITパスポート (IP): ITに関する基本的な知識を証明する国家資格です。IT業界だけでなく、幅広い業界で役立つ知識が問われます。IT業界未経験者や、ITの基礎を体系的に学びたい人を主な対象としています。
プログラミング・開発系
特に、プログラミング・開発系の職種を目指す理解学生におすすめな資格は、以下のとおりです。
- ・各言語の認定資格: Java(Oracle Certified Java Programmer)、Python(Python3エンジニア認定試験)、C言語プログラミング能力認定試験など、特定のプログラミング言語に関する知識やスキルを証明する資格です。目指す職種でよく使われる言語の資格を取得しておくと有利になります。
- ・Webデザイン・開発関連資格: HTML、CSS、JavaScriptなどのWeb技術に関する資格(例:Webクリエイター能力認定試験、HTML5プロフェッショナル認定試験)は、Webエンジニアやフロントエンドエンジニアを目指す方におすすめです。
- ・データベース関連資格: Oracle Database、MySQLなどのデータベースに関する資格(例:Oracle Certified Database Administrator)は、データベースエンジニアやバックエンドエンジニアを目指す方にとって強みになります。
データサイエンス・AI系
近年、採用ニーズも高いデータサイエンス・AIの分野では以下の資格が役立ちます。
- ・統計検定: 統計学の知識や活用能力を評価する検定です。
- ・Pythonエンジニア認定試験(データ分析): Pythonを用いたデータ分析のスキルを証明する資格です。
- ・G検定・E資格: 日本ディープラーニング協会(JDLA)が実施する、AIに関する知識や応用能力を問う資格です。
IT業界を目指すなら「TECH OFFER」がおすすめ

IT業界を目指す場合、ナビサイトからの応募に加えて、スカウトサービスを活用すれば、IT業界で就職するチャンスが広がります。
スカウトサービスとは、登録された学生のプロフィールを基に企業が学生にスカウトを送るサービスです。
数あるスカウトサービスの中で、理系学生におすすめのサービスは『TECH OFFER』です。
『TECH OFFER』は理系学生に特化したサービスであり、IT企業も多く活用しています。理系学生の採用を目指すIT企業が利用しているため、IT企業からのオファーが期待できます。
IT業界を目指す際に覚えておきたい用語

IT業界は専門用語が多く、最新技術も常に進化しています。就職活動をスムーズに進め、入社後も活躍するためには、基本的な用語を理解しておくことが重要です。ここで紹介する言葉は、理系就活生であれば正確に使えるようになっておきたい重要ワードです。
| キーワード | 意味 | 理解する意義 |
| DX(デジタルトランスフォーメーション) | デジタル技術を活用して、ビジネスモデルや組織などを変革し、競争優位性を確立すること | 多くのIT企業がDXを推進しており、理系人材が中心的な役割を担っているため |
| クラウド | ネットワーク経由でサーバーやストレージなどのITリソースを利用する形態 | 多くのITシステムがクラウド上で構築・運用されており、必須のスキルのため |
| AI(人工知能) | 人間の知能や行動をコンピューター上で実現する技術のこと | 今後の社会や産業構造を大きく変える可能性を秘めているため |
DX(デジタルトランスフォーメーション)
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、「Digital Transformation」の略で、デジタル技術を活用して、ビジネスモデルや組織、プロセス、企業文化などを変革し、競争優位性を確立することを指します。単にITツールを導入するだけでなく、デジタル技術を前提とした新たな価値創造や顧客体験の向上、業務効率化などを目指す点が重要です。
多くの企業がDXを推進しており、ITエンジニアやデータサイエンティストなどの理系人材が中心的な役割を担っています。DX関連の知識やスキルは、企業が求める人材像と合致しやすく、就職活動において有利になります。
クラウド
クラウドとは、インターネットなどのネットワーク経由で、サーバーやストレージ、ソフトウェアなどのITリソースを利用する形態です。
従来の自社でハードウェアやソフトウェアを保有・運用するオンプレミスとは異なり、必要な時に必要な分だけリソースを利用できます。そのため、クラウドを導入すれば、コスト削減や柔軟性の向上、迅速なシステム構築が可能です。
現在、多くのITシステムがクラウド上で構築・運用されており、クラウドに関する知識はITエンジニアにとって必須のスキルとなっています。AWS(Amazon Web Services)、Azure(Microsoft Azure)など主要なクラウドプラットフォームに関する知識は、就職活動において大きなアピールポイントです。
AI(人工知能)
AI(人工知能)は「Artificial Intelligence」の略で、人間の知能や行動をコンピューター上で実現する技術です。機械学習やディープラーニングなどの技術発展により、画像認識、自然言語処理、予測分析など様々な分野で実用化が進んでいます。
AIは今後の社会や産業構造を大きく変える可能性を秘めており、IT業界においても最も注目されている分野の1つです。データサイエンティスト、機械学習エンジニア、AIエンジニアなどAI関連の専門知識を持つ人材の需要が非常に高まっています。
IT業界で活躍する第一歩を踏み出そう!(まとめ)
理系学生にとってIT企業は、人気の高い就職先です。また、IT企業側も、深刻な人手不足に直面しており、特に、知識やスキルを備えた優秀な人材を渇望しています。
最先端の知識や技術を学びながら実践できるIT企業に興味・関心のある人は、まず自分のやってみたい分野を決め、志望する職種の情報収集を始めましょう。
また、TECH OFFERに無料登録することで、自分にぴったりのIT企業からのオファーを受け取ることができます。まだ登録をしていない人は、ぜひ、この機会に登録してください。

